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プルガサリ 伝説の大怪獣

 

プルガサリ 伝説の大怪獣(1985年・北朝鮮)・金生日勲章受章作品

1980年代の前半「世界最高の怪獣映画をつくるのだ」という命令が朝鮮芸術映画撮影所に対して出された。命じたのは怪獣映画が大好きな金正日。当時の北朝鮮の最高権力者は金日成であり、その息子の金正日も党中央委員会政治局常務委員・党中央委員会書記・党中央軍事委員会委員という要職を兼任していた。つまり国家プロジェクトとして怪獣映画を作りは始動したのであった。

監督:チョン・ゴンジョ、1944年生まれ、ピョンヤン演劇映画大学卒、朝鮮芸術映画撮影所所属
脚本:キム・セリュン、1928年生まれ、文学大学卒、劇団作家を経てシナリオライターとなる
特撮担当:東映のゴジラ撮影チーム

配役(役名・・・キャスト)
鍛冶屋の爺さん・・・不明
アミ(鍛冶屋の娘)・・・チャン・ソニ
インデ(農民反乱軍のリーダー)・・・ハム・ギンプ
プルガサリ(伝説の大怪獣)・・・薩摩源八郎(ゴジラの着ぐるみでお馴染み)

ストーリー
時はとある王朝、頻発する農民反乱を弾圧する為の武器を必要とした地方官吏が鍛冶屋の爺さんを訪ねきた。「武器を作るにも鉄がありません」困惑する鍛冶屋に、「鉄ならここにある」と農民から奪い取った農具や鍋釜を置いて役人は去っていった。しかし農民に農具や鍋釜を返してしまった爺さんは拷問を受け投獄されてしまい、飯も水も与えられずに衰弱していった。娘は爺さんを助けようと牢獄に開いた小さな窓から握り飯を投げ入れるが、爺さんはそれで自分の魂を込めた小さな人形を一体作りこときれた。針仕事をする娘が誤って指を刺し流れた血が人形にかかったそのとき人形が動き出した。伝説の大怪獣プルサガリの誕生であった。プルガサリは鉄を食べて成長する怪獣であった。その体は鋼より固くどんな武器も寄せ付けず、それに目を付けた反乱軍はプルガサリを仲間に引き入れ王朝の都へと攻め上った。途中戦利品の剣や槍などの鉄を餌にプルガサリはドンドン巨大化ついにはゴジラ並の大きさに成長した。王朝軍の罠や新兵器ロケット弾の攻撃を跳ね返しプルガサリは快進撃を続け、反乱軍は遂に王朝を滅ぼした。勝利に酔いしれる反乱軍ではあったが一つの大きな問題が持ち上がった。そう、プルガサリに与える鉄が無いのであった。大恩人のプルガサリを飢え死にさせるわけには行かない、しかし農具や鍋釜を全て与えることも出来ないと反乱軍は悩んだ。農民を守るために生まれたプルガサリだったのに農民を苦しめる存在となってしまったであった。アミは「このままでは鉄を求めて他国に攻め込む結果 になってしまう。御願い私と一所に死んでちょうだい。」と自らの体を鐘の中に潜ませりのであった。何も知らずアミごと鐘を食べたプルガサリは砕け散るのであった。

「プルガサリ伝説の大怪獣」は日本・米国を含めた全世界での公開を前提に1985年に完成したものの、何故か公開中止となっていました。真相は分かりませんが何らか政治的な圧力があった事には間違いはありません。1998年にようやく日本公開され一部のマニアの間で話題となったことは記憶に新しいです。そして今回はレンタルDVDで鑑賞することができました。農民を弾圧する王朝が金親子が君臨する共産党政府にだぶったり、政府軍に山中に追いつめられた反乱軍が草を食べて飢えをしのぐシーンで北朝鮮の飢饉を連想したり、出てくる女優たちの顔が皆よく似ていて「喜び組」じゃないかと勘ぐったり突っ込み所には事欠かきません。しかしそういう政治的な色眼鏡なしでも、娯楽怪獣映画として良くできていると思います。また人の世に恩恵をもたらすはずだったプルサガリがいつの間にか脅威になってしまっているテーマも考えさせられます。核、バイオテクノロジーなど様々な科学技術は我々の生活を豊かにしますが一つ間違えれば人類の生存を脅かすものでもあります。しかもプルサガリのようにたった一人の犠牲では砕け散ることはないだけにより大きな脅威です。

 

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