[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

M.F.H.E.
M.F.H.E.

The Message From Heathen Earth




 外国人観光客が、漢字のプリントされたTシャツを嬉しそうに着て歩いている。彼らは、日本のカリグラフィーをライクドローイングで美しいと言う。
 「“屁”とか“糞”とかもウケるかな」
 突然不謹慎なことを言いだす女がいてびっくりしたが、“栄養”なら私も欲しいと思う。勘亭流書体で書かれたルーム用ドアプレートなども、エトランジェ向けみやげものとしては不滅の定番であり、ボクハ吐夢デスと満足げに笑う人の姿がある。ワタシハ難死deathなどと喜んでいる人は見かけない。かつて求めた中国製ねずみ花火のパッケージに“じぬんをぐろぐろまわろ”とあったので、自分はぐろぐろまわろと呟きながらその場で回転した。じぬんを踏み鳴らしつつ。甘味を苦手とする知人は、同じ亜細亜の某国で“たこ焼き”の看板を見つけて懐かしく思い注文したところ、新聞紙にくるんだたい焼きを差し出されたという。また、かつて・・・この手の話を始めると、実に、まったくきりがない。

 いきなり文化の違いや何ぞについてうんぬんしようとは思わないが、西洋魔術に向かう際、まず引っかかるものに言葉の障壁があることは間違いない。ただでさえ曖昧でよく分からない、その性格上辞書の類を調べたところでどうしようもない魔術用語である。いかがわしさが二乗された“西洋”魔術ともなれば・・・。Heathen Earthにしたって何のことやら。実はこれスロッビング・グリッスルのアルバムタイトルであり、筆者が勝手にまるで魔術用語であるかのように扱っているだけなのだが。 いったい我々は、<Tom>と<吐夢>の関係に駄洒落以上の必然性を見いだし得ないにも係わらず、<magic(k)>と<魔術>の間に必要以上にタイトな関係を期待/設定し過ぎているのではなかろうか? そう疑ってみる価値は十二分にあると思われる。
 英語ではないが、<maha>=<摩訶>という玄奘三蔵の定理がある。他にぴったり当てはまる言葉が見つからなかったのと、何事もノリが大切という名僧ならではの見識から、パーリ語の音をそのまま写し「ぶっ飛んでやがるぜ!」「ハイパーだねえ・・・」のニュアンスを見事に表現して見せた歴史的偉業だが、ここに、まあ所詮は冗談ですが、私にも新機軸と呼ぶに値するアイデアがある。<摩訶>の代わりに<魔法>ではどうか? 魔法般若波羅密多心経・・・(関係ないけど、感自在菩薩って何やセクシーと思わん?)。
 これをもって、これまで単に意味不明で味もそっけもなかった<マハーバーラタ>の背表紙には、<魔法バーラタ>の文字が記され、結果として、ハリー・ポッターが好きですてな新しい読者層を獲得するに至る。そんな期待を抱かせるところが現代的だ。若干説明臭くなるが<バーラタ族の魔法>という意訳も考えられる。ラテンアメリカ文学ファンなんかには、案外こちらの方がアピールするかも知れない。

 さて、では、何でわざわざ“西洋”魔術なのか?
 「現代人のライフスタイルは洋風化されているから」「修行するのに出家の必要がないから」・・・いろいろと、まあ、それなりにあるのだろうが、筆者にとっては、すべてどうでもいいことばかりで。
 愛好家(ファン・修行者・研究者)にとって一見致命的とも思える曖昧さ、必然的に発生する隙間こそが、図らずもHeathen Earth からの瑞々しくも生命力溢るるメッセージ、即ちMagical Powerを呼び込む装置として機能しているのではないか。重要なのは、簡単に言えばそういうことに他ならない。

 という訳で私はヘリオガバルスになりたい、と半ば本気で思う次第。






(2002年9月22日)
 

[ index ] [ menu  ]