3.タロットの応用について



   あらゆるお約束は、慣れない者にとって苛立たしい。生命の樹とて例外な訳もなく。しかし実際のところそう悲観したものでもないのは、ここにタロー(タロット)カードという、まったく好都合で容易に入手できる道具がある(14)からで、『QBL』においてもこれを用いた学習方法が紹介されている。
 <タローの切札>すなわち22枚の<大アルカナ>は、22文字のヘブル語アルファベット=22の小径に、56枚の<小アルカナ>のうちの1(=ACE)〜10の数札は、そのまま1〜10のセフィロトに当て嵌めることができる。このことから、タロット及び生命の樹の起源について何らかの仮説を導き出したい衝動にかられるのはごく自然な反応と思われるが、当面重要なのは、理由はどうあれ「当て嵌まる」ということ。
 エイカドは、『シンボリズムは古版とはやや異なっている』が『入手しやすい』という理由から、ライダー=ウェイト版デッキを使って説明し、『変更箇所は適時指摘』という方法を採っている。彼の言う古版とはマルセイユ版を指すが、近年復刻されたカモワン・タロットでないことは言うまでもない。また、師クロウリーのトート・タロットも、BOTAタロットも、同書が書かれた時点では存在していなかった。かように、そもそも用意できるタロット・デッキの種類が限られる時代だった訳だが、それにしても、著者の態度はひどくテキトーにも思える。 そのへんまあ、自分の一番好きなデッキが一番素晴らしいデッキである。とゆーことで・・・。
 タロット選びは、難しくない。明らかに使えないものを除いてどれでも好きなものを選べばいいいのだから。これから将来に渡って全面的に受け入れるべき戒律を選ぶような、悲壮かつ馬鹿馬鹿しい決意を求められている訳では決してない。とは言え、タロット・カードと銘打ってはいるものの実際には単に一組のイラスト・カード集といった、生命の樹と関連づけるにはいささか無理のあるものも存在することは確か。それらを避けるには、(1)デザイン・作画や監修など、制作プロセスに何らかのカタチで魔術師・魔術団体が関わっているもの。もしくは(2)フラター・エイカドの言う「古版」=マルセイユ系デッキ。これらの中から割合オーソドックスと思えるタイプを選んでおけば、まず間違いないように思う。ちなみに、ライダー・タロットをデザインしたA.E.ウェイト、作画を担当したP.C.スミスともに、知る人ぞ知る黄金の夜明け団のメンバーである。

 さて、『本来ならば、まずは<小アルカナ>の方から記述すべきなのだが、これに「四界」の説明が不可欠』として、エイカドは、先に22枚の<大アルカナ>を採り上げる。
 妙な先入観に囚われることなく、用意したタロット・カードを一枚一枚リラックスして眺めてみてほしい。大丈夫、カードは決して噛みつきはしない。セコイ棒暗記の補助教材でもない。どっちかというと、自分だけの創造行為を手助けしてくれる、大切なパートナーに接するつもりで。聖別の儀式を行なうなど、いいカタチでお近づきになる為のちょっとした方法も、いろいろと紹介されている。
 ライダー=ウェイト版の場合、てっぺんにローマ数字(または「0」)の入ったカードが<大アルカナ>。<0>のカードの画面下には<THE FOOL>のタイトルがある。右肩に荷物を引っかけた棒きれを担ぎ、破れた袖から覗く左手には白い花一輪。崖っぷちに立つこの青年は、至福の境地に遊ぶワン・ノブ・フラワーチルドレン? 旅慣れたバッグパッカー? ボディショップの社長も若い頃はこんなふうだったのだろうか。足もとの犬は何をしようとしているのか。いずれにせよ危なっかしいと言えば危なっかしい。この、二次元平面上の画像を3D で立ち上げ、光を感じ、風を感じ、大気の匂いを感じるつもりで・・・。この調子で22枚すべてを眺めてみる。主体的にイメージを作り上げていく為の準備運動として、なかなかいい感じだ。
 で、22枚の<大アルカナ>を順番通り一枚ずつヘブライ語アルファベットに(即ち小径に)割り当てるとどうなるか。占星術的属性・四大元素との照応ともども抜き出すと次の通り。

 0.<愚者>=風=アレーフ(閃光の知性):<第11の小径>(1)ケテル〜(2)コクマー
 1.<魔術師>=水星=ベース(透明の知性):<第12の小径>(1)ケテル〜(3)ビナー
 2.<女司祭長>=月=ギーメル(統合の知性):<第13の小径>(1)ケテル〜(6)ティファレト
 3.<女帝>=金星=ダーレス(光明の知性):<第14の半径>(2)コクマー〜(3)ビナー
 4.<皇帝>=白羊宮=ヘー(構成の知性): <第15の小径>(2)コクマー〜(6)ティファレト
 5.<祭司長>=金牛宮=ヴァーウ(勝利者もしくは永遠なる者):<第16の小径>(2)コクマー〜(4)ケセド
 6.<恋人たち>=双児宮=ザイン(処理する者もしくは処理の知性):<第17の小径>(3)ビナー〜(6)ティファレト
 7.<戦車>=巨蟹宮=ヘース(感応力の宮の知性):<第18の小径>(3)ビナー〜(5)ゲブラー
 8.<剛毅>=獅子宮=テース(霊的存在のすべての活動の知性):<第19の小径>(4)ケセド〜(5)ゲブラー
 9.<隠者>=処女宮=ヨッド(意志の知性):<第20の小径>(4)ケセド〜(6)ティファレト
 10.<運命の輪>=木星=カフ(調停の知性):<第21の小径>(4)ケセド〜(7)ネツァク
 11.<正義>=天秤宮=ラメド(忠実の知性):<第22の小径>(5)ゲブラー〜(6)ティファレト
 12.<吊し人>=水=メーム(安定の知性):<第23の小径>(5)ゲブラー〜(8)ホド
 13.<死神>=天蠍宮=ヌーン(想像力の知性):<第24の小径>(6)ティファレト〜(7)ネツァク
 14.<節制>=人馬宮=サーメク(試練の知性):<第25の小径>(6)ティファレト〜(9)イェソド
 15.<悪魔>=魔羯宮=アイン(刷新する者):<第26の小径>(6)ティファレト〜(8)ホド
  16.<破壊の塔>=火星=ペー(刺激の知性):<第27の小径>(7)ネツァク〜(8)ホド
 17.<星>=宝瓶宮=ツァダイ(自然の知性):<第28の小径>(7)ネツァク〜(9)イェソド
 18.<月>=双魚宮=クォフ(物質の知性):<第29の小径>(7)ネツァク〜(10)マルクト
 19.<太陽>=太陽=レーシュ(集中の知性):<第30の小径>(8)ホド〜(9)イェソド
 20.<最後の審判>=火=シン(永続の知性):<第31の小径>(8)ホド〜(10)マルクト
 21.<宇宙>=土星=タウ(管理の知性):<第32の小径>(9)イェソド〜(10)マルクト   - P52,65-

   以上、スタンダードな照応。大きな紙の上或いは想像上の生命の樹の小径に、配置してみると分かりやすい。
 フラター・エイカドは、上記の<8=剛毅><11=正義>について、古版における<8=正義><11=剛毅>が、ライダー=ウェイト版において修正されたものとしているが、これはカードの順番の問題。今、あなたの手元にあるデッキがどちらのタイプであろうと、小径への配属に変わりはない。ちなみに、<正義>のカードに見られる天秤を持った人物は『明らかに天秤宮を示している』-P68-
 やや蛇足だが、これ以外の配属の代表例として、クロウリーにより<4=皇帝>と<17 =星>を交換されたものがあるが、この場合はカードの順番はそのまま、小径との対応関係が入れ替わっている。ここだけの話だが、筆者はこれを「ツァダイは星にあらず、(星は)本能寺にあり」と記憶した。(※ホンノウジの頭文字Hは「ヘー」の等価文字である)
 
 


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