ブータン旅行記

3日目 デリーからパロへ

 朝食のお弁当をもらって4時40分にホテルを出発、25分ほどでインディラ・ガンジー空港に到着した。ターミナル前でバスからスーツケースが出てくるのを待っていると黒い衣で全身を包んだイスラム教徒の女性が両脇に婦人警官に付き添われてターミナルから出てきたが、車道の真中で座り込んで大声でわめきだした。たちまち人垣ができる。テロに関係した事件なのだろうか。飛行機に乗るのがちょっと不安になる。

 ドゥルク・エアのKB203便に搭乗し7時32分に離陸、カトマンズに向かう。途中左手にヒマラヤの白い峰々が眺められたが、インドの国内線では電池の機内持ち込みが禁止されているというのでカメラの電池を外して添乗員に預けてしまったので写真を撮れない。

 1時間20分のフライトでカトマンズ空港に到着、30分ほど機内待機して9時23分にカトマンズ空港を離陸した。しばらくすると再び左手にヒマラヤの山々が見えてきた。今度は山のすぐ近くを飛んでいてそのうえ飛行高度が低いので雪の襞に覆われた山腹が真横に見えて凄い迫力である。カトマンズから乗り込んできた欧米人のグループは絶好の機会と写真を撮りまくっている。没収されても良いから電池をカメラに入れておけば良かった。添乗員の指示にすなおに従ってしまったことが悔やまれる。

 やがて眼下に白く光るトタン屋根の家が見えてきて10時11分にパロ空港に到着した。空港のターミナルはブータン風の建築で内部もブータン風の装飾が施されている。職員も民族衣装のゴやキラを着ていてブータンに着いたという実感が湧いてくる。


パロ空港ターミナル

 ガイドのカルマさんに迎えられてパロの中心街に向かう。途中に展望台がありパロ空港や、その先のパロ・ゾンが眺められた。


パロ空港

 20分ほどでパロのメインストリートに到着した。中央分離帯のある広い舗装道路になっていて頭の中に抱き続けてきたパロのイメージが一瞬にして崩れてしまった。道の両側にはブータン建築の店が並んでいて、食料品や衣類、仏具など地元の人の生活用品が並べられていた。客が少ないせいか店の人たちは店先に座ってのんびり話をしている。

 
パロのメインストリート             店先

 昼食はメインストリートの中央部にあるソナト・トロペルというレストランでとった。


レストラン

 初めてのブータンの食事は鶏肉、青菜、ジャガイモ、茄子の炒めもの、それにモモ(シュウマイ)と焼きそばであった。どれも油でぎらぎらしていてカロリーが高そうだった。

 
鶏肉           青菜
 
ジャガイモ         茄子
 
モモ            焼きそば

 レストランの壁には4代目ウゲン・ワンチュク国王の肖像が仏様のように飾られていた。国王は現在45歳、4人の奥さんを持ち17人の子供がいるという。人気が高いのか国王の肖像はあちこちに飾られていた。


国王の肖像

 食後近郊のランゴ・パル地区にあるキチュ・リゾートに向かい、10分ほどで到着した。広い庭に建物が点在するリゾートホテルで、庭の中央にある大きな池に周囲の風景が映って大変美しい。

 
本館            ホテルの庭 

客室は離れになっていて外見は良いが、テレビや電話はなく、電灯は暗くてそばに持っていかないと字を読めない。ホテルの脇にはパロ川が流れていて、岸辺には菊科の花やハハコグサがたくさん咲いていた。

 
客室         パロ川
 
菊科の花        ハハコグサ

 1時間ほど休憩した後パロ・ゾンに向かい15分ほどでゾンの手前に到着した。パロ・ゾンは映画「リトル・ブッダ」のロケが行われた城のような建物で、中央には天守閣のようなウツェという建物が建っている。パロ・ゾンの手前には屋根つき橋があり、上方には見張り台だったタ・ゾンが見える。 タ・ゾンは現在国立博物館になっている。

 
パロ・ゾンと屋根つき橋(拡大)           屋根つき橋の中

タ・ゾン

 屋根つき橋を渡り、坂道を登っていく。雨が降っていたが、坂の途中で聖なる地に入ったので傘や帽子をとって先に進む。10分足らずでゾンの入り口に到着し、靴を脱いで中に入る。中庭の中央にあるウツェをブータンらしい装飾が施された建物が取り囲んでいる。外見は同じであるが右側の建物は僧坊に、左側の建物は県庁に使われている。ゾンは寺と同時に行政機関であるのだ。

 
ウツェ            僧坊

 中庭を通り抜けて奥に進むと寺があった。我々は寺の中に入れなかったが、白人のグループが寺の中からぞろぞろと出てきた。現地旅行社の力によって観光できる場所が違ってくるようだ。寺の入り口で少年僧がお経の勉強をしていた。ブータンでは男の子の1人を僧にしないと隣近所のからの風当たりが強いという。
 

 
寺の入り口         少年僧

 ゾンからの眺めは素晴らしく、先程渡ってきた屋根つき橋や、パロのメインストリートも眼下に見ることができる。

 
屋根つき橋            メインストリート

 この後メインストリートに引き返し1時間ほど自由行動になった。ちょうど小学校が終わったところで自宅に戻る小学生たちが次々通っていく。民族衣装が制服になっていて男の子はゴを、女の子はキラの上に緑色のシャツを重ね着している。

 
下校中の小学生

 メインストリートのはずれにチョルテンがあり、その先は柳の並木道になっていて、パロ・ゾンや小学校はこの道の先にある。

 
チョルテン         柳の並木道

 この後農家を訪問した。パロ空港の脇を通って10分ほどバスで走った後、麦畑の脇の畦道を歩く。道幅が狭いので農作業には機械を使っていないのだろう。周りには畑を耕す村人や籠で荷を運ぶ村人など農村らしい風景が見られた。

 
畦道            荷を運ぶ村人

 10分ほどして目指す農家に到着した。農家は2階建てになっていて、1階が倉庫、2階が住居として使われている。家の脇には香木を焚くサンタブ(香炉)が置いてある。

 
農家               サンタブ

 16畳くらいある広い部屋に通されアラと呼ばれる焼酎と、炒った粟や麦の粉などをいただく。これらを出すことがブータンの客のもてなし方なのだ。


炒った粟や小麦粉

 この後仏間を見せていただく。6坪ほどの部屋の半分が仏間になっていて仏壇の正面には仏画が飾られその前にはお供えが並んでいる。仏壇の周りには太鼓などが置かれまるで小さなお寺の仏間のような感じであった。家具らしい家具はないが、仏のためには金を惜しまないのがブータン人なのだ。

 
仏間              仏壇

 庭先にある風呂を見せていただく。ブータンの風呂は焚き火で真っ赤に焼いた石を風呂桶の中に入れ水を注いで温める独特の風呂で、ドツォと呼ばれている。新鮮な空気の中で星空を眺めながら入ったらさぞかし気分が良いことだろう。

 
ドツォ            焼き石 

 最後にキチュ・ラカンを訪れる。キチュ・ラカンは7世紀に建てられたブータン最古の寺で、現在は古いお堂と、現皇太后によって建てられたよく似た形の新しいお堂が並んでいる。


キチュ・ラカン

 古いお堂に入ると正面に一段奥まった小部屋があり、小部屋の正面には釈迦の像、その前には小さなパドマ・サンババの像が置かれていた。小部屋の左右にはそれぞれ千手観音と11面観音が置かれていた。隣の新しいお堂には中央にパドマ・サンババ、右にターラー、左にゲンツェ・リンポチェの像が祀られていた。 


4体の観音像( 1986年撮影)

 ホテルに戻って夕食をとる。ビュッフェ式だったが、ご飯と焼きそばのほかに肉や野菜の炒めものなど4つの料理がついていた。このあとの食事も毎回このようなものであった。


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