高血圧の基準は、世界各地で異なり、新しくわかった事実に基づき少しずつ進化しています。グローバルスタンダードである米国心臓協会は血圧に関する1993年の基準を、2006年に改めました。その主旨は、家庭血圧に重点を移すという視点移動でした。日本は2009年1月、高血圧学会が5年ぶりの「高血圧治療ガイドライン」を公表し、新たに
家庭血圧に対する血圧基準値
を設定するとともに、“日本人の”エビデンス反映したリスク分類や臓器障害防止と高血圧治療を一致させる、という合理化を行いました。
血圧は、そう簡単に「いくつなら大丈夫」と線を引けるものでは、ありません。いろいろな誤差や日内変化があります。体調や環境でも変わるし、緊張しただけでも変わります。測定1回目と2回目でも変わります。血圧計が示す数字は、毎回過度に神経質になることなく、少しおおらかな目でご覧になって下さい。
例えば、朝晩の血圧の差、血圧の上がり始めた年齢、男性か女性か、家系、仕事、季節、きっかけ、塩分、心臓が弱ってないか、他の病気はないか、血管の硬さの進行スピードなど、年齢・体質・病状・ライフスタイルを考え合わせ、さらに、メタボリックシンドロームや慢性腎疾患など他の危険因子にどう対処していくのが現実的か、ご本人と一緒に決めていきます。→
血 糖、塩
分、コレステロール
ですから、数日〜2ヶ月間、生活にご注意いただき、血圧が下がらない場合にはじめて服薬を始めていただくこともあれば、直ちに血圧を下げる薬を服用していただくこともあります。2009年1月のガイドラインでは、日本人のエビデンスに基づき、“低リスク”の方は
3カ月以内、“中リスク”の方は
1カ月以内の生活習慣の改善を行い、降圧目標に至らない場合に降圧薬療法を開始することを推奨しています。“高リスク”の方は
直ちに降圧薬治療を開始することを推奨しています。
わが国の統計データでは、65歳以上のご高齢者ではその約60%が高血圧であるとされます。加齢とともに血管は硬くもろくなり、血圧が上がり、血管が破けやすくなります。その一方で、加齢とともに小さな脳血管の詰まりも多くなり、このような場合には、急激に血圧を下げると脳に十分血液が行き渡りにくくなる場合がありえるため“時間をかけた”“緩徐な”“降圧”が大切です。首の太い動脈に70%以上の狭窄がある場合も特別な注意が必要です。2009年1月のガイドラインでは、日本人のエビデンスに基づき、従来言われていた血圧が下がるほど心血管イベントが増加するという“J型現象”は根拠がなく、高齢者でも積極的な降圧を促すべきとしています。
いろいろな考え方による統計が行われ、目標とする血圧の数値(目安)は、世界で細かく一定しません:
例1 例2
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・60歳代の方
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140/90以下
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・70歳代の方
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150/90以下
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・80歳代の方
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160〜170/90以下
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・男性の目標値=120+年齢×2/3
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・女性の目標値=114+年齢×5/6
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例3
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・「高血圧治療に年齢制限はない」 大規模臨床試験
HYVET / 2008年3月 第57回米国心臓学会 Chicago,
USA
高血圧治療ガイドライン
/ 2009年1月 日本高血圧学会 JSH2009, JAPAN
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いろいろな人たちがいろいろな理由により、いろいろな「目安」を公表し、皆、自分たちの考えが正しいと主張しています。これからもそうでしょう。ただ、マスメディアでは、一部の人たちの唱える「数字だけ」が一人歩きして繰り返しクローズアップされる事もありますので、あなたご自身に当てはめる場合には十分お気を付け下さい。相当の専門知識が必要です。
当院は、私たち一人一人がそれぞれの体質に応じ、人命の限りいっぱいまで自分のライフスタイルで生きられる確率を少しでも高める、そのためのバックアップをしていく事が、血圧を治療する唯一無比の目標であるという捉え方をしております。
