ピロリッタの本当の姿
ピロリッタは、宇宙の彼方のとある星に生まれました。成人したある日、銀河系−太陽系−火星で大規模な核戦争が勃発しそうだから、これを阻止するようにという命令を受けて、火星に飛来しました。しかし、時既に遅く、核戦争は始まっていました。私は、生き残ったわずかの火星人を連れて、地球を目指したのです。当時の地球上は恐竜全盛時代でした。そこで、小惑星を地球にぶつけて恐竜を死滅させ、安全を確かめてから、カスピ海沿岸に着陸しました。(ユカタン半島方面の巨大なへこみは、私が作りました。)ただ、その際に、種々のハイテク機器―そのレベルは、今の地球上のそれとけた違いに進んだものでした。―の大部分を損傷してしまったのです。私たち乗組員と火星人たちは、わずかなハイテク機器を駆使しつつ、野獣や原生人類と戦いながら子孫を増やし、各地に移住していったのです。その一派には、インダス文明を滅ぼしたとされるアーリア人もいました。ギリシャに高度な文化を花開かせたドーリア人も仲間の一つです。私は、ある時は仏陀、ある時は孔子、ある時はキリスト、ある時はマホメットとして、歴史上に登場しています。(^-^)火星に飛来する途中、同乗していた彼女は、tennteru-kunnと呼ばれていましたよ。でも、今は日本の田舎に隠居しているような身です。本国星からの捜索隊は、これまでもしばしば登場しました。しかし、カスピ海沿岸着陸時の事故のせいで、送信手段を失ってしまってからは、せっかく来てくれた捜索隊とも連絡が取れないままなのです。最近は、夜空の星々を眺める気力も萎えてきています。
そうです。ピロリッタは宇宙人だったのです。(^_^;)
宇宙人の特徴は、文字を(筆やキーボードを使って)書くことをタブーとしている点に現れています。宇宙人は、その感情の機微に到るまで、全てを読み取り、文字に表す手段を持っています。極端に励起した感情―怒り・悲しみなど―を表現するのは一定程度の文字表現で可能なのですが、曖昧な感情、不明朗な意識を表現するには、その際の意識流の全てを読み取って、膨大な文字データとして表記するのです。地球人の感覚でいえば、わずか数分の感情を表すのにさえ、百科事典ワンセット分ぐらいの文字表現は必要なのですね。そして、宇宙人のデータ読み取り能力は、地球人の天才を遥かに凌駕するほどなのです。
地球人も、生まれ落ちてから、脳細胞が死滅を始めると言われているでしょう。地球人は、生まれ持った能力を出生直後から破壊しつつ年老いていくのです。悲しむべきことだと思います。能力の使い方を知らないのです。
宇宙人も、遥か昔に於いては、地球上のパソコンみたいな原始的なものにキーボードを使って入力していました。しかし、やがて地球人の言うテレパシーのような手段が開発され、そして、全宇宙人のテレパシー交流を媒介する手段が開発されてからは、思うことが直ちに他人に伝わり、他人の思いも手に取るように分かるようになったのです。遺言を残さなくとも、先人の思いは今の人に生々しく伝わるのです。今の人の思いも、いわば壮大なデータベースに保存されて、後世の子孫たちに伝わるのです。
これではプライバシーはなくなるとお思いでしょう?そうではないのです。宇宙人は、他人に伝えたくないときには、心にバリアーを設けます。バリアーで防御するためには、その心の中身は明瞭なものでなくてはなりません。しかも、テレパシーシステムに読み取れないほどに複雑壮大であれば複雑壮大であるほど、防御が確実になるのです。宇宙人は、テレパシーシステムに読み取られないほどの思考のスピード開発、思考の複雑壮大化を競い合っているのです。しかも、明瞭でなければならないのです。そうした思考の上に立ってこそ、宇宙人の真の自律が可能となるのです。
宇宙人の精神的能力は、地球人の感覚でいえば、スーパーコンピューターを遙かに凌ぐものなのです。しかも、その能力は日に日に進歩向上しています。機械の開発に余念のない地球人とは異なり、宇宙人は各人の精神的能力の開発に専念しています。そうした各人の能力を地盤にしてこそ、宇宙人界のテレパシーシステムは、絶えず各人の自由度を亢進する方向に進化しているのです。機械の進歩に合わせて、自らの思考能力を扁平させている地球人とは大違いでしょう。
地球人も宇宙人から生まれた子孫ではあります。お分かりのように、地球人の先祖は火星人だったのであり、その火星人は別の星の子孫だったのであり、…辿りに辿って、ピロリッタと同じ源流を持っているのです。ただ、時間的な隔たりが余りに大きすぎるために、地球人は退化してしまっているのです。
地球人が宇宙人に由来することを示す名残は、あのアーリア人の間では、文字に書き表すことがタブーとされていたことに示されています。手書きなどという原始的なことを嫌ったということでしょう。確かに、私が地球に漂着した頃は、今のスーパーコンピューターなど遠く及ばない超小型システムを持参していました。(勿論、カスピ海周辺から各地に放浪する間に壊れてしまいましたが…。)
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