10.ハートビル法や各自治体の福祉のまちづくり条例等により、福祉のまちづくりは徐々に整備されていますが、障害者の立場から見ると歩道の整備状況をはじめ、商店など、利用しづらい環境は解消しきれていません。
また、障害者にとって住まいの問題は深刻であり障害者対応の公営住宅の整備が急がれるところです。さらに、公営住宅法の施行規則の中で常時介護を必要とする障害者は公営住宅に単身入居できないとする旨の規定があり各地でトラブルも起きています。
これらに対する貴党の具体的な政策をお聞かせください。
【自民】
わが党は昨年の3月に政務調査会の下にバリアフリーワーキングチームを設置し、平成11年8月に「街のバリアフリー化の推進に関する提言」をまとめました。また、平成12年度予算におきましても、新たに、高齢者や障害者の方々にとっても通行しやすいよう幅が広く段差や匂配の解消を目指した新しい歩道の構造基準に基づくバリアフリー化や、視覚障害者誘導用ブロックの設置など快適な歩行空間の形成を総合的に行う「歩行空間ネットワーク総合整備事業」を創設しました。平成14年度末までに約3,200地区で整備を予定し、平成12年度は神奈川県藤沢市の湘南台地区など1,600地区で整備を進めます。さらに、電線類の地中化などと併せて市街地の駅、商店街、福祉施設の周辺等で地域と一体となってバリアフリーの歩行空間の整備を促進するなど積極的に「街のバリアフリー化」に取り組んでいます。
公営住宅については、従来より心身障害者向け公営住宅を供給するとともに、平成3年度より新築住宅をすべてバリアフリー仕様として供給しています。
平成12年度予算においては、公営住宅の計画戸数37,000戸を計上するとともに、高齢世帯等に適した間取り・設備への全面的な改善を行う事業をはじめ、計画的・重点的に改善を行う「公営住宅ストック総合改善事業」を創設することとしています。
また、公営住宅法及び同法施行令において、常時介護を要する方であっても、介護等のバックアップ体制が整い、自立した生活が行える方については、公営住宅への単身入居を認めるよう措置されています。介護体制を考慮することなく、常時介護を必要とする障害者の方の単身入居を一律に認めないとする取扱いは問題があるので、そのような取扱いが解消されるよう努め、福祉施設との連携の上で、障害者で公営住宅への単身入居を希望される方の居住の安定が図られるよう適切な対応をしてまいります。
【民主】
一つ一つの建物のバリアフリー(点)から、道路・歩道や公園なども含めた「まち」全体のバリアフリー(面)を進める必要があります。現在、福祉のまちづくりは、自治体主導の条例や要綱を基本に進められていますが、民主党は、福祉のまちづくりに対する国の責任を明確にする意味から、「福祉のまちづくり整備法(仮称)」を創設するべきだと考えます。
公営住宅は、ハンディを持つ人でも安心して暮らせる住宅たるべきです。入居の問題について、頭から拒否する規定は問題があると思います。今後、公営住宅は、バリアフリーはもちろん介護・医療施設との併設など、福祉のまちづくりの中核として重要な役割を担うことになるでしょう。当面、行政のバックアップや地域のサポート体制を活用しながら、誰もが安心して暮らせる公営住宅にするべきです。
【公明】
公明党は基本政策の中で、すべての公営住宅のケア住宅化をかかげております。したがって、公営住宅に障害者が入居できるようにすることはもちろんのこと、単身でも安心して居住できるようにライフサポート・アドバイザーを常設できるように考えております。いきなり全国整備することは予算との兼ね合いはありますが、1日でも早く実現できるように働きかけてまいります。
【自由】
健常者、障害者を問わず、様々な人々が快適に暮らせるよう、住宅も含め、道路、交通機関、公園、緑地などを整備し、調和のとれた快適・安全な街づくりを進める。
【共産】
障害者団体や関係者の運動で福祉のまちづくりも一定すすみはじめていますが、本格的なとりくみはこれからです。国のレベルでの、実効あるバリアフリー法の制定や建築基準法の改正等が必要だと考えます。
住宅供給についての政府の姿勢は、民間まかせで、公営住宅の供給数(補助金)を年々減らしつづける一方です。″住まいは人権という立場で、国が責任をもって公共住宅の大量建設をすすめ、バリアフリー住宅やグループホームなど、障害者対応の公営住宅を増設すべきです。公営住宅法施行令や住宅地区改良法施行令にある、住宅入居にかんする欠格条項はノーマライゼーションの理念に反します。規定を速やかに見直し、在宅ケアなどの条件整備とあわせ、障害者が差別なく公営住宅に入居できるようにすべきだと考えます。
【社民】
社会民主党は、安くて良質で人に優しい住宅建設、街づくりを目指しています。全国的な「まちづくり条例」の制定の動きをふまえ、住宅、建築物、道路、交通機関を含め、当事者の意見を反映した形の「総合まちづくり法」の早期制定を目指します。インターネットなどを活用して、地域に密着した医療、福祉、教育、行政サービスを地域の全体に提供し、情報通信を活用した生活基盤を整備することが必要です。
住宅については、公営住宅および特定有料賃貸住宅の供給を加速し、高齢者・障害者の利用しやすい住宅対策の諸制度をより一層充実させます。また、単身入居を拒否している条項の撤廃を求めていきます。
11.精神保健福祉法は、今回の改正によってもなお精神障害者の地域生活を支援するにはきわめて不充分です。精神障害者の社会的入院がいまだに多いなか、社会復帰施設の整備や住宅・相談・介護といった地域生活を可能とさせるような、包括的な福祉サービスの展開が重要な課題と考えています。また、JR等の運賃割引の取り扱いにもみられるように、身体障害者や知的障害者に対する福祉サービスと比較してみると、不合理なものが多くあります。
これらに対する貴党の具体的な政策をお聞かせください。
さらに、精神科病院における人権侵害の防止のあり方や、「保護者制度」の撤廃についての考え方をお聞かせください。
【自民】
精神障害者の社会復帰と自立と社会参加を促進するため、地域において精神障害者を支援していく体制を整備することは重要です。障害者プランにおいても社会復帰施設対策等によりその充実が図られていますが、平成5年の法改正の時の見直し規定を前提にわが党は検討を行いました。今回の法改正においては、市町村を中心として実施する在宅サービスとして、居宅介護等事業(ホームヘルプ)、短期入所事業(ショートステイ)を法定化するとともに、精神障害者福祉施策の利用に関する助言、調整、あっせん等について市町村を実施主体とすることとし、精神障害者地域生活支援センターの法制化により身近な地域で福祉サービスを利用できる体制を整備することとしました。
また、精神障害者保健福祉手帳所持者に対するJR等の旅客輸送運賃費、並びに有料道路料金の割引制度の適用については、関係省庁、関係事業者による検討が行われていると承知しており、わが党としてもそれらを踏まえ、関係省庁等と連絡をとっていきたいと考えます。
精神病院における人権侵害の防止策については、人権を尊重しつつ適切な医療を確保できるよう、わが党においても検討を行い、指定医の役割の強化等行政を指導したところであり、所要の改正をみたところです。
保護者制度の撤廃については、保護者制度が家族に過大な負担をもたらしているのは事実である一方、わが国において、精神障害者の治療については家族が一定の役割を果たすべきと言う意見も強く、保護者の義務を全廃するかどうかについては、精神障害者の家族の役割をどうするかという国民の意識に係る問題であり、引き続き検討が必要であると認識しています。今後とも検討を進めていきます。
【民主】
第145国会において改正精神保健福祉法が成立しました。民主党は、改正について一歩前進と評価しながらも、なお多くの課題があると考え、施行後5年の検討規定を盛り込むとともに、附帯決議を付して今後の課題を明らかにしました。
立ち遅れている精神保健福祉施策のレべル向上は喫緊の課題です。具体的には、@国連原則など国際的基準にそって今後の法改正を検討すること、A精神病院に対する指導・監督を強化すること、B情報公開や当事者の審議会等への参画、Cアドボカシーなど権利擁護制度の充実をはかること、等が重要な視点と考えます。
「保護者制度」は、明治時代制定の精神病者監護法における「監護義務者」が、戦後制定された精神衛生法に引き継がれたものですが、成年後見制度の改正などに対応して、廃止も含めて検討すべき課題と考えます。
【公明】
精神保健福祉センターや精神障害者地域生活支援センターの役割を拡充するとともに、精神障害者居宅介護等事業、精神障害者短期入所事業、精神障害者地域生活援助事業の居宅生活支援事業の拡充を図り、補助金等の補助水準を引き上げます。社会復帰施設を設置しようとしても住民の反対で断念せざるを得ない事例が多く起きている現状から、精神障害者に対する社会的偏見、差別をなくすために、国民に対する啓発活動を大きく推進します。
また、保護者制度は、実体としては、精神障害者に対する責任は家族にあり、精神病者が社会に「害を与えないようにする」ことを押し付けています。精神病が治癒可能な疾病と認識されている今日にあって、「精神病者とその家族」を固定化する規定はほとんど意味はありません。保護者制度の撤廃を図るため、成年後見制度を見直し、保佐人が保護者となるようにします。
【自由】
障害者が個性と能力をもって自立できるよう支援するため、多様な職業訓練機会を提供するとともに、リハビリテーションに関する事業の推進、障害者の社会復帰を促進する施設の計画的な拡充、地域生活を支援する交通・施設のバリアフリーなど、包括的な障害者施策を図る。
【共産】
精神障害者の地域生活支援策は大きく立ち遅れている課題であり、早急に改善策を盛り込むべきです。当面、緊急に他の障害者施策との格差が大きい社会復帰施設や介護制度の緊急整備をおこなうよう提案します。JR等の運賃割引については、日本共産党の再三の要求に、「実施に向けて検討する」ところまで政府を追いつめています。各種福祉サービス等の遅れを解消し、安定した地域生活が可能になるようにすべきです。
精神病院については、一般病院と比べても特段に遅れている看護婦の配置基準を見直し、診療報酬を改善することが必要です。また人権侵害を防止するマニュアルやシステムを設け、障害の発生から治療、社会的自立にいたる総合的なシステム化をはかることが必要です。時代遅れとなっている「保護者制度」は見直すとともに、障害者を社会的に支える諸施策を整備すべきと考えます。
【社民】
1983年の厚生省調査で、入院患者の6割が「近い将来の退院の可能性」があるとされたにもかかわらず、17年後の今日、当時と比較しても入院患者は減少していません。この背景には、地域でのサービス資源の不足と住民の偏見があると考えます。
社会民主党は、基本的に医療の部分は一般医療に統合し、人権尊重とインフォームドコンセントを基本とする法制度を構築しなければならない、と考えます。人々の誤解や偏見など心理的な壁、そして欠格条項など制度的な壁、心理的・社会的な環境に対する施策を法律改正の重点とすべきです。また、福祉の分野では他の障害をもつ人と同様に、地域生活を実現するための自立支援の施策を盛り込んだ法整備が必要です。
12.私たちは、どんなに障害が重くても成人に達すれば、社会人としての人格が尊重され親兄弟から独立できるようにすべきであると考えています。障害の重い人が生活保護などを受け独立をしようとしても、それを妨げているものとして民法の扶養義務があります。私たちは扶養義務のあり方や範囲等について再検討していく必要があると考えています。
これに対する貴党の具体的な政策をお聞かせください。
【自民】
民法は、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務を負うと定めています(877条1項)が、具体的な扶養の順序、程度及び方法は、当事者間の協議または家庭裁判所の調停・審判により定められることとしています(878条から880条まで)。また、直系血族及び兄弟姉妹以外の三親等内の親族についても、特別の事情があるときは、家庭裁判所が審判によって扶養の義務を負わせることができるものとされています(877条2項)が、事後の事情変更によって家庭裁判所が審判を取り消すこともできるとされています(同条3項)。
このように、民法は一定の範囲の親族間での扶養義務を定めるとともに、この点について社会の変化や個別の事情に即した弾力的で適切な処理がされるよう配慮しています。したがって、民法の上記の規定は、親族間をめぐる社会の変化に対応した妥当な処理をしていくことができるものであり、扶養義務自体について現時点において見直すべき必要性はないものと考えています。
【民主】
民法の扶養義務は共助の一つと考えられます。扶養義務については、核家族化など家族形態の多様化や、国民意識の変化等に対応して、そのあり方が問われると思います。
しかし、障害者の自立と生活保障の問題は、家族の扶養にとどまらず、社会連帯に基づく社会保険やナショナルミニマムを保障する生活保護などを含めた総合的な検討が必要であると考えます。
【公明】
障害者に対する身体機能を補うことを中心とした介護・介助については、家族の支援力にもっぱら頼ったものとなっているが、身体的・精神的負担の重さからいって、家族の支援はあくまで通常の家庭に見られる家族間の支え合いの範囲にとどまるようにすべきであり、その意味で、民法第877条〜第880条に規定されている扶養義務の見直しを検討します。
【自由】
障害者の自立の観点から、税制上の措置のあり方や障害者の自立支援事業等、身体障害者の生活を支援する制度を整備すべき。
【共産】
憲法の生存権保障の理念からも、家族関係が大きく変化している現実からみても、成人した者に兄弟姉妹まで扶養義務を求めるなどの民法上の扶養義務の規定は、見直しがせまられている課題であると考えます。当面、社会福祉法各法における扶養義務者の範囲を狭く限定するなどの改正が必要と考えます。
【社民】
問6でお答えしたように、障害基礎年金の給付水準が低いばかりか、無年金障害者も救済策が講じられていません。そのうえ、所得保障政策のもう一つの柱である生活保護についても、扶養義務の規定のため、生活保護を必要とする多くの障害者が受けられていない現状にあります。また、成人障害者への扶養義務は、地域での自立した生活、独立を阻むものであります。
社会民主党は、「保護」を転換して「自己決定権」の尊重を進める成年後見法の施行も踏まえ、障害者の社会的・経済的自立にとって障壁となっている扶養義務は撤廃すべきと考えます。世帯(家族)単位から個人(本人)単位へと、法制度を全面的に点検・改善して、障害者が独立し、自立した生活を過ごせるよう積極的に支援していかねばなりません。