テレビの「釣り番組」では…。
【本木雄介】
これもある掲示板で論議されていた話題だ。
「釣り番組」の信頼性。視聴者である「釣り人」が「なんで、素人の女の子があんなに釣れるの?」「俺が行った時はぜんぜん釣れなかったじゃない」と疑問をもった。話はそこから発展したものだった。
まず、冷静に考えなければならないのは
@ 番組として「ボウズ」ではとても放送できない。
A その港の宣伝効果を担っている。
という大前提がある。
そのため、@ではテープ編集による「釣り場面」をダイジェストにまとめあげる必要がある。たとえそれが3日間にわたる釣行記であっても「名場面」を「半日」にしてしまうのだ。ヒットした場面から釣り上げた場面で、いきなり太陽の位置が違っている・あきらかに天候が急変している・竿が別物に変わった、などはお粗末な編集のつなぎ合わせによるものだ。
また、釣り好きタレントが南太平洋などでブルーマリーンを釣る番組が毎年放送されている。一対一の大格闘がくり広げられるわけだが、実際に200kgを超える「巨大魚」はとても1人では上がりようがない。引き上げるまでに何人の「腕」を必要とするかは「大物釣り」を一度でも体験した者なら理解できるだろう。
素人にしかみえない「女性キャスター」がばんばん釣り上げているのを見たからといって、信じてはいけない。「主人公」をひき立てるための「大名釣り」なのだ。
またAにおける地元漁港の介在が、我々「釣り人」を惑わしている事実も知っておかねばならないだろう。漁業組合としては、せっかくのPRの機会を台無しにしてしまうわけにはいかない。事前に用意しておいた「活け魚」を使うこともよく聞く話だ。
そして、ここで「釣り船選びの達人」として注意しておきたいことは
番組で登場した「釣り船」は本当に信頼していいのだろうか、ということだ。
通常、テレビ局からのアプローチは
@ 直接「釣り船」船長へ
A 地元漁業組合へ
という2パターンだ。メディア側としては収録スタッフが最低4・5名乗船しなければならない。出演者2名としても、7・8人が余裕をもって乗りたいのだ。となれば中型以上の乗合船にどうしてもなってしまう。我々がすすめる「小型の仕立て船」ではないのだ。組合側も推薦する船として、見栄えのする(世間一般で良い船と見られる)レジャー船をまわしてしまう。我々が良しとするのはあくまで「小回りの効く釣り漁船」だが、「釣り漁師船」というのは船長+数名が釣りをするための専門船である。スタッフが大勢乗り込んでは身動きできなくなるのが実情だ。
本当の「釣り勝負」を撮りたいのであれば「本物の釣り漁師」の船に乗らなければならない。ハンディカメラ一台で撮るスタイルでなければ「本物」は撮れない。だが、実際の「釣り番組」では見栄えをよくすることを優先するため、撮影スタッフ・編集マンがよってたかってフィクション(良い子ちゃん番組)にしてしまうのだ。限られたスケジュールの中でスムーズに仕事をこなすため、それもやむを得ないかもしれない。大人数が乗れ、船長が「釣り船事業」に積極的な船を探すのも無理はない。だが、そういう船長に「素人船長」が多いのもまた事実だ。
メディア側としては「釣り漁師の船」で苦労して「本物」を撮るか、「遊漁船」で「それなりのものを作り上げてしまう」かを、今いちど検討しなければならない。
現状のスタイルで映像を垂れ流していては、いずれ「釣り視聴者」からそっぽを向かれてしまうだろう。
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