第五拾六番

和泉式部 (生没年不明)


あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの あふこともがな
(あらざらむ このよのほかの おもひでに いまひとたびの あふこともがな)


『解釈』
「わたしはまもなく死んでしまい、この世からいなくなります。
あの世に行った後で、この世に生きていた思い出にするために
せめてもう一度だけあなたにお会いしたいのです。」

『能書』
作者は、越前守大江雅致の娘、和泉式部(いずみしきぶ)。
和泉守橘道貞の妻だったのでそう呼ばれた。
為高親王との不倫がもとで離婚されたが、その後親王は死去。
やがて為高親王の弟敦道親王とも関係を持ったが、
その敦道親王も数年後には死去してしまった。  
『和泉式部日記』は敦道親王との恋を綴ったものである。

『おまけ』
良くいえば恋多き女、早い話が多淫ということになる。
この歌は最初の夫橘道貞のことを詠んだといわれるが
実際のところは?