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甲斐庄楠音研究4

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Date: Sat, 02 Oct 1999 23:46:55 +0900
From: mephisto <mephisto@jwg.vip.co.jp>
Subject: [gs-club:0127] Re: 化粧鏡の苦しみ

mephistoです、こんばんわ。

《mephisto wrote in [gs-club:0126]化粧鏡の苦しみ》
>顔写真を見る限りでは、甲斐庄は、武家の血筋だけあって(?)、ごつい骨格の
>ようですし、化粧をしても、あまりきれいにはなれなかったでしょうし。

と、私、書きましたが、この意見ははちょっと苦しいですね。甲斐庄が化粧をしてサマになったか、そうでないか……わかりません。

《Eiji Yamaneさん wrote in [gs-club:0104]甲斐庄楠音「横櫛」「裸婦」「舞う」》
>http://www.tokyoweb.or.jp/infomedia/museum/data/44_tibasi/tibasi_ex.html
>「春宵(花びら)」
>http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kainoshou01.JPG
>「横櫛」
>http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kainoshou02.JPG
>「裸婦」
>http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kainoshou03.JPG
>「舞う」

の四枚の女性像と、

《Eiji Yamaneさん wrote in [gs-club:0109]甲斐庄楠音の相貌》
>http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kainoshouFace1.JPG
>甲斐庄楠音の顔です。

の、甲斐庄の顔を比べてみて、女性たちの顔が、彼の顔に似ていると、いえな
いこともないですよね。

 

From: "Eiji Yamane" <eiji_yamane@hotmail.com>
Subject: [gs-club:0128]およそ自画像でない限り
Date: Sun, 3 Oct 1999 02:04:43 +0900

こんにちは。ヤマネです。 mailto:eiji_yamane@hotmail.com

----- Original Message -----
送信者 : mephisto <mephisto@jwg.vip.co.jp>
件名 : [gs-club:0127] Re: 化粧鏡の苦しみ
> 四枚の女性像と、
> 、甲斐庄の顔を比べてみて、女性たちの顔が、彼の顔に似ていると、いえな
> いこともないですよね。

作品は、なにを描いたとしても、深層の意味が自画像(自伝)でない限り、よい作品ではない、と言えると思います。

たとえばこの、木村斯光の「花魁」は自画像であるが、
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kimura01.JPG
こちらの岡本神草の「口紅」はまだそこまで達していない、
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/okamoto01.JPG
と言えると思います。
そして、木村の作品のほうが深い作品だとも言えるでしょう。

 

From: "hakushou" <copper@par.allnet.ne.jp>
Subject: [gs-club:0129]RE: [gs-club:0128] およそ自画像でない限り
Date: Sun, 3 Oct 1999 02:26:18 +0900

-----Original Message-----
差出人 : Eiji Yamane <eiji_yamane@hotmail.com>
宛先 : gs-club@freeml.com <gs-club@freeml.com>
日時 : 1999年10月3日 2:04
件名 : [gs-club:0128] およそ自画像でない限り
>作品は、なにを描いたとしても、深層の意味が自画像(自伝)でない限り、
>よい作品ではない、と言えると思います。

白翔です。慧眼だと思います。
蛇足ながら絵画講座を少し。中世ルネッサンスの頃、ようやく作家の自我というものに陽が当たる。神のしもべたる人間が神の呪縛から解き放たれてヒューマニズムを取り戻した所以でもある。そこで絵画技法においても一大革命の発見がある。遠近法という形式である。この描法は近くにあるものは大きく遠くに有るものは小さく、視覚の物理学・生理学にかなっているだけではなく、特筆すべきは消失点には作家の目があった。自我の発見である。どうやら存在というものは消失点までの無限の時間と空間の中に量としてあって、しかも光の照射によってしか浮かび上がることが出来ない。西洋哲学の根幹として確立されます。あれですよ。紀元前数千年エジプトのピラミッド壁画では偉い人順に、感心の有る人順に大きいという理にかなった遠近法で人物像が描かれています。ルネッサンス以後、表現とは自我にまつわるドラマとなった。木一本描いたとて、それは作家の自我の投影だといっていい。ねずみを描いたとて硝子のコップを描いたとて同じこと。主題として描いたものは全て作家のイデア、極論すれば作家そのものだといっていい。近代においてはそのことがなお更に顕著になる。描かれているものは作家の自我そのものである。結論です。

甲斐の庄楠音は女をあのようにしか描けなかった。彼の母にして彼自身。あの懐かしい、私を包み込むような、豊満な、美しき女。あくまでも無意識的な深層の快感原則にのっとったものだ。かれの「美しきもの」の全てを全身全霊を込めて描きこんだ。よもや、「穢い絵」の烙印を押されるとは夢にも思わない。驚嘆。反発。挫折。断念。やがて己を認めざるを得ない。ときとして特異な個人的な「快感原則」が他と著しくぶつかることがある。人肉を食らいたいという「快感原則」が承認されることがあろうはずもない。それと全く同じことが美醜にかかわる快感原則においてはしばしば起こる。我は天才なりと叫んだ声も汚わいにまみれた愛人のモノに塞がれてくぐもるばかり。嗚咽の声は悔しさばかりとは限らない。認めざるを得ない。全ての己を。穢い己を。でなければもう独りの私が動き出してしまう。後は年と共に呆ければいい。それだけが希望だ。

 

From: "Masao Kohmura" <komura@cg.tuad.ac.jp>
Subject: [gs-club:0130]RE: [gs-club:0125] 謎解き
Date: Sun, 3 Oct 1999 11:11:54 +0900

>>デビュー作の「横櫛」は後年加筆修正され今のようになった。顔の横の色紙の所に
>>「切られのお富」が描かれていた。その方がより衝撃的であるしこの絵画の成立にも
>>欠かせない要素でもあるが。
>
>「お富」で広辞苑に載っていました。
>
>おとみ【お富】
>  (1)歌舞伎脚本「与話情浮名横櫛(ヨワナサケウキナノヨコグシ)」中の人物。
>  切られ与三の愛人。
>  (2)(1)の作品を女に書き替えた「処女翫浮名横櫛(ムスメゴノミウキナノヨコ
>  グシ)」中の人物。切られお富。
>
>よわなさけうきなのよこぐし【与話情浮名横櫛】
>  歌舞伎脚本の一。九幕。三世瀬川如皐作の世話物。通称「切られ与三(ヨサ)」。
>  一八五三年(嘉永六)初演。複雑なお家騒動の筋であるが、伊豆屋与三郎と木更
>  津の博徒の妾お富との見初め、露見、再会が中心で、特に再会の「源氏店(玄
>  冶店ゲンヤダナ)」が強請場(ユスリバ)として有名。

>http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kainoshou01.JPG
>「横櫛」

だんだん謎が解けてきますね。どなたか「横櫛」の右側上の短冊が読めますかね。それが【与話情浮名横櫛】の中の一節とリンクすると思いますが。
○○○さうさく
     きみうかい
    たい一うい志ゆう
   ○○○よこぐし
???

お富?の服の模様の歌舞伎役者画の講釈ができる人がいませんか? この楠音のバックグランドが溝口との出会いであり時代考証役を引き受けることになるのだ。溝口健二とはホモ関係なのだろうか? はやく新藤兼人の弔辞が読みたい。

 

From: "hakushou" <copper@par.allnet.ne.jp>
Subject: [gs-club:0131]RE: [gs-club:0130] RE: [gs-club:0125] 謎解き
Date: Sun, 3 Oct 1999 13:56:21 +0900

白翔です。

「与話情浮名横櫛(ヨワナサケウキナノヨコグシ)」 有名な「源氏店(玄冶店ゲンヤダナ)」のシーン。三木のり平の切られ与三、八波むとしのこうもり安の秀逸なコントを思い出す。それに春日八郎の歌で「お富さん」。

「三年前浜辺で出会ってみそめ合い、やくざの妾に手を出した若旦那。逢引を重ねるうちに見つかって半死半生の刀傷。今は落ちぶれ果てた与三郎だがお富は粋な黒塀見越しの松の妾宅での悠々暮らし。そこへ金をせびりにとこうもり安と与三郎。しがねえ恋の情が仇〜。そんなせりふで始まるシーン。運命的な恋の行方を皮肉たっぷりに描いた世話物である。」

-----Original Message-----
差出人 : Masao Kohmura <komura@cg.tuad.ac.jp>
宛先 : gs-club@freeml.com <gs-club@freeml.com>
日時 : 1999年10月3日 11:14
件名 : [gs-club:0130] RE: [gs-club:0125] 謎解き
>>>デビュー作の「横櫛」は後年加筆修正され今のようになった。顔の横の色紙の所に
>>>「切られのお富」が描かれていた。

??お富さんが描いてあった?それとも切られ与三郎が描いてあった? お富さんでは重複するから切られの与三か?甲斐の庄の贔屓の役者絵? 個人的過ぎる。だから消した?
>だんだん謎が解けてきますね。どなたか「横櫛」の右側上の短冊が読めますかね
>それが【与話情浮名横櫛】の中の一節とリンクすると思いますが。
>○○○さうさく
>      きみうかい
>    たい一うい志ゆう
>   ○○○よこぐし
>???

せりふの一節だね。ウ〜ン?分からん。

>お富?の服の模様の歌舞伎役者画の講釈ができる人がいませんか?

一番上が団十郎の弁慶か? 二番目の娘役は何? 三番目も荒事の何かだから団十郎? 下から二番目、蛇の目に鉢巻は「助六」、これも団十郎。一番下は「忠臣蔵」の塩冶判官か? ん?団十郎のあたり役を描いてあるのかなあ? 「切られ与三」は団十郎のはまり役でしょう? 「与話情浮名横櫛」の登場人物ではなさそう。特に暗喩としての意味はなさそう。こりゃあ海老さま命というところか?

この絵は甲斐の庄の代表作ではあるけれどもまだまだ「穢い絵」ではない。むしろ一般的に言う美しい絵です。このレベルで押さえていけば恐らく麦僊や御舟に肩を並べる絵描きとしてあったはず。そうはとんやがおろさなかった。しがねえ恋の情けが仇〜。どう取りとめたか〜。

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