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甲斐庄楠音研究9

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From: "hakushou" <copper@par.allnet.ne.jp>
Subject: [gs-club:0162]RE: [gs-club:0158] 三つの「横櫛」
Date: Thu, 7 Oct 1999 21:49:08 +0900

どこかで何かが間違えている。

-----Original Message-----
差出人 : Eiji Yamane <eiji_yamane@hotmail.com>
宛先 : gs-club <gs-club@freeml.com>
日時 : 1999年10月7日 19:44
件名 : [gs-club:0158] 三つの「横櫛」
>>大正5 1916 22歳
>>  3月8日、長兄楠香、斎藤たみ養女フミと再婚する。
>>  この頃、前年南座(あるいは本郷座)で観た「処女翫浮名横櫛」の印象を
>>  もとに、彦子をモデルとして一過間程で《横櫛》を描き上げる。《横櫛》
>>  は先輩村上華岳や梅景香雪らに注目される(3月の校友会展に出品したか
>>  どうかは確認できない)。
>この第一の「横櫛」は、>
>http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8284/kainoshou/x-t0501.JPG
>のようです。新しくアップしました。

初めてのご対面。ウン。これが第一作。彦子はもう死んでるから、生きていたときデッサンしたので描いた。これでいいでしょうか? この作品を村上華岳の主催する研究会かなんかに持っていって「うん、この作品はいい。もう少し煮詰めたら?」と言うことでもう一枚描くことになる。この経緯は良いのかな? この翌年トクと出会う?mephistoさんOK? そしてとにかくもう一枚描いた。モデルはトク。団十郎のあたり役を染め抜いた襦袢を着た作品だね。つまりあれでしょう?この女は団十郎にお熱を上げていて特注で襦袢を染めさせるほどの財力があり歌舞伎三昧出来るほどゆとりがある。という属性付与。人物設定を厳密にしているわけ。大金持ちのお嬢さんでもこの場合成立するのかなあ??? 後ろの立派な屏風絵が気になる。その絵は「切られのお富」を入れこむ前の牡丹だけの作品にならないとおかしいんじゃない? 「切られのお富」は唐突に入れこんでいるわけだから。右下の白牡丹が上半分切れているわけだから。要するに背景が牡丹の襖絵がきちんと描かれていた上に唐突に入れたという証拠です。でなけりゃあ何らかの処理をします。ここは分かっていただけないでしょうか? 絵描きは正気ならこういう処理はしません。「切られのお富」横櫛は分裂しているということを分かって頂けないのでしょうか? mephistさんのいうとおりモデルはトクに変わっています。だから岡本神草の「口紅」と賞を争ったのは「切られのお富」を入れこむ前の、私がフォトショップで作成したような横櫛です。あれは座布団を三升の紋を入れこむべきだったが・・・。それに横櫛一作目を見てればそれに右側を合わせたのですが。

>そして、第二の作品は、
>>大正7 1918 24歳
>>  11月、村上華岳の勧めにより、第1回国画創作協会展(東京展1−15日、京
>>  都展11月27日−12月11日)に《横櫛》を出品し、入選する。岡本神草の
>>  《口紅》とともに樗牛賞候補に挙げられる。《横櫛》を推した村上華岳と
>>   《口紅》を推した土田麦僊とが互いに譲らず、竹内栖鳳の仲裁で金田和
>>  郎の《水蜜桃》が受賞するが、《横櫛》と《口紅》はともにこの回の評判
>>  となる。
>における、
>----- Original Message -----
>送信者 : Eiji Yamane <eiji_yamane@hotmail.com>
>件名 : [gs-club:0134] 「横櫛」加筆修正の前
>> 加筆修正の前の作品らしい、写真です。
>> http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8284/kainoshou/yokogushiOld.JPG
>のようです。

だから違う違う。こんな奇奇怪怪の恨みの絵を村上華岳が認める筈が無い。皆さんは「切られのお富」横櫛はちっとも変では無いとおっしゃるのでしょうか? ウ〜ン??不可解??

 

From: "hakushou" <copper@par.allnet.ne.jp>
Subject: [gs-club:0163]RE: [gs-club:0158] 三つの「横櫛」
Date: Thu, 7 Oct 1999 22:41:19 +0900

-----Original Message-----
差出人 : Eiji Yamane <eiji_yamane@hotmail.com>
宛先 : gs-club <gs-club@freeml.com>
日時 : 1999年10月7日 19:44
件名 : [gs-club:0158] 三つの「横櫛」
>そして、第二の作品は、
>>大正7 1918 24歳
>>  11月、村上華岳の勧めにより、第1回国画創作協会展(東京展1−15日、京
>>  都展11月27日−12月11日)に《横櫛》を出品し、入選する。岡本神草の
>>  《口紅》とともに樗牛賞候補に挙げられる。《横櫛》を推した村上華岳と
>>   《口紅》を推した土田麦僊とが互いに譲らず、竹内栖鳳の仲裁で金田和
>>  郎の《水蜜桃》が受賞するが、《横櫛》と《口紅》はともにこの回の評判
>>  となる。
>> http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8284/kainoshou/yokogushiOld.JPG

この時の評価の中に「切られのお富」の挿入のし方が唐突で平面画面における新技法、写真のモンタージュを思わせて斬新だ。そんな好評というのがありますか? ウ〜ン?わからんねえ。

 

From: "Eiji Yamane" <eiji_yamane@hotmail.com>
Subject: [gs-club:0164]兄嫁の亡霊
Date: Thu, 7 Oct 1999 22:42:30 +0900

こんばんは。ヤマネです。 mailto:eiji_yamane@hotmail.com

> >第一の「横櫛」
> >http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8284/kainoshou/x-t0501.JPG

第一作の背景の出来事もスゴイですよね。

>大正4 1915 21歳
>  この頃、東京の長兄楠香を訪ね、兄嫁らと本郷座で四代目沢村源之助が切
>  られお富を演じる河竹黙阿弥作「処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなの
>  よこぐし)」を観て帰宅後、兄嫁彦子とそのポーズをまねたりしながら、
>  作品の構想を練るか(?)。
>  8月26日、長兄楠香の妻彦子東京において歿する。
>  8月、京都・南座9月公演(8月31日−9月15日)で、四代目沢村源之助が切
>  られお富を演じる河竹黙阿弥作「処女翫浮名横櫛」や「吉田御殿」「文七
>  元結」が演じられる。
>  この頃、《七妍(のち《虹のかけ橋》と改題)》《畜生塚》の制作を始め
>  る。

東京で、美しい兄嫁とたのしく芝居をみる。その何ヶ月か後、その兄嫁が死ぬ。直後、兄嫁とともに見た芝居が、京都で上演される。そして、生涯をかける大作「七妍」と「畜生塚」に着手する。「七妍」は女をもてあそぶ運命を描いたもの。「畜生塚」は運命に翻弄された女性たちの悲劇的な最期を表現しようとするもの。その翌年に楠音は「横櫛」を一週間で描き上げるのです。モデルの着物の柄は、桜と炎と竜です。死を暗示しているのではないでしょうか。目に怪しいクマもあります。死相でしょうか。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8284/kainoshou/x-t0501.JPG

死にとりつかれていた楠音が、トクと出会ったのは、兄嫁の死から二年たってからです。そして楠音は生に引きもどされた。その、生の喜びのなかで、「横櫛」のなかの炎にまみれてれていた着物の模様を、芝居の柄で隠蔽し、死の恐怖を、物語のなかの出来事とし
て、隠蔽し忘却しようとしたのかもしれません。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/8284/kainoshou/yokogushiOld.JPG
しかし、死はそう簡単に忘れられるものではないですから、背景に亡霊のように「切られお富」として出現しました。生の象徴であるボタンの花を引き裂いてです。絵画的には不可解なこの構図も、楠音の死にとりつかれた姿を身近でみていた村上華岳らには、許容されたのかもしれません。むしろ、そうあるべきだと、認められたのかもしれません。

そし何十年かがすぎて、やっと楠音は、兄嫁の亡霊を金粉の背後に成仏させるできたのでしょう。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8832/gs-club/kainoshou01.JPG

 

From: "hakushou" <copper@par.allnet.ne.jp>
Subject: [gs-club:0165]ヤマネさん、さすが文学的。
Date: Fri, 8 Oct 1999 00:25:19 +0900

白翔です。
ありがとうございました。ヤマネさんの変遷の解釈ですね。ウンウン。文学的やねえ。マムさんとmephistoさんの解釈はいかがでしょうか? つまり、絵を手直しした動機の解釈ですが。それぞれの物語がありうる。解釈そのものが自我の投影ですから。語ることで腑に落ちていくものがある。私には裏切りだとか些細だが入選落選などの結末が意外と大きな心の傷となって・・・誰でもそうか。だれでもそうやね。そのことでわも何度も友を失ったし、航路が切り替わったりもした。引き裂かれた心の行方は無関心ではいられない。いずれこの場で私をさらして見たいが・・・? ウ〜ン?どうですかねえ。宜しく。

 

Date: Fri, 08 Oct 1999 00:44:38 +0900
From: 禰子<harupoo@geocities.co.jp>
Subject: [gs-club:0166]♪Re: 三つの「横櫛」

こんばんは。禰子です。

hakushouさんの< [gs-club:0162]RE: [gs-club:0158] 三つの「横櫛」>から
>だから違う違う。こんな奇奇怪怪の恨みの絵を村上華岳が
>認める筈が無い。皆さんは「切られのお富」横櫛はちっとも変では
>無いとおっしゃるのでしょうか?
>ウ〜ン??不可解??

私が生まれてから今までで一番恐れている絵は「モナリザ」です。私が3歳くらいのころ、父が毎月一冊ずつ「世界名画全集?」を買って来ました。そのころ、家にはまだ大きな本棚が無くて、その全集はカバー絵が見えるようにして壁に立ててありました。そのカバー絵にモナリザがいたのです。彼女は一ヶ月の間、私をにらみつづけました。モナリザの目は何処にいても、不意をついて振り返っても3歳の私を絶対に見つめています。しかもひび割れているのです!!次の全集がやってきてそのカバー絵をふさいでしまうまで、その部屋に入るのが怖かったものです。

…前置きが長くなりましたが、この度、「切られのお富」横櫛を見たとたん、そのときの感覚が蘇ってきました。それほど異常な絵だと感じました。見えないものを見てしまった、見てはいけないものを見てしまった…

「白百合と女」も見てはいけないもの、という点では同じですよね。あの腹の中にはとぐろを巻いた大蛇が入っているように見えます。

議論とあんまり関係無かったんですけど…失礼しました(-_-)
おやすみなさい(^.^)/~~~

 

From: "hakushou" <copper@par.allnet.ne.jp>
Subject: [gs-club:0167]RE: [gs-club:0166] ♪Re:三つの「横櫛」
Date: Fri, 8 Oct 1999 01:09:20 +0900

白翔です。禰子 さんはお久しぶりですね。
わあ、嬉しいなあ。援軍が現れた。そう、私も「白百合と女」に神々しさは感じない。白百合は純潔とかいう意味だよね。白い野に咲くユリ。中世ヨーロッパの絵には処女懐胎の象徴として出てくる。しかし、そろそろ「きたない絵」に入りつつあるように思うんだが・・。あの腹の中にはとぐろを巻いた大蛇が入っているように見えます。ウンウン。そのイメージは凄い。凄いイメージだ。やっぱり甲斐の庄は憎んでるね。女を憎んでる。人間を憎んでる。誰が女人讃歌だよねえ?一級の評論家もいい加減なこと言う。あっ、まだ読んでないんだ。失礼、失礼。ただ女人讃歌という言葉だけで絵にそぐわないねえ。馬鹿馬鹿しい。

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