話自体はそう悪いとは思わない。悪いのは心理が全く書いてないことでしょう。
ワクワクするでもいい、ドキドキするでもいい、やっぱりやめとけば良かったと思うでもいい、とにかく自殺したかった少年が寿命を買われ、突飛なことをされようとしているのだから、それに対する少年の心理がなかったら面白くもなんともない。
逆にそこが書けてれば、結構緊迫して読者を引き込むことになる。
あと父親の心理もないんで、父親がどういうつもりでいてどこまで騙されてるのかが全然わからない。オチよりも、そっちを考えたほうがいいと思います。
ものすごい不思議な話だけど、あえて説明しようとしないでそのまま流しちゃってるのがいい。
起こっている現象はホラーチックで容赦ないのだけど、それをユーモラスに書いちゃっているから、逆にどこに立っていいかわからなくなる不安感がある。でもまあ、基本的には可笑しい。
第一段落の最後の箇所から始まると、出だしのインパクトが違うと思う。
参照
他の作品:『蛍狩り』
ちょっと悲しい雰囲気のする童話なのにも関わらず、現代の財政状況の臭いがすると言ったら笑われるかな。
いつの間にかやることが目的となっている行為。そして、もう死んでいることにだれも気がつかない。生きているもので死んでいるものを作る。強烈ではないのだけれど、ほのかに、時を逸しているのに気づかずただただ惰性で行為を続けている愚かさが胸に来る。
淡々と、どこかで突き放している文章こそが核。
ひとつ前の『身代金は千二百円』と同じく誘拐ものだけど、こっちは要求する身代金が一億円。そして、こっちは結末のために話がある。
身代金受け渡しで、そこに行き着くために振り回されている緊迫した状況が続き、結末もいい。それだけに、二律背反や心の動きみたいなモノを描けてれば、もっと緊迫感を盛り上げられたと思う。
特に、この結末ならもっと周囲の些細なことを描かなくちゃいけない。それを描いて、尚かつ上手く覆い隠すためにも、緊迫感を煽る心理が必要だと思う。沢口の警察がなにもやってないのも気になる。
とは言え、予想のつかない展開は引き込む力十分。
(追記)
あらすじ:娘を誘拐され、一億円の身代金を要求された沢口俊彦。一億などと言う大金用意できない沢口は、米倉の娘を誘拐し、米倉に要求した一億円をそのまま犯人に渡すことを思いつく。サスペンス。
参照
おすすめ:『誘拐ネットワーク』
レビュー:POLESTAR・最近のレビュー・中編
レビュー:オンライン小説への道・レビュー
他の作品:『二重殺』
結末は多分読者の想像の範囲内じゃないかな。でも、この話にとって結末はどうでもよくて、過程のための目的だったんだ。だから当然、結末ではなくそこに向かうまで、もっと言えば犯人とのやりとりを楽しむべきだろう。
文章上は真面目なやりとりだけど、要求された身代金は千二百円だし、しかも……と言うギャップ。ライトタッチのミステリーで、軽く読めて元気になれる話。楽しい。
(追記)
あらすじ:休日事務所に出て仕事をしていた鷺沢祐介は、犯人・桂木瑞恵からのメールを受信した。そのメールには、「わたしを誘拐しました」と書かれていて、千二百円の身代金を要求していた。軽いミステリ。
参照
おすすめ:『身代金は千二百円』
他の作品:『暗号解読のためのHTML講座』
活動縮小だそうで、ひとつ削除。
クラインズ探偵学校に学ぶ、エリック、ランディ、コートニー、ジャックの四人は、初めての捜査基礎実習に向かった。そこで、奇妙な暗合を解いてくれと言う依頼を受ける。
余りに無理のある、間違った推理を展開されるのは辛い。あそこで、間違いだけどそれなりに筋の通った推理を何通りも繰り広げられたら、魅力ある話になると思うんだけどなぁ。最後のちょっといい話は好きだけど、ジョーの父親が描いている理由が普通なのに、それがいかにも新事実みたいにだされると登場人物が間抜けに見えてくる。
それにしても、こういうの解ける人っているんでしょうか。僕はあいにく、そっち方面ダメだったんで全く見当違いのこと考えてましたけど。
近未来、通勤や通学の苦しみから解放された人々の暮らしとは。
主人公がケージと結びつけたときには、別にホラーではないのだけど、結構恐怖感がこみ上げてくる。ただ、結びつけた後の一文があるために、全体として説教臭くなってて余り好きにはなれない。
『義務』と『国』が気持ち悪いので、もっとそこら辺を出したほうが良かったと思う。それによって、またケージも引き立つだろうし。
『旋律』りゅうま 27.1KB
http://www5.tok2.com/home/ryuma/ 小説
前田信介と言う本当の自分を生きて三ヶ月。それでも井上祐樹と言う名を捨てられない。全ての原因は、十九年前の自分。
最初の提示は魅力的で、すんなり引き込まれる。幸せな日々は微笑ましいし、それからの混乱は読者と主人公の状況が同じため、非常に読みやすい。
ただ、十九年前の主人公が、何故原因となる出来事を望んだのか。しかも悲劇を。考えられるのは、終了と同時に自分も死ぬか、途中で命がつきるかどうかの賭をしたかじゃないだろうか。後者なら、十九年という長い年月にも納得がいく。
だとしたら、生き残った上に、賭を忘れてしまったことで結局生きづらく(生死をかけたのだから、生になったら今までのことは全て忘れて新たな人生を、とか考えてただろう)なってしまった皮肉ったらない。
読後、そんなことを考えてみるのもいいのでは。
ノスタルジアは読者ではなく、登場人物がひたる話だけど、その話がどうも一般的すぎて、彼女たちの姿が見えてこない。
確かに「細胞のひとつ」だっただろうけど、細胞のひとつにだって細胞のひとつ側の視点に立てば、細胞なりの物語が溢れているだろうに。それなのに、テレビ画面を通して全体を見た想い出しか語らないのでは、迫力不足だし、その時代を生きた者のノスタルジアにならない気がする。
過去に文字を送信できる機械を作った科学者と、その友人のタイムパラドクス。
ショックが余り伝わってこない。だって、手品だって同じ様なことをするわけで、それが手品でないと言う証明もないし、証明されたとしても無邪気に喜んじゃいそう。
どの文字を打とうか考えているときに、走馬燈みたいに今までの人生の辛かったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、悩んでいたこと等が溢れ出す感じになって、それが全部……って感情移入させていくとまた違うかな。
過去に文字を送るって言う、タイムマシンの前段階を作ったのは画期的。
クラスに来た転校生に魅入られる「わたし」。ある日、いつものように斜め後ろの席から見つめていたら、彼がくるりと振り返り話しかけてきた。その話とは。
丹念に描かれた前半が何とも言えずに微笑ましい。そのまま何もなく行っても、この雰囲気にひたれただけでいいやと思わせるが、勿論全部読んだ後となってはこっちのほうが数段上。恋愛小説としても満足できる前半を、ただの前フリに使っちゃってるんだから贅沢。彼のキャラがまたいいんだ。
わたし・彼・丹念な描写・微笑ましさ。どれが欠けてもこの話にはならなかったでしょ。凄い。
(追記)
何がこんなに感動させたんだろう。「恋愛小説としても満足できる前半を」満足できるというか、割と普通な気がしてきた。多分、さわやかな学園・恋愛ものが読みたいときに読むと、いい感じに裏切られていいんだろうなぁ。
推理ゲームとして読めば拙い文章も許せる。
ただ、容疑者の逃亡を全く考えてない杜撰ぶりはどうなんでしょう。かんじんの解決編も駆け足で、しかも犯人の告白って言う形。
もちろん、それまでに解く材料は配置されてるけど、どこが不思議なのかを見せつけるために、刑事と犯人に対決させれば良かったのに。
トリックの種だって、用意すればいいだけのことじゃないの?
『演劇「月」上演の風景』中田吉法 5.83KB
http://www.jks.is.tsukuba.ac.jp/~white/ 小説の部屋
ほとんどト書きで構成されている小説。
一幕・二幕・三幕と面白い。舞台裏劇っていうのは、多分珍しいモノじゃないと思うけど、そのために実際この一幕目をやるところがあったら見てみたい。もの凄いリスキーだけど、それが前フリとなって後が面白くなってれば許せてしまいそう。
ただ、四幕目からは苦笑させられた。ああ言う芝居芝居したのは見てて恥ずかしくなるんで。もちろん、芝居芝居した小説も恥ずかしくなる。
誰でも子供の頃思ったようなことを、目の前で突きつけられてるみたいで、そっちからも恥ずかしさに拍車がかけられる。
人生相談センターにやってきた男女。親子と思われる歳の開きがあるにもかかわらず、彼らは恋人同士だという。男の口から明かされる、その理由とは。
うーん、ドラえもんちょっと知ってるくらいの人でも、すぐわかっちゃいそうだなぁ。ドラえもんにそんな話ちょっと出てたましたからね。それだけに、中盤辺りからは、探偵だけ犯人の分かっていないミステリを読む気分。
解決策はちょっとユニークで、それが解決になるんだったら……って言う気にさせられる。きっかけの発想よりも、そこが楽しい。
綺麗な文章で、全体の雰囲気は木漏れ日って感じの穏やかさ(もちろん色々あるけど)で、絶対に引き込まれそうだと思いながら、結局そのまま読み終わってしまった。
なんでこんなにしっかりしているのに引き込まれなかったか不思議だったんだけど、全部書こうとしているのが裏目に出てるのでは?
全部の人物の心情を、それぞれいいとこどりで書いてあるから、結局どこを見ればいいのかが混乱する。また、せっかく入ってもすぐまた他の人物の心情に行くから、そこで一旦離れて、もう一度入り直さなくてはならない。これは結構な重労働。
「お父さんへ手紙」から始まって、親子・人の絆を考える話で、はまれば結構感動すると思う。子供同士の友情には思わず頬が緩み、ことによると涙腺も緩むかも。
参照
レビュー:酩酊亭ENTERTAINMENT・評判記
典型的な、メールを使う小説。もうちょっと他のストーリー産まれないのかなぁ、メールって言うのは。ヒロインはまたしても「女」で、さしてしっかり書きこまれているわけじゃないから、感情移入もしない。
極めれば王道のラブストーリーになるのかもしれないけど、現時点では辛いんじゃないでしょうか。
幼い頃、クジラを食べて育ってケンタ君。しかし、世界は捕鯨禁止へ。ケンタ君は、またクジラの食べられる世の中にするため、政治家になる決意をするのでした。
です・ます調の優しい文章はだいたいのことを気にならなくさせてしまうため、かなりおかしなことを書いても、すんなり通ってしまう。だから、この展開は当たり前に思えて来るんだけど、その分童話に適度な味付けをしてあるとして読めばかなり楽しめる。
のんびりと読んで、出来るだけ長い間優しい雰囲気にひたっているのが吉。
別れを切り出された男は、最後の晩餐のため女を牛丼屋へといざなう。話。
牛丼入門書にしては決めつけが激しく、初心者を間違った方向に導く恐れがある。ツユダクこそが正義だと、初心者を洗脳させるために書かれた危険文書だ。なんてどうでもいい正義に立ち上がりたくなる。バカなのを真剣に悩むって面白いねぇ。
軽く読んで笑うには最適。
三つのものを繋げたところで終わってる。繋げたものをそのまま出されても、それほど感動もしないし、なるほどと膝を打つこともない。
男が、これまでの人生の象徴的場面みたいなものを語る場面があれば、また違ったかもしれない。そう言う意味で、もう少し長い話での、ワンシーンとして使ったほうが良かったかも。