村上甚句

 一、鍛冶町から 鐘馗様出ても イヤ肴町通いは やめられぬ

 二、(こころ)せけども 今この身では 時節待つより 他はない

 三、雀ヤの 片羽根ほしや 飛んで行きたい お滝様

 四、山辺里の橋 真ん中から折れる 今でその橋 渡りゃせぬ

 五、長井町だ 足駄ヤで通た 金の足駄ヤも たまりゃせぬ

 六、さんど豆 筍入れて 落とし卵は 尚、よかろ

 七、瓢箪下げ 愛の風吹けば 飛んで行きたい お滝様

 八、下渡や羽下の渕 在郷だと思な 御城下五万石 目の下よ

 九、雪駄ヤの 裏打つ金よ 鳴るも鳴らぬも 金しだい

 十、ごんないおんちゃ 曲がり金飲んだ 喉にはばけないで よく飲んだ

十一、面白て 足が地に着かぬ イヤお狐コンコンでも 着いたか見てくれ殿さ(たのむ?)

十二、出たでた 今朝出た船は 波に押されて 磯廻る

十三、盆だてのに 何着て踊る 笹の葉でも着て 踊りガサモサと

十四、河内様 よく聞き分けて 二度と頼まぬ 今一度

十五、眠られないと 夜中ヤに起きて 人目忍んで 神頼み

十六、ドンドコヤァと 鳴瀬は何処よ あれは瀬波の お滝様

十七、(盆の)代三日 暇くれと願た ささぎあいもん鉢 とって投げた

十八、どんぶり鉢 落とせば割れる 娘島田は 出て割れる

十九、あきらめて 酒でも飲んで イヤ白河夜船で 寝たもよい

二十、ようたようた 五酌やの酒に 一合飲んだら なおよかろ

二一、良いとこだよ 北西晴れて 東山風 そよそよと

二二、お寺の前で 踊った女子 容姿は小さいけど 歌上手

二三、(ぬしと)別れてから 松の下通れば 松の露やら 涙やら

二四、やるせがないと 手繰りついて泣けば 男ながらも とまどまと

二五、盆も過ぎれば 十五夜も過ぎる 梅雨に離れた きりぎりす

二六、下渡山に お振袖着せて 奈良の大仏様 婿にとる

二七、土器(かわらき)だと 互助眼(ごじょがん)かけた イヤお鎌で刈るよな 毛がはいた

二八、揉めやもめ 揉まねばならぬ 揉めば茶となる お茶となる

二九、踊ろじゃないか 今夜一晩限り 明日の晩げから 踊られぬ

三十、お前さんに 限るではないが イヤお金のある人 どなたでも

三一、(踊り)くたびれた 藁草履切れた 明日の浅草 なじょにしょうや

三二、(二人)並べておいて 同じ縦縞着せて どれが姉やら 妹やら

三三、出て行く 煙りが残る 残る煙りが 癪の種(しゃくのたね)

三四、表通えば 千里も一里 アワで帰れば まら千里

三五、ぼっこれても 骨離れても わたしゃカナメで 止めておく

三六、押せおせ 新潟の船頭 押せば新潟ヤも 近くなる

三七、(娘)島田に 蝶々がとまる 止まるはずだよ 花だもの

三八、お前さんに何言われても 水に浮き草 根にもたぬ

三九、和尚様に 帯買てもろた イヤ品が良て柄が良て (もったいのて)締められぬ

四十、下がり藤 手は届けども 他人(ひと)の花なら 見たばかり

四一、歌の出処(でどこ)は 大町小町 歌て(うとて)流すは 下小町

四二、(あっし)縄帯締め 腰にはやたて 瀬波通いは やめられぬ

四三、こぼれ松 手で掻き寄せて イヤお前さんが来るかヤと 炊いて待つ

四四、通てくれ 霜枯れ三ヵ月(みつき) 花の三月 誰も来る

四五、声が枯れるのも 身が窶れる(やつれる)のも みんなお前の 為だもの

四六、かわよてようて 目が離せれぬ これが他人だと おもわれぬ

四七、踊る子は 何故足袋履かぬ 履けば汚れる 底切れる

四八、羽黒山から お滝前見れば 出船入船 帆掛船

四九、三面川 宝の蔵よ あれを見やんせ 鮭の群れ

五十、大仏様 横抱きにして お乳飲ませた 親みたい

五一、村上だよ 良い茶の出処 並び鮭川 山辺里織り

五二、村上は 良い茶の出処 娘やりたや お茶摘みに

五三、良いとこだよ 色香の町よ 堆朱堆黒 茶の香り

五四、出せやだせ 出さねば破る 娘出さねば 壁破る

五五、(娘)一六・一七  抱き頃寝ごろ イヤおっちょこちょいと (捲れば)合わせ頃

五六、髪は本田に 結うてはおけど 心島田に ゆいたがる

五七、してもしたがる 一六・一七娘 親もさせたがる しゅすの帯

五八、その気にさせて 帯まで解いて 隣のババアが しゃしゃり出た

五九、もっこらがして 親しょに見せりゃ 親しょブッタマゲて 嫁さがす

六十、親の意見と ナスビの花は 千に一つも 無駄はない

六一、三日月様 やけに細々と 細いはずだよ 病み上がり

六二、盆の一六・一七 踊らぬ人は 気でもふれたか ふられたか

六三、盆花と お精霊(しょうらい)様は せめて七日も 居たがよい

六四、出せとは 俺から言わぬ (イヤ)お前心に あればこそ

六五、唄えと 責めかけられて 唄が出ないで 汗が出る

六六、島田横になる 何しやんす親しょ 嫁に行くのか 婿にとる

六七、(娘)一六・一七 渡し場の船よ 早く乗ってくりゃんせ 水が出る

六八、大工さんとは 名は良けれども 真の心は 曲り金

六九、花のような 宝光寺様 朝日差すまで 寝てみたい

七十、お城山 粟島眺め イヤ心浮橋 架けてみる

七一、胸にせんばの かやたくとても 顔に出さねば 人知れぬ

七二、月は傾く 東は白む 踊り連中も ちらほらと

七三、私とお前 お蔵の米よ 何日世に出て 飯になれ 

七四、もっともだよ 恩叙様(おんんじょさま)さえも お山かけかけ ねろねろと

七五、さぎの首 べらぼのようになごて イヤお前さんと寝た夜の 短さよ

七六、大変だよ 出雲やが焼けた 縁の帳面 ちゃちゃもちゃと

七八、来いとおじゃれば 身は何処迄も 下は南部 どこまでも

七九、金革隊 流れの水よ 何処に落ち着く あてもない

八十、お茶は水から 子は育てから 子女とハサミは 使いから

八一、新潟やの 川真ん中で アメヤさんとは しおやしや

八二、来るかやと 上下眺め 川原柳の 音ばかり

八三、夜中様 朝顔かけた 見猿・聞か猿 しゃべら猿

八四、そこらの姉ちゃん 七分どおりに惚れた あとの三分は 惚れられぬ

八五、待ってくりゃんせ 血が出て困る イヤ紙でも詰めましょう 草鞋(わらじ)くい

八六、かづさ屋は 木綿の出処 とかくじょがない 着せたがる

八七、波もないのに 白帆が揺れる あれは木ノ国 ミカン船

八八、梅は岡本 桜は吉野 ミカン木ノ国 クリ丹波

八九、山で寝ンネこせえば 木の根が枕 落ちる木の葉が 夜具となる

九十、天守矢倉の お羽黒様は 七日の祭りの 十日の湯立 親に代えても 身に御座れ

九一、嫁も姑も 手を打ちならし 城下村上 輪に踊る

追記

九二、在郷のとっつあ モッコにかて飯 ほうの葉に握り飯 親の代から一代二代三   代伝わる 桐の木ずんぐり あかつか煙草のこ臭いところをこてこてと詰めた    山辺里馬市 馬買いに

九三、しょったれかか なべでけっつあろた イヤいけとっつあたまげて おはちで   ふんどしあろた