
2000年7月5日更新|ホームページに戻る
監査制度小委員会報告書の要点
公認会計士審査会に設置された監査制度小委員会は、2000年6月29日、審議のとりまとめとして「監査制度を巡る問題点と改革の方向〜公認会計士監査の信頼の向上に向けて〜」を公表しました。
この報告書は、97年の「会計士監査の充実に向けての提言」(公認会計士審査会)、99年の「会計士監査のあり方についての主要な論点」(会計士監査に関するワーキング・グループ)を受けて設置された監査制度小委員会で、監査制度に関する論点を審議してきた結果をまとめたものです。
報告書では、1.適正・公正な監査の確保、2.公認会計士の質の向上、3.監査法人制度や業務範囲等のあり方、の3点を論点として、それに対応する具体的な措置を議論しています。
ここでは、この報告書の要点を紹介したいと思います。表現等を変えている部分もあるので、詳しい正確な内容は報告書原文(大蔵省ホームページで閲覧可)をご覧下さい。
目次
適正・公正な監査の確保については7つの具体的論点が書かれています。
公認会計士協会が、独立性の要件を倫理規則や指針で詳細に規定すること、監査担当者の独立性に関して各監査法人や会計事務所が実際に管理しているか否かの審査を品質管理レビュー基準等で明確にすること、会計士協会の内部機構として、監査人の独立性を監視する機能を持つ組織を設置することを提案しています。
ここではまず、関与社員の交代ルールが取り上げられています。公認会計士協会の「品質管理基準」では、関与社員の交代ルールを「概ね10年」としていますが、米国と同様に「最長7年」とするなど国際的に遜色のないようにすることを提案しています。また、このルールは公認会計士協会の自主規制によるとしながらも、改善がみられない場合には法令上の措置を講ずるとしています。
また、一定規模以上の企業で証券取引法が適用される会社の監査の場合は、法令等により公認会計士が単独で監査することを制限することも必要であるとしています。それ以外の会社についても、公認会計士協会の自主規制による外部審査制度等の利用を義務付けることが必要であるとしています。
・監査法人等の内部管理・審査
監査法人等の内部管理・審査については、公認会計士協会による品質管理レビュー制度によるモニタリングと是正措置により指導監督が行われることが必要であるとしています。
審査体制を整備できない場合には、事務所外の公認会計士又は監査法人を「審査担当員」として利用できる制度を公認会計士協会が検討していますが、早急に措置を講ずる必要があるとしています。
・外部審査体制の充実・強化
公認会計士協会の品質管理レビューによる品質管理基準の準拠状況のモニタリングと是正措置が、監査法人等の審査体制等の充実・強化に必要なので、品質管理レビューによる改善勧告事項について会員に必要な是正策を採らせることができるようにするなどの強化策を提案しています。
また、事務所としての品質管理や品質管理レビューの結果について、監査法人が行政当局へ報告することを検討する必要があるとしています。また、レビュー結果を対外的に公表することや、レビューによって把握された問題点や改善措置等の具体的内容を協会員への周知することも提案しています。
監査報告書の様式を、監査法人名及び代表者の記名・押印とすることや、それに加えて関与社員名を監査報告書に記載事項とすることを提案しています。
公認会計士法による処分に業務改善命令等を導入することや、指導・監督部署の充実を提案しています。
監査報酬は、適正な監査日数と適正な費用を見積もったうえで当事者間の協議で決定させるべきものであるとして、標準監査報酬制度については廃止すべきとしています。他方、監査に関する情報(例えば、監査日数、監査報酬等)を何らかの方法で開示することを提案しています。
会則に基づく懲戒について、自主規制機関としての規律保持の徹底や、透明性・中立性の向上の観点から、第三者機関に委ねることを提案しています。
個別の事案について、具体的な監査の状況を開示することが有益であるとの考え方から、個別事案の公表を検討すべきであるとしています。
協会の業務内容や財務状況について、開示の一層の充実を図ることが必要であるとしています。
公認会計士の質の向上に関しては、3つの論点が提起されています。
現行の継続的専門研修制度は、自発的参加が前提となっていますが、諸外国の制度に倣い、履修の義務付けが必要であるとしています。
研修形態も、自己学習は除外するなどして、受講の事実や取得単位を客観的に確認できるものとし、また、研修内容の充実(最新の会計基準・実務知識、新しい法律、IT関連技術、職業倫理など)や研修形態の多様化等を図る必要があるとしています。
公認会計士の資格登録を数年ごと(例えば、3年)の更新制に改めること、更新の要件として継続的専門研修制度の履修を義務付けること、業務登録(ライセンス)制度を導入することなどが提案されています。当面これらは自主規制によることとし、法制化については将来的に検討することが適当であるとしています。
報告書は、自主規制機関である公認会計士協会が公認会計士監査の充実のために様々な取り組みを行っていると評価したうえで、自治統制機能が十分発揮しうるよう強制入会制度は維持することが適当であるとしています。
現行の監査法人は、社員が無限連帯責任を負う制度となっていますが、監査法人の大規模化に適合しにくい制度になっているとの指摘があります。また、欧米の主要国においては、有限責任パートナーシップ制(LLP)等の有限責任制が導入されています。
報告書は、現在の無限連帯責任を負う社員のみからなる合名会社形態に加え、LLP制等の導入について検討する必要があるとしています。これと併せて、最低出資金の法定化などの賠償責任能力の維持・向上策を講じることが必要であるとしています。
また、監査証明業務の充実・強化を図る観点から、公認会計士以外の専門家(弁護士、不動産鑑定士、年金数理人、コンピュータ技術者など)が一定範囲内で、監査法人へ社員として参加できる制度を提案しています。
損害賠償責任に関連して、賠償請求に対する履行能力を高めるための賠償責任保険への加入義務付け、損害賠償の上限額の法定化、会社役員との比例責任制度などについては、慎重に検討するとしています。
報告書は、監査証明業務における独立性の確保、非監査業務に係るリスクの回避といった観点から、監査法人等の業務範囲や責任を明確にする必要があるとしています。
これに関連して、レビュー業務の公認会計士法上の位置付け(第2条1項の業務か2項の業務か、規定を見直す必要があるか)を検討するとしています。
また、コンサルティング業務に係る業務範囲等のあり方については、少なくとも監査証明業務と非監査業務との間に人事及び組織上の隔離措置(ファイアウォール)を設け、更には監査業務に影響を及ぼすコンサルティング業務を回避する等の措置を講ずることを提案しています。
広告は基本的には自由化すべきとして、虚偽・誇大広告、比較広告等の一定のもののみ禁止して原則自由にすることを提案しています。また、公認会計士法による規制から、公認会計士協会の自主規制に委ねるとしています。
公認会計士法において、法律の「目的」、公認会計士の「使命・職責」を規定することを提案しています。