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企 業 財 務 記 事 ウ ォ ッ チ ャ ー 2002年7月


2002年7月31日 日経 米企業改革法が成立 会計不振打開へ一歩

記事要旨:
 ブッシュ米大統領は30日、不正会計の多発を受けて米上下両院が可決した「企業改革法(サーベンス・オクスリー法)」案に署名し、同法を成立させた。
 新法の最大の柱は罰則の強化。刑事捜査などに際して企業が書類を改ざんしたり破棄したりすることを「重罪」とし、最長20年の禁固刑を科す。
 インサイダー取引、相場操作といった証券詐欺には、最長25年の禁固刑を適用する。決算などの虚偽報告には最長20年の禁固刑 を科す。
 新設する独立監視機関が監査法人を監督する。監査法人が監査以外の業務を手掛けることは禁止しないが、監査を担当する同一顧客に帳簿管理、経営アドバイスなどのサービスを提供することはできない。
 新法は監査の中立・独立性向上に一定の効果を発揮するとの見方が多いが、ストックオプション(自社株購入権)の費用計上など 米会計基準そのものの見直しには踏み込んでおらず、粉飾がなくならない 恐れもある。

コメント:
 粉飾というのは、会計基準に違反した会計処理や開示を行うことなので、会計基準が見直されたからといって、粉飾はなくならないと思いますが、罰則の強化の方はある程度、効果があるのかもしれません。
 ただ、ワールドコムの粉飾決算のように、誰がみても粉飾だということがわかるケースについては、抑止力となりうるとしても、エンロン事件のように、やたらと複雑な仕組みを使って、専門家が調べても、会計基準違反かどうか、すぐにはわからないようなケースでは、会計基準の解釈の問題として、言い逃れできる場合が多いのではないかと思います。米国の制度はよく知りませんが、常識的に考えて、後者の場合まで、重い刑事罰を科すことはなかなかできないと思われます。
 そこで、監査人に対する監視も強化するという話になるわけですが、これについては、米国の会計事務所だけではなく、米国企業の日本子会社や、米国で公開している日本企業の監査をやっている日本の監査法人にも影響が及ぶ可能性があるようです。くわしくは、下記サイトをごらん下さい。

参考: JICPAのサイトより

2002年7月30日 日経 ドコモ 自社株買い87万株 NTTが一部保有株売却

記事要旨:
 NTTドコモは29日、30日に自社株87万株を買い付けると発表した。NTTは同日、ドコモの自社株買いに応じ、保有するドコモ株の一部(55万1000株)を売却すると発表した。
 買い付け価格は29日の終値26万9000円で、予定通りの株数なら取得総額は約2340億円になる。
 NTTはドコモの買い付け予定株数の63%に相当する保有株を売却する計画。売却の結果、NTTのドコモ株の保有比率は現在の64%から1ポイント低下する。
 NTTが保有するドコモ株の簿価は1株当たり約400円と低いため、売却するとNTTには約1480億円の株式売却益 が発生する。

コメント:
 記事では、ドコモ株の売却によって、NTTの単独決算で多額の売却益が生じることが書かれていますが、NTTの連結決算ではどうなるのでしょうか。
 一連の取引は、(1)NTTが連結子会社(ドコモ)の株式を一部売却する取引、(2)連結子会社(ドコモ)が自社株(ドコモ株)を取得する取引、にわけられます。
 (1)の取引に関しては、子会社に対する持分を一部売却したということなので、連結上も、売却損益が生じますが、そのときの売却原価は、連結上の簿価となるので、単独決算ほどの売却益は生じないはずです。
 (2)については、7月に企業会計基準委員会から、会計処理の案が出されています。これによると、親会社による子会社株式の追加取得に準じて会計処理することになっています。つまり、記事のケースでは、持分を売却したあと、すぐに、追加取得するという会計処理になります。ただ、追加取得に準じた処理では、時価で取得したということになるので、記事のケースでは、子会社に対する投資の簿価が一部時価に置き換わることになります。企業会計基準委員会の案では、「利益の計上のみを目的とした」取引では、損益の計上は認められないというような気になる規定もあります。
 NTTの連結では、いったいどのような処理が行われるのか、ぜひ知りたいところです。

参考: 企業会計基準委員会のサイトより

2002年7月26日 日経 破綻リスク判断難しく  (会計監査信頼回復への道 下)

記事要旨:
 経営リスクを抱えた企業の監査契約を打ち切ろうという動きも出てくる。ある大手監査法人ではすべての監査先企業を対象に 破たん可能性などの「監査リスク」を数値化。一定の水準を超えた場合は 自動的に契約を解除 する。
 中地宏・前日本公認会計士協会会長は「安全な企業をえり好みしていたら、監査の信頼性など確保できない」と、こうした姿勢を批判する。投資家に対して、企業の経営実態をより正確に伝えるのがゴーイングコンサーン規定の本来の狙いだ。安易なリスク回避志向は監査の質を低下させかねない。

コメント:
 記事では批判的に書いていますが、監査契約の段階で十分検討して、クライアントをふるいにかけるというのは、監査の 品質管理の一環として当然やるべきことだと思われます。
 まず、不適正意見や、意見差し控えとなることが最初から予想されている場合には、契約を結ぶべきではありません。例えば、重要な事項について、会社と監査人の意見が異なっている場合や、監査範囲が大きく制限されているような場合です。また、内部統制があまりにもいい加減で、いくら監査をやっても、十分な心証が得られそうもない場合、会社の規模が大きすぎたり、特殊な取引をやっていて、監査人側の体制では十分な監査ができないような場合、会社が違法な(あるいは違法すれすれな)取引を行っているような場合、経営者が犯罪組織と関わっている場合なども、当然、契約を結ぶべきではありません。
 銀行の支援でようやく生き延びているような企業について監査契約を結ぶかどうかは、微妙な問題です。会計監査は、企業が存続するかどうかについて保証するものではなく、悪ければ悪いなりに企業の実態を反映した正しい決算が行われていれば、監査人の責任は問われないはずです。しかし、実際に企業が破たんした場合には、監査人に落ち度がなかったとしても、状況次第で、スケープゴートになってしまう可能性が大いにあります。また、破たんするかどうかの瀬戸際にある企業は、それだけ決算数値を操作しようというインセンティブが強く、監査リスクも高くなります。
 安全な企業をえり好みしないで、破たん寸前の企業でも面倒を見るというのは、心情的には理解できますが、監査法人のリスク管理としては、非常にまずいのではないかと思います。少なくとも、そのような企業と新しく監査契約を結ぶということは、大手法人では、ほとんどないと思います。
 それでは、大手監査法人が、破たん懸念企業との監査契約をどんどん解約しているかというと、そこまではいっていないようです。監査法人を擁護するわけではありませんが、長くつきあってきたクライアントに対して、急に冷たくはできないということなのかもしれません(監査法人によって、かなり違いがあるのかもしれませんが)。 

2002年7月24日 日経 前3月期、上場1700社集計 263社が欠損金 計4兆円超す

記事要旨:
 過去の儲けの蓄積である連結剰余金がマイナスとなる欠損状態の企業が増えている。2002年3月期末の 連結欠損金 の合計額は2001年9月中間期末から1兆円増加した。
 日本経済新聞社が新興3市場、金融を除く3月期決算企業1700社を対象に集計したところ、連結欠損金を抱える企業は263社と全体の15%に達した。欠損金の合計額は4兆2030億円と半年間で4割増えた。
 東武鉄道や近畿日本鉄道など土地の再評価で欠損金による株主資本の目減りを解消する企業が相次いだのも前期の特徴。
 ただ、再評価した後の土地を評価時より低い価格で売却すれば、評価差額のマイナス分だけ 連結剰余金(欠損金)が減少(増加)する。資本の部全体は変化しない が、「再評価後の 土地売却で今後、連結欠損金が膨らむケースが増える」(大手監査法人)可能性もある。

コメント:
 再評価した土地を、その後、再評価金額より低い価格で売却した場合、必ず、剰余金が減る(欠損金が増える)わけではありません。
 (以下単純化のため、税効果は無視します)。例えば、再評価前の簿価が100,再評価額が300、売却価額180とすると、売却損が120(=300−180)計上され、その分だけ剰余金が減りますが、再評価差額金200(=300−100)が取り崩され、剰余金に振り替わるので、差し引き80だけ、 剰余金は増えることになります。(監査法人は間違ったことを教えてはいけません)。
 ちなみに、売却によって剰余金が減るのは、売却額が再評価前の簿価を下回った場合に限られます。
 また、売却によって、資本の部全体は変化しないと書かれていますが、これも間違いで、売却損益の額(から税効果控除後の金額)だけ、純資産は変動します。 (再評価差額金の取り崩しは、資本の部の中の振替なので、純資産には影響しません)。
 ところで、財務諸表規則等の改正で、新年度から、欠損金という科目は、有報などでは使われなくなり、マイナスの利益剰余金として表示されることになるようです。従来、マイナスの剰余金は商法上の概念である「資本の欠損」と同じ金額だったので、「欠損金」と表示されていたわけですが、ASBの新基準で、マイナスの利益剰余金は資本の欠損とイコールでなくなったため、マイナスのまま表示するということになったようです。

2002年7月23日 日経 リース会計基準 見直し本格論議へ

記事要旨:
 日本でリース会計基準の見直しが始まる。国内の会計基準を決める企業会計基準委員会はリース会計専門委員会を設置し、8月から本格的な議論に入る。
 日米のリース会計基準の違いを改めて周知させることになったのはオリックス株の急落だ。きっかけはドイツ証券アナリストで元オリックス社員の大木昌光氏によるリポート。
 大木氏は「リース事業開始間もない時点やリース契約が伸びているときは、米国基準の利益が日本基準より大きくなる 傾向がある」と指摘。日米基準の利益逆転を成長鈍化と受け取った。
 国際会計基準や米国会計基準では、すべてのファイナンスリースを貸し手が借り手に設備を売ったとみなして会計処理をする。日本ではファイナンスリースのうち所有権移転契約のない取引を例外扱いしながら、ほとんどがこの例外に該当する取引になっているのが実態だ。日本も 例外規定をなくす方向で検討が進む見通しだ。

コメント:
 リース会計基準の見直しというのは、方針さえ決まってしまえば、非常に簡単な話です。つまり、「リース取引に係る会計基準」(平成5年6月)(もう10年近くたっています)に書かれている「 ファイナンス・リース取引のうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に、移転すると認められるもの以外については、 通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる 」という規定と、それに関連する注記項目を削除するだけですみます(そのほか細かい見直しはあるでしょうが・・・)。
 しかし、実務への影響は、リース会社だけでなく、借手側の一般企業にとっても非常に大きいと思われます。税務上の取り扱いがどのようになるかにも左右されますが、借手側としては、会計処理の簡便性というメリットは少なくとも失われるため、今まで以上に、資金調達手段の一つとしての十分な評価が必要になると思われます。
 最近話題になっているオリックスの件については、一般論としては、アナリストのいっていることが当たっているような気もします。ファイナンス・リースの貸手の会計処理については、他の様々な会計基準の場合と異なり、米国基準と比べ、日本基準は非常に保守的で、利益が後から多く発生する構造となっています。したがって、今生きているリース契約のうち、新しい契約の構成割合が高ければ(言い換えると、リース契約がどんどん増えているときは)米国基準の方が利益が大きくなり、逆の場合は、日本基準の方が利益が大きくなります。
 ただ、これは、ファイナンス・リースについて一般論としていえることであって、オリックスの他の商品の成長性がどうかということまでは、わかりません。結局は、細かいデータを会社が開示するしかないわけですが、記事によると、会社側は「営業上マイナスとなることは開示しない」方針のようです。たしかに、それは一つの見識だと思いますが、それであれば、市場における評価がその分だけ下がることは甘受しなければならないでしょう。

2002年7月20日 日経 「発表=株高」構図揺らぐ  (自社株買いを追う 下)

記事要旨:
 自社株買いは発行済み株式数を減らし、1株利益や株主資本利益率(ROE)など各種の財務指標を向上させる効果が期待できる。このため経営者は枠取得や買い入れを発表することで、株価が上昇する「アナウンスメント効果」を狙う。
 だが、自社株買い発表に対する市場の感応度は低くなっている。自社株買いの発表が増えるにつれ、「自社株買い→株価上昇」という単純な構図ではなくなってきた。 枠を設定しても実際に自社株買いをしない企業が増えたからだ。
 今年の株主総会では枠の設定が相次いだが、商法改正により今年の総会で取得上限枠を設定しないと、次の総会まで自社株買いができない仕組みとなったため。仮に一年間に一度も買い入れしなくても 罰則などはない

コメント:
 記事では、枠を設定したのに実際には自社株買いをしないことについて、批判的に書いていますが、少しピントがずれているような気がします。
 企業にとって、自社株買いが必要となる可能性がほんのわずかでもあれば、あらかじめ枠を設定しておいて、いつでも使えるようにしておくことは、当然の行為です。まして、枠の設定自体には、何らコストがかからず、株主の負担もありません。企業が、単なる枠の設定なのに、実際に自社株買いを行うことが確定したかのように公表したのなら問題ですが、そうでなければ、法律的にも道義的にも、批判される理由は存在しません(罰則がないのは当然の話です)。
 要するに、マスコミやアナリストが、枠の設定と自社株買いを同一視して、「枠設定の発表=自社株買い=株高」であると勘違いしたことについてまで、企業は責任を負う必要はないということです。
 もちろん、立法論として、自社株買いについて、株主総会における枠の設定の承認が必要かどうかという議論はあると思います。ただ、自社株買いは、単なる財産の取得ではなく、配当と同様に株主持分の払い戻しという性格を有します。現行の商法の枠組みを前提にすれば、株主総会の承認を事前に受けておくという規定も十分理屈があると思われます。

2002年7月19日 日経 国際会計基準理 ストックオプション 費用計上1年前倒し

記事要旨:
 国際会計基準理事会(IASB)は18日、企業が役員・社員に報酬の一部として与える ストックオプション(自社株購入権)を人件費として損益計算書に計上 させる新基準を、2004年1月から導入することを決めた。当初は2005年導入の予定だった。未上場企業も対象とする。
 新基準は、役員などが権利行使で得た自社株を市場で売却する際の予想利益を算出。これをもとにオプションの時価をはじき、オプションを与えた時点で人件費に計上する。 未上場企業は類似の上場企業を参考にする
 米国にはこうした基準があるが、オプションの時価を年次報告書の脚注で開示 するだけの処理も認められている。ほぼすべての米企業が脚注開示を利用、人件費計上を免れてきた。

2002年7月15日 日経 米コカコーラ 自社株購入権 人件費に 会計不信受け費用計上

記事要旨:
 米コカコーラは14日、幹部や社員に報酬の一部として与えているストックオプション(自社株購入権)を人件費と位置づけ、2002年10−12月期から費用として計上すると発表した。
 同社のダフト会長兼経営責任者(CEO)は「ストックオプションは報酬 であり、費用に反映させれば企業決算がより実態に沿ったものになる」と変更理由を語った。

コメント:
 コカコーラのサイトによると、ストックオプションを費用計上しても、1株当たり0.01ドル程度の影響しかないようです。わが国でも、新会計基準(例えば、退職給付会計や固定資産の減損会計)の前倒し的適用は、それをやっても、あまり影響のない(少なくともつぶれる心配のない)会社から率先してやる傾向がありますが、米国でも事情は同じなのかも知れません(コカコーラの場合は、前倒しと言うよりは、会計基準の本則処理への変更ですが)。報道によると、ストックオプションへの風当たりはかなり強いようなので、ディスクロージャーに積極的な会社かどうかを判定するための、一種の踏み絵的会計処理となって、一挙に広まる可能性があると思われます。
 わが国でも米国基準採用企業がありますが、米国のハイテク産業ほどは影響がないでしょうから、是非、先行してストックオプションの付与時の時価による費用計上を採用してほしいものです。
 IASBで検討しているストックオプションの基準は、米国のFAS123号(の本則の方)と基本的には同じ内容のようですが、非公開企業の扱いが少し違うようです。記事によると、IASの方は、未上場企業は類似の上場企業を参考にするとのことですが、米国基準では、ボラティリティの要素を除いてオプション時価を計算するといった方法が規定されているようです。非公開会社の場合は、ストックオプションの時価どころか、株式の時価すら簡単には計算できないでしょうから、なんらかの簡便法が必要なのかもしれません。

参考: 米コカコーラのサイトより米国基準FAS123号のサマリー

2002年7月18日 日経 野村、アセット買収で 「逆のれん代」1100億円利益計上

記事要旨:
 野村ホールディングスは2003年3月期に、野村アセットマネジメントの買収で発生した1100億円の「逆のれん代」を一括して利益計上する。
 野村は2000年3月から2001年12月にかけて野村アセット株を機関投資家などから4回にわたって購入。当初5%出資だったのを100%出資子会社とした。
 のれん代は買収価格と企業の正味価値の差額。利益計上する逆のれん代が発生したのは、 株式取得総額が野村アセットの純資産価値より少なかった ため。類似業種比準方式などを用いて株価を算定 したところ、一株純資産を下回ったという。
 米国の企業買収に関する新会計基準は2001年12月以降に新決算年度を迎える企業から適用 になった。のれん代償却を停止し、必要なら評価損(逆のれんの場合は評価益)計上を義務付けるのが主な内容。野村は既に期間10年(米国基準)で処理を始めていたが、 基準の変更に伴って評価益を一括計上する。
 4−6月期の連結純利益は1000億円を超す公算が大きい。前年同期は189億円(日本基準)だった。 今期から連結決算を米国基準に一本化 する。

コメント:
 記事の例のような負ののれんの発生原因にはいくつかのものが考えられます。
 まず、もっともすなおな見方として、買収した側(野村)が、被買収企業(野村アセット)を割安の値段で買収した(売った方(機関投資家)は安く売ってしまった)ということが考えられます。パーチェス法の場合は、被買収企業の各資産・負債には、買収時点のそれぞれの時価が付されるので、負ののれんが発生するということは、買収する側が、各資産・負債のバラ売りの値段より、安い値段で買ったということになります。普通の品物であれば、バラで買うより、まとめて買った方がやすくなってもおかしくありませんが、企業の場合は、個別の資産の合計以上の金額で評価されるのが普通なので、非常に珍しいケースではないかと思います。
 記事によると、株価の算定に、類似業種比準方式などを用いたとのことなので、類似業種比準方式では把握できないような含み益のある資産などがあったのかもしれません。
 他の原因としては、資産の時価の算定に問題があることも考えられます。相場があるような資産ならともかく、不動産のように、様々な評価額があるような資産の場合には、時価といっても幅があります。買収価格が変わらないとすると、資産に高めの評価をつけるか、低めの評価をつけるかによって、のれんの金額が変わってきます。買収金額を決める際に前提とした評価よりも、高めに評価すれば、その差額が負ののれんとなり得ます。
 他には、訴訟による損害賠償金の支払いやリストラによる割増退職金の支払いなどの偶発損失を買収価格に織り込んでいる(その分買収価格が下がる)場合が考えられます。
 1100億円もの多額の負ののれんというのは、珍しいケースですが、いったい、どの原因によって生じたものなのでしょうか。非常に興味深い点です。
 今期から米国基準に変えるというのもおもしろい点です。仮に来年度から変更するとした場合には、当期は、日本基準なので、負ののれんの一括償却による利益は計上されません。来年度については、一括償却による利益は、すでに前の年度で計上済みであり、利益への貢献はありません。つまり、野村の正式の連結決算上は、今期変更できなければ、負ののれんについて永久に利益計上できなかったことになります。野村にとって、米国基準への変更を認めた連結財規の改正は、非常にタイミングがよかったのではないかと思われます。

2002年7月14日 日経  英、相次ぎ株価対策 年金の時価評価先送り

記事要旨:
 英国が相次いで株式相場のテコ入れ策を打ち出した。
 英国の代表的な株価指数であるFTSE100種総合指数は12日、前日終値比5.9ポイント安の4224.1と5日連続続落し、ほぼ5年前の水準に戻った。「年金・保険が株式を売却し債券へシフトしている」との見方が広がった。
 このため英政府は来年6月に予定していた 企業年金の時価会計導入2005年1月に延期 した。年金時価会計は将来支払予想額を金利で現在価値に割り戻し、実際の積立額との差額を損失計上する制度。英主要企業の損失額は合計40億ポンド(7200億円)に達するとの試算もあり、時価会計の導入前に株式を売却する可能性が取りざたされていた。

コメント:
 記事では、英政府が、企業年金の新会計基準導入の延期を決めたように書いてありますが、英国でも、 民間の会計基準設定主体 (英国ASB)が、会計基準を決めることになっているはずです。
 そこで、英国ASBのサイトで調べてみると、たしかに、新しい退職給付会計の基準(FRS17の改訂)は導入延期になっていましたが、その理由としては、国際会計基準審議会で退職給付会計の改訂を取り上げることになり、調整が必要になったことがあげられていました。その説明を信用してもいいのかどうかは分かりませんが、少なくとも形式的には、ASBが自主的に延期を決めたということになっているようです。
 この新しい退職給付会計の内容については、記事では企業年金の時価会計であると書かれていますが、正確には、 数理計算上の差異遅延認識を認めないようにするという基準のようです。日本基準や現行の国際会計基準・米国基準では、遅延認識や回廊アプローチ(IAS・米国基準のみ)により、例えば、年金資産の運用成績が予定以下であっても、その影響(数理計算上の差異)は通常、翌年度以降に徐々に表れてきます。それを即時償却しか認めないということは、株価が下落している状況では、影響も大きく、かなりラジカルな改訂ではないかと思われます(理屈としては分かりますが)。
 なお、記事では、この新基準について「将来支払予想額を金利で現在価値に割り戻し、実際の積立額との差額を損失計上する制度」であると書いていますが、これは不正確です。日本基準風にいうと、将来支払予想額のうち「期末までに発生していると認められる額」(労働の対価として期末までに発生した金額) を割り引くことになります。

参考: 英国ASBのサイトより

2002年7月12日 日経  オリックス、株価急落を受け15日に説明会

記事要旨:
 オリックスは15日にアナリストや機関投資家向けの説明会を開く。同社の会計処理の解釈などを取り上げたアナリストリポートをきっかけに株価が急落しており、予定していなかった宮内義彦会長と藤木保彦社長の出席を決めた。
 アナリストリポートはドイツ証券が6月3日に発行したもので、元オリックス社員の大木昌光氏が執筆した。日本基準と米国基準による同社の2つの連結決算書を比較。米国基準では前期まで7年連続で純利益が増えているが、 利益計上に関する日米会計基準の違いを分析、ファイナンスリース と保険事業の成長力が鈍化したと結論付けた。
 大木氏は「同社の決算がわかりにくいと感じる投資家は多い。米国基準での販売費・一般管理費の明細などの 開示を強化してほしい 」と指摘している。

コメント:
 リース会計は、日米の基準で、大きな差異がある部分です。米国基準(国際会計基準も同じ)では、ファイナンス・リースは、文字通り、金融取引であり、リース会社からすると、金銭の貸し付けと同様の処理を行いますが、日本基準では、有形(又は無形)固定資産を取得して、賃貸料を受け取るという処理になります(厳密にいうと、日本基準でも金融取引として処理することが原則ですが、賃貸借処理も認められており、ほとんどの会社が賃貸借処理を採用しています)。
 金銭の貸付と考えて処理した場合には、リース期間の最初の頃は債権残高が大きいので、多くの受取利息が計上され、リース期間の経過に応じて、徐々に受取利息が減っていきます。一方、日本基準のように、リース料収入を家賃などと同様の賃貸料と考えると、リース期間の最初の1ヶ月も、最後の1ヶ月も同じ売り上げ(及び減価償却費控除後の利益)が計上されることになります。コストの重要な部分である支払利息の会計は、日米同じなので、利益面では、米国基準の方が日本基準と比べて、前倒しで利益が計上されるとことになります。
 エンロン事件以降、米国基準の評判は、あまりよくありませんが、ファイナンス・リースの会計処理に関しては、米国基準の方が合理的です。オリックスもリース業界のトップ企業なのですから、日本のリース基準を改正させ、米国基準並にするよう、業界をリードして働きかけてはどうでしょうか。
 また、この記事は、米国基準を採用した場合のデメリットの例とも考えられます。財務諸表の読者である一般投資家は、誰もが、米国基準を十分に理解しているわけではありません(会計士も同じですが・・・)。仮に宣伝文句のとおり米国基準が日本基準より優れているとしても、なじみのない基準で作られた財務諸表は、どうしても疑いの目で見られることになります。最近の連結財規の改正で、米国基準の採用は大幅に増えるようですが、米国基準採用会社は、この点は覚悟して、従来以上の開示の強化が必要と 思われます。

参考:オリックスのサイトより

2002年7月12日 日経  民都機構 前期保有簿価8000億円

記事要旨:
 国土交通省の外郭団体である民間都市開発推進機構が企業から買い取って保有する土地の簿価が、2002年3月末で 8000億円に上っていたことが、同機構の2001年度決算で明らかになった。
 民都機構は都市開発を促進するため94年度から土地の取得業務を開始 。これまでに205件、9520億円分を購入している。
 買い取った土地は、10年以内に開発できなかったり、開発しても買い手が見つからなかったりした場合、持ち込んだ企業に対して 取得価格に金利や固定資産税などを上乗せして売り戻す契約になっている。 民都機構には損失が生じない仕組み だが、土地を持ち込んだ企業の破綻も増えており、自ら開発や売却をしなければならない例も出始めている。

コメント:
 記事に書かれているとおり、民都機構には、土地を売却した企業の破綻などの特殊な事情がない限り、損失が生じない仕組みとなっています。しかし、このことは、土地売却企業からすると、売却した土地の地価が下落している場合などには、オフバランスの含み損を抱えることを意味します。
 記事によると、民都機構が土地を取得し始めたのは、94年からなので、簿価8000億円の土地は、取得後、最長8年間経過していることになります。その間、地価の下落は継続しており、8000億円のうちのかなりの部分は含み損の状態になっていると考えられます。
 会計士協会からも、「民都へ売却した土地に係る留意事項」という文書が公表され、一部企業で、含み損部分に引き当てする動きがあるようですが、まだ一般的ではありません。民都に土地を売却した企業については、引き当てや注記の要否などに関して注意する必要がありそうです。

参考 民都機構のサイトより   日本公認会計士協会のサイトより(会員・準会員限定)

2002年7月9日 日経  BSL、無償で全株主に新株予約権を付与

記事要旨:
 BSLは8日、全株主に新株予約権を無償で付与することを決めた。9月30日の株主名簿に記載されている株主と実質株主全員に、保有株数20株につき新株予約権1つを割り当てる。
 新株予約権の申込期間は11月1日から同25日まで。権利行使価格は1株につき52円とする。同社株の8日終値は48円。新株予約権にあわせて普通株を最大668万7100株(発行済み株式数の約5%)発行する。同社は「業績低迷で無配が続いており、 株主への利益配分の一環」としている。

コメント:
 新株引受権がないとすると、企業の価値=株式の価値、なわけですが、新株引受権を付与することにより、企業の価値は、「株式の価値」に「新株引受権の価値」をくわえたものと等しくなります。新株引受権を発行しても企業の価値自体は変わらないので、新株引受権の付与により株式の価値(すなわち株価)は、理屈上下落することになります。
 これは、配当権利落ちで、株価が下がるのと同じ理屈ですが、この場合、株主が受け取るのは、現金ではなく、換金性のあまりない新株引受権です。利益配分というより、株式分割の変形的な取引ではないかと思われます。
 株主が法人であるとすると、株主側の会計処理も複雑です。
 株式分割であれば、保有株式全体の簿価は変えないで、1株当たりの評価を付け替えるだけですみますが、新株引受権を受け取った場合は、もし厳密に処理しようとすると、簿価を株式部分と新株引受権部分に割り振る必要が出てきます。そのためには、新株引受権の時価を算定して、株式の時価と新株引受権の時価の比率で、簿価を割り振ることになると思われます。(税務上はまた別の処理になるのかもしれません)。
 いずれにしても、株主にそれほどのメリットがある取引だとも思えないのですが、株価を上げたりする効果はあるのでしょうか。 

参考:BSLのサイトより

2002年7月6日 asahi.com  米リライアント、売上高3年分で計9500億円水増し

記事要旨:
 米エネルギー卸売り大手リライアント・リソーシズは5日、99年から01年の売上高3年分のうち、計 79億ドル(約9500億円)が水増し だった、と発表した。
 同社は3年間の売上高を計643億ドルと報告していたが、564億ドルに改めた。手口は「 ラウンドトリップ (往復)」と呼ばれる取引手法。A社がB社に電力・ガスを売る契約を結ぶと同時に、B社は同量の電力・ガスを同じ価格で、A社に売る契約を結ぶ。帳簿上ではA、B両社の売上高がそれぞれ増える。

コメント:
 記事の例では、どうやら、売上高と売上原価が両膨らみになっているだけで、利益には影響していないようですが、売上高の1割以上が実態のないものであったということは、大がかりな決算操作といえます。
 なぜ会計監査でこのような売り上げの水増しがわからなかったのか、詳しい事情は明らかにはなっていません。しかし、そもそも、会計監査では、売掛金や在庫など貸借対照表項目の残高を確かめていくという作業に重点が置かれるということが、背景としてあげられます。また、おそらく契約書が整っているなど、形式的には、売り上げ計上できる要件を満たしていたのかもしれません。
 もし、わが国で、このような取引が発見された場合には、単なる売り上げの水増し以上の深刻な事態も考えなければなりません。つまり、わが国では、取引の決済に手形を使いますが、もし、架空売上・仕入の決済のため、関係する会社間で手形を使っていたとすると、融通手形化している恐れがあるということです。

参考: 米Yahooより Reliant Resources

2002年7月6日 日経  インボイス 顧客企業に新株予約権

記事要旨:
 通信料金一括請求サービスのインボイス は9月にも、顧客企業に新株予約権方式の ストックオプション(自社株購入権)を付与する。新規取引先を開拓する狙い。
 インボイスは3日から自己株の取得を始めており、8月末までに2000株を上限に取得する計画。9月以降、付与する予約権の上限は1600株分で、うち約600株分が従業員と監査役、約1000株分が顧客向け。インボイスの新株引受権は付与した時点からすぐに権利行使できる。付与対象者が権利行使したときに、インボイスは自己株を対象者に譲渡する。

コメント:
 得意先に現金で値引きをすれば、それだけ利益が減ることになります。一方、現行基準では、ストックオプションを与えても費用にはならないとされているので、値引きの代わりにストックオプションを使えば、損益計算書上、費用が全く計上されないことになります。ただし、このようなストックオプションは、企業会計で費用とならないだけでなく、 税務上も損金にならないと思われます。税効果まで考慮すると、現金で値引きする場合と比べて、実質的な負担は大きくなります。
 また、ストックオプションをもらう方の顧客企業にとっても、ありがた迷惑かもしれません。「金融資産の当初認識は時価で行う」という金融商品会計実務指針に厳密に従うとすると、もらった ストックオプションを時価評価して、収益計上することになります。実務上どのような処理が行われるのかは、よくわかりませんが、気になるところです。

2002年7月5日 日経  「隠れ人件費」明るみに  (ストックオプション会計 費用化の波紋 上)

記事要旨:
 国際会計基準理事会(IASB)がストックオプション (自社株購入権)を人件費と見なす新会計制度の導入方針を固めた。
 新たに導入される会計基準は、将来の株価が権利行使価格を上回る確率(ボラティリティー)を考慮し、実際の権利行使・売却で得られる予想差益をストック・オプションの価値と見なす。
 企業はストックオプションを役員・従業員に付与した決算期に、その価値の総額を損益に費用として計上する。
 ストックオプションが普及し始めた日本では、IASBの新基準に当てはめても、ソニーなど主要100社の最終利益の減少率は2%弱とみられる。米欧ほどの切迫感はなく、企業会計基準委員会のストックオプション等専門委員会が6月に初会合を開いたばかりだ。
 初会合では吉川満・大和総研制度調査室長が「費用化すべきだという認識を持たなければ話が始まらない 」と発言した。

コメント:
 ストックオプションの価値をIASBの新基準案のように時価(公正価値)でみるか、米国の実務で主流となっているように、本源的価値(株価が行使価格を上回る金額)でみるかという違いはありますが、 ストックオプション(自己株を無償で譲渡する場合を含む)の価値は、企業にとって費用であるという考え方は、欧米では主流となっているようです。
 一方、わが国では、株式を有利発行した場合に株主が被る損失は、あくまで株主にとっての損失であって、企業にとっては費用ではない、同様に、企業が株式を有利発行する義務を負うことになったとしても、それは企業にとっての費用ではない、という考え方があるようです。まず、ストックオプションが企業にとって費用かどうかという根本のところから議論しなければならないとすると、かなり時間がかかるのかもしれません。
 なお、この記事のストックオプションの価値の説明はかなりあやしいものです(当サイトにも、日経記事のストックオプションに関する説明はいい加減であるという意見が寄せられています)。ボラティリティーというのは、かの有名なブラック=ショールズ公式に出てくる値であり、原資産価格(この場合は株価)の変動の激しさを表す値です。将来の株価が権利行使価格を上回る確率は、ボラティリティーにも影響を受けますが、そのほかにも、権利行使価格や行使期間など他の要素も絡んでくるので、ボラティリティーと同じではありません。ちなみに、ボラティリティーが高いほど、権利行使価格が低いほど、行使期間が長いほどストックオプションの価値は高くなります。
 これ以上説明するとボロが出るのでやめますが、興味のある方は、新聞記事やこのサイトなどを鵜呑みにせず、きちんとしたデリバティブの解説書などを参考にして下さい。

参考: FASBのサイトより   IASBのサイトより   eトーマツより

2002年7月4日 日経  上場450社 土地再評価 含み損前倒し処理

記事要旨:
 賃貸ビルや工場などの事業用土地を時価に算定し直す土地再評価 を実施した企業が、2001年度だけで280社に上り、累計で上場企業の2割、453社に達したことが分かった。 土地の含み損一掃により、財務内容の透明性が格段に高まる。含み益に頼った経営もできなくなり、 収益力がガラス張りになる。
 再評価により土地の含み損と含み益がそれぞれ表面化、損益が相殺 される。実施企業全体では含み益が含み損の合計を上回り、株主資本は約2兆円かさ上げされた。
 土地再評価は、含み損と含み益を相殺できるだけでなく、差額を期間損益に反映させる必要がない ため、企業にとっては収益に影響が出ない利点もある。
 土地再評価では、特定の土地だけを選別的に再評価の対象にすることはできず、 保有するすべての事業用土地が対象 となる。
 前年度までに再評価を実施せず、含み損を抱えたままの企業に対しては「減損会計で多額の損失を計上し債務超過に陥ったりすれば、銀行が取引を停止する可能性がある」(大手監査法人)との厳しい見方もある。

コメント:
 記事では、土地再評価をやらなかった企業は、財務内容が不透明で、今にもつぶれるみたいなことが書いてありますが、土地再評価の会計処理を少しでも考えてみれば、再評価の利点だけを取り上げた粗雑な議論はできないはずです。
 まず、土地再評価で土地の含み損が一掃され、財務内容の透明性が高まるというのは、誤りです。というのは、土地再評価が 一回限りの再評価であり、その後時価がどれだけ変動しても、何ら評価を替えないからです。例えば、金融機関は4年ほど前に一斉に土地の再評価を行いましたが、その後も地価下落は続き、現在では、再評価価格に対して、新たに1割から2割の含み損が生じているものと思われます。多くの金融機関は、再評価前、含み益の状態だったので、再評価により含み損が生じたということができます。
 また、評価差額を期間損益に反映させる必要がないという点も問題です。例えば、バブル期に取得した土地を早めに見切り処分した企業は、損益計算書に損失が計上されたわけですが、処理を先送りにして、今年の3月にようやく土地再評価で評価を下げた企業の損益計算書には損失が計上されません。企業経営の巧拙が損益計算書にきちんと反映されることが、財務内容の透明性が高いということであり、土地再評価でこっそり評価を下げることをゆるしてしまっては、企業の財務内容は、ますます不透明になってしまいます。ちなみに、国際会計基準における再評価では、 評価を下げた場合には、損益計算書上、損失を計上しているようです。
 保有するすべての事業用土地が対象になるというのも、連結ベースで考えると不正確です。 土地再評価は、会社単位 で行われるので、親会社だけ再評価したり、含み益のある子会社だけ再評価することも可能です。

2002年7月3日 日経  三洋電 混合型年金 来年4月導入

記事要旨:
 三洋電機は混合型年金制度を2003年4月に導入する。 国債の金利に応じて年金額が変動する確定拠出部分 の比率を9割とし、より運用実績に合った給付制度とする。
 三洋電は新制度の導入を厚生労働省に近く申請する。従来の厚生年金基金、税制適格年金は混合型年金制度に一体化する。確定拠出部分の給付利率は10年国債の利率を基に変動する。 利率には、上下限を設け、2−7%の範囲に定める見込み。

コメント:
 記事では、国債の金利に応じて年金額が変動する年金を確定拠出 といっていますが、これは不正確です。企業は、国債の金利に応じた年金(しかも、2−7%という範囲が決まっている)を、 年金資産の実際の運用成績に関係なく、従業員に支払う義務を負っているので、大きなくくりでは、 確定給付型の年金に該当し、退職給付会計の対象になると考えられます。
 もちろん、このような年金制度とすることによって、金利の変動による退職給付債務の変動をうち消す効果が出てきます。例えば、金利がさらに下がって、退職給付債務を膨らむことになっても、年金額が減ることによる退職給付債務の減少によって、影響が相殺されることになります。

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