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企 業 財 務 記 事 ウ ォ ッ チ ャ ー 2003年7月


2003年7月31日 日経  減損会計の指針草案 5割以上の価格下落対象

記事要旨:
 企業会計基準委員会は30日、固定資産の減損会計について具体的な処理方法を定めた適用指針の公開草案を決めた。 市場価格が帳簿価格の5割以下となった場合などに減損の対象候補とする。
 減損会計は税効果会計と同様に、将来の収益をどう見積るかがポイントとなるため、損失計上時には会計士と企業との激しいやり取りも予想される。
 企業のなかでも、ゼネコンや不動産会社は、バブル期に取得した高値の土地を多く抱えている。住友不動産は2003年3月期と2004年3月期の2期に分けて、減損処理で合計1000億円の損失を出す方針。運用資産としてオフィスビルなどを保有する保険業界も「前提条件次第で損失額に大きな差が出る」(大手生命保険)ため、適用指針を精査して 会計士と本格的な議論に入る
 朝日監査法人の小宮山賢会計士は「IT関連など、先がよく見通せない事業の収益性をどう見るか、会計士も企業も難しく、(税効果会計の) 繰り延べ税金資産の場合と同じ議論が起こる可能性がある。

2003年7月31日 日経金融 減損会計 業績早期立て直し迫る

記事要旨:
 企業会計基準委員会は30日、固定資産の減損会計について実務マニュアルとなる適用指針の公開草案を決めた。3期連続で営業赤字が見込まれる場合は、関連資産が減損候補となる。3月期決算の上場企業を調べたところ 10社が今期を含めて3期以上連続して経常赤字の見通しで、こうした企業は業績を早期に回復させないと損失処理を迫られる公算が出てくる。

コメント:
 市場価格が5割以下とか、営業赤字が3期連続というのは、いわゆる「減損の兆候 」の議論です。新聞報道から受ける印象では、適用指針の検討は「減損の兆候」の議論に終始しているようですが、「兆候」は減損会計の入り口の部分でしかありません。他の項目についても十分な検討がなされたのか、若干不安になります。
 「兆候」についてそれだけ議論されていながら、日経金融の記事を読むと、きちんとした理解がなされていないようです。基準や適用指針案で「営業活動から生ずる損益が継続してマイナス」といっているのは、例えば、店舗や工場ごとに資産をグルーピングした場合に、その 店舗や工場ごとの「営業活動から生ずる損益が継続してマイナス」であるという意味なので、企業全体では営業赤字・経常損失になっていなくても、店舗や工場ごとにみてマイナスが生じていれば、それらの店舗や工場については減損の兆候があると考える必要があります。3期以上連続して経常赤字の10社だけが連続赤字という兆候に引っかかるのではありません。
 減損損失を認識するかどうか、また認識する場合にどれだけ損失を計上するかは、日経の記事に書かれているように、将来の収益(キャッシュ・フロー)の見積りにかかってきます。そういう意味では、繰延税金資産の回収可能性の検討と似ている面もありますが、繰延税金資産の場合は、企業全体の収益(課税所得)の発生を見積もらなければならないのに対し、減損会計の場合はグルーピング単位ごとの見積りになります。減損会計における見積りの方がいくぶん簡単かもしれません。特に、リストラなどで資産を処分することがはっきりしているような場合には、相当程度正確な見積りが可能だと思います。
 なお、減損処理の例として住友不動産が取り上げられていますが、同社の場合は、減損ではなくて固定資産の売却損に過ぎません。減損会計というのなら、含み損のある固定資産の売却を決定した2003年3月期に1000億円全額を損失計上すべきはずで、2年間で分割して計上することなど認められるはずがありません。
 また、生保業界の話も取り上げられていますが、新聞報道等によれば、例の時価会計停止・減損会計導入延期論の黒幕は生保業界だそうです。今後もグルーピングなどについて屁理屈を付けて減損会計を骨抜きにしようとする動きが出てくると思いますが、そうさせないように外部からも監視が必要でしょう。担当会計士にも、業界の圧力に屈することなく、筋をとおしてもらいたいものです。

参考: 企業会計基準委員会のサイトより

2003年7月31日 日経金融  監査法人への26億ポンド賠償提訴 英エクイタブルに認める

記事要旨:
 英控訴院は、破綻したエクイタブル生命が同社の監査法人だったアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)を相手取り、 総額26億ポンド(5000億円)の損害賠償を求めて提訴する権利を認めた
 エクイタブルは1980年代まで積極的に販売した「高配当保証年金商品(GAR) 」が90年代以降の低金利で逆ざやに陥った。同社はGAR契約者に 配当削減を求めた が敗訴。約束していた年金を支払えなくなり、2000年末に新規営業を停止して事実上破綻した。
 新経営陣は「会計監査に瑕疵があった」として90年代に監査を担当していたE&Yを相手取って総額2億ポンドの損害賠償を求める訴訟を起こした。訴訟理由は(1) 逆ざやによる財務の悪化に対する監査法人の警告が遅れ、破綻に結びついた、(2)早い段階で警告があれば会社を身売りし、破たんを回避することも可能だった−−などだ。

コメント:
 英国の生保の話ですが、過去に販売した保険商品が低金利によって逆ざやになり、そのために破たんするというのは、日本の生保にも共通する問題です。配当削減をやろうとしたができなかったというのは、日本に当てはめれば、予定利率の引き下げができないということに相当します。記事で出てくるGARというのは、guaranteed annuity rates の略ですが、確定された利回りを契約者に保証する商品なのでしょう(配当が「高い」という意味は含まれていません)。
 訴訟理由は、逆ざやの実態について監査法人の警告が遅れたということのようですが、保険契約の逆ざやについては 保険契約の時価評価でもしない限り、その将来にわたる影響を財務諸表に反映することはできません。 会計事務所側は、経営者が事業のリスクを認識していなかったなどということはありえないといっているようです。
 日本的な常識からすれば、監査人は会計基準に沿って財務諸表が作成され、適切な開示が行われていることを確かめるのが役目であり、会計基準による開示を超えて、不正や内部統制の不備に関する事項を除き経営者に何らかの警告を行う義務はないと思います。ただ、海外では大手会計事務所は金持ちだと思われており、請求額の何十分の一でもとれればもうけものという訴訟が多いようです。日本でも弁護士の数が増えれば、監査法人への訴訟も増大することは必至です。
 それにしても、逆ざやの情報には5000億円の価値があると生命保険会社自体がいっているわけですから、保険契約の時価評価は早急に進めるべきだと思います。むしろ、日本の生保の逆ざやが最も深刻であるといわれているわけですから、IASBの議論を待つまでもなく、日本が率先して取り入れるべきです。
 
参考: E&Yのサイトより 英ガーディアンのサイトより 同左 (こちらの方が新しい記事)

2003年7月25日 日経  道路公団 正式監査見送り

記事要旨:
 日本道路公団が民間企業並みの会計基準で作成したとする財務諸表の監査問題で、監査法人は 正式監査でない「保証業務」 の形で8月末までに財務内容を検査することになった。
 国土交通省は、正式監査でなくても「外部に十分チェックしてもらったということになる」としているが、外部の関係者は一様に懐疑的。「保証業務」は、公団の財務諸表検討委員会が採用した 会計基準通りに財務諸表を作ったかどうかなど計算方法や手続けだけを検査するもので、 採用した会計基準自体が適当かどうか や建設中金利の資産算入の妥当性など債務超過かどうかにかかわる肝心の部分には全く踏み込まないからだ。

2003年7月23日 東京 道路公団の財務諸表入札 4大監査法人が拒否 「会計基準があいまい」

記事要旨:
 日本道路公団の現役幹部が、藤井治芳総裁による債務超過の財務諸表隠ぺいを内部告発した問題で、4大監査法人が、「 会計基準が詳細に定まっていない」などとして入札参加を事実上拒否していたことが22日、明らかになった。
 監査法人側は「会計基準が詳細に定められていないため判断に幅が出てくる。 監査結果が政治的に利用されかねない 。そもそも1ヶ月間では監査は無理だ」などと反発、入札前の業務受託条件の最終調整ができなかった。

コメント:
 日経の記事では、「保証業務」では会計基準通りに財務諸表を作ったかどうかだけしかみないから、監査と違って十分なチェックにならないといっていますが、これは間違いです。(財務諸表)監査は、 財務諸表が会計基準に準拠して作成されているかどうかを、財務諸表の作成者とは別の主体である監査人が、監査基準に従って確かめることなので、監査であっても、会計基準自体が妥当かどうかについて監査人が意見をいうことは原則としてありません。
 今問題になっているのは、道路公団が債務超過になっているかどうかということですが、まず、どのような会計基準を適用して財務諸表を作成するのかはっきりしていなければ、議論する意味はありません。Aという会計基準であれば債務超過だが、別のBという会計基準を適用すれば債務超過ではないということは、おおいにありうることです。そして、道路公団の財務諸表にはAとBのどちらの会計基準が妥当なのかは、監査人が決める話ではありません。
 東京新聞の記事によると、道路公団の財務諸表監査を4大監査法人は拒否したようですが、どの会計基準を使うのかについてコンセンサスができていない(あるいは政治問題化している)状態では、監査の前提が成立しないので、当然の対応だと思います。
 例えば、報道によれば道路公団は再調達原価で固定資産を計上する会計基準を採用したようですが、車の数よりヒグマの数の方が多いような高速道路を、今作ったらいくらになるかという再調達原価で評価することに意味があるのかは疑問です。監査を実施する以前に会計基準を十分に議論すべきだと思います。
 なお、日経の記事では「保証業務」と監査を別物であるかのように書いていますが、これもあまり正確ではありません。作成者が作った情報をその作成基準に照らして第三者が確かめることが保証業務なので、財務諸表監査も広い意味の保証業務の中に含まれます。財務諸表監査以外の保証業務としては、レビューや「 合意された手続」などがありますが、新聞報道などから推測すると、道路公団の場合「合意された手続」を実施するのでしょう。つまり、道路公団と監査法人との間でどのようなチェック作業をやるのかをいちいち定め、その定められた作業を監査法人が実施する(そのチェック作業で十分なのかは問題としない)ということになります。会計基準もあいまいで、時間も限られているとなれば、そのような方法でやるしかないと思われます。

2003年7月25日 日経  減資の幻想 あいまいな株主責任  新資本政策(3)

記事要旨:
 6月1日にそごうと経営統合し、「ミレニアムリテイリング」傘下に入った西武百貨店。統合に先立って実施した減増資は、企業再生ビジネスに携わる人たちの評判が良い。
 西武は発行済み株式全体に占める旧株式の持ち分を1割にまで減らし、100%増減資 に近い形にした。債務超過状態にある西武では、バランスシート上の株主資本はマイナス。このため1株10円台で新株を発行できた同社は、100億円の増資で新株主が9割の持ち分を獲得できた。
 対照的に、2002年2月期に連結債務超過に陥ったダイエーは、上場しているので株価を無視できず、昨年末の増資では1株125円で新株を発行 せざるを得なかった。昨年に西武の95%を上回る99%の減資を実施しているにもかかわらず、旧株主は普通株ベースでなお発行済み株式の8割以上を握っている。
 株主が払い込んだ資本金を減額する「減資」が多用されている。これで株主が責任をとったと見られがちだが、実は「会計上の処理に過ぎず無関係」だ。減資は欠損金を資本金の取り崩しで穴埋めする行使で、旧株主の持ち分比率に影響を与えないからだ。

コメント:
 記事では西武百貨店とダイエーを対比させて論じていますが、たしかにダイエーの場合は株主に甘いスキームとなっているようです。
 記事によれば、上場しているため新株の発行価額が高くなったとされていますが、これもおかしな話です。企業を買収しようとする場合には、買収話が出る以前の株価よりも高い値段で株式を買い取ることはよくあることです。それは、買収側の企業にとって、その高い値段だけの価値がある株式だからです。ある企業を支援するために増資を引き受ける場合も同じことで、支援する側は、株価とは関係なく、支援する側が妥当と考える発行価格(例えば10円)を提示し、支援を受ける側がそれでは低すぎると思うのなら、もっと良い条件を出してくれる支援者を捜してくればよいのです。もし10円を提示する支援者しかいなければ、株式市場も株価が高すぎたことに気づいて、10円に向けてさがっていくことになり、結果として新株の発行価格と株価が近い水準になるはずです。
 株主に甘いスキームといえば、熊谷組やフジタの会社分割も例に挙げられます。両社とも債務超過でありながら、健全部門を分割しその株式を株主に分配するという形になっています。債務免除を受けた会社の株主なのに、会社から健全会社の株式をもらえた(その分債権者に回るお金が減った)わけですから、こんなに甘い話はありません。

2003年7月25日 日経  三菱自、9月中間予想 黒字100億円から一転 赤字800億円に

記事要旨:
 三菱自動車工業は24日、北米事業の不振により、2003年9月中間期の連結最終損益が800億円の赤字になる見通し。従来予想は100億円の黒字だった。
 三菱自動車は、購入から一定期間支払いをしないで済む特別な低金利ローン を展開。若年層の需要を開拓してきたが、貸し倒れが多数発生した。この処理のため中間期に 500億円の特別損失 を計上する。
 2003年3月期にも将来の損失発生を見込んで360億円の引当金を計上したが、予想を上回る貸し倒れが発生して追加計上を余儀なくされた。同日、記者会見した橋本圭一郎副社長は「 貸し倒れ発生率の見積りなど過去の予測が甘かった」と述べた。

コメント:
 製造業の会社が販売促進のために金融部門を持つことはよくあることであり、特に自動車会社では収益の柱の一つになっています。
 一部の自動車会社ではよく低金利キャンペーンをやりますが、通常の金利との差額は一般に自動車部門が販売時に負担するため、金融部門は通常の金利を稼ぐことができます。会計処理としては、販売時には、車両販売粗利から金利差額を引いたものが、利益として計上されることになります。
 三菱自動車の場合は、低金利だけでなく「購入から一定期間支払いをしないで済む」ローンを実施していたようですが、このようなローンでは、最初からローンを返すつもりがなく、支払い猶予期間中だけ乗り回すことができればよいという顧客が一定割合集まるので、貸し倒れ率は通常のローンより高くなることは誰でも予想がつきます。貸し倒れ率が高くなる分は、金融部門で貸倒引当金をより多く計上するとともに、自動車部門からその分を補填してもらわないと、金融部門はたちゆかなくなってしまいます。三菱自における処理はよくわかりませんが、通常よりも増加する貸し倒れ予想分について、金融部門に対する支援金が計上されていたのではないかと思います。
 しかし、金利の差額であれば販売時に確定していますが、貸し倒れは予測でしかありません。増加する貸し倒れを低く見積もれば、それだけ自動車部門の利益は多く計上されます。自動車部門としては利益が多く出る取引を増やすでしょうから、貸し倒れ率を実態より低く見積もったために、特別ローン付販売に傾斜していったということが考えられます。
 特殊な販売方法を採ったために一時的に実力以上の利益が出てしまい、経営の舵取りを誤った例といえるのかもしれません。

参考: 三菱自動車工業のサイトより  

2003年7月20日 日経  監査法人本社調査 「監査厳格化した」68%

記事要旨:
 監査法人が上場企業の会計監査を厳格化していることが、日本経済新聞社の調査でわかった。2003年3月期決算で68%の監査法人が厳しくしたと答え、そのうち8割が「繰り延べ税金資産の査定」を厳格にした。
 厳しくした点については8割の20法人が「繰り延べ税金資産の査定 」と答えた。次に多かったのが「 引当金の評価」で56%の14法人。貸出債権や売掛金の回収可能性を入念に吟味し、引当不足を指摘する例が増えた。
 繰り延べ税金資産の評価では32%の12法人が「企業側と対立があった」と答えた。 会計士により繰り延べ税金資産の評価に違いが出るか どうかも尋ねたところ、43%が「違うことが多い」と回答。「必ず違う」と合わせると49%が判断の違いが起きる可能性を認めた。
 監査で難しい点として59%が「企業の破綻リスクのチェック 」と答えた。

コメント:
 繰延税金資産にしても引当金にしても、いわゆる会計上の見積り に関する項目です。会計士協会の監査基準委員会報告によれば、会計上の見積りは、仮定の設定などに関して 主観的判断を伴うことが多いためリスクが高いとされています(会計士によって評価が違うのもある程度やむを得ない)。従来は、売上や在庫の水増しのようなあからさまな粉飾を見逃すのは許されないが、引当金などの見積項目については、会社の出してきた数値がよほどおかしくない限り認めようという傾向もありましたが、金融機関の繰延税金資産や貸倒引当金のように、世間の注目が集まっている事項については、どの監査法人も厳しく見ざるを得ないのでしょう。今後も減損会計のような見積りの固まりともいえる会計基準が導入され、見積項目が重視される傾向はしばらく続くと思われます。
 なお、記事で「企業の破綻リスクのチェック」といっているのは、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提 に関する開示や監査上の扱いのことだと思いますが、誤解を招く言い方です(本当に監査法人がそんな回答をしたのでしょうか)。会計士・監査法人は帝国データバンクではないので、企業が破綻するリスクがどのくらいかなどということをチェックして情報提供する責任は負っていません。継続企業の前提に疑問があるときに、そのことを開示するよう企業を指導し(ただし開示する責任は企業にある)、監査報告書にも書くというのが 監査人の役割ですが、たしかに開示を求めるかどうかを判断するのは難しいといえます。

2003年7月16日 日経  米会計基準企業 連結外の取引 開示拡充

記事要旨:
 ソニー、オリックスなど米国会計基準を採用する企業が、特別目的会社(SPC) のようなペーパーカンパニーを使った連結外取引の情報開示を拡充している。米エンロン事件をきっかけに帳簿外取引に関する会計・開示基準が強化されたためだ。
 各社とも2003年3月期決算から情報を開示した。
 有価証券報告書で1ページ半近くにわたって詳細に開示したのがソニー。米国子会社が SPCから本社ビルを借りる 形式を取っており、賃貸期間終了後にビルを転売する場合、損失が発生する可能性があると指摘。
 オリックスは連結していないSPC等の総資産が2160億円に上ると明記。「顧客企業から 不動産の流動化 などで依頼を受けて設立したものだ」という。
 野村ホールディングスも連結していない資産が8180億円に上ると開示した。
 各社の開示内容は出資や貸付金、債務保証などが中心で、全額が損失となる恐れはかなり小さい。

コメント:
 わが国では連結会計原則の改正の際に支配力基準が取り入れられ、連結外しはできなくなったといわれていますが、それとほぼ同じタイミングで 特別目的会社の取扱いに関する特例が決められています(「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」)。これによると、一定の条件を満たしていれば、特別目的会社は、支配力基準にかかわらず出資者の子会社等としなくてもよいことになっています。一定の条件といっても非常に抽象的であり、歯止めにはなりそうもない基準です。
 もちろん、金融商品会計基準で金融商品の消滅の基準が設けられたり、会計士協会でSPCを使った不動産の流動化に関する実務指針が設定されたりしているので、ある程度の制限はかかっているといえますが、それらをかいくぐって新しいスキームを作ることがもてはやされる傾向もあります。
 わが国ですぐにエンロン事件のような不正が発生する可能性が高いとは思いませんが、連結範囲に関する新しい議論(すでに米国では始まっている)が落ち着くまでは、米国並みの注記を義務づけ、いかがわしいスキームを牽制する 必要はあると思います。

参考:ソニーのサイトよりオリックスのサイトより 野村ホールディングスのサイトより

2003年7月16日 日経金融  特損3期連続減だが減損・年金・リストラ重荷

記事要旨:
 2006年3月期にも導入が見込まれる減損会計への前倒し対応、運用環境の悪化で資産の目減りが続く年金の処理、恒常化しているリストラ費用−−。日本企業の2004年3月期は連結経常利益で15%増益が見込まれる中、3つの特別損失が利益を圧迫する。ただ、企業全体の特損の総額は3期連続で減少する見通しで、損失処理は峠を越えた。
 日本たばこ産業は毎期に支出分だけを計上していた 共済年金負担について、退職給付引当金に含めて計上するように会計方針を変更 する。今期の引当金計上見込み額は1850億円で、特損として一括計上する。連結最終損益は200億円の赤字に転落する。

コメント:
 日本たばこ産業のホームページによると、記事でいっている共済年金負担とは、昭和31年6月以前(公共企業体職員等共済組合法施行日前)の給付対象期間に係る共済年金給付費用の負担のことであり、すべて事業主である日本たばこ産業が負担するもののようです。
 従来は、毎年、社会保険庁等からの通知額に基づく支払額を費用として計上していたということなので、(国が給付の責任を有する)厚生年金保険料と同様に処理していたということになります。それが、今年度から退職給付引当金を計上する方法に変更するということなので、実は 確定給付型の企業年金であったと、認識を改めたことになります。
 常識的に考えても、昭和31年(1956年)に在籍していた従業員はもうだれも残っていないはずであり、年間100億円以上(同社ホームページによる)の支出額は、すべて現時点では会社に何らの役務も提供していない退職従業員のために支払っているものであるので、当然、(支払いまでの利息相当分を除き)全額引当すべきと考えられます。
 記事や同社ホームページでは会計方針の変更といっていますが、厳しい見方をすれば、 過年度の会計処理が間違っていた のを今年度修正するだけであるといえます。
 
参考: 日本たばこ産業のサイトより

2003年7月15日 日経  ストックオプション 周回遅れの導入熱 上場企業の3割付与

記事要旨:
 ストックオプション(株式購入権)が広がっている。日興コーディアル証券などの調べによると6月末までに 上場企業の約3割がストックオプションを導入 した。
 日産自動車は1999年に当時の執行役員ら30人に疑似ストックオプションを付与。仮に14日の終値で売却したとして単純計算すると売却益は総額65億円、1人当たり2億200万円弱となる計算だ。
 日産は今年になって650人強の従業員らにも付与。まだ権利行使はできないが、含み益は合計35億円、1人当たり500万円を超える。
 ストックオプションは昨年4月の商法改正をきっかけに導入熱が一段と高まった。
 企業の賃金抑制も導入拡大の背景。現金給与は人件費として損益に影響するが、ストックオプションは付与しても、今の会計制度では費用計上する必要がない。企業は 人件費を抑えながら社員の成果に報いることが可能となる。
 日本では昨年6月から企業会計基準委員会がストックオプション会計の議論をスタート。産業界は「計算方法が複雑で信頼性が低い」と反対姿勢だが、米国などの動向を踏まえると、日本も費用計上は避けられないとの見方は多い。

コメント:
 今までも何回か書いてきましたが、ストックオプションを費用計上するかどうかにかかわらず、ストックオプションという形態で支払われた人件費を、株主は持分の目減りという形で負担しているはずです。つまり、ストックオプションを使ったからといって、人件費が抑えられ、負担がなくなったわけではなく、単に表に出なくなっただけのことです。 ストックオプションの時価の算定が「複雑で信頼性が低い」というのは、ある程度あたっていると思いますが、だからといって無視してよいものでもないでしょう。また、時価で算定することが難しいのであれば、最低限「 本源的価値」で評価し費用計上する方法も考えられます(ストックオプションの付与時点では行使価格が時価を上回るのが通常なので、本源的価値ではゼロ評価となりますが、行使価格1円のストックオプションを与えて役員退職金のかわりにするといったケースにはある程度対応できます)。
 ただし、ストックオプションを費用計上するとしても付与時点の評価額 で費用計上するので、それほど大きな金額にならないとも考えられます。記事で取り上げられている日産自動車の例では、日産の業績や株価が回復した現時点でオプションの価値を算定すれば、大きな金額になるのかもしれませんが、99年当時の条件でストックオプションの価値を計算すれば、大した金額ではなかったはずです。

参考: 企業会計基準委員会のサイトより

2003年7月15日 上毛新聞  上毛新聞社 賠償求め会計士提訴

記事要旨:
 上毛新聞社の元社長らが同社などに損害を与えた特別背任事件に絡み、同社と顧問契約を結んでいた公認会計士が 取締役会に元社長の不正を隠すなどの虚偽報告や不適正な指示をしたため損害を被ったとして、同社は14日までに、A会計士とA会計士が代表社員を務めていたB監査法人を相手取り、 総額6億円余りの損害賠償を求める民事訴訟を、東京地裁に起こした。
 訴状によると、A会計士は遅くとも1998年2月ごろまでに、元社長が実質的に経営する不動産会社・亀山社に上毛新聞社から 資金を不正に貸し付けたり、商社の兼松に対する亀山社の債務を上毛新聞社側に不正に付け替えた ことを認識。しかし、付け替えについて隠ぺいしたまま、同年3月、上毛新聞社の取締役会に貸し付けを追認させた、としている。
 上毛新聞社は追認の際、元社長所有の同社株や亀山社所有のリゾートマンションを 貸付の担保 としたが、A会計士が上毛新聞社株について米国の 鑑定機関に不適切な会計資料を示して株価算定を高額に誘導 し、担保が多すぎるとしてマンションの抵当権を解除させるなどしたため、多額の損害を被ったとしている。
 98年から99年にかけ、A会計士は上毛新聞社と財務・会計の顧問契約 を、B監査法人は同社と 会計監査契約を結んでいた。

コメント:
 経営者による不正に対して監査人がどのように対応すべきなのか、考えさせられる事件です。
 この会計士や監査法人が、トップの不正を単に見逃していただけなのか、あるいは、もっと積極的に元社長側に加担していたのか(担保評価を高額に誘導していたとしたら元社長側の立場で行動していたと考えられる)は、判断がつきませんが、いずれにしても、重要な不正・違法行為を発見したのであれば、当然取締役会や監査役に報告すべきです。
 もちろん、その当時、この会社の取締役会や監査役がきちんと機能していたかどうかは疑問ですが、報告しても是正されないということであれば、監査人を辞任するという選択肢もあったはずです。
 6億円という賠償請求も巨額です。公認会計士法の改正では結局、監査法人の有限責任制 は取り入れられませんでしたが、数十人から数百人いるパートナーのうちのひとりでもいい加減なことをやれば、無限連帯責任で他のパートナーも責任を負う可能性があるというのも、非常に厳しいといわざるを得ません。
 また、監査法人として監査契約を結んでいながら、その代表社員が顧問契約を結んでいたというのも引っかかる点です。独立性の点で問題はなかったのか気になります。さらに、担保の評価に会計士が関与していた点も気になります。監査人の 非監査業務をどの程度制限すべきなのかについては、会計士法の改正でも問題となっていますが、法律上制限されるかどうかにかかわらず、利害の衝突が生じうる場合には慎重に対処すべきでしょう。

2003年7月12日 日経  減損処理の候補選び 50%下落が目安

記事要旨:
 企業会計基準委員会は11日の会合で、固定資産の減損会計の対象となる資産の候補は市場価格で 下落率が50%程度以上 に達している物件とすることを決めた。
 減損会計ではまず、対象となりうる資産を洗い出す。実際に損失を計上するかどうかは一定のルールに基づいてその中から絞り込む。
 会計士や投資家からは「減損の候補資産に引っかかったからといってすべて損失処理することにはならず、下落幅は3割とするのが望ましい」との意見もあったが、産業界が「 まともな経営者であれば危ない資産は50%下落していなくても自主的に落とす」と主張した。
 減損会計専門委員長を務める委員も「不動産の場合は減損の候補になれば、損失処理する可能性が高い ことから30%とするのは厳しい」と50%以上を支持した。ただし、企業が望む場合は、下落率が50%に達しない場合でも減損の候補資産として認めることとした。

コメント:
 減損会計基準では、減損の兆候を示す資産があれば、その将来キャッシュ・フローを見積もって減損処理するかどうかを判定することになっています。減損処理をもれなく行うためには、本来、対象資産すべてについてキャッシュ・フローを見積って判定すべきですが、減損の兆候がある資産だけ詳しく調べ、問題のなさそうな資産は無視するということにしても、結果は大きく変わらないはずであり、また、会計処理を行うためのコストを大幅に節約できるという理屈だと思います。
 ところが、記事を読む限り、企業会計基準委員会では、全く逆さまな議論が行われているようです。
 まず、ある委員は、不動産は損失処理する可能性が高いから、50%以上の下落でなければ減損の兆候がなかったことにしようといっているようです。これでは、精密検査を受ければSARSと診断される可能性が高いから、精密検査を受けないようにしようといっているのと同じです。(30%下落では減損損失を計上しなければならないと判定される可能性がほとんどないから50%基準でよいというのなら、一応理屈は通りますが・・・)
 また、まともな経営者であれば自主的に落とすはずだから50%でよいという理屈もよくわかりません。50%下落していなくても自主的に落とすのがまともな経営者のやることであるなら、ルールとして例えば3割以上下落していればキャッシュ・フローを見積るということにすれば、まともでない経営者もまともな経営者と同じ行動をとらざるを得なくなり、より望ましい結果となるのではないでしょうか。
 ただし、30%か50%かという議論は、減損の兆候の議論の一部分でしかありません。減損会計基準では減損の兆候として、資産の市場価格の著しい下落の他に3つ挙げており、仮に50%(または30%)基準をクリアしても、他の3つのうちのどれかにあてはまれば、キャッシュ・フローを調べなければなりません。また、兆候として挙げられている事象は例示でしかないので、仮に例示されているどの事象にも該当しない場合でも、他に何らかの減損の兆候があればキャッシュ・フローを見積る必要があります。キャッシュ・フローを見積もれば減損処理せざるを得ないことがわかっている資産を、4つの兆候の例示に形式的に当てはまらないからといって無視してしまうのは、減損基準の趣旨に反することになります。

2003年7月12日 日経  日経平均9000円維持なら 旭化成の来期営業益50−60億円押し上げ

記事要旨:
 株高による運用環境の好転が、年金会計を通じて旭化成の2005年3月期の業績にプラスに働く可能性が出てきた。
 旭化成は前期に、過去分の退職給付債務の積み立て不足を一括償却、1259億円の特別損失を計上した。同時に当該年度に発生した 数理計算上の差異を翌年度の人件費として一括償却することとした。今年度の運用成績が期待収益率(2.5%)を上回れば、その分がまるまる「積み立て余剰」になり、来期の増益要因となる。
 年度を通じて日経平均が9000円で推移すれば、積み立て余剰は50−60億円、1万円なら前期の連結営業利益の約2割に相当する120ー130億円程度になるという。
 昨年度は運用環境が悪かったため積み立て不足が発生した。この償却のため今期は連結営業利益を175億円押し下げた。

2003年7月10日 日経 企業年金 利回りプラス 4−6月は7%

記事要旨:
 格付投資センター(R&I)の調べによると、2003年4−6月期の 企業年金の運用利回りは7%のプラス と、2002年1−3月期以来5四半期ぶりにプラスに転じたもようだ。運用資産のうち平均25%を占める国内株式の成績が、15%のプラスとなったことが寄与した。

コメント:
 記事によれば、このところの株価の上昇は、企業年金の年金資産の運用にかなりのプラスの影響を及ぼしているようです。年金資産の運用成績が期待収益率を上回れば、数理計算上の差異(有利差異)の償却としてして、通常、翌年度の損益から徐々に効いてきます。2002年度の運用成績は全くふるわず大幅な数理計算上の差異(不利差異)が生じた会社が多かったようですが、2003年度でかなりの有利差異が発生すると、2004年度以降は、2002年度(あるいはそれ以前)に生じた不利差異の償却が2003年度の有利差異の償却である程度相殺され、影響が緩和されることになります。
 以上は、数理計算上の差異を平均残存勤務期間以内の一定の年数で償却する方法を採った場合の説明ですが、旭化成のように一括償却を採用する場合には、影響の出方がまったく違います。一定年数で償却する場合には数理計算上の差異の影響は徐々に表れ、また、期待収益率などの基礎率の設定が適切であれば、長期的にはプラスの差異の償却とマイナスの差異の償却が相殺され、営業利益への影響も軽減されます。それに対して、一括償却の場合は年金資産の運用の結果が翌年度の損益にもろに影響し、営業損益が大きく変動する要因となります。
 長期金利も上昇傾向にあるようですが、仮に金利が大幅に上昇し退職給付債務を計算する際の割引率を引き上げるということになると、多額の有利差異が生じます。これも、一定年数で償却する場合と一括償却の場合とでは、全く影響が異なります。
 どちらの方法が望ましい方法かということはなかなか判断がつきませんが、かならずしも一括償却の方が保守的で健全な処理とはいえないという点には注意すべきだと思います。

2003年7月9日 日経夕刊  米マイクロソフト 従業員ストックオプション廃止

記事要旨:
 米マイクロソフトは8日、従業員向け株式購入権(ストックオプション)を9月に廃止し、代わりに自社株を無償で支給する報酬制度を導入すると発表した。
 新制度では株式を付与した時点の株価だけ会社に会計上の費用が発生 する。新制度導入を機に同社は、発行済みストックオプションの推定費用を過去にさかのぼって計算、それを差し引いて過去の利益を計算し直す。

コメント:
 米国の現行基準ではストックオプションについては費用計上しなくてもよい(厳密には本源的価値の部分は費用計上する)ことになっているものの、マイクロソフトの新制度のように自社株を無償で交付した場合には、費用計上が強制なのでしょう。
 わが国でも、役員退職金の代わりに自社株を無償で(または行使価格1円のストックオプションとして)交付する例があるようですが、費用計上は全くなされません。会計基準の不備といえます。
 また、米国では、ストックオプションも自己株の交付も、企業にとっては税務上損金となるのに対し、わが国の税制では、たしか、全く損金としては認められないはずです。ストックオプションや自己株を報酬の支払いに使っている企業は、支払報酬を損益計算書から隠していると同時に、税務上不利な報酬の支払方法をわざわざ採用していることになります。

2003年7月4日 日経  元取締役が為替差損隠す バーテクスS

記事要旨:
 無線通信機器販売のバーテクススタンダードは3日、2004年3月期の連結最終損益が2億1000万円の黒字になりそうだと発表した。 元取締役経理部長による為替差損の隠ぺいが社内調査により発覚、 6億4400万円の特別損失 を計上することが響く。
 同社によると2002年3月期から2003年3月期にかけて為替予約取引で発生した為替差損は9億7000万円だったが、この元役員は不適切な会計処理によって6億4400万円を隠ぺい、 監査法人に提出する為替予約残高書の改ざんもしていた。
 6月27日の株主総会後に発覚し、元取締役も事実を認めたため、6月30日に懲戒解雇した。

コメント:
 会社ぐるみではないにせよ、為替差損を隠していたということは、 2003年3月期決算は粉飾決算 だったことを意味します。本来は、新年度で損失計上するのではなく、2003年3月期決算の修正ということで遡及して決算をやり直すべきと考えられます(ただし、制度上このような場合の扱いはあいまいであり、粉飾が発見された年度の決算で損失計上する処理も認められるのかもしれませんが)。
 記事によると、為替予約が絡んだ粉飾のようです。為替予約はデリバティブの一種であり、時価評価する方法の他、いわゆる振当処理をする方法などいくつかの会計処理方法があります。いずれの方法を採る場合でも、通貨の種類、期日、予約レート、予約残高などの 為替予約の内容をきちんと把握することが、正しい会計処理の前提になりますが、記事の例では、金融機関の為替予約に関する計算書などを改ざんして監査人を欺いていたということのようです。監査人の方も、為替予約の残高確認を金融機関から直接入手し、それに照らして会計処理をチェックしていれば発見できた可能性がありますが、そこまで徹底してやっていなかったのかもしれません。
 内部統制という見方からは、元経理部長がなぜこのような不正を行ったのか、また、どうしてこのような不正が可能だったのかが気になります。推測になりますが、為替予約に関する責任と権限がこの元経理部長に集中していて、強いプレッシャーを受けると同時に、他の担当者によるチェックが効かなかった面があるのかもしれません。

参考:バーテクススタンダード のサイトより

2003年7月4日 日経  四半期業績の発表 来月8日がピーク

記事要旨:
 東京証券取引所は3日、2003年度から義務づけている四半期業績の開示について、3月期決算企業の4−6月期業績の発表予定をまとめた。 36%の企業が財務諸表の開示を予定する一方、売上高と概況のみの開示にとどめる企業は41%に上った。発表のピークは8月8日となる見込みだ。
 四半期開示では会計士による会計監査まで義務づけておらず 、企業の判断で業績を発表する。

コメント:
 四半期情報の開示については、会計士の関与が義務づけられていないだけでなく、会計処理自体もきちんとしたルールがありません。例えば、四半期決算では有価証券の評価損を計上しなくてもよいことにすべきという主張も一部でなされています。四半期の数値を見るときには、どの程度厳格な会計処理基準を採用しているのか、十分注意することが必要と思われます。
 また、会計士・監査法人の関与の方法についてもルールがない状態です。会計処理基準がはっきりしていないのに、会計士が何らかの意見を言えるのかという根本的な問題があるほか、関与する場合でも、中間監査レベルのチェックをすべきなのか、米国のいわゆるレビューのレベルでよいのか、あるいは、もっと簡単なチェックでも関与したといえるのかなど、肝心なことが全く決まっていない状態です。

参考: 東証のサイトより

2003年7月1日 日経  減損会計で会計基準委 資産の区分け方法など議論

記事要旨:
 企業会計基準委員会は30日、減損会計専門委員会を開き、減損処理が必要かどうかを判定する際の資産の区分け( グルーピング)方法などについて議論した。今秋に公表を予定している実務指針で区分けの手順をどこまで具体的に示すべきかについて意見が交わされ、一部の委員からは「細かく決めずに 企業に任せるべきだ」との意見が出た。
 大枠を定めた減損会計基準では、管理会計上の区分などを考慮することになっているが、企業によって収支を把握している区分が異なっていることもあって、議論が難航している。

コメント:
 会計基準の決め方には、何でも細かくルール化していくやり方(米国基準は一般にそうだといわれています)と、原則的な考え方だけを示すやり方(IASがこの方法)があるそうです。減損会計基準では資産のグルーピングについて、 概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位といった抽象的な決め方しかしておらず、まさに原則主義といえます。(ちなみに基準では管理会計上の区分をそのままグルーピングの単位にしろとは言っていません。)
 実務指針のレベルではそうした抽象的な決め方では不十分ということで議論しているのだと思いますが、あまり形式的で細かなルールを設けると、それさえクリアしていれば、どんなグルーピングも認められるというような誤解が生じるおそれがあります。かといって企業にすべて任せてしまったら、恣意的な処理が横行する可能性があります。非常に難しいところだと思います。

2003年7月1日 日経  佐川急便、初の決算公表

記事要旨:
 非上場企業の佐川急便は30日、これまで公表していなかった 決算を初めて公表した。
 佐川は決算で東京佐川事件に絡んだ不良債権が5966億円あったことを明らかにしたうえで、03年3月期で処理を終えたことを示した。不良債権処理とともに 有利子負債の圧縮に取り組んでおり、期末の残高は 3944億円 と、東京佐川事件直後の91年12月末に比べ約5400億円削減した。

コメント:
 非上場とはいえ株式会社である以上従来から決算を公告する義務 はあったはずです。これまでずっと商法違反の状態が続いていたということなのでしょうか。
 もちろん、株式会社といっても、中小零細企業まで決算を開示する必要があるかどうかは議論の余地があると思いますが、有利子負債が約4000億円もある会社が、非上場というだけで法定の開示義務を全く免れていたとしたら、大いに問題ではないかと思います。

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