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わが国の環境中には環境汚染物質や微生物(カビ、細菌、ウイルス)が存在してお り、人が出入する度に建物や乗物内に侵入します。 今まで環境汚染物質と微生物の侵入を防ぎ内部を清浄に保つ簡便な方法がありませ んでした。また、消防白書によると1994年以後毎年6万件以上の火災が発生して おり、その中の1万件以上は放火が原因です。火災による死者は毎年2000人に達 し、その3人に1人は放火による火災で亡くなっています。 出火後の対策には火災報知機や消火設備および消火器で対応しています。出火と伝 炎を防ぐ目的で、多くの人が出入りする建物内では防炎製品を使う事が消防法により 決められています。しかし、防炎製品多くは高温時に煙と有毒ガスを発生しながら溶 けて消失します。 本カーテンは炎に接しても燃えず、煙とガスも発生せず、伝炎を遮断して延焼を防 ぐカーテンです。さらに微生物を殺滅し化学物質を分解する環境浄化機能をもつカー テンです (特願 2000−350296) 本カーテンの開発のコンセプトと機能について以下に述べます。 |
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以前からガラス繊維で織ったクロスで作った不燃性のカーテンが販売されていまし た。これらのカーテンには樹脂をコーティングして、繊維の破損と織り目の「づれ」 を防いでいました。しかし、樹脂の被膜が柔らかいため短期間で破れガラス繊維が露 出してしまいました。 表面の保護膜が破れたガラスクロスのカーテンは開閉する度にガラス繊維が剥がれ 粉塵となって飛散し、皮膚や目に付着するクレームが発生しました。 その当時はガラスクロスの表面を保護し粉塵の発生を防ぐ不燃性で強靭な塗膜を形 成する塗料がなかったため、対応策が施せませんでした。 その結果、ガラスクロスで作ったカーテンは売れなくなり、現在では壁用のクロス として若干販売されているに留まっています。 そして、不燃カーテンのマーケットは防炎カーテンに吸収されましたが、新たな問題 も起きています。 |
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3.1 防火性の欠如 化学繊維や天然繊維を防炎加工をしたカーテンが地下街、高さ31m以上の建物、 劇場、集会場、飲食店、遊技場、デパート、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚 園、看護学校等に使われています。これらのカーテンは火に接しても炎上しませんが 融点(熱分解点)に達すると、黒煙と有毒なガスを発生しながら溶け、または炭化し て壊れます。(表1)そのため防炎カーテンの形状が消失するので炎を長時間防ぐこ とができなくなります。そして、現代の建物火災による死者は焼死者より、煙や有毒 ガスにより死亡するケースが多いことが指摘されています。 (表1) 繊維の融点(熱分解点)
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3.2 殺菌性の欠如 多くの人が出入りする建物や、乗物の内には環境常在菌と人々が放出した様々な微 生物が存在するため、交差感染が起こりやすい環境になっています。その中でも、咳 やくしゃみと共に放出される飛沫の中に含まれている細菌やウイルスによる集団感染 がクローズアップされています。 抗菌加工をした防炎カーテンは表面に付着した微生物の繁殖を防ぐことはできます が、微生物を殺菌する効力がありません.したがって抗菌カーテンの表面に付着した 微生物は、カーテンを開閉する度に剥がれて、生きたまま空中に飛散し拡散します。 |
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3.3 環境浄化能力の欠如 わが国の大気中にはNOx、SOx、SMPや降下ばい塵、農薬等が存在していて 、扉や窓から建物内に侵入します。室内では建材や日用品からVOCや環境ホルモン が放出され、気密化された内部に滞ります。 従来の防炎カーテンは居住環境に侵入する防汚物質を防ぐことも、内部で発生した 汚染物質を浄化することも出来ません。 |
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本カーテンは炎に接しても燃えず煙や有毒ガスの発生がなく、高温に接しても溶け ず変形もしない素材で作りました。さらに表面を光触媒塗料の塗膜で覆い、接触した 有機物(化学物質)を分解すると共に、微生物を殺滅して環境を浄化することを目的 に開発したカーテンです。 |
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4.1 しくみと構成 本カーテンはマイクログラスヤーンを緻密に織った布を熱処理した後に光触媒塗料を 塗布して作りました。(写真1)
この光触媒塗料には疎水成分を光触媒反応で分解されない形で配合してあり、常温 で硬化します。 |
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4.2 不燃カーテンの物性 本カーテンに塗布した光触媒塗料(A−189)はガラスと共通の成分(ケイ素) を含有しています。この塗料をガラスに塗布すると硬化後はガラスと一体になり剥離 することがありません。 A−189を開発中、ガラスに塗布した塗膜の硬度測定を数百回実施しましたが、 塗膜が破れたり剥離したことは一度もありません。 塗膜の指触乾燥時間は3分で、2時間後に鉛筆硬度Hに硬化し、4時間後には5H の硬い塗膜に硬化します。 (JIS K 5404 鉛筆硬度試験) したがってこの塗料の塗膜はガラスクロスから剥がれることがないので通常の使い 方ではガラス繊維の粉塵が発生しません。 |
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4.3 不燃性 本カーテンに使用した光触媒塗料の主成分は二酸化ケイ素(融点1610℃)と酸 化チタン(融点1858℃)であり、ガラスクロス(軟化点840℃)の表面を覆っ ています。このため、ガラスクロスの織り目は高温に接しても目ずれが起きず、元の 形状を保つので長時間、熱による変形を防ぐことが出来ます。 本カーテンの上にアルミニウム金属片を置き、バ−ナーでその融点(660℃)以 上の高温に加熱して溶解させました。アルミニウムは完全に溶けましたが、本カーテ ンから炎、煙、ガスの発生は見られず、しかも熱による変形がなく元の形状を保って いました。(写真2)
本カーテンは窓枠やカーテンの取付フレームに使用しているアルミニウムより耐熱 性が高いので、従来の防炎カーテンより火災時の伝炎を長時間、遮断することができ ます。 |
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4.4 殺菌機能 光触媒反応により発生するOHラジカルの酸化力は殺菌に使われている塩素や過酸 化水素、オゾンより強くすべての微生物を殺菌することができます。 反応に使われる紫外線の光子が持つエネルギーは熱エネルギーに換算すると3万ケ ルビン以上(約30,000℃)に相当します。 塗膜の表面で3万ケルビンで進行する化学反応が起きると、接触した微生物はCO2 とH2Oに分解されてしまいます。(反応による温度上昇はありません。)光触媒反 応による殺菌力は従来の殺菌剤とは異なり微生物に対する選択性がなく、表面に接触 したすべての微生物を殺菌し、その菌の死骸とそれらが産生した毒素まで酸化分解し て消滅させます。 |
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4.5 抗菌性 本カーテンの抗菌性を以下の方法で試験をしました。 本カーテンと未加工のガラス布を4cm角に裁断した試料を滅菌済シャーレに分注 した培地上に接地しJIS Z2911規格の試験菌を接種しました。試験中27ワ ットの蛍光灯の光を50cmの距離から照射(紫外線強度1μw)しながら、一ヶ月 間培養しました。 (1μw=1マイクロワット=百万分の1ワット) その結果、未加工のガラス布には接種した試験菌が繁殖しましたが、試料とその周 囲の寒天培地にはまったく菌が繁殖しませんでした。(写真3)
この結果は試料の表面で起きた光触媒反応により発生した酸化力が試験菌を殺滅し たことを示唆しているものと考えられます。 室内に存在する程度の光で、微生物の繁殖を制御することができ、その効力が持続 することを(写真3)で明らかにしました。 |
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4.6 化学物質を分解する 光触媒反応による酸化力はアルデヒドやSOxおよび熱分解点が800℃以上の ダイオキシンまで分解することができます。本カーテンが化学物質を分解するため に必要な紫外線強度と時間の相関を次の方法で測定しました。 本カーテンに使用した光触媒塗料(KBLコートAー189)を布に塗布し乾燥 させた試料に熱分解点が、700℃の化合物 (C10H2N3S)を1%含む試薬を噴 霧して試験布を3枚作りました。(この試薬は分解すると黄変します。)試験布に 紫外線強度が異なる光を照射して光触媒反応により、試薬が分解されて変色する時 間と色度を比較しました。(写真4)
その結果、変色する速度と色度は試料の表面に到達する紫外線強度に比例して早く 、また濃く変色しました。(表2) (表2)
室内の明かりだけで耐熱性の高い化合物を分解することはできませんでしたが、本 カーテンの表面に強い紫外線をあてると、熱分解点が700℃の化学物質をも分解す ることができます。本カーテンは各種の有害物質を分解する目的にも応用することが できると推察できます。(表3) (表3) 有害な化学物質の熱分解点
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4.7 疎水性の塗膜のメリット 従来の光触媒塗料が形成する塗膜の物性は親水性であるため水と馴染みやすく、水 が付着すると全体に濡れ広がります。これらの塗料を、多孔質の物体(繊維)に塗布 した後、塗布面に汚水が付着すると中に浸透するため汚物も共に中に入り込みます。 本カーテンに使用した光触媒塗料の塗布面に付着した水と塗膜との接触角は66度 であり、疎水性の域にあるので付着した汚水は織目の中に浸透せず表面から滑落します。 (協和接触角計 CA−A型、3点測定平均値) |
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4.8 メンテナンス 大気中には光触媒反応で分解することができない降下ばい塵等が存在しており、建 物内に侵入してエアフィルターやカーテンに付着します。本カーテンの表面に無機物 の塵芥が付着し光を遮ると反応が阻害され、分解機能も低下します。光触媒による浄 化機能をベストな状態で発揮させるためには、定期的なクリーニングが必要です。 |
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5.1 院内感染の防止 本カーテンを感染症患者のベッドの周囲に取り付けておくと、患者が放出した咳の 飛沫と病原菌を捕捉しリアルタイムで殺菌分解します。本カーテンは空気伝染をする 微生物の飛散ルートを断つための一助となります。 また、本カーテンをふとんや毛布等のかけ寝具のカバーとして使用すると、付着微 生物の殺菌と体臭や糞便臭を分解し清浄な環境を作ります。火災時には炎をブロック するバリケードとして使用することが出来ます。 |
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5.2 交差感染の防止 大勢の人が利用する建物や乗物の内には、人々が放出した様々な微生物が存在して います。中でも麻疹ウイルスやインフルエンザウイルス、および結核菌等は空気伝染 をするので内にいる人は互いに交差感染しやすい環境の中で過ごすことになります。 病院の待合室や列車、飛行機の内部に咳をする感染者が1人いるだけで、放出され た病原菌はリターンエアと共に空調機に集まり再循環するので全体に拡散します。生 体の防御機能が衰えた人々が集まる病院や老人施設では咳をする患者と他の病気の患 者は分れて居ることが望ましく、そうでなければなりません。本カーテンは表面に接 触した浮遊菌を両面で殺菌分解し、環境中の浮遊菌量を減らして人と接触する機会を 少なくします。 本カーテンで室内の空気を完全に区分することはできませんが、カーテンに向けて 放出した咳の飛沫を捕捉殺菌し病原菌の飛散を防ぐので、交差感染の機会が少なくな ります。 |
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本カーテンの表面は光触媒塗料の緻密で強靭な塗膜で覆われているため、傷がつき にくく、ガラス繊維の飛散と劣化を防ぐので安全に使用することが出来ます。 本カーテンは炎に接して燃えず、溶けず、煙やガスの発生もなく炎を遮断しさらに 表面に接触した有機物(微生物)を分解するので建物や乗物内を清浄に保つために役 立ちます。 しかし、本カーテンだけで室内のすべての環境汚染物質(微生物)を捕捉分解する ことはできません。室内に飛散してしまった汚染物質を捕捉し、除去又は分解するに は次の光触媒加工製品との併用をお薦めします。
1)リターンエアフィルター 浮遊塵(菌)を捕捉して分解する空調機用のプレフィルター 2)KBL形空気清浄機 毎分8m3の空気を浄化(滅菌)するエアクリーナー 3)室内の光触媒塗装 内装面と窓ガラスの内側に光触媒塗料をコーティングし不燃カーテンで仕 切ると簡易な災害防止エリアを作ることができます。
今後、このカーテンが広く普及し、人の健康と生命、および財産を守るために役立 つことを念願します。 |