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1994年06月16日
毎日新聞 地方版
岐阜県警生活保安課と大垣署、福岡県警生活経済課、博多署は十六日、医師の免許を持たずに診療行為をし、許可なく医薬品を販売したとして、岐阜市松山町の会社役員、立石和容疑者(60)を医師法違反(無免許医業)と薬事法違反(無許可薬品販売)の疑いで逮捕し、自宅や各務原市蘇原の会社など六カ所を家宅捜索した。立石容疑者は「元祖野菜スープ強健法」(徳間書店)を出版、ブームの「野菜スープ健康法」提唱者として知られる。両県警は、立石容疑者が全国でホテルなどを借りて診療行為をしているため、被害者は数千人にのぼるとみている。
調べでは、立石容疑者は昨年一月から今年四月までの間に岐阜市や各務原市、福岡市内で主婦(37)ら五人に対し問診や触診をして処方せんを出し診察料を取ったうえ、漢方薬の下剤で医薬品の「センナ」を数千円で販売した疑い。
診療行為は、手の甲やひざ頭に触るだけで「ポリープができている」「リウマチにかかっている」などと診断。器具などを使わないことを不審に思った主婦が四月に大垣署に届け出て被害が分かった。調べに対し立石容疑者は「わかりました」と言い、容疑を認めているという。
料金は、診療と著書、センナがセットで一万八千円。診療予約は二カ月先までいっぱいだったという。
昨年十二月には、妻を社長に野菜スープ健康法推進の会社「予防医化学研究所」を設立。今年四月に各務原市蘇原のホテルの一室を借りて健康相談所を開設、このホテルで、著名人を集めて自著の出版と相談所開設記念パーティーを開いた。
著書の中で立石容疑者は「がん細胞も3日で消えた」とし、ダイコン、ニンジンなどの煮汁で作った「野菜スープ」を飲めばほとんどの病気がよくなる、と紹介。さらに玄米茶を併飲すると、末期がん患者にも効果をあげ、「実行したみなさんの実に九九%以上に有効でした」と書いている。
また、渡辺美智雄元副総理、漫画家の赤塚不二夫さん、評論家の草柳大蔵さんらの有名人も登場させ、病気に効果があった、との話を掲載している。
「野菜スープ強健法」を発行した徳間書店によると、本はこれまでに約十八万五千部売れ、十七刷を数えたという。同書店は「民間療法の紹介のつもりで出版した。逮捕されたと聞いて、驚いている。立石容疑者の経歴などは詳しく調べておらず、今後の対応を検討したい」としている。