未承認薬服用で死亡 「治療体験記」出版元通じ輸入 糖尿病男性

1998年9月26日
毎日新聞朝刊

 日本では未承認の糖尿病薬「漢方降糖薬」(発売元・セルマリミテッド)を香港から個人輸入して服用した70歳代の男性が低血糖こん睡に陥り、半植物状態になって10カ月後の今春死亡していたことが25日、国民生活センターを通じて厚生省に入った連絡でわかった。この男性は治療体験記を読んで購入しており、厚生省はこの本が薬事法違反(未承認薬の広告)にあたるかどうか、出版元がある静岡県を通じて調査している。

 男性は昨夏、出版元を通じて申し込み、国内の口座に代金3万3000円を振り込んで購入した。服用して2日目の夕方に体が震え、3日目の夕方に尿が出なくなり緊急入院。直接の死因は肺炎だった。

 使用説明書には「純天然薬」と表記されていたが、国民生活センターが分析したところ、糖尿病の治療薬として普及している血糖降下剤グリベンクラミドが1カプセル当たり0.88ミリグラム検出された。この男性の場合、軽度の糖尿病のため、通常は薬を飲まなくても、食事療法で足りるが、医師の指示を受けずに服用した。

 今年7月、未承認薬の性的不能治療薬「バイアグラ」を服用した心臓疾患などがある60代の男性が死亡している。厚生省医療安全局安全対策課は「経緯から見て、個人輸入した薬が死亡の遠因にはなっているのではないか。未承認薬の安易な個人輸入に対し注意を喚起したい」と話している。

【渋川智明】