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2005年7月15日 「水槽」改訂版
魚が泳ぐ 赤や黄色や黒色が体にのっている 色鮮やかな魚でした 魚は水槽の隅に体を摺り寄せて ここには 水が足りない 水が足りない って思っている そうやってガラスに身を寄せて泳いでいると もうひとりの色鮮やかな魚が向こう側に見えて そいつを見ていると どうしてそんなに口を尖らせているのか 疑問に思った 体を隅に摺りつけて口を尖らせていると 真っ直ぐなところを通ろうとしても 尖った口が邪魔をして引っかかってしまって 通れなかった だから魚は あぁ、水が足りない 水が足りないからだ と思って過ごしていた あるとき あんまり水が足りなくて 魚の尖った口が 乾いて嘴になってしまった これは進化だ 必要なものを必要な形にして 強化し続けた結果としての これは進化だ 魚は嘴を持って 硬い水槽の角を突いた (トントン) この硬い嘴を持ってすれば 魚は このガラスの向こう側へ行けると思った だから魚はノックし続けた (トントン トントン) いろとりどりの鮮やかな魚が ガラスの向こう側からもノックし続けていて この壁を越えれば同じ色になれるんだと 魚はそう信じ ノックする (トントン) 魚は 嘴を持って いつも水槽の壁にキスをしていた ここは行き止まり さしずめ 世界の果て 魚は 世界の果てにばかり体を摺り寄せて 身動きの取れない場所に口をつけては その向こうに見える自分の姿を追っていた (トントン) 幾人かの他の魚は 世界の果てに行き着くと そこの壁にやさしい口づけをして 満たされた顔をして引き返していった そして、また別の果てまで悠々と泳ぎきって そこでもまた口づけをして また別の角度へ向かって泳いでゆく そして4つの角を行き来して 何度目かにして 同じ角に戻ってくると そのときには色を増やして より鮮やかな魚になってやってきていた (トントン トントン) 口が嘴になってしまった魚には 色が増えることはなく ただ嘴ばかりが硬くなっていって 誰かと口づけをしようとしても 硬い嘴で 相手を傷つけてしまうだけになってしまった (ドン) だから魚は またノックし続ける 誰とも口づけをすることも叶わず 世界の果てでひとり 壁に向かって ガラスの向こうの世界へ飛び出すべく ノックし続ける (トントン トントン) (トントン トントン) |
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2005年7月15日
がんばれ、がんばれ がんばれ、がんばれ がんばれ、がんばれ ある日、部屋の隅で種を拾いました。青い楕円形の真ん中の凹んだ、特にきれいでもないヘンテコな種でした。ラムネ菓子と間違えて、それをかじると、とても硬くて、くっきりと歯型がついただけでした。 そして、その歯型をつけたところだけ薄い皮がめくれて、その下から虹色の、ありきたりな希望が滲み出てきました。それが痛々しくて、私は種を胸にしまい込み、それを持ったまま会社へ出勤しました。 朝の満員電車の中で、種は私の胸で発芽し、青いつるを這わせて電車内を占拠しました。老人には次々と席を譲って回り、おやじたちは集めてひとつの車両に詰め込まれ、体臭とアルコールのニオイがきつい奴らも同じ車両に詰め込まれました。 列を乱すものたちは全員、縛り上げてホームから突き落としたし、うるさい子どもと中学生にも全員説教をしました。 駅に着くと、必ず手相占いと「アンケートにご協力ください」が声を掛けてくる。でも結局、あいつらの誰についていっても行き着くところは同じだった。 がんばれ、がんばれ がんばれ、がんばれ がんばれ、がんばれ そう声が聞こえる なにかに頑なな人は、信じることができるだけで幸せで、だけれどどうして、信じきっている人は、かくも簡単に他人を非難できるのかな。強そうな人は大抵、偏狭で意地悪だったな。なのにそのくせ、とてもすがすがしい顔をして他人の幸せを祈りたがって近づいてくる。 手相を占いたがるやつらは、みな大抵、幸せそうで満たされた顔をしていて、仔犬みたいな表情で人の腕を掴み、目をうるうるさせて覗き込んでくる。だけれど、その目の奥で暗く輝く、人への不信感と堕落を鵜呑みにしている感じが、不愉快だ。 がんばれ、がんばれ がんばれ、がんばれ がんばれがんばれ がんばれがんばれ 青いつるが電車から溢れ出して伸びていく。 天まで届くかな。なまけものでわがままな男の子の欲望を満たすまで、伸び続けるかな。 宝物を盗もうと忍び込んでくる、男の子を迎え入れる大男の奥さんも、馬鹿で怠惰な息子を愛する母親も、優しさを信じて傷ついて、そして着実に頑なになっていった。 誰かの頑張りを、根こそぎ盗むことができたらいいね。青いつるが天まで伸びて、ある日突然、大きな宝物を手に入れて、みんなが幸せです、って。 だけれど大男は宝物を盗まれ、奥さんと喧嘩をして、終いには天から落とされて頭を割って死んでしまったけれどね。 がんばれ、がんばれ、 がんばれ、がんばれ、 がんばれ、がんばれ って声が聞こえる 毎日、毎朝、毎晩、毎時間、ジャックの種を探して魔法を信じる。 がんばれって言葉が無責任で切り捨てられるようで嫌いだった頃、私はジャックのように、ただ豆の種を待っていた。だけれど豆の種は私の大事な人を次々と食い潰し枯れていくだけでした。 がんばれって声が聞こえる。 無責任だけれど、それしかない。 がんばれって。 |
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2005年7月12日 5曲目
GO!GO! HEAVEN! TRASH! GO!HEAVEN! YOU! BURN UP! GO!GO! HEAVEN! こんにちは。こんにちは。 こんばんわ。こんばんわ。 さようなら。また明日。 |
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2005年7月8日 4曲目
ああ、むせ返るように生臭い いきとしいけるものの 生臭い体臭がする 物音一つにさえ 怯えて眠る 孤独に 忍び寄る 憎しみのパレード 赤や黄色や水色の光 闇のなか部屋で ゆらめいて輝く |
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2005年7月7日 1曲目
浅い夜より誘われる巧みな申し子の呻き 偏狭なまま生まれいずる神のような禍々しさで 裁くことを当然と構えた殺戮の鎌に従え 夜よ、このまま私たちを乗せて深淵に滴り 淵の際で投げ打つ この躯の欲情に身を任せ 切り離された自我との対話で開花乱舞せよ 逆巻け くだらない日常を擦り抜けるより前に 創設者となり 神となれ さもなければ 都市で蠢く求愛と抑圧の無言の押しつけに なにも言えないまま 存在ごと無視されて失って消えていってしまう さぁ 狼煙をあげろ さぁ 大人たちを救え 浅い夜より誘われる巧みな申し子の呻き 偏狭なまま生まれいずる神のような禍々しさで 逆巻け くだらない日常を擦り抜けるより前に 創設者となり 神となれ さもなければ なにも言えないまま 存在ごと無視されて失って消えていってしまう 夜よ、このまま私たちを乗せて深淵に滴り 淵の際で投げ打つ この躯の欲情に身を任せ 切り離された自我との対話で開花乱舞せよ |
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2005年7月5-14日
よう見といてください。 私、今、地球を手玉に取ってるんです。 地球を手玉に取って、遊んでるんです。 なあ。よう見といてや。 誰の手にも収まる、かわいい地球や。 手に取って、よう見てあげてください。 地球は、かわいいなあ。 なあ。よう見て。 私は今 地球を足蹴にして その上で玉乗りをして遊んでいるんです。 時速1.674kで 勝手に背中を押されて走らされて なのにたまにこの地球から振り落とされそうになる なら いっそのこと 落ちる前に 飛び降りてみたらどうなんやろ? この地球から 飛び降りてみたらどうなんかなあ? イチ、ニの、サン、で ・・・・・・・・・・ 悪あがきをしても誰も認めてはくれない日常に押し潰されて どんどんどんどん どんどんどんどん 居場所が狭くなっていく 空気も存在もただ薄くなって 不幸だと泣き叫ぶほど不幸でもなければ なにかや誰かを救えるほど裕福にもなれやしない ささいで無責任で無感動な幸せにしがみつき それを幾重にも忘れながら記憶の嘘に包まなくては 今にも怒りが満ち満ちてきて この地球というサーカス会場で どんな見世物にもなりきることもできずに 取り残されて 硬まっていってしまう ・・・・・・・・・・ 象 ライオン イルカ 兎 熊 アシカ 虎 鳩 猿 なぁ、象でもライオンでも熊でも虎でもイルカでもアシカでも鳩でも猿でもいい 芸だけ教えてくれたら 後は忘れ去って 地球の回転の上ではなくって 下になって 言われるがまま車輪に轢かれて死んでやるから だけどもっともっともっと光がほしい 瞬時に燃え尽きて昇華するほどの灼熱の残像を 影だけ残し 実像を失って飛び回れ 夜な夜な千切れた半身が なくなった部分を求めて 枕元に立ち 部屋をさまよい 転々と探し回る だとしても 乗り切ることのできないスピードカーに 片足を突っ込んで引きずられる無残な日常は大破せよ 夢に溺れて 見違える 流れの速さで 視野を見失い ベルトコンベアーは時速1.674kでモルモットを乗せて動く 走り続けなれば空気で太って走れなくなってしまうだけど 背中はいつも1.674kの圧力で押し出されていて 留まろうとすれば 同じ力で押し返さなくてはいけない だから みなが抵抗を諦め一様に走る ころころ ころころ ころころころ 60億の人間が ひとつの玉を転がすそのために みな 一様に走る 走る 走る 走る 走る 走る ころころ ころころ 地球は足元で回る なあ、よう見てください。 今あんたら、みんな地球の上で玉乗りや。 |
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2005年7月12日
地球サーカス団から追い出されようとしている 玉乗り芸人たち 背中を無理に小突かれて くるくるくるくる ピーターパン ピーターパン ピーターパン 光ばっかり追いかけて 影をないがしろにするから 裏切られたかわいそうな道化師よ 太陽が光のみで我を忘れるのを憎んだ だから光が光のみで生きていけると信じている その心を妬んだ |