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2006年3月28日
「菊花は弱いところを書いたら強いのにね」 と、言われたことがある。 「『弱さ』を書いたら?」 と、何度か言われたことがある。 「(そしてそれを)読んだら?」 と、何度か言われたことがある。 「あなたはどうして自分の醜いところを隠すの?」 と聞いたら、 「俺は弱い人間だから、弱い人間が弱いところを出したらどうしようも(救いようが)ない」 と、言われたことがある。 |
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2006年3月26日 あまりにも現実が何重にも重なりすぎて、私は今現在どこの層で生きているのかが分からなくなってしまっていた。並行して走る電車を無表情の仮面をつけて乗り換えていた男は、あの公衆電話からどこへ電話が繋がったのだろう?寂れた曲がり角の電灯の下で照らし出された緑色の電話ボックスは、いつもひっそりと無視できない存在感を漂わせていて、誰もいないのにいつも誰かがいるような気配がした。
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2006年3月15日
2年間勤めた会社を強制退職した。逃げるように辞めた理由は、ストレスによる体調不良が原因で、なんの手続きも踏まずにドロップアウトした私は、きっとみなに疎まれている。 夜中、退職した後の帰り道はやけにすがすがしかった。空気は3月だというのに、凍えるように冷たくて、路側帯の白い線を、綱渡りのように手を広げて歩いていくと、とても高いところをひとりで歩いているような気分だった。 道の両端に並んで立つ蛍光灯は、さしずめ不安定な一本道を照らし出す花道の役割で、人気のないところへ割り行って進んでいくと、その明かりの光も届かなくなるのだ。 明るいところしか歩けない虫けらは、いつも笑顔でこういうのだ。「冬には生き長らえられないよ」って。私は黒いバイオリンを片手に、無理矢理に笑顔を作って、美しい音楽とやらを奏でようとする。 私の唯一持ちえる黒いバイオリンは、弦が切れて久しいけれど、その黒いバイオリンの音色は、弾けばそれでも羽をこする音とよく似ている。 弓で引いたり押したりするうちに、弓は私の体と共に音を出し、そのうち切り裂いて、左腕からは血が滴って、自分の腕が切り落とされている。だけれど観客は、美しい音色に体を震わせて賞賛し、拍手喝采する。 薄暗い夜中のライトが、消えていく欲望のともし火のように見える。そうだ。笑うしかないのだ。いつ消えるとも知れないライトを前にすれば、自ずと笑わざるを得ないのだ。 |
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2006年3月10日 危なげのない道を綱渡りでイッてくれ。
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