*猪突盲進*




2007年8月31日

“愛している”と叫びだしそうになったわたしと
夢中で止めるわたしとあなたとの現実の時間
電話越しで飛躍してなくなる時間を
どうやってこんなに早く巻き戻せてしまったのだろう

「わたしは愛されていたんだ」って
愛はわたしを満たして過ぎた

紛れもなく
わたしに愛は注がれていて
わたしの背負った傷は
無償の愛の姿かたちを知ったということで
偽者で満足できていた以前のかわいそうなわたしは
ものすごく幸福だったのだ
今のわたしは
あのときよりは賢く
あのときよりももっと
不幸だ

罪は
捨てたことだとしよう
それ以外の罪は
受け入れられないということだろう




2007年8月31日

誰も穏やかではいられなかったし
誰一人として情熱など持っていなかった

後ろ手に隠し持って暗闇で歌い踊る屍
白い死化粧の男と女とで
酔い潰れた退廃とやらに身を任せる

現実は太陽が赤々と
汗が滲む
腐敗するまでもなく
わたしたちは生き物だ
あはぁ、良き物なんかではない
血が滲むほど
真面目に生き抜いてしまっている

狂おしいか苦しいか
一文字違いでなんていう毒の差だろう
身内の世界と不快感
昨日も今日も笑ってる
明日も無理なく笑えるために

継続、そこは揺るぎ無い不安
断絶、そこは瞬く間の死罪

スパンコールみたいなタイルがわたしの頭のなかを走る
ねぇ、明日も正気でいられますか
正気とは誰かのことを覚えていられることですか
石にうがって真ん中をうまいこと割れれば
わたしは元の通りにクリアになれるのではないかしら
ねぇ、わたしにはクリアな刺激と痛みが足りていないのではないかしら
捻り潰すようなもうこんな鈍い憎しみや恨みの矢面に立たされるのは飽きました
そうではなくてわたしには
もっとクリアな斬撃が足りないのではないかしら

痛み、憎しみなる恋慕
殺戮、害意なき悪意

あはぁ、良き物なんかではない生き物わたし



2007年8月22日

振り切れられない振幅幅が
呪いの一部だと勘付かれるまでに
何錠の薬で偽造しなければならないのだろう
嘘は手首に巻きついた切り傷だけで結構
その生ぬるい命のために
役に立たなかったことを
いかに言い訳するの
生きるだなんてくだらないこと言って
誤魔化さないでよ
いい加減
あなたをぶつのにも飽きた
わたしはあなたのくだらなさ加減に
つき合っていられるほど穏やかじゃない
武者の首を掻っ切ったみたいに
誇らしげに上に昇ろうとしなくても
昇れるところにしかいないでしょ
頭が痛くなるから
早く消えてよ
あと何回ぶてば判ってくれるの





2007年8月6日

静かなときもあれば
そうでないときもあった

夜はいつも仰々しくて
不都合なことも
理不尽なことも
あることをなかったかのように
なかったことをあったかのように
物事をくぐもらせるのにもちょうど

それに
事が起きるのは
決まって夜のことだった

首を絞めるのは
苦しいときが大半だが
高揚した気持ちよさもあって

ときどきは
誰が絞めるかが問題だったが
ときどきは
それすらどうでもいいときがあった

あなたとの間に
なにが起こってなにがあったのか
いや
失ったのかな

とりわけて美しいのは
朝になる前の
白みかただった

明るみになる
苦々しいことも
未解決の難事件も
ひとときの追及されるときを免れれば
また夜は
すべてをくぐもらせてくれる

祈らせてください
力の及ばないことが
身体の内側に渦巻くのであれば
なにをもって
たくさんのかかわりを見過ごせるのか

忘れてました
どうか
祈らせてください

もうすぐ
また朝が来ます



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