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■ニュースコメント[ 2003年09月分 ]

経済ニュースコメントのバックナンバーを保存したいと思います。とくに地域経済のコメントを重点的にしていきます。
ニュースソースは主にNIKKEI地域経済から引用しています。
リンク切れの場合を考慮して全文引用しています。

■夜警はピザの配達人となるか?[ 2003年09月25日 ]
■メッキ味の讃岐うどん?[ 2003年09月18日 ]
■お好みにあったフランチャイズをいただく[ 2003年09月11日 ]
■銘菓は名家である[ 2003年09月04日 ]


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■夜警はピザの配達人となるか?[ 2003年09月25日 ]

改正酒税法による酒販免許の自由化という規制緩和、改正道交法による酒酔い運転への厳罰という規制強化、この一見相反するふたつの事象の相関とは?
また宅配ピザ業界の早すぎる陳腐化とそれに対応しようとする業界の新しいサービスが、規制緩和と規制強化にどう関係しているか?

(引用開始)
オーディンフーズ、ピザ「10・4」で酒類取り扱い
【北海道】2003/08/19 NIKKEI地域経済より
 ピザとビール宅配します――。宅配ピザチェーン「10・4(テン・フォー)」を全国展開するオーディンフーズ(函館市、長谷川英直社長)は9月から、直営93店舗で酒類の取り扱いを始める。同月に酒類販売が自由化されることに対応、ピザと同時注文する方式を採用し、相乗効果を見込む。
 同社は現在、直営93店とフランチャイズチェーン(FC)店91店を、道内や東北、首都圏などで展開している。
 既に免許を取得済みの函館市内の2店では、今月から酒類販売を開始した。9月からは直営店全店と、オーナーが希望するFC店で酒販免許を取得し取り扱いを始める。ピザと同時に注文を受け、酒類のみの販売はしない方針だ。取り扱うのは350ミリリットル缶のビール、発泡酒、チューハイの3種類。
(引用終了)
宅配ピザ業界の功績のひとつは、ピザが美味しい食べ物であると万人に知らしめてくれたことにある。手のひらサイズの冷凍ピザに馴らされてきた日本人の舌には驚きですらあったろう。
もうひとつは、配達を『デリバリー』、出前を『ケータリング』という言葉に置き換えて、ファーストフードの本質である速さを再認識させてくれたことにある。

競合も日本における宅配ピザの隆盛に役立った。
「ドミノピザ」「ピザハット」の“直輸入組”がケータリングの速さを強調したのに対して、「ピザーラ」「ストロベリーコーンズ」の“独自組”が日本人の舌にあったピザを模索した。

しかし、参入するフォロワーが多ければピザが各食卓に行き渡り、業界自体が飽和するスピードも当然早くなる。宅配ピザがそのデリバリーのスピードに躍起であったのも皮肉ですらある。

フォロワーが殺到するのはこの国に成長分野が少ないせいもある。バブル経済の頃から成長分野の数的減少と投下資本の量的拡大は反比例であったから、利潤は低下して非効率が目立つようになった。そこで数少ない成長分野を増やそうと、経済的合理性からサービス業に多かった行政の規制を緩和・撤廃しようというベクトルが働くのは自然なことだ。

しかし、宅配ピザ業界が酒を販売するのは(行政にとって)酒販免許の自由化の埒外であったろう。もっとも規制緩和の実際が、夜警国家としての政府の正しい姿への回帰である以上は正鵠を射ている。
国家は治安と国防にプライオリティを置くのであって、経済に比重を傾けてきた戦後の日本こそ異例であったのだから(もっとも日本の歴史においては常態であるかもしれないが)。

日本政府が高い酒税を徴収してきたのは、とくに戦前は軍事費を賄うためでもあった。現在でも、夜の盛り場を振興させてやる強い意義を治安維持以上に認めないからこそ政府は酒酔い運転の罰則を強化する。それで酒の売上が減っても意に介さず、発泡酒の酒税を上げる。罰則強化の間隙を縫って、運転代行業が成長するかもしれないがそれは意図した結果ではない。宅配ピザ業界が酒の販売に乗り出すのも同じである。治安と国防を本職とする政府に経済的合理性など要求するのがお門違いとも言える。

規制緩和(または規制強化)は経済的合理性一辺倒ではなく、むしろ治安と国防の観点からおこなわれると考えるべきだろう。治安には失業者を出さないことと労働力の移動を円滑にすること、国防には兵器を開発する工業力と運用する情報力が必要だからである。時限立法ながら酒販参入規制法が施行される非合理も治安面から理解できる。

たしかに合理的な経済にとって、成長分野の飽和は政治的変化よりも先行することがある。あれほど魅力を有した宅配ピザといえども業界としての踊り場に立っているではないか。とはいえ、宅配という形態ゆえにはじめからデフレにおける値下げ戦略は取りようもない。そこで形態そのものに近縁する食品を配達しよう、となる。

酒の宅配は、上記のオーディンフーズのみならず「ピザーラ」を展開するフォーシーズでも実施する。さらに「ストロベリーコーンズ」を展開するいちごホールディングス(2003年4月から持株会社に移行)では、アイスクリームのドナテロウズ・ジャパンを買収してメニューに加えるとともに、モスフードサービスとも提携して「モスバーガー」を宅配することになった。

宅配という販売ルートを再認識して、かつ消費者のロイヤリティが拡張できる値段の食品を『デリバリー』『ケータリング』する。

かくて夜警が酒酔い運転を取り締まる闇を抜けて酒を届けようとバイクが疾走する。国家の役割が経済振興に最優先でない以上、夜警がピザを『デリバリー』しないのは当然である。

参考URL
宅配ピザ「10・4」を展開する:オーディンフーズ
持株会社「いちごホールディングズ」に移行した:ストロベリーコーンズ
ストロベリーコーンズに買収された:ドナテロウズ・ジャパン


■メッキ味の讃岐うどん?[ 2003年09月18日 ]

折からの讃岐うどんブームに乗ってなんと金属メッキのメーカーまでもがうどん屋さんを開くことになって・・・。

(引用開始)
特殊メッキのケディカ、讃岐うどん店展開
【東北】2003/08/01 NIKKEI地域経済より
 特殊めっきのケディカ(仙台市、三浦修市社長)は8月から、讃岐うどん専門店を展開する。本場の香川県で製めん業を展開する宮武讃岐製麺所(香川県丸亀市)と提携した。めんを仕入れるのではなく、現地で製めんから調理までを手掛け、「本格派志向の顧客を取り込む」(三浦社長)狙い。1号店は仙台市の中心街に出店し、郊外などにも展開する。
 展開するのは「しおの花」。エンジニアリングなどを手掛けていた子会社のキョーワ・システムをフード事業に特化させる。うどんは120円(かけうどんの小)からで、メニューは十数種類。讃岐うどんの定番商品のほか、サラダうどん、おでんなどの季節商品も用意する。
 第1号店は8月初旬に、仙台市中心部の電力ビル(旧東北電力本社ビル)の地下1階に開店する。今後はロードサイド店など、毎年出店を続け、「多店舗展開が可能になれば、製めん所などの投資も検討したい」(三浦社長)としている。
(引用終了)
“メッキが剥げる”には、ごまかしがばれる、本性が出る、一級品でなく三級品であると暴露される、といった意味がある。いまや電子部品の加工に欠かせないメッキメーカーから見やれば不当な誹謗中傷でしかない。人のイメージする産物が時代の変化に取り残された例である。

金属メッキのメーカーは環境問題による規制強化、大手メーカーの海外移転による需要減少に見舞われている。そこには製造業一般にもあてはまる時代の変化がある。環境規制を逆手にとって(1996年にスイスに本部のある国際標準化機構が設けた)国際環境規格ISO14001を97年にいち早く取得して環境経営に乗り出す清川メッキ工業の例もある。1)

しかし、90年代にくらべると4分の3にまで減ってしまった業界規模はいかんともしがたい。少ないパイをめぐっての争奪戦、減少傾向がどこまでつづくかは判定できない。企業としては市場規模の拡大する異業種に参入するのもリスク分散の手である。

メッキメーカーのケディカは讃岐うどん店の展開を選んだ。旨いうどんには小麦に加え、きれいな水は欠かせない。メッキ廃水に悩まされてきたメッキ業界の安全性に対する苦闘を思うと時代の変遷に感じ入る。当人たちにそんな気はないにしてもだ。

肝心のうどんの味は?
もとが製造業であるだけにつくり込みにおける信頼性は充分にあるのではないか。不安材料は店鋪運営のオペレーションにあるが、子会社の「キョーワ・システム」が味千ラーメンのフランチャイジーなので杞憂だろう。ただし、この奇妙な取り合わせの難点は、親会社がメッキメーカーであるとのアナウンスで客の引きが予想されるところだ。そんなイメージにとらわれる人はそのくせ味にごまかしを許さない。

味は“メッキでごまかす”などできない。人は観念ではなく舌においては時代の変化に敏感であることは間違いない。皮肉を敢えて承知で云えば。

参考URL
讃岐うどん店展開をはかる金属メッキメーカー:ケディカ
ケディカと提携した香川県の製麺メーカー:宮武讃岐製麺所
ケディカが以前からフランチャイジーとなっていた:重光産業(味千ラーメン)
国際環境規格ISO14001をいち早く取得した金属メッキメーカー:清川メッキ工業

引用URL
清川メッキ工業についてはこちらも
1)NHK21世紀ビジネス塾から:
“環境経営”が利益を生んだ(2003年05月03日放送)


■お好みにあったフランチャイズをいただく[ 2003年09月11日 ]

フランチャイズの鉱脈を掘り当てろ、と云う話。

(引用開始)
飯島建設、お好み焼き屋をFC展開
【甲信越】2003/08/07 NIKKEI地域経済より
 長野県北信地域を地盤とする建設会社、飯島建設(長野市、中川信幸社長)がお好み焼き店のフランチャイズチェーン(FC)展開に乗り出す。建設市場の縮小対策として異業種のFCに加盟する建設会社はあるが、自ら本部となりFC展開するのは珍しい。新分野進出を検討している建設業者などにFC加盟を呼び掛ける。
 埼玉県に3店を展開する「がじゃもんや」と業務提携し、同店名でFC展開する。食材供給やメニュー開発はがじゃもんやが担当し、飯島建設がグループ会社として設立したイイジマ・コーポレーション(長野市、飯島泰臣社長)が店舗運営や従業員指導・研修などノウハウを提供する。
 飯島建設はイイジマを通じて昨年8月、長野市川中島に実験店をオープン。同店では夕食時の客単価が1100―1200円という低価格とボリュームの多さで月商800万円を確保。店舗運営などノウハウも蓄積できたため、長野市三輪に8日、直営2号店を出す。FC店は直営店の多店舗化と並行して全国展開も視野に入れて募る。
(引用終了)
あるフランチャイズ業態が飽和すると、新規業態が開発されるのがビジネスの習いである。フランチャイズに値する業態そのものが枯渇するのはありえないにせよ、業態の開発が間に合わない可能性も起きうる。

フランチャイジーの目的は、異業種参入のリスクを軽減しながらノウハウを習得することにある。かくて企業が事業領域の垂直統合を目指すにせよ、業態転換するにせよ、マネジメントに特化したメガフランチャイジーもしくは自ら新業態を開発するFC本部のどちらかに行き着く。

ノウハウを構築するにはかなりの時間的リスクがあり、フランチャイズ向けの経営コンサルタントが出てくる背景がある。では、実際のノウハウの内訳とはどんなものであろうか。お好み焼き屋「がじゃもんや」の記事を読む限り、店鋪運営、従業員の指導・研修の“多人数をオペレーションする能力”と食材の仕入・加工・供給、メニューの開発の“商品・サービス開発する能力”とに分かれる。飯島建設が店鋪オペレーションを、がじゃもんやが商品開発をそれぞれ担当するノウハウ分離方式である。

フランチャイズにおけるノウハウ分離方式が定着・拡散すれば、東京などで個店のみ営業している飲食店・雑貨屋が地方に店鋪を開設するケースが増えるのではないか。フランチャイジー自身がフランチャイズになりそうな鉱脈=業態を捜す手間を省く、そうした店鋪の情報をマッチングするビジネスも生まれるかもしれない。

参照コメント
フランチャイズについてはこちらのコメントも参照
企業がフランチャイジーになる理由[ 2003年04月15日 ]
フランチャイズ御指南賜る[ 2003年06月12日 ]

参考URL
お好み焼き屋「がじゃもんや」の展開に乗り出す:飯島建設


■銘菓は名家である[ 2003年09月04日 ]

銘菓を製造販売する企業の役割とはなんであろうか。

(引用開始)
和菓子店の森八、夏向けに水羊羹の新旧2製品を発売
【北陸】2003/06/19 NIKKEI地域経済より
 老舗和菓子店の森八(金沢市、中宮嘉裕社長)は、以前に得意客向けの特注品としてのみ生産していた「切水羊羹(ようかん)」を一般客向けに復活させた。同時に海洋深層水を使った水羊羹も開発し、夏向け菓子として新旧2製品を新たに売り出す。
 「切水羊羹」は糸寒天と風味豊かな和三盆糖を使って作る。日持ちしない製品のため、過去には得意客から注文があったときだけ、職人が一切れずつ切り分けて作っていた。ここ数年は注文も絶えていたが、密封容器に入れることで1カ月保存を可能にした。価格は一棹(さお)600円。
 また、石川県能登半島でくみ上げた海洋深層水を使った「海の水羊羹」も売り出した。波をイメージした容器に入れ、1個200円で販売する。

金沢の森八、江戸時代の菓子店を再現
【北陸】2003/07/11 NIKKEI地域経済より
 老舗和菓子店の森八(金沢市、中宮嘉裕社長)は17日、金沢市で江戸期のたたずまいを残すひがし茶屋街に、新店舗「文政の菓子司(つかさ)」を開く。約180年前の文政年間に建てられた町家をそのまま使い、当時作っていた菓子だけを売る。「店舗も商品も江戸時代のまま」を体験してもらう。
 森八は江戸初期の1625年創業。今回再現する文政年間には加賀藩御用達として既に約200年の歴史があった。「菓子司」に並べる商品は、黒羊羹(ようかん)や氷室まんじゅう、干菓子など当時、森八が作っていた菓子のみとし、包装も小箱と越前和紙に限る。
 文化財を守る意味もあって、新店は釘(くぎ)を打つなどの改築をせずに使用、客は高さ1メートル程度のくぐり戸から身をかがめて店に入る。店内には、当時使われていた菓子の木型なども展示する。

一六、フレッシュネスバーガーの郊外型店舗を展開
【四国】2003/08/02 NIKKEI地域経済より
 ITMグループの一六(松山市、玉置泰社長)は、松山、高松両市でハンバーガーのFC(フランチャイズチェーン)契約を結んでいるフレッシュネスバーガー(東京・港)の郊外型店舗を展開する。第1弾として、7月25日に高松市内で「レインボー通り店」をオープンしたほか、2007年までに郊外店を中心に両市で7店を展開する。同社は「ハンバーガーを外食部門の柱の一つに育成する」(玉置社長)考え。
 一六は1999年に松山市の中心商店街である銀天街近くに1号店を開店し、ハンバーガー販売に進出している。同店は都心型だが、およそ4年ぶりの新店舗は郊外型とした。敷地約1000平方メートルのうち、建物部は10分の1以下に抑えて、自動車利用客に対応できるよう15台分の駐車場を併設したほか、テラス席12席も設けた。
 1号店は店舗ごとの個別契約だったが、フレッシュネスバーガー側がエリア契約制を導入したため、一六が2002年に松山、高松市内の出店権を獲得した。
(引用終了)

銘菓と称され、称する産物は必ずその土地の風土と歴史を体現している。況やそれ以外に銘菓と呼ばれるべき資格は本来ない。愛媛県松山市にある一六本舗の一六タルトは、江戸時代に伊予を治めた久松家伝来の銘菓である。タルトのスポンジ生地に包まれた餡はこの地特産の柚子の香がする。

一方で、一六本舗はレストラン(一六)、スーパーマーケット(セブンスター)、自動車ディーラー(ネッツトヨタ愛媛)などに多角化する地方のコングロマリット(ITMグループ)の中核企業という顔も持つ。銘菓の製造販売からこのような形の企業体を構築するケースは珍しい。

通常、銘菓メーカーは観光と連動しているため、自社の発展もその流れに沿うのが多い。たとえば銘菓の売上日本一を誇る伊勢の赤福では、おかげ横丁などの観光名所をつくり、地元産品をブランド化していくスキームに参加している。また金沢市の森八も江戸時代の菓子店を再現するなど観光と連動して、歴史風土に由来するブランドづくりに余念がない。

地方の企業には大きく分けて三つの役割がある。

ひとつに存続すること。ふたつには中央の先進的な事例を導入・紹介すること。みっつにはその地方の独自性を発揮・涵養すること、である。銘菓メーカーは、その地方の独自性を発揮するのにはもっとも適した事業ドメインに属している。地方の独自性を発揮・涵養するための触媒として働くことを嘱望される。

一六本舗は、地方の企業の最重要の役割である存続して雇用を維持することを果たし、中央の先進的事例としてのスーパーや自動車ディーラーを経営しているから、役割の要件を満たしていないわけではない。惜しむらくは地方の独自性を如何なく発揮していないことである。

もしも一六が、銘菓メーカーの一員としてフランチャイズを活用するとしたらどのような展開が望ましいか。

今回エリアフランチャイズする「フレッシュネスバーガー」は、ファーストフードの代名詞であるハンバーガーを扱うが、マクドナルド的な文脈ではなく、90年代に流行・定着したカフェの文脈で捉える方が理解しやすい。フレッシュネスバーガー・カフェという業態もあり、親近性ではカフェに近いのである。フレッシュネスバーガーのフランチャイジーになることはマクドナルド的なファーストフードというよりは、カフェ的なスローフード型ファーストフードのノウハウを導入・習得することに近く、または等しい。

フレッシュネスバーガーのノウハウを得ることで一六タルトを供する和風カフェの新業態を開発できれば、地方の企業としての役割を十全に果たせるだろう。かつての先進的な事例である南蛮渡来の菓子を導入して、存続してきた企業にはそれがふさわしい。

参考URL
渋谷区富ヶ谷に1号店がある:フレッシュネスバーガー
愛媛県松山市にある:一六本舗
石川県金沢市にある:森八


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