統合失調症 KOKORO.Center

 

すこし重い話です精神病について取り上げました。
 精神病の理解
 統合失調症の特徴
 統合失調症の生物学的要因
 統合失調症の治療
 統合失調症の予後

 精神病の薬物療法

精神病の理解
心の病気は大きく分けて神経症と精神病の二つ
1 神経症
・いわゆるノイロ−ゼのこと
・対人関係や仕事や勉強上の問題で悩み、体に症状が出たり、精神的に疲れてしまって、日常生活に支障が出る。 
→この段階で病気
・病気にかかっているという自覚がある。(病識がある)
2 精神病 
・日常生活では見られないような、理解できないような症状が現れる。幻覚、妄想、行動の不自然さなど
・病気にかかっているという自覚がないか、乏しい。(病識がない)
・悩む期間がほとんど無いか、短い。悩んだ挙句に精神病になるのではない。
精神病あるいは精神病的症状はいろいろな病気に関係します。
つまり、精神病イコール統合失調症ではありません。精神病的症状が出現する主な病気には、次のような病気があります。
統合失調症
うつ病躁病
薬物中毒
痴呆せん妄

このページのトップへ戻る

統合失調症について
統合失調症の特徴
 青年期に多く発病すること、特有の症状群によって診断される病気であるということ、特有の症状を生じやすい脆弱性と心理社会的な因子の相互作用で発病すること、回復しても再発しやすく、多くは慢性に経過すること、症状は改善するが発症脆弱性は長期にわたって続くこと、一定の経過や転帰はみられず、約半数は完全寛解または軽度の障害を残して回復することが特徴です。 

統合失調症の特有の症状
 統合失調症は、思春期に、意欲低下、感情鈍麻、思考貧困などの陰性症状により潜行性に発症し、幻覚、妄想などの活発な陽性症状の増悪と寛解をくり返しながら、次第に陰性症状が悪化していく疾患である。
 統合失調症においては、脳の局在は不明としても、「自我」という機能が喪失し、その陰性症状、すなわち自我機能喪失の直接の反映として感情鈍麻などの陰性症状が生じ、自我機能喪失により2次的に、正常では存在しない症状である陽性症状が出現すると考えられる。
陽性症状――幻覚、妄想などの目立つ症状
・自分が理由もなく、敵意、軽蔑の目で見られている。
・通りすがりに、職場で、学校で自分への悪口が聞こえてくる。
・家へ帰っても、家の前で誰かが悪口を言っているのが聞こえてくる。
・テレビやラジオで自分のことを言っている。     
・家の中に隠しカメラがある。
・自分の考えていることが口に出さなくても相手に伝わってしまう。
・自分の考えや行動が操られている。
統合失調症になると家の外でも中でもしんどい。気持の休まる時がない。
陰性症状――意欲の低下、感情の障害、対人関係の乏しさなど目立たない症状
・人を避けて閉じこもる。(自閉)
・会話が貧困になり、つじつまの合わないことを言ったりする。
・感情の出し方が不自然になったり、乏しくなる。
・物事への興味、関心が乏しくなる。 
・時に生活がだらしなくなる。
(解体症状を独立させた3症候群仮説もあります)
このように統合失調症の症状は対人関係が中心になっている。→統合失調症は対人関係の病い。

陽性症状には、種々の薬物療法が比較的奏功します。統合失調症の治療上問題となるのは、陰性症状の方です。意欲障害や情動障害は長く続くことが多く、結果的に閉じこもった生活を続け、喜怒哀楽の感情鈍麻を呈し、生活に情感が乏しくなり、やがて他人とのコミュニケーションがしづらくなったりします。そのため就労や就学、家事に必要な生活技能が損なわれ、生活そのものに支障を来す事態を引き起こすことも決して稀ではありません。現在、陰性症状を改善する薬物は非常に乏しく、統合失調症にかかった人たちの社会復帰の妨げとなり、また入院患者の退院を遅らせているのです。

統合失調症の分類
(1)破瓜型=思春期にじわじわと発病し,子供っほいバカげた行為,気分の浅薄,感情の平坦化などを認め,冷たく硬い表情をして,自分の殻に閉じこもり,何もしないようになる。再発再燃を繰り返し著しい欠陥状態に陥るものがある。
(2)緊張型=若い年代に急激に発症するものが多く,興奮と昏迷を繰り返す症例が最も典型的です。その他の症状として拒絶症や緊張病性姿勢保持を認め,経過は周期的なことが多く,寛解期には完全に元の人格に戻ることが良くみられます。
(3)妄想型=幻聴と妄想が目立つ症例であり,その症状は思考化声,思考吹入,思考奪取,思考伝播などの異常体験やさせられ体験などの自我障害がみられます。妄想としては被害妄想,関係妄想,注察妄想,嫉妬妄想,宗教妄想などが多くみられます。
実際の症例はこれらの症状を合わせ持つことが多く,どの症状群に比重があるかで診断します。

好発年齢は思春期から
・思春期から40歳までの発病が圧倒的に多い。
・年少では小学校高学年、年長では60歳頃に発病することもある。
・男性の発病のほうが若干早い。
・思春期になって、対人関係が過敏になり、社会的に自立を迫られ、いろいろの悩みがでてくることと関係している
統合失調症の人は性格に共通なところがある。
・まじめ、正直で嘘をつけない。
・人を恨んだり、憎んだりしない。
・甘えたり依存したりしない。
・秘密がもてない。
・攻撃的になれない。(暴力的になるのは切羽詰ったときだけ)
発病率は変化していない。
・100人に0.8人ぐらい。(500人いれば4人ぐらい)
・この割合は昔も今も外国(先進国)もほぼ同じ
・発展途上国では若干少ない。→社会が統合失調症に寛容なのかもしれない。

原因は多元的である
統合失調症の原因についてはまだ不明ですが、脆弱性ストレスモデルが現在のところ最も支持されています。このモデルは、統合失調症特有の症状群を発症させる脳の脆弱性があり、それと心理社会的な有害因子の相互作用によって発病するというものです。この発症脆弱性の神経病理はまだ不明であり、遺伝的な素因や胎生期・生後早期の神経発達障害、あるいは心理社会的な有害因子で形成されると考えられています。
・いろいろな要因が重なって→脆弱性を作りだし(統合失調症になりやすい傾向のことで、生活上のストレスに対して脳の神経の化学的状態が変化を来しやすいということ)→思春期という不安定な時期に→何かの出来事をきっかけに発病する。
・遺伝病ではない。遺伝が一部関係している場合もある。
・育て方は原因としては否定されている。
・妊娠初期にインフルエンザにかかると発病率が高いというデ−タが出ている。

統合失調症の経過
前兆期・急性期・休息期・安定期の4段階に分けられる。
前兆期に認められる症状は非特異的なもので,頭痛・不眠・食欲低下や身体各所の症状が加わる。この時期には身体不調を訴えて種々の診療科を受診することがある。また気力が衰えてやる気をなくし引きこもり状態にある,身だしなみが悪くなっている,迷信的になったり奇妙な思いこみをもっていたりする,感覚が異常に鋭くなっている,逆に感受性が鈍くなっている,などの精神症状を認めることもある。
急性期には,陽性症状の幻覚・妄想・支離滅裂・緊張病症状などが出現する。統合失調症者の幻覚では幻聴が多い。幻聴は命令調,批判的,実況中継調,患者を第3人称で呼んで噂しあうなどの複雑な構造をもつ。妄想は被害的な内容をもったものが多く,追跡妄想・被毒妄想・注察妄想などが代表的である。支離滅裂な患者は会話がまとまらず,ひどい場合は言葉を羅列するだけでまったく理解できない。さらに最近は少なくなったが興奮・昏迷・常同症・カタレプシーなどの緊張病症状も出現しうる。急性期の持続はだいたい数週間程度である。
回復期(安定化の時期)は症状の消失,あるいは固定に向かう時期で,外見的にはよく寝る,よく食べる,周囲に依存的になるという特徴がある。この時期患者は周囲からの刺激をできる限り避けて回復をはかっているように見える。数週から数ヶ月続き完全回復か一定程度の症状を残しながら安定期に向かう。
安定期は症状の固定あるいは消失が見られる。この時期になってはじめて本格的なリハビリテーションプログラムを開始する。回復レベルは多様で,すべての精神症状が消失し社会的能力も病前レベルに戻るものから,急性期の症状が残ってこれに陰性症状が加わる場合まである。陰性症状は,感情鈍麻・思考貧困・興味関心の低下・意欲低下などで特徴づけられる。

このページのトップへ戻る

統合失調症の生物学的要因
神経発達障害仮説
(統合失調症では、遺伝要因や胎生期・出生直後の環境要因により、神経の発達が障害されていると考える仮説のこと)
 統合失調症は、発達期の海馬を中心とする脳傷害により、海馬-前頭葉を基盤とする「自我」の神経基盤となる神経回路の発達が障害され、自我同一性が確立する時期である思春期にいったん変質した自我が形成されるものの、それでは外界に適応できずに破綻し、顕在発症に至る病気、と考えられる。
 神経発達障害という考え方は、一見思春期発症という事実と矛盾するようであるが、統合失調症患者の病前の行動特徴を通知表やホームビデオなどの情報により調べた研究では、病前より、友人と遊べない、新しい環境に慣れにくい、動作がぎこちない、といった障害が存在することがわかってきている。また、陽性症状に関しても、顕在発症前から、知覚過敏ないし背景知覚の顕在化と呼ばれる妄想知覚の萌芽と思える症状や、自生体験のように自我障害の萌芽としての症状が出現している可能性が指摘されている。
 この発達期の海馬障害がいかなる原因で生じるかについては、疫学的事実などから、周産期障害、遺伝子、ウイルスの3つが関与していることについては、ほぼコンセンサスが得られてきた。
遺伝子異常としては、神経栄養因子(NT-3、BDNF、CNTF)や細胞接着因子(NCAM)などの神経発達に関与する遺伝子、免疫関連遺伝子(chemokine receptor-5、HLAなど)が検討されている。
ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、ボルナウイルス、レトロウイルスの関与が示唆されている。
周産期障害など、神経発達異常を来す他の要因との相互作用を念頭に置いた総合的な研究が必要である。また、その他の要因としては、胎児期における母親へのストレス、異常な養育方法、新生児期の低栄養などの関与の可能性はあるが、これらの関与については十分な証拠はない。また、例えばダイオキシンや有機スズなどの環境汚染物質の関与も、あり得ないことではないが検証されたことすらない。周産期障害については、具体的な内容については諸説あるものの、重症妊娠中毒、遷延分娩、双胎、出生時仮死などの妊娠・出産の合併症により、統合失調症の危険が2倍以上に高まることがよく一致した所見である。
遺伝子については、神経発達、ウイルスへの感受性、および周産期障害に関連した遺伝子の異常が報告されている。神経栄養因子としては、NT-3、BDNF、CNTF、NCAMなどが調べられており、NT-3のCAリピート多型については、メタ分析でも有意差があるとされている。
統合失調症と関連したNT-3のA3アリルを持つ患者は、MRIで測定した海馬体積が小さかったが、このような関連は双極性障害では見られず、NT-3多型が単独で統合失調症を起こすという訳ではなく、他の要因による傷害の修復過程を阻害するものである可能性が考えられる。BDNFについては、TDTで、母方から遺伝との関連が報告され(Macciardiら)、環境因との相互作用が示唆されている。一方、ウイルスの感受性については、最近ケモカイン受容体-5の遺伝子がが関与しているとの報告がなされた。ケモカイン受容体はレトロウイルスの受容に関連しており、この遺伝子の変異型ではHIVへほとんど感染しなくなる。この変異をもつと、統合失調症にも抵抗性になるという。逆に、統合失調症患者はHIVに感染しやすいとの報告もある。また、HLAのDR1が統合失調症と関連していると以前より報告されていたが、最近、これが冬生まれの患者のみで関連していると報告されており、インフルエンザ感染に対する免疫反応(自己免疫など)を決定している可能性が考えられている。
ウイルスについては、統合失調症が冬生まれに多い、都市に多い、都市化と共に増加したらしい、高緯度地域に多い、といった疫学的事実から、周産期のインフルエンザ感染の関与が考えられている。インフルエンザの流行後に
統合失調症の発症が増えたとの報告もある。 もう一つはレトロウイルスである。最近、統合失調症不一致例でディファレンシャルディスプレイ法を用いたところ、レトロウイルスが検出されたとの報告がなされている。IGCR法により見出された統合失調症一卵性双生児不一致例間のゲノム差異も、ウイルスによるものである可能性は否定できない。
周産期障害に関しては、以前より
統合失調症の頻度が高いことで知られていた22q11の欠失によるVCFS(velo-cardio-facial sydrome)では、周産期障害が多いことが報告され、22q11欠失で統合失調症が多いのは、周産期障害を来しやすいため、と推測された。22q11欠失と周産期障害の因果関係は不明であるが、ひょっとすると、顔面の奇形を伴う症候群であるため、単に物理的に出産が困難なのかも知れない。
放射線被曝に関しては、チェルノブイリ原発事故後、被曝者の統合失調症発症が一般の5倍にもなっていることから、放射線の影響で統合失調症の発症危険率が高まると言えます。放射線は神経幹細胞を好んで傷害し、脳の機能に重大な影響を及ぼすので、神経幹細胞の機能障害、あるいは機能不全が統合失調症の病態発生に関与しているのではないか、との仮説が可能になります。
このように、統合失調症は、遺伝的素因を持った者が、ウイルス、周産期障害などの脳障害を来す外因にさらされた場合に、海馬-前頭葉を中心とする「自我」の基盤となる神経回路網の発達が障害され発症する疾患、というのが最近の理解と言える。

このページのトップへ戻る

統合失調症の治療
 治療目標は患者さんが本来の自分を取り戻して、社会生活を営むことにあります。症状を治すのはそのためであり、症状の改善には薬物療法が有効であり、社会性を回復するには家族や関係者による心理社会的な支援が必要です。うまく治療すれば過半数が治る病気ですが再発しやすいので、治った後も再発予防が必要です。
急性期は薬物療法が中心になります。病気による自傷・他害の防止と急性症状の改善が主な目標となります。
回復期(安定化の時期)は急性期後の約6力月間の期間ですが、薬の大幅な減量を避け,患者の心理的な負担を軽減し,患者と家族を交えた心理教育的なミーティングの比重が増します。症状の再燃予防と安定した寛解状態に導くことが治療目標となります。
安定期には薬物療法は再発・再燃を防ぐ維持療法になります。意欲・自発性の低下や感情鈍麻などが残る場合は効果的な薬物はなく,作業療法・集団精神療法といったリハビリプログラムや生活支援を含めた心理社会的な介入が一層重視されてきます。再発防止と社会性の回復,社会参加が治療の目標になる。
(1)薬物療法
・統合失調症の治療で最も重要なものの一つ
特に、急性期の治療では最も有効。
急性期の薬物療法は単剤の抗精神病薬を使い、その効果判定には適量を4ないし6週間使用した後で行う。効果判定には患者さん自身の自覚的な改善度に留意する。
・問題点もある。
陰性症状に効き目が悪い。副作用がかなり多い。→昼も眠い、体がだるい、便秘、小便が出にくい、手が震える、目が吊り上がるなど。大抵の副作用は、薬をへらしたり、変更することにより調節可能。
(2)精神療法
精神療法は患者さんがもっている悩み、特にその人の病気の現われに直接つながりのある悩みにスポットをあて、その悩みを解決する方法を患者さんと医者で一緒に考えていく治療法です。その基本は患者さんが自分について話をし、医者がそれを聞くということです。悩みの原因が患者さんにはっきりとわかっている場合と、わかっていない場合があります。患者さんにも医者にもさっぱりわからないこともあります。また、悩みの由来が患者さんと医者に明らかであったとしても、解決できる問題もあれば、用意に解決できない問題もあります。それらのすべてに精神療法は同伴者として、あるいは患者さんの姿を映す鏡としてつきあうのです。
・心理面に働きかける治療法
・主に、言葉を通じて安心させていくことから始まる。
・もっと甘えてもよいこと、依存してもよいことを感じ取れるような雰囲気を作っていく。
・好意的な関心を持って控えめに接する。熱心に関わるのが、必ずしも良いとは限らない。反応をみながら関わる。
・幻覚、妄想を否定しない。つらさに共感することが重要。
・言葉以外にも、絵画、音楽、動物などを介して働きかけることもある。
(3)活動療法
活動療法は一定の目的をもって体を動かすこと、つまりスポ−ツや、ゲ−ムや作業を通じて治療目的を追求することをいいます。これは気晴らしであったり、閉ざされた心の風通しをよくすることであったり、傷ついた自信を回復することであったり、社会復帰のための準備運動であったりします。
・いろいろ活動を通じて病気を治していく。
・体を動かすことが好きになる。楽しみや趣味が増える。人といっしょにいても安心できる、仲間ができる、自信がつくことなどをめざす。
・以前は手仕事的な作業が中心であったが、現在はプログラムが増え、本人の状態や希望に合わせて行っている。
(4)社会技能訓練(SST)
活動療法と精神療法の中間的な性質を持っています。患者さんが不得手な行動について、なぜそれがうまくいかないのかということを分析します。その分析結果にもとづいて、患者さんのものの見方や教え方の歪を修正し、具体的に場面設定をしたうえで練習を繰り返して弱点の克服をめざすという方法です。例えば、挨拶が下手なために人前にでるのがいやになっている人がいれば、治療場面に挨拶をする状況を設定して挨拶の練習を繰り返します。人との出会いや挨拶についてのその患者さんの考え方の特徴を発見し、その特徴が失敗の原因になっているのならその考え方を修正しようとします。考え方の修正と実地行動訓練を組み合わせるこういう治療法を認知行動療法と呼びます。

(5)OTP(OptimalTreatment Project)の基本的戦略
ストレスへの効果的な対処法の獲得を目指します。
・当事者・援助者双方についての生物医学的・心理社会的両面からの持続的・包括的なアセスメント
・服薬管理や早期警告サインについての教育や訓練を伴った理想的用量の抗精神病薬の処方
・当事者や援助者に対しての、精神障害の病態・生理や治療についての心理教育
・地域社会で生活する日常的なストレス、生活上の目標を達成していく過程やライフイベントに遭遇した際のストレスなど、あらゆるストレスへの対処の助けとなるような問題解決技能の強化
・対人交流場面、就業場面、地域社会での生活などに役立つ生活技能訓練(SST)
・解決されていない個別の問題、たとえば、陽性・陰性症状、不安、抑うつ気分、睡眠障害などに対する、生物医学的・心理社会的治療戦略
・多職種からなるチームに全家族員を統合し、各ケースに至適なプログラムを展開する

このページのトップへ戻る

統合失調症の予後
統合失調症には一定した経過や転帰といったものはなく、長期転帰は素因と心理社会的なストレスとの相互作用によって規定されると考えられています。すなはち、適切な薬物療法、心理社会的な支援やリハビリテーションによって長期予後を好転できる可能性を示しています。
予後は徐々に良くなっている。しかし一方、治療に抵抗し,慢性経過をたどる予後不良群が存在する。
・入院患者の90%以上(ほとんど100%に近い)が1年以内に退院する。
・多くは2〜3ヶ月以内に退院する。  
・全体的に軽症化している。
・外来だけで回復する人も多い。
・薬をやめると再発しやすい。
・長期的にみると
ほぼ回復する人(自立)――25%
なんとか社会生活が可能な人(半自立)――25%
家庭内で生活可能な人(家庭内自立)――25%
再発し入院を繰り返す人――25%
再発がまだまだ多い
・薬を止めると1年以内に80%の人が再発する。
・ストレスに弱い。特に人間関係の。→ストレスを切り抜ける方法を身につけることが大切。
・積極的な人の方が再発しやすい。→無理しない生き方が大切。
・家族の対応が大切。→口うるさく言わないこと。批判的に言い過ぎないこと。励まし過ぎないこと。
・再発を繰り返すと慢性化し、生活能力が落ちていく。

再発、慢性化をいかに防ぐかが重要
統合失調症
の特徴として
(1)寛解後も再発しやすさ(発症脆弱性)が長く続く
(2)服薬中断と家族のネガティプな感情的態度が再発率を増加する

再発を予防するには、患者と家族へのサイコエデュケーションが大切なことや、薬物療法を継続すること、心理的な危機にいつでも介入できるような患者との関係を持ち続けることなどが有効とされています。病状が回復して安定期に入った後も、疲労やさまざまな挫折体験やストレスフルなライフイベントに直面したり、欲求不満や葛藤によって動揺しやすく、精神病性の代償不全に陥ってしばしば再発や症状の増悪を招きます。症状が再発しやすいことを発症脆弱性と呼んでいますが、この脆弱性は人生の長期にわたって続きます。このため症状の再発予防に期限はなく、できる限り長期的な関わりが必要になります。
・入院期間を可能な限り短くして、できるだけ地域で生活しながら治療していくことが大切。
・欧米(アメリカ、イギリス、イタリヤなどを中心に)では病院を閉鎖、縮小して地域でケアしようという試みがなされている。現実にはホ−ムレス化している傾向もある。
・患者の回復の状態に応じた居場所を地域につくる。デイケア、色々な社会復帰施設など
・そこで仲間ができれば、大きな支えになる。
・生活能力の向上をめざす。
・症状の自己管理(悪くなりそうな時は、自分から医者に行く。)
・対人関係への耐性(ネガティブな人間関係に強くなるように)
・余暇活動の発見(楽しみを持つ)
・家族の協力が必要→焦らないで、暖かく見守ること。必要なときは、訪問看護も。
服薬の自己管理
回復した状態を継続するには薬物療法を続ける必要があります
・国際アルゴリズムによると,未服薬群の再発率は退院後1年間以内に65ないし80%であるが,服薬群では25%である。
・患者自身が服用したい、あるいは服用しても良いと評価する薬を選ぶのが理想的です。少なくとも、服薬による物忘れやだるさ、眠気、無気力といった認知障害やパーキンソニスムをなるべく避け、遅発性の錐体外路性副作用を予防しなくてはなりません。
いつまで服薬するのか (国際精神薬理アルゴリズムの基準)
・初発の場合には回復して安定した状態が1年ないし2年間服薬した後徐々に減量を始め、2〜4週間ごとに数カ月かけて減量して中止します。長期服薬による遅発性の錐体外路性副作用を避けるためです。
・再発症例の場合には、ときには無期限に服薬を継続し、6カ月ごとに遅発性の副作用をチェックします。脆弱性が人生の長期にわたって続くためと考えられています。
・減量中や服薬中止によって症状が悪化した場合には、前回に有効であった薬を選んで治療を再開します。

このページのトップへ戻る

精神病の薬物療法について
 急性期の薬物療法にリスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドンといった新薬が、第一選択薬として推奨されています。フェノチアジン系やブチロフェノン系の定型抗精神病薬は、すでに服用中で有効性を認め、しかも錐体外路性の副作用などの問題がない場合に使う第二選択薬として推奨されています。

非定型抗精神病薬
 統合失調症の薬物療法はクロルプロマジンやハロペリド−ルに代表される「定型抗精神病薬」からSDAなどの「非定型抗精神病薬」に向かって動きはじめています。現在の薬物療法の課題としてはド−パミン系以外の副作用が未解決のままになっています。定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬も、ド−パミンやセロトニン以外に、アセチルコリンやαアドレナリンやヒスタミンなどの神経伝達物質にも作用して、さまざまな程度に便秘、排尿障害、口渇、低血圧、肥満などの副作用を起こします。また、慢性化した幻覚や妄想に有効な薬がないということがあります。陰性症状の薬物療法も大きな課題として残っています。
SDA(セロトニン‐ドパミン拮抗薬)
 SDAは脳のドーパミン2受容体を遮断することで、ドーパミン神経の過剰な活動により発現する陽性症状をおさえ、セロトニン2受容体を遮断することで、陰性症状を改善します。また、錐体外路症状の発現が少ない。急性期にはやや弱いが、精神分裂病の安定期に維持療法として、少量を使う時に便利な薬です。幻覚や妄想をとるというよりも「明るくなれる薬」「動きがよくなれる薬」「気分変動が少なくなる薬」です。
・オランザピン(ジプレキサ)
ジプレキサ錠2.5mg、ジプレキサ錠5mg、ジプレキサ錠10mg
通常、成人は5〜10mgを1日1回経口服用により開始する。維持量として1日1回10mg経口服用する。ただし、1日量は20mgを超えないこと。
幻覚妄想状態だけでなく、感情的な引きこもりや自閉などの症状にも有効とされる。

従来の薬に比べ、錐体外路系の副作用が少ない。夜間不眠、または日中眠気を感じる人がそれぞれ五、六人に一人ぐらいの割合で見られ、副作用の中では一番多いものです。その他比較的多いのは、手のふるえ、筋肉のこわばり、立ちくらみ、口の渇き、便秘、動悸、体重増加などです。前立腺肥大などで尿の出の悪い人、緑内障、肝臓病、低血圧、脳血管障害、心臓の悪い人などは慎重に使用するようにします。めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。急に体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐ医師に連絡してください。そのほか、重い高血糖による昏睡の報告もありますので、定期的に血糖値の検査を受けてください。
・リスぺドリン(リスパダール)
リスパダール錠1mg、リスパダール錠2mg、リスパダール細粒1%
1回1mg1日2回より始め、徐々に増量する。維持量は通常1日2〜6mgを原則として1日2回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は12mgをこえないこと。 従来の薬に比べ、錐体外路系の副作用が少なくなります。比較的多いのは、手のふるえ、筋肉のこわばり、立ちくらみ、口の渇き、便秘、動悸などです。めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。急に体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐ医師に連絡してください。
・ペロスピロン(ルーラン)
ルーラン錠4、ルーラン錠8
1回4mg1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12〜48mgを3回に分けて食後経口服用する。但し、1日量は48mgを超えないこと。

従来の薬に比べ、錐体外路系の副作用が少なくなります。比較的多いのは、手のふるえ、筋肉のこわばり、立ちくらみ、口の渇き、便秘、動悸などです。めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。急に体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐ医師に連絡してください
・クエチアピン(セロクエル)
セロクエル25mg錠、セロクエル100mg錠
1回25mg、1日2又は3回より服用を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。通常、1日服用量は150〜600mgとし、2又は3回に分けて経口服用する。但し、1日量として750mgを超えないこと。
副作用 従来の薬に比べ、錐体外路系の副作用が少なくなります。比較的多いのは、手のふるえ、筋肉のこわばり、立ちくらみ、口の渇き、便秘、動悸などです。めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。急に体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐ医師に連絡してください。


クロザピン

 クロザピンはこれまでの抗精神病薬では治らなかった人にも効果があり、統合失調症の陰性症状にも効果があると言われています。一般の抗精神病薬の効かない患者さんの3割がクロザピンによってよくなるとされています。その上、パ−キンソン症状やプロラクチンの増加に関連する副作用も少ないといわれています。
 クロザピンが顆粒球減少症を起こすのですが、これは白血球うを減らすきわめて深刻な副作用です。アメリカのクロザピン使用基準によりますと、事前に厳密な身体状況のテェックが必要であり、投与中は毎週1回の血液検査をし、血液中の1mlあたり3000以下(通常6000程度)になれば投与を中止し、血液専門医院の診察を受けることになっています。二日以上クロザピンの複葉を中断してから複葉を再開するときには服用量の再設定が必要です。また、顆粒球減少症以外に痙攣を起こしやすいという問題もあります。クロザピンの治療効果がすぐれているにしても、こういう手続きは患者さんにとっても病院にとっても大変な負担になります。医療費の負担もばかになりません。

定型抗精神病薬
主な副作用

 手のふるえ,筋肉のこわばり,動作の緩慢,よだれが出るなどのパーキンソン様症状や頭がぼうっとする,何もやる気がしない,周囲に無関心になるなどの精神機能抑制であります。これらの副作用に必要に応じて抗パーキンソン薬などを併用することで治療が継続出来ます。
 錐体外路症状の発現には基底核が関与していますが、定型抗精神病薬、あるいは従来型抗精神病薬による錐体外路症状の発現には基底核の容積の増加が関係している可能性があります。

抗不安薬
タンドスピロン(セディール)
タンドスピロンは抗不安薬で、セロトニン1A受容体のアゴニストです。タンドスピロンを抗精神病薬に付加することにより、実行機能と言語記憶に改善を認められます。

このページのトップへ戻る

統合失調症患者への接し方
統合失調症患者の生活にみられやすい特徴

(1)名目や世間体,あるいは周りからの評価に拘泥し敏感なこと
(2)目先の利にとらわれて短絡行動を起こしやすいこと
(3)課題に直面すると選択を放棄するか行動の制御を喪失して混乱し易いこと
(4)応用がききにくい
対応での大切なポイント

・家族が患者に対して細かく指示したり批判的であったり攻撃的であったりすると,患者は再発し易い。
・対決や批判は避けるべきである。

・過度の期待は妥当でなく,職場やその他の日常活動で適切な役割が果たせるように支援する姿勢が重要である。

このページのトップへ戻る


[PR]子育てママさんへ:3年毎に15万円うけとれる保険?