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うつ病・躁病 KOKORO.Center

 

うつについて
  うつ病の症状
  診断基準
  うつ病の原因

  一般的なうつ病の治療
  抗うつ薬
  躁病

 うつ病はこころの風邪と言われるほどよく見かける病気です。生まれてから死ぬまでの間にうつ病になる確率は男性ではおおよそ六人に一人、女性ではなんと四人に一人の割合です。風邪を放置すると思い肺炎になって取り返しのつかない状態になることがあります。うつ病も全く同じです。軽い不眠症だと思っていたら、そのうちに仕事ができなくなったり、自殺を考えたりするような重い状態にもなります。どんな病気でも同じですが、うつ病の場合にもできるだけ早く病気に気づくこと、気づいたらできるだけ早く治療をすることが大事です。

うつ病の症状
精神症状と身体症状がある。
精神症状
 ゆううつ気分の他に,何をするのもおっくうである,何もしても面白くない,自分は生きていても仕方がない,などである。健康な人にも多少似たようなことが見られるが,うつ病患者のものは質・持続期間共に異なっている。正常範囲内の憂鬱はそんなに長くは続かない。うつ病の場合は最低2週間は続く。普通は何力月,時には1〜2年とあとを引く。
精神症状は、気分の日内変動、すなわち、午前中は調子が悪いが、夕方近くになるとすっかり正常な時と変わらぬ状態になるなどの変化を伴った抑うつ気分があります。患者さんは「憂鬱だ」「悲しい」「何の希望もない」「落ち込んでいる」などと訴え、これまで楽しんできた趣味や活動にあまり興味を示さなくなります。そして、自分だけの世界に閉じこもりがちです。さらに漠然とした不安や焦燥感などを訴えます。患者さんはどことなく落ち着かない場合もあります。また、反対に動作が緩慢になり、口数も減り、極端な場合には寝たきりの状態にもなります。
さらに病状が進むと自殺念慮や自殺企図などを起こす人もいます。このことは、他の精神疾患と比べても際立っています。

身体症状
 ね睡眠障害(特に途中覚醒・早朝覚醒)がほぼ必発で,その他に食欲不振・体重減少,身体のだるさ,性欲減退,頭重感,フラツキ,動悸,発汗,便秘,など様々なものがある。うつ病の症状はといわれるとこころの病気を思われていますが、このようにうつ病はからだの病気なのです。身体症状として、早朝覚醒に特徴付けられる睡眠障害、不眠あるいは過眠が起こることもあります。食欲不振、それに伴う体重減少、あるいは反対に過食を呈する場合もあります。さらに、性欲減退、動悸や発汗などの自律神経症状などを訴えることもあります。
精神病症状
 うつ病が重症化すると、これまで述べた精神症状に妄想が加わることもあります。多くは罪業妄想といって、病気そのものを何かの罰であると考えたり、いくら検査をしても何か重大な病気があると考える心気妄想、さらにこのような病気になった自分には何も財産がないなどという貧困妄想などがあります。これらをうつ病の三大妄想といいます。

うつ病の身体症状は必発であり,広範で多彩である。倦怠感,疲労感,食欲不振,体重減少,頭痛,睡眠障害,動悸,息苦しさ,頻尿,ロ渇,発汗などである。単なる自律神経失調症と間違われるので,詳しい問診が必要である。
うつ病の精神症状に基づく身体的訴えがある。執ような訴えで,うつ病の心気症,心気妄想である。
うつ病の身体化症状があり,かつてはヒステリーとされていた。これらは,うつ病の身体症状のように自律神経の異常が無く,心理的に加工された精神症状である。
うつ病に心身症が合併することがある。最近では,慢性疲労症候群と紛らわしいものがある。

仮面うつ病(精神科では、この病名で診断されることはなく、単にうつ病と診断されます)
 うつ病の精神症状が隠れて,身体症状が前面に出るものです。症状は、全身倦怠感のほか、頭重感、食思不振、手足のしびれなど、全身多岐にわたります。睡眠障害は必発で、早朝覚醒が特徴的です。それらの症状は日内変動といわれますが、午前中に具合が悪く、午後から夕方にかけて回復してくるという特徴があります。中でも特徴的なことは、興味・関心の喪失といわれるような、本来、好きでやっていたテレビを見ること、新聞を読むことなどに、ほとんど関心を持てなくなってくるような症状があります。
うつ病の患者さんは、当初、全身倦怠感、食思不振、頭重感などの身体症状を主訴として、内科などの身体科を受診することが多い疾患です。身体症状を主訴としながら、うつ病を疑うポイントは、身体的異常がなく、そしてその症状の全身多岐性です。

仮性痴呆

 一見痴呆に見えて回復可能なものを言うが,うつ病の仮性痴呆を指すことが多い。うつ病での仮性痴呆は,若年でも皆無ではないが,高年になる程多くなる。老年期のうつ病は,かつては,すべて器質的背景をもとに生じるとされていたが,今日では,老年期にも内因性うつ病が存在することが認識されている。仮性痴呆は,痴呆全体の8〜15%といわれている。
 真性痴呆に較べ,発症時期が同定しやすく,症状の進行が急激であり,自覚症状の訴えが強く,古い記憶も障害されている。しかしながら,その診断は,明らかに二分出来る訳でなく,経過と治療に頼らざるを得ない。仮性痴呆から真性痴呆に移行することもあるし,両者が合併している場合もある。
 MRIで小さな脳梗塞巣が見られる場合もある。
 治療的には,抗うつ薬,動脈硬化や高血圧のコントロール,脳代謝賦活剤,脳循環改善剤を用いる。

うつ病と自殺
うつ病で入院した人の15%が自殺で命を落としていることがわかっています。しかもうつ病が少し良くなった時に自殺の危険性が高くなるといわれています。気分が沈んでいる時には自殺念慮はあっても実行するだけの元気が出てきません。しかし、少し症状が良くなると、死にたいと考え、その気持ちをすぐに行動に移せるようになります。このような時期は患者さんと周囲の人との見方に食い違いが起こっています。回復段階の初期には周囲の人は患者さんがよくなっていると気づきますが、患者さん自身はそのような変化を自覚しておらず、そのような時期に周囲の人に「随分と良くなったですね」などと言われ、患者さんは自分の気持ちを周囲がわかってくれないと絶望的になり死に至ると考えられています。

うつ病になる人の特徴としてはいい加減で、ちゃらんぽらんな性格の人よりも几帳面で、完璧主義で、責任感の強い人に多いようです。ですから、勉学や仕事でも一生懸命に努力して、周りからの評価の高い人も多いのです。いってみれば、弱音のはけない状況にまで、自分を追いつめて病気になるともいわれます。これとはちがって楽しいことや、周囲から見て幸福そうに見える状況でも本人にとっては苦しく、その役割や責任を全うしようとしてうつ病を引き起こすこともあります。
1932年下田光造が提唱した執着気質と1961年にTellenbachが提唱したメランコリー親和型性格は、仕事熱心、凝り性、徹底的、正直、几帳面、強い正義感、責任感のある人たちという共通のものがあります。その本質は几帳面さであり、秩序を重んじ、他人への配慮が強く、他人のために自分があるがごとく行動するなどと指摘されています。したがって、このような性格の人は、健康な時期には会社でも有能で、対人関係も良好であることが多いものです。しかし、さまざまな状況や環境の変化に脆弱なところがあり、一旦破綻を来たすとその几帳面さや徹底性、言葉を変えれば頑固さから臨機応変な態度が困難でうつ状態を来たすと考えられています。

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診断基準
大うつ病エピソード※の診断基準(DSM-4抜粋)
A 下記の9つの症状のうち、5つ以上が同時に2週間存在している。5つ以上のうち少なくとも1つは、1)か2)である。
 1)ほとんど1日中抑うつ気分がある。
 2)ほとんどすべての活動の興味や喜びの著明な減退
 3)いちじるしい体重減少あるいは増加
 4)不眠あるいは睡眠過多
 5)精神運動抑制あるいは焦燥
 6)易疲労性、気力の喪失
 7)無価値感、罪責感
 8)思考力・集中力の減退、決断困難
 9)希死念慮、自殺企図
B 混合型エピソードの診断基準にはあてはまらない
C 社会的、職業的な機能が障害されている
D 薬物や身体疾患によるものではない
E 離別によるものではない

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うつ病の原因
うつ病の成因には、内因、心因、状況因が複雑に絡み合い、発症準備状態ともいえる共通した病前性格、几帳面、まじめな執着気質や、社交的な循環気質が認められることがよくあります。
大きく三つに分けられる。
・第一は心因性のもので,これは悲しい出来事があった後にゆううつな気分になる,というだけのもの。慢性の身体疾患や、さまざまな喪失体験はうつ病、うつ状態発症の大きなリスクとなります。
・第二は,身体因性のもので,脳動脈硬化症,パーキンソン病,その他、アルコールや違法薬物などの使用によってうつ病が起こることもあります。
・第三が内因性のうつ病であり,これは心理的・身体因的原因なしでおこるうつ病で,「本態性」と考えてもいい。この病に羅る人の特徴として,「まじめな小心者」という姿がよく見かけられる。
中高年以上の患者、脳の器質的な変化が基礎にある患者が多い

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一般的なうつ病の治療
 うつ病の治療は、薬物療法を中心に、認知行動療法、集団精神療法、高照度光療法、電撃療法、高頻度磁気刺激法などさまざまなアプローチがありますが、その基本には精神療法が必要です。
(1)休養は,うつ病の初期に特に大切で,心身の過労やあせりを断ち切る為に場を変える必要がある。
(2)薬物療法は,抗うつ薬と睡眠薬を中心に必要に応じて抗不安薬を加えるのが基本である。抗うつ薬としては,第2世代のアモキサピン,マプロチリン,ミアンセリンなどやスルピリドを用いるが,中等症以上には三環系を使わざるを得ない。SSRIのような新しい薬も使用されるようになってきています。副作用に注意し,十分量を十分な期間用いることが遷延化を防ぐ方法である。
(3)環境調整は,男性では職場,女性では家庭,高齢者では居場所の間題が大きな意味を持っている。うつ状態のときには自分の努力が足りないとか、意志が弱いとか、能力がなくてだめなんだと思いこんでいます。ですから周りの人からの激励や叱責がよけいに本人を追い込むことにもなるので注意が必要です。
(4)精神療法は言語的,非言語的に一貫して大切であり,凡帳面で完全主義的な性格を多少なりとも改善する必要がある。
まず、うつ病は「病気」であってなまけではないことを本人及びその関係者に周知させることが必要です。そして、仕事から離れさせ休息をとることが重要です。多くの患者さんは休むことができません。最近は少し意識が変わってきましたが日本人は組織に対する従属性が強く、会社を休み、離れることに抵抗感があると考えられています。うつ病は脳の病であるので必ず薬を服用するように勧めます。また、症状は変動するので一気一憂しないように伝え、病気はおよそ3カ月間かかるが「必ず治る病気」であることを強調し、病気が治るまでは重大な決断をしないように約束させます。これはうつ病治療の基本的事項として有名ですが、うつ状態が持続している時に退職したり、離婚するなど治癒した後に後悔する重大な決断がなされることがあります。うつ状態からの回復後、患者さんに聞くとそのような決断をすればうつ状態が治ると考えたなどと言います。
(5)季節性うつ病には光照射療法が有効である。

パニック発作を伴ううつ病には三環系に加えアルプラゾラムが有効である。
非定型うつ病にはテシプラミン,トラゾドン,リチウム,カーマゼピンを用いる。
抗うつ薬抵抗性のうつ病には,電撃療法,甲状腺末,リチウムを用いる。
(6)経頭蓋高頻度磁気刺激療法
経頭蓋高頻度磁気刺激療法という方法も検討されてきました。1990年代半ばより、うつ病に対する治療法として発展してきたものです。これは、簡単には、前頭部に相当する頭皮上に手のひら程の電極をあて、そこに発生させた磁場を脳内に到達させるものです。このようにして、非侵襲的に脳にわずかの電流を生じさせます。抑うつ気分や不安の軽減に有効です。

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抗うつ薬
 うつ病には自殺の危険があります。
 うつ病と診断してもその標的症状を定めてから抗うつ薬を選択します。第一選択薬は、副作用のない速効性のある抗うつ薬です。一週間後その薬の効果を評価して漸増するか他の標的症状に対して他の特徴ある抗うつ薬に変更するか判断します。どの抗うつ薬でも大体効果発現時期は決っています。その効果発現時期を過ぎても効果がない場合は一年間服用しても変化はないと思います。速やかに変更すべきです。
 セロトニンは感情や本能の調節に、ノルアドレナリンは行動や自律神経系の調節に重要な働きを有していると考えられますので、抗うつ薬の1つの選択基準として、ノルアドレナリン減少による意欲低下の症状とセロトニン減少による衝動性やイライラ感等の症状を重視します。

抗うつ薬の処方

三環系、四環系の抗うつ薬

 現在、最も使われている抗うつ薬は、古くからある三環系、四環系の抗うつ薬です。それは、口渇や目のかすみ、便秘などの不愉快な抗コリン性の副作用があるものの、的確な使用をしますと、少し時間はかかりますが、確実な効果、徐々に元気になってくる効果が得られるからです。これらの抗うつ薬は程度の差こそあれ、半数近くの患者で投与開始直後から副作用が出現するのに対して、受容体の減少に時間がかかるため、肝心の治療効果が出るのには1〜2週間以上かかり、効果の出る患者は7割以下です。
使い分け
・精神運動抑制の強いタイプには、amoxapine(アモキサン)や、imipramine(トフラニール)、maprotiline(ルジオミール)、mianserin(テトラミド)などのノルアドレナリン神経系に強く作用する薬剤をつかいます。

・不安や焦燥の強いタイプには、鎮静効果の高いamitriptyline(トリプタノール)、trazodone(レスリン)などのセロトニン系に強く作用する薬剤を使用する。
・食欲低下のみられる場合には、選択的ドーパミン2遮断薬(D2)であるsulpride (ドグマチール)の併用が有用です。Sulprideは150〜 300mgの単独使用で抗うつ効果があります。
・不安の解消のために、抗うつ効果のある抗不安薬alprazolam(ソラナックス)、loflazepate(メイラックス)、cloxazolam(セパゾン)、etizolam(デパス)などを併用します。

・反復性のうつ病に対しては、リチウムを併用する。

SSRI(フルボキサミンとパロキセチン)

 今までの抗うつ薬と変わるものではありませんが、三環系抗うつ薬のような抗コリン性の副作用や心毒性が少ないことが最大の利点で、軽症から中等症のうつ病、うつ状態の第一選択薬となっています。また、うつ病の類縁疾患といわれるようになった強迫性障害やパニック障害、空間恐怖、摂食障害などに対しても治療効果を上げています。
 SSRIは中枢、末梢両方のセロトニンの利用率増加に伴う副作用が出るばかりでなく、薬剤ごとに異なる薬物相互作用を引き起こす可能性があり、他の薬剤と併用する場合には注意が必要です。
 SSRIはしかも臨床効果のスペクトラムが広いのが利点で、うつ病治療の第一選択薬として広く用いられていますが、その反面、重症のうつ病に対する有用性や、投与初期の悪心や嘔気などの消化器系症状、長期投与時の性機能障害などの副作用と、肝臓のCYP450阻害による薬物相互作用が問題となっています。

 SSRIの場合、腸管のセロトニン受容体を刺激することによって嘔気、嘔吐を起こす副作用がみられることがあります。これに対しては制吐剤を1週間併用することで乗り切れると考えています。
 SSRIは抗うつ効果のほかフルボキサミンでは強迫症状パロキセチンではパニック障害にも有効とされています。


SNRI

ミルナシプラン(トレドミン
 三環系抗うつ薬が有するセロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込み阻害作用を残して、しかも抗コリン性の副作用や心毒性のない抗うつ薬を目指して開発されたのがセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)です。うつ病に対する治療有効性はimipramineと同等であり、SSRIよりは有意にすぐれていました。
 各種の受容体に対する親和性が低く、三環系抗うつ薬でみられる口渇、便秘、眠気、起立性低血圧などの副作用が少なくなっています。副作用はSSRIと同程度でしたが、SSRIとは異なりチトクロームP450に対する阻害作用が弱く、薬物相互作用の観点からも安全性の高い薬物といえます。
 主な副作用は、口渇35件(7.5%)、悪心・嘔吐28件(6.0%)、便秘27件(5.8%)、眠気19件(4.1%)で、SSRIに特有な悪心、嘔吐はさらに少なくなっています。
 三環系抗うつ薬やSSRIと比べて、ミルナシプランで多く認められたのは排尿障害で、男性患者の7%に排尿障害が認められています。従って前立腺肥大による尿閉のある患者への投与は避ける必要があります。
 ごく軽度の心拍数増加(3〜4ビート)が認められますが、起立性低血圧は有意に少なく、心電図に及ぼす影響を比較すると、三環系抗うつ薬ではPR間隔、QRS幅、QT間隔のいずれも有意に延長するのに対して、ミルナシプランでは何ら変化が認められませんでした。
 投与初期の3ヵ月に認められたのと同じ症状しか見られず、しかも時間とともに発現率が低下していました。
 最高2,800mgまでを自殺目的で単独ないし他の薬剤との併用で摂取した15例の報告がありますが、死亡例はありません。
 副作用による脱落率から忍容性を比較しますと、三環系抗うつ薬では14.8%であったのに対して、ミルナシプランでは7.6%と低いことが示され、中止の理由としては消化器症状、排尿障害、動悸が多く認められました。
わが国初のSNRIとして登場したミルナシプランは他の薬剤の併用による相互作用の危険がなく、抗コリン性の副作用も少なく、過量服用時の心毒性のない安全性の高い薬剤であることが示されており期待されます。

ミルナシプランは特に意欲低下に対する効果が期待されます。
SNRIは重症うつ病やメランコリー性うつ病に対しても三環系抗うつ薬と同等の効果を有し、かつ副作用が軽微であることから今後うつ病治療の第1次選択薬となる可能性があります。SNRIはセロトニン・ノルアドレナリンの再取込阻害作用と非特異的な作用機序を有しますが、うつ病に特異的に効果を示す可能性があります。海外では、ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤や抗不安薬が起こす常用量依存や反兆性不眠不安などの弊害を阻止する目的でSSRIやSNRIなどがそれらの代わりに用いられてきています。


抗うつ薬と他の薬剤の相互作用
1.フルボキサミン(ルボックス

テオフィリンとフルボキサミンを併用しますと、テオフィリンの血中濃度が上昇します。
ワルファリンとの併用で、ワルファリンの血中濃度が上昇します。
睡眠導入剤トリアゾラムや、抗不安薬アルプラゾラムとの併用で、これらの血中濃度が上昇します。
グレープフルーツも血中濃度を上昇させる。
三環系抗うつ薬も併用しますと血中濃度が上昇する可能性があります。
2.パロキセチン(パキシル

三環系抗うつ薬や代表的な抗精神病薬であるハロペリドールなどの向精神薬以外にも、麻薬や抗不整脈剤、β遮断薬など多くの薬剤との併用に注意が必要です。
3.ミルナシプラン(SNRI)(トレドミン

併用による相互作用のリスクが少ないことが、利点となっています。三環系抗うつ薬との相互作用がない
4.タンドスピロンとの併用
セロトニンの神経伝達を高めるSSRIと、軽い不安やうつに対してプライマリケアで用いられることの多いタンドスピロンを併用すると、タンドスピロンもセロトニンの受容体を刺激するため、まれに異常に脳内のセロトニンの神経伝達が亢進し、発熱、ミオクローヌス、意識障害などを呈するセロトニン症候群が出現することがあります。

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躁病

躁状態
 高揚した爽快気分,思いつきや発想が次々と湧いてくる観念奔逸,意欲が亢進し何かせずにはいられない行為心迫を主症状とする状態をいう。躁状態は種々の疾患や薬物などによってもおこるが,典型的なものは双極性感情障害(躁鬱病)の躁病相にみられ,これを一般に「躁病」と呼んでいる。重症な躁病は病識に欠け,恋愛,血統,資産,発明,宗教などに関する誇大妄想,関係妄想などの精神病症状を伴う例も少なくない。
 身体症状としては,睡眠をとらずに活動しても疲労感を訴えることは少ないが,ときに衰弱状態に陥ることもある。通常,嗄声,性欲亢進も認められる。
 躁病の成因としては生物的要因が強いが,発病には心理社会的ストレスが誘因になることが多く,これも祝事よりは不幸な出来事の方が多い。双極性感情障害以外に躁状態を引き起こす疾患として甲状腺機能亢進症,SLEなどがよく知られているが,AIDSによる躁状態も報告されている。薬物としては各種ホルモン剤,アンフェタミン類はもちろんのこと,最近L-ドーパ,抗癌剤,インターフェロンなどによる躁状態もかなり報告されている。
 年4回以上躁または鬱状態を繰り返す症例を頻発型(ラピッドサイクラー)と呼んでいる。これは女性に多く,抗鬱薬などで頻発型になる例も少なくない。精神疾患に限らず,ほとんどすべての病気は早期治療が原則であるが,特に躁病はそれが大切である。

躁病の治療
薬物療法が主体
 治療薬としては炭酸リチウムを中心に,フェノチアジン系薬物,ブチロフェノン系薬物,ゾデピン,スルトプリドなどの抗精神病薬やカルバマゼピンが多く使用されている。
 リチウム塩の特徴は,眠気を与えず鎮静させること,効果発現がやや遅いこと,有効例,無効例が比較的明瞭に区別されること,再発防止効果があること,血中リチウム濃度の監視が必要であることなどである。リチウムの有効血中濃度は0.4〜1.2mEq/lで炭酸リチウム投与量600〜1,200mg/日のとき,ほぼこの値になり1.2mEq/lを超えると中毒症状が現れ易い。

 カルバマゼピンも予防効果があり,リチウム無効例や激しい興奮時などに使用されることが多い。症状が消退しても再発し易いので少なくとも5年間は投薬を続ける方がよいといわれている。 

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