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老人性痴呆 KOKORO.Center

 

老人性痴呆

痴呆性老人とは
診断
経過
リスクファクター(危険因子)
予防
痴呆患者のケア
痴呆患者への接し方
問題行動への対策
冶療
施設・在宅サービス

痴呆性老人とは
痴呆とは,いったん正常に発達した高次の精神機能(認知,記憶,判断,言語,感情,性格など)が,後天的な脳の器質障害などにより持続的に低下し,その人の日常生活や社会生活に明らかに支障をきたすようになった状態で,症候群の一つと考えられる。

厚生省の推定では痴呆性老人は全国に約100万人いるといわれている。
痴呆は著しい記憶障害が特徴であり,それは健康老人の物忘れとは異なる。
痴呆は症候論的にみると,主症状と随伴症状に分けることができる.主症状とは短期および長期記憶障害,高次脳機能障害(判断の障害,失語,失行,失認など)および人格変化であり,脳の病変を直接反映したものである.

これに対して随伴症状とは,夜間せん妄,幻覚・妄想,徘徊,うつ状態などで,これらは二次的に生じてくる機能的な症状であり,多くは一過性である.
痴呆をきたす疾患はいくつかあるが,おもなものはアルツハイマー型痴呆(Alzheimer-type dementia;AD)と脳血管性痴呆(vascular dementia;VD)である.また,両者の合併したものは混合型痴呆と呼ばれる.
痴呆にはその程度によってステージがあり,アルツハイマー型痴呆では健忘期,混乱期,痴呆期のように区分される。
要するに痴呆は疾病状態のひとつであり,慢性の経過をとり原因疾患の治療が困難なため治癒よりも介護が重点となる。その対応にあたっては,正確な診断,介護する家族を援助することが必要である。

生理的老化と痴呆の違い
(1)粗大な健忘といわれるように,体験したことの全てを忘れる。

(2)物忘れは記憶だけにとどまらず,暗算,見当識,判断力等,広範な知的機能の低下が進行する。
(3)物忘れを自覚していない。物を忘れたという自覚が「本人」にあるのか,あるいは本人には自覚がないが家族が「物忘れが目立つと思う」かという点が重要であり、後者は痴呆による物忘れの可能性が高い.
(4)被害妄想などの行動の異常をともなうことがある。

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診断
診断基準は,1)記憶力,思考力,判断力の低下,見当識障害,失語,失行,失認,2)日常生活の支障,3)器質性脳障害の証明であるが,診断に際して意識障害が無いことが条件にされている。脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆がほぼ半々である。脳血管性痴呆は多発脳梗塞が多く,高血圧が70%に見られ,初期には「まだら痴呆」の形を取り,階段状に進行する。アルツハイマー型痴呆は,大脳全体が徐々に萎縮するので痴呆も全般的に徐々に進行する。
中等度以上の痴呆では,夜間徘徊,興奮,迷子などの行動異常が現れる。重度の痴呆では,日常生活動作が困難になり,全面的な介助が必要になり,末期では寝た切りの状態になる。

痴呆とうつ病の区別
高齢者のうつ病ではときに痴呆によく似た病像を呈し,鑑別診断に困難を感じる場合である。この状態は「うつ病性仮性痴呆」といわれるが,状態像,病歴を精緻に観察すれば一応鑑別は可能となる。
・痴呆に伴ううつ状態の問題がある。約半数にうつ状態が認められた。これらのうつ病相はくり返し出現する場合があり,躁状態を伴う症例もあった。うつ状態は薬物療法がかなり有効である特徴があります。
・逆に、うつ病だけだった患者に痴呆が出現することもある。
・鑑別の要点は,(1)抑うつ状態と痴呆状態の出現の順序,(2)午前中症状がとくに悪いか夕方から夜に増悪するか,(3)応答の様子にみる真剣さとニアミスアンサーなどです。
老年期にみられる幻覚妄想状態
・シャルル・ボネ症候群
 痴呆も意識障害もなく、幻視のみを訴える高齢者があり、このような状態を「シャルル・ボネ症候群」と呼びますが、臨床的には出会うことはほとんどありません。
・せん妄
 意識障害に基づく幻覚妄想状態を「せん妄」といいます。夜間や夕方、ついで朝方に多くみられ、軽い興奮や、逆にぼんやりとした精神状態を呈します。誰もいないのに「誰かが来ている」、「人や物が見える」などの幻視やそれに基づく被害妄想を訴えます。会話のまとまりも悪く、行動も混乱します。意識障害があり、夢を見ているような状態ですから、後に、その時のことを部分的にしか思い出せないか、あるいは全く覚えていないことがあります。高齢者では、体力や栄養状態の低下のため、感染症や発熱、循環障害、脱水状態や薬物の使用などに伴い、軽い意識障害である「せん妄」が出やすくなります。痴呆を伴わない「せん妄」は、それぞれの原因に応じた治療をすることにより速やかに改善します。
・遅発パラフレニー(老年期妄想症)・遅発分裂病
 意識障害も痴呆も伴わない老年期の幻覚妄想状態は、「遅発パラフレニー(老年期妄想症)」とか「遅発分裂病」と呼ばれています。誰もいないのに「自分を非難・誹謗する声が聞こえる」などの幻聴や、「誰かに迫害されている」などの被害妄想や、「配偶者が不貞を働いている」などの嫉妬妄想を訴えるようになります。治療としては精神分裂病に準じて、抗精神病薬による薬物療法や環境調整が主になります。なお、この一群の中には、幻覚妄想状態に引き続き、次第に痴呆症状が顕在化してくる人達がありますので、注意深い経過観察が必要です。
脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆の区別

HachinskiのIschmic scoreで、 突然の発症 2、階段状の増悪 1、動揺の経過 2、夜間せん妄 1、人格の保持 1、抑うつ 1、身体的愁訴 1、感情失禁 1、高血圧の既往 1、脳卒中の既往 2、他の動脈硬化の合併 1、局所神経症状 2、局所神経学的徴候 2
7点以上が脳血管性痴呆の可能性が高くなります。(一方、4点以下はアルツハイマー型痴呆の可能性が高くなります。)
アルツハイマー型痴呆

定義(DSM−IV)

A.以下の2つによって明らかとなるさまざまな認知障害

(1) 記憶障害
(2) 以下の認知障害のうち少なくとも1つ
a) 失語
b) 失行(運動機能障害が正常であるにもかかわらず、運動活動を遂行することができない)
c) 失認( 感覚機能が正常にもかかわらず、物体を認知、同定することができない)
d) 実行機能障害(計画、組織化、筋道を立てること、抽象化の障害)
B. 緩徐な発症と持続的進行
C. 認知障害による社会・職業上の働きの障害、また以前の社会・職業上の機能水準からの有意な低下
D. Aにみる認知障害は以下のものにはよらない
(1) 進行性の記憶や認知障害を来たす中枢神経系の状態(脳血管障害、パーキンソン病、ハンチントン病、硬膜下血腫、正常圧水頭症)
(2) 痴呆を来たす身体疾患(甲状腺機能低下症、ビタミンB12や葉酸の欠乏症、ナイシアン欠乏症、高カルシウム血症、神経梅毒、HIV感染症)
(3) 物質惹起状態
E. この障害は、せん妄の間のみに生じることはない
F. 大うつ病性障害、精神分裂病にあてはまらない
レビー小体型痴呆

 アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆で痴呆の80〜90%を占めるといわれていますが、これに次いで多い。パーキンソン病症状を伴う「びまん型」とパーキンソン症状を伴わない「皮質型」に分けますが、いずれも特徴的な幻覚妄想状態を呈します。その特徴は、幻視と誤認妄想というべき被害妄想です。幻視については、意識障害がなく、極めて鮮明でありありとした幻視を訴えます。しかもその出現には波があり、現れては消え、また現れては消えるという変動があります。また、抗精神病薬の投与で、パーキンソン病症状が悪化することが多いのも特徴です。
ピック病、前頭・側頭萎縮を示す、
Creutzfeldt-Jacob(クロイツフェルト−ヤコブ)病
前頭葉型痴呆

治せる痴呆
脳外科的疾患

慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍等
頭蓋内感染症

梅毒による進行麻痺、結核性髄膜炎、クリプトコッカス性髄膜炎、単純ヘルペス脳炎、AIDS脳症など
感染症は治せても、脳の器質的変化が生じてしまった部分つまり痴呆状態になったものを元に戻すのは困難。
神経・精神疾患

うつ病、うつ状態、パーキンソン症候群、パーキンソン病、意識障害
内科的疾患
脱水・電解質異常→ヘマトクリット、電解質
低血圧(降圧薬の過量)→坐位での血圧測定、問診
不顕性感染症→CRP、血沈
肺性脳症(CO2ナルコーシスなど)→胸部XP、動脈血ガス分析
内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)→T3、T4、TSH
代謝性疾患(糖尿病性昏睡など)→血糖値、ケトン体、BUN、FFA、電解質、血清浸透圧
慢性腎不全(尿毒症、透析脳症)→腎機能検査、電解質
肝性脳症→肝機能検査、セルロプラスミン、血清銅、アンモニア

薬剤によるもの
薬剤は、薬剤そのものが痴呆に結びつく場合もありますが、中には薬剤の副作用に伴うパーキンソン症候群の経過中で痴呆状態を呈する場合があります。
レセルピン
中枢神経作用薬 :ベンザミド系薬剤(チアプリド、スルピリド、メトクロプラミド)、[中枢性]抗コリン薬、
三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗てんかん薬(フェニトイン、バルプロ酸)
脳循環改善薬 :フルナリジン
消化器用薬 :ベンザミド系薬剤(スルピリド、クレボプリド、メトクロプラミド)、H2遮断薬(シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロクサチジン)
抗悪性腫瘍薬 :メトトレキサート、カルモフール、テガフール、5-FU

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経過
アルツハイマー病
前駆症状
 知的能力低下に先立つ2〜3年前から、軽度の人格変化(例: 頑固になった、自己中心的、人柄に繊細さがなくなった)、不安・抑うつ、睡眠障害、不穏、幻視妄想を認めることが多い。
第一期
 初期の記憶障害はエピソード記憶の障害であり情報を近時記憶のなかに組み込むことができない.何度も同じ質問を繰り返しし,「あれ」「それ」などの代名詞が増える.一方,意味記憶や即時記憶,手続き記憶などは比蚊的保たれる.地誌的見当識の障害は「初めての土地に旅行するのが難しくなった」「帰り道で迷ってしまう」などの訴えで始まり,自発性の低下,易怒性,抑うつなどの人格障害も初期からみられる.

 運動機能は正常であり、日常生活は見守りで可能です。脳波、CT/MRIでも正常を認める事が多く、ただ、SPECT/PETでは両側後頭頂葉、側頭葉循環代謝量の低下を認めます。これらは大脳皮質全般の機能低下をあらわしています。
第二期
 発症後2年から10年の時間がかかると考えられていますが、記憶系では近時記憶および遠隔記憶の障害が著名になり,構成能力の低下、失見当識(日時、季節に対しての失見当識、場所に関しての失見当識、人物に対しての失見当識等)が認められます。人格面では、無頓着,無欲といった性格変化を認めます。大脳皮質局所症状としては空間失認、構成失行、失語を認めます。

 運動機能では、徘徊が始まり落ち着きがなく、日常生活では見守りよりは間接的介助、直接的介助を含めて介助が多くなります。錐体外路症状(筋固縮)が出現しパーキンソン病と間違われることもあります。
 脳波では基礎律動の徐波化、CT/MRIでは脳溝の開大と脳室の拡大を認めます。SPECT/PETでは両側頭頂葉、前頭葉の循環代謝量の低下を認めます。これらは大脳皮質の萎縮に伴う局所性病巣が関与してきます。
第三期
 発症後10年前後は痴呆の末期で、記憶は高度に障害され、人格面は崩壊し大脳皮質局所症状は筋硬直、歩行障害、原始反射等が出現します。しばしば痙攣、失禁、拒食・過食、反復運動、錯語、反響言語、語間代、四肢には固縮を認め,屈曲姿勢となる. これらは高次神経機構の解体に伴う低次神経機構の抑制解除が考えられているのです。
・全経過は4〜8年(最近は6〜10年と延長)で、平均6.8年程度。

脳血管性痴呆
・記銘力の低下、頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ等からはじまり、症状が動揺しながら階段状に進行していくことが多いようです。TIAやRINDが繰り返した後に起こることもあります。初期は病識が保たれていることが多く、多くは物忘れについて自覚しており、それについて悩むなどして抑うつ的になることもあります。また、不眠も多く、夜間せん妄などもみられます。脳血管性痴呆は、記憶障害が高度であるにも関わらず、人格が比較的保たれているなど、障害が一様に低下するのではなく、その障害の程度に差がみられ、まだら痴呆を呈します。
・次第に自発性の減退、興味の喪失などが目立つようになり、活動性が低下します。神経症状として、片麻痺、知覚鈍麻、パーキンソン症状、構音障害、嚥下障害、歩行障害、尿失禁などを認めることがあります。また、感情失禁といって、些細なことで怒ったり、涙もろくなることもあります。左半球病変では、失語・失行・失読・失算・失書などがみられることが多く、右半球病変では、失認(半側空間無視・人物誤認など)・着衣失行・意欲低下等がみられることが多いようです。

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リスクファクター(危険因子)
アルツハイマー病のリスクファクター(危険因子)について
加齢:高齢になるほどリスクは高くなります。
性別:女性の方がリスクが高いようです・・・閉経後の女性ホルモンの低下が関係するという説もありますが詳細は不明です。
人種:日本人は少ない(しかし脳血管性痴呆は多い)といわれていましたが、最近は日本でもアルツハイマー病の割合は増えています。
頭部外傷:頭部外傷がリスクを高めるといわれていましたが、最近はそうではないという報告もあるようです。
喫煙:タバコは以前はリスクを下げるというデータもありましたが、現在はリスクを高めると考えられています。
アルミニウム:リスクは高くなるようですが・・・いわゆる「アルミ鍋」に関してはよくわかりません。
アポリポ蛋白E4:アポEにはε2、ε3、ε4の遺伝子がありますが、ε4をもっている人はリスクが高くなります。アポEはAβをβシート構造に変化させることによりAβの凝集を促進する働きが推定されているようです。 危険因子
脳血管性痴呆のリスクファクター(危険因子)について
加齢:加齢に伴い増加する傾向があるようです。
性別:男性の方がリスクが高いようです。
血圧:血圧が高いと動脈硬化を促進するためリスクが高くなりますが、逆に低すぎても脳の血流が低下するため脳梗塞のリスクが高くなるようなので、適度な血圧を維持するのが大事なようです。
糖尿病:動脈硬化を促進するためリスクが高くなります。
高脂血症:高脂血症自体は、心筋梗塞のリスクファクターです。HDLコレステロールが低いとリスクが高くなります。
心疾患:弁膜症や心房細動などがリスクファクターです。
脱水:血液の粘稠度が亢進し、血栓ができやすくなるためにリスクが高くなります。
その他:喫煙など。

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予防
アルツハイマー病の予防


脳血管性痴呆の予防

脳血管性痴呆は、主として多発性脳梗塞に起因する痴呆であり、その予防は脳血管障害に対する治療が基本となります。
適度の運動
禁煙
コレステロールを多く含むものをとりすぎない
糖尿病のコントロール(甘いものを食べ過ぎない)
血圧のコントロール
肥満の改善
食生活の改善
できるだけ頭を使うこと

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痴呆患者のケア
介護の要点は,老人の心性を十分に把握し,まず安心して暮らせる状況を作ることが大切である。 
狭義の治療とは違って多様な対応が他職種よりなるチームケアでなされる長期ケアの概念が必要となるが,家族にはそのチームの一員としての意識を持ってもらうようにする。そのうえで家族と相談のうえ,具体的な対応策を講ずることになる。痴呆の程度,精神症状,問題行動の程度,様態,そして家族の介護能力等を勘案しながら,可能であれば在宅ケアを勧める。しかしながら,在宅ケアにあたる同居家族の心身の負担は想像を越えるものがあり,デイケア,ショートステイの利用,あるいは速やかに施設ケアヘ転換するなどの家族の負担の軽減を図ることが重要である。
家族への介護指導の原則としては,(1)心のバランスを保護するため馴染みの環境で馴染みの人が介護する,(2)感情の交流を大切にし間違ったことを言ってもなるべく受け入れる,(3)介護者の健康を保つため介護は複数でまたショートステイ等の行政サービスを利用すること,などが大切である。

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痴呆患者への接し方
痴呆性高齢者に対する関わりの基本
1.なじみの世界

 新しい事に取り組むということは若い頃と異なり、高齢者にとっては、精神的にも身体的にも大変なストレスになります。対応がうまく出来ない事がストレスの原因になるようです。そのために考えることとしてまず一番目に、なじみの場で、なじみの時間で、いつものなじみのメンバーと共にいる環境づくりが大事であり、なじみの家族、なじみの地域となります。環境の変化に順応できず,引っ越しや入院などが,症状増悪の引き金になることが多い.入院はなるベく短期間とし,引っ越しなどで環境が変わった時は,特に症状の変化に留意する.
2.安心できる暖かい場

 光・音・温度・雰囲気、そして人的な環境、社会的な環境、家庭的な環境、治療の場としての治療的環境、あるいは老後を暮らす環境としてどこを選択するか本人にとって居心地の良い場所であるかということです。痴呆患者は,自分の身体を危険から回避することが難しい.火の不始末による火災,転倒,交通事故,異物の誤嚥など,痴呆患者の周囲には多くの危険があり、患者自身も不安を感じている。患者周囲の環境を整備することで,精神的な落ち着きを取り戻すことができる.
3.痴呆性高齢者の尊厳を大事

 痴呆性高齢者は数十年の人生経験の中で得てきたものがあり、そして様々な経験を重ね幾多の困難を乗り越えてここにおられます。今、心身ともに衰え知的にも痴呆を認めるとしても、その方の尊厳を傷つけることなく人として生きる事を大事にする。
4.痴呆性老人への接し方の具体例
1. 孤立化を避けます。
2. 高齢期になると個人差が大きく、人生の価値観も異なることに配慮します。
3. リスク管理に注意します。
4. 高齢者のペースに合わせた時間の使い方が必要です。
5. 急激な変化は避けます。
6. 脱水や尿失禁が痴呆状態の悪化につながることがあり、注意しましょう。
7. 生活歴・趣味指向、そして残存能力に配慮しましょう。
8. 指示や話は簡潔明瞭にしましょう。
9. 意思疎通には非言語的手段も用い、相手への理解や尊敬を伝えましょう。
10. 痴呆性老人であっても相手の対応を感じ取ることができます。
11. その方の心身の機能低下に合わせましょう。
12. うまくいかない時は気分転換をお互いにはかりましょう。

13. 自尊心や羞恥心を傷つけない
 老人は失敗したり、間違った行動をします(例えば、尿を漏らす、冬の寒い部屋の暖房を切る)。しかし、老人は間違った行動であるとの判断が出来ないので、それを叱ったり、訂正したりしても、老人には屈辱感だけが残ります。その結果、老人は反抗的になったり、逆に何もしなくなります。そこで、間違いや失敗をすぐには訂正せずに、一旦は、受けとめるようにします。
14. コミュニケーションは言葉だけでなく、スキンシップを図る
 会話は短く、はっきりと、簡単な言葉で話します。言葉がうまく通じない時は、言葉以外に絵、文字で会話を進めます。痴呆が進んで会話ができなくなったら、手を繋いだり、肩を抱いたりして、スキンシップを図ります。
15. 老人は場所や時間の見当識が曖昧である
 老人は周囲の状況が正しく把握できない、また時刻や日付も判らず不安や焦燥にかられています。そのために些細な事で混乱を起こします。そこで、カレンダーなども活用して日、時間、などを何度となく教えます。近所に連れ出して周囲の状況の理解を助けるようにします。
16. 老人の昔話を聴く
 老人の昔話をよく聴いてやることが出来ると、老人は落ち着きを取り戻し、よい人間関係をつくることができます。老人は自尊心を高め、生き生きとしてきます。しかし、昔話を聴けるような関係になるのに、かなり時間が必要です。
17. 環境を整える必要がある
 住み慣れた場所、馴染みの家具に囲まれて、日常生活が送れるように配慮します。また、規則的な日常生活を過ごすようにします。危険物を手の届くところに置かないようにし、安全を図り、整理整頓します。環境の変化を伴う転宅や入院は痴呆を促進することを知ることが必要です。
18. 不潔行為をふせぐ必要がある
 痴呆性老人には失禁が避けられません。トイレの場所を忘れていることもありますが、漏らしてから気付くこともあります。この失禁を厳しく咎めることが不潔行為に繋がりますから、介護者が時間を見計らってトイレに誘導するのがよいでしょう。
18. 残された機能への働きかけ
 老人に残された機能をできるだけ生かすようにします。それには、老人が何が出来るか、何が出来ないかを見極めて、少しでも出来ることは、本人自身がやるように働きかけます。例えば、洗濯物を畳む、茶碗を洗う、簡単な料理の手伝いをさせるなどです。

痴呆患者への接し方は,痴呆の段階が進むに従って変化する
1.第一期
 初期の記名力低下による,何度も同じ事を聞いたり,誤解したりする場合には,うるさがったり,非難したりしてはいけない。初期の痴呆患者は,しばしば自分の物忘れを嘆き,自信を失い,意欲が低下している.痴呆患者ではエピソード記憶は著明に障害されているが,手続き記憶は保たれていることが多い.病前の趣味や,以前従事していた職業に関する事柄などを驚くほど上手に行うことができることがある.保たれている能力を引き出し,繰り返して行わせることで,意欲と自信を回復させることができる.
2.第二期

 中等度の痴呆になると,古い記憶も障害され,見当識も障害される。認識の誤りやそれにもとづく行動に対して,注意したり禁止してもうまくいかない。一度患者の言うことに従って行動させてから,こちらの指示通りにすることを納得させる方が,うまく行く楊合がよくある。痴呆患者には,言葉に頼らない方法で認識させたり,安心感を与えることが大切である。

介護する家族の心得
1.知るは力なり :上手な介護は、痴呆の症状についての正しい知識を持つことから始まります。
2.割り切り上手に :痴呆は病気と割り切って、「またいつもの症状が出てきた」と思えば、一呼吸おいて冷静に対処できるのではないでしょうか。
3.時には役者に :お年寄りの錯覚や間違った思いこみには、いきなり否定しても反発を増すだけです。時には、お年寄りに合わせて演技をして良い方向に持っていきましょう。
4.全力投球はしない:全力投球は途中で息切れがして長く続かず、結果として介護者の体調をくずすことにもなりかねません。肩の力を抜いて焦らずゆったりとした介護を心がけましょう。
5.隠すよりオープンに:痴呆のお年寄りがいることを周囲に隠していませんか?それは逆効果です。近所の人や周囲の人に知ってもらうことで、介護する時にいろいろな協力がもらえ、肩の荷が軽くなります。
6.借りる手は多いほど楽:介護を一人だけで抱え込んでいませんか。介護をしている人は自分の生活もできるだけ大切にしていきたいものです。どんなことでも手分けをすれば楽になります。家族で役割を分担したり保健福祉サービスを積極的に活用しましょう。
7.仲間を見つけて、悩みの共有を:痴呆のお年寄りを抱える家族の会や、同じような介護をしている人達と話をしてみましょう。悩みを話したり、他の人の話を聞いたり、気持ちを分かち合うことで、孤独感が薄れたり、精神的な支えや介護のアドバイスを得られることがあります。
8.ペースは合わせるもの:お年寄りにはその人のペースがあります。介護者のやり方を押しつけるのではなく、お年寄りのペースに合わせてつきあうことが大切です。
9.
相手の立場で考えよう:痴呆のお年寄りには、特にプライドを傷つけないような配慮が大切です。お年寄りの人格を認め、お年寄りの立場にたった介護を心がけましょう。
10.介護者の健康管理にも気をつけて:無理は禁物です。介護者自身の健康管理にも気をつけて、自分の生活も大切にしていきましょう。

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問題行動への対策
物忘れ 「ごはんはまだですか」
ポイント 話題を変え、「忘れること」を利用する
 つい今しがた食べたばかりなのに、そのことをすっかり忘れてしまって催促するというのは、よくある症状です。大切なことは、何が事実かで争うことではなく、本人に対して納得してもらうことです。「さっき食べたでしょ」といっても、「私は食べていません」とかえって反感を持たれてしまいます。あるいは「自分たちだけ食べて私には食べさせてくれない」という被害妄想的な感情を抱きかねません。
 こういう場合は、「もうすぐできるから待っててね」とか「ちょっと作るの手伝って」とか言って、待っているうちに忘れてもらうのがひとつの手段です。また、何となく口淋しいとか、自分の好きな食べ物を食べさせてもらえない不満からこういう訴えをしている可能性もあるので、日頃から本人の好きな果物やちょっとしたお菓子などを用意しておいて「もうちょっとで出来るから、それまでこれで我慢して」というふうににして機嫌を良くするやり方もあります。
妄想 「財布を盗まれた」
ポイント 同じ感情を共有して、味方になる。

 大切なものをなくしてはいけないと思ってどこかにしまい、そのまま忘れてしまうことがあります。いざ使おうと思ったらそれがないので、「これは怪しい、誰かがとったに違いない」と疑うのです。こういう場合は「私じゃないわよ」といっても、「自分が取ったと白状する盗人がいるはずがない」となります。だから、「それは困りましたね。一緒に探しましょう」と、一緒に探しましょう。もし、見つかったときも、家族が見つけると「やっぱりあんたが盗んでいた」といわれてしまいます。ですから、自分の手柄にはせず、「この辺りを探してみましょうか」とうまい具合に導いて自分で見つけてもらって「あったー、良かった」と、喜びを分かち合いましょう。
 被害妄想(貯金通帳をなくし忘れて、無い、盗られたという)、嫉妬妄想(嫁が主人を寝とった)、貧困妄想(金がない、着る物がない、食べるものがない)などには根気よく対処する必要があります。
見当識障害 「今日は何日ですか」
ポイント 同じ立場になり、不安を取り除く。

 「今日は何日」というのは、何日かを知りたいというよりも、今がいつで、ここがどこなのかが不安だということの裏返しなことがあります。だから、何回でも繰り返して聞くのです。
 そのときにつっけんな受け答えをすると悲しい思いをさせてしまいます。かといって、心に余裕がないこともあります。だから、決まったところに大きな日めくりカレンダーをかけておいてもいいのではないでしょうか。で、一緒にその前に行き、「ああ、今日は○日なのね」と一緒に納得してみましょう。
人物誤認 「あなたはどなたですか」
ポイント 否定をしないで、まず受け入れる。

 もう何年も一緒に暮らしているのに「あなたはどなたですか」と言われるのは、やはりショックだと思います。でも、これは新しい記憶がなくなってしまうのだから仕方ありません。同じ理由で、別の人(その人の両親や兄弟、友人など)と間違えられることもあります。そんなときには、強く否定しないでその人になりきってしまったほうがいい場合もあります。また、泥棒だとか恨みを持っている人と誤認して興奮することがあります。そのときも、言い争うと余計ややこしくなりますから、一回姿を消してから、機先を制して「ただいま帰りました。○○です。」といって、認識してもらうといった工夫をしてみましょう。
徘徊 「家に帰る」「帰り道がわからなくなる」
ポイント 高齢者の安全を守るネットワークづくりを 。

 家人の少しのスキを見つけて、一日に何回も外出します。このような時は、それなりの理由があります。例えば、自分の家に居るのに、他人の家であると勘違いしている時や、孫を保育所に迎えに行かなくてはならないと思っている、勤めや買い物に出掛けるつもりで外出したがる、何となく外の空気が吸いたい・歩いてみたい、家の居心地が悪い時などです。従って、理由も考えずに、無理に引き止めると、却って、老人を興奮させます。
 対応 としては、安心させ、落ち着かせる。日中の散歩など適度の運動をさせる。無理して連れ戻したり止めようとせず、近所をぐるっと一周して帰ってくる。できれば、一緒に出かけて、季節のことなど話しかけたり、公園で一緒に休んだりして、ひとしきり気が晴れたた自宅に帰るというのが理想的ですが、いつもそうできるわけではありません。 一人で出かけてしまうことがあるのなら、玄関の戸にベルをつけておいて、出たことがわかるようにするという工夫をしてみます。また、住所と名前と電話番号を書いた名札を着衣につけたり、名刺を作ってポケットに入れたり、ペンダントとして首にぶら下げておくと良いでしょう。また、よく行く商店街やスーパーの人などに、一人歩きをしていたら教えてもらうようにあらかじめお願いしておくのも大切です。
幻覚 「誰かが狙っている」
ポイント 説得よりも、まず安心感を抱かせる。

 何もないところを指して「そこに妖怪がいる」「泥棒が狙っている」といって騒ぎたてることがあります。このようなとき、本人は本気で怖がっていますから「何もいないじゃない」と説得しても納得しません。ですから「私がいるから大丈夫ですよ」とか、「一緒に退治しましょう」といって、安心感を与えてあげてください。ただし、このような症状が何日でも続くようでしたら、早めに専門医に相談し、精神が安定する薬を出してもらったり、生活指導を受けたりすると良いでしょう。
人格変化 「腹を立てて攻撃的になる」
ポイント 介護者が冷静になって対応する。

 痴呆性高齢者の中には、人格が変わったように怒りっぽく、ときに粗暴になる人がいます。とくに屈強な男性の場合、介護者が怪我をすることもありえます。これには必ず何らかの理由があります。例えば自尊心を傷つけた場合や、考え方が違う場合です。感情をコントロールする能力の低下や、様々な思いを上手に表現することができないもどかしさが根底にあると思われます。だから、介護者が平静さを失っているとより増幅されます。むしろ上手に話題を変えながら、注意を別の方向に持っていくとか、とりあえず、その場を離れ、一定の時間、間をおいて本人が忘れるのを待つといった工夫が有効なことがあります。もし、あまりにも激高するようならば、専門医の診察を受け、精神を安定させる薬を出してもらいましょう。また、日常生活や環境をもう一度見直して、原因となることがもしあったらそれを改めるようにしましょう。
失禁・不潔行為
ポイント 厳しく叱責することは逆効果。

 原因としては、身体疾患(膀胱炎、前立腺疾患)による、脳の障害や意識障害のため排尿機能が低下、動作が遅くて間に合わない、トイレの場所が分らない、視覚失認のため、他の物を便器と間違える、排泄に関して無関心。不潔行為の多くは、「失敗したことを隠したい」という羞恥心の現れだとされています。
 対応 として、失禁の原疾患の治療。トイレを近くにする。簡単に脱げる服にする。1人1人の排泄パターンを知りその人の生活のリズムで「そろそろ用便か」と思うときに一緒にトイレに行く。トイレに目印を付ける。便器と間違える物にふたをする。成人用プリーフ、おむつの使用。 もし失禁したときも「ちょっとぬれたから替えましょうか」とか「新しいほうが気持ちがいいですよ」と言って平静に始末をしましょう。自動水洗器やリモコン水洗が役に立つ。「ぼけていること」を非難せず,最もうまくつき合える方法を工夫することが大切である。
夜間せん妄や「夕暮れ症候群」

夜間,部屋を暗くしないで,ラジオやテレビの音を聞かせたり,縫いぐるみの人形を抱かせたりして,寂しさや不安を和らげる工夫をする。
夜間せん妄
夜置きだして、ウロウロと歩いたり、幻覚を本当のことのように思い込んでおびえたり、興奮して錯乱状態になることもあります。こうした状態は、何時間かで落ち着くといわれています。無理やり静かにさせたりしないで、付き添って一人にしないで、しばらくは様子をみて、気がまぎれるように他の部屋に誘ったり、お茶を飲むようにしたりしてみましょう。体調が悪いときや、水分摂取が少ないときにも、こうした状態がおこることがありますので、体の健康状態をチェックしましょう。
異食
原因としては、過食は食べたことを忘れる、脳の障害による食欲亢進、異食は視覚失認のため食べ物に見える。

対応として、家族と一緒にに食べ、食事終了時に「ごちそうさま、今日の夕食はこれで終わります」などと老人に納得させる。定期的におやつを与える。食べ物を探すような行動をはじめたら、お菓子や果物をあげて気をそらせるようにしましょう。食べられないものを目の届かないところ、手の届かないところにしまうようにします。食べ物以外の物は遠ざける。
性的行動
男性の高齢者が女性介護者にさわったり抱きつこうとすることがあります。そういうときに厳しく叱責したり鋭く拒絶すると、気が高ぶってしまうことがありますから、手を握ってあげて納得してもらったり、ちょっと大きなぬいぐるみを二人で一緒に持って気をそらしたりというふうにします。   
興奮
頑固な人が、自分の病気が何であるか認めていないということがあります。このことを家族が言うと興奮して、家族を攻撃するとか、器物を破損するなどの症状が生じます。     

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冶療
痴呆のリハビリテーション

24時間、365日の生活の中で、日常生活全般をリハビリとして考えて、残存能力の活性化をはかり、さらになじみの生活を大事にします。そういう意味で生活リハビリ、グループホームケアというものも一つの方法になります。また、見当識に配慮したリアリティーオリエンテーションや心理的には回想法・心理療法・精神療法等があります。さらには作業療法・理学療法・音楽療法・園芸療法・芸術療法・化粧療法・芳香療法・ペット療法、また社会的なリハビリ・家庭リハビリも今は検討されています。このようなリハビリテーションを行うことで痴呆を進行させない、あるいは痴呆の進行を遅らせる、あるいは廃用症候群を改善することができます。また、痴呆性老人にとっても、家族にとっても、人生の最後を前向きに考えていく選択肢になると考えます。ケアやリハビリテーションつまり治療は、本人・家族・医療スタッフが一緒に考え、一体となって共に治療していきます。

薬物療法
 脳の神経細胞を再生する方法は今のところありません。したがって、神経細胞が減ったことによる直接の症状は治りません。記憶や判断力の高度な障害などがこれにあたります。
 初期の脳血管性痴呆は,脳循環改善薬や脳代謝改善薬によく反応する。特に抑うつ気分,意欲低下,活動性低下,身体的自覚症状は高率に改善する。アルツハイマー型痴呆の初期の抑うつ症状にも有効である。中等度の痴呆になると,刺激性の亢進,粗暴な行為,興奮などがみられるが,ハロペリドールの1mgから3mgぐらいの少量の使用で効果がある。うつ状態を伴うときには,まず弱いながら抗うつ作用のある脳代謝賦活薬,インデロキサジンやビフェメランを試み,本格的抑うつには,たとえ痴呆が存在しても抗コリン作用の少ない抗うつ薬を使用する。
1.アセチルコリン分解酵素阻害薬

アリセプト、初期の人の何割かに有効
ドネペジルは日本で開発された薬剤であり、軽症から中等症のアルツハイマー病患者の自然経過における悪化を約9ヶ月遅延させる効果をもつことが示されました。さらに肝機能障害や下痢や吐気などの副作用の頻度も比較的少なく軽微であるとされています。
2.鉄剤療法
鉄剤療法は、クエン酸第一鉄ナトリウム50〜150・/日を投与するだけの簡単な治療法だ。副作用は通常の鉄剤と同様、便秘・胃重感・便の黒化などである。投与中は血清フェリチンを時折検査し、投与過剰にならないようにチェックする必要がある。有効率は6〜7割程で、効果がある患者では平均2年間は症状が改善し、5年間は悪化を食い止められるという。SPECT(脳血流検査)では、鉄剤投与により側頭葉の脳血流が増加していた。痴呆が進行したことによりダメージを受けた神経細胞が、クエン酸第一鉄ナトリウムの働きでミトコンドリアが活性化することで息を吹き返し、脳血流増加を促しているのではないかと考えられる。  
3.イチョウ葉エキス(Ginkgo biloba extract ; EGb 761)
脳機能障害については、初老の人において、記憶低下・めまい・耳鳴り・頭痛等に著効するというような臨床成績がドイツで多数報告されている。

4.ムスカリン性アセチルコリン受容体の刺激は、老人斑におけるアミロイドβ蛋白の生成機構とも関連し、β蛋白の生成を阻害する可能性も指摘されていることから、その効果が期待されています。
5.当帰芍薬散や禁煙補助剤であるニコチンパッチなどは、ニコチン性受容体の賦活効果がある薬剤として、アルツハイマー病治療へ応用する動きもあります。
6.抗炎症剤のアルツハイマー病治療への臨床応用が試みられています。インドメタシンやジクロフェナクを使用した治験では、投与期間中に痴呆の進行が、偽薬群に比べて有意に遅延するとの報告もされていますが、これらの薬剤は高頻度に胃潰瘍などの消化器系副作用をもたらすことから、より安全性の高い薬剤での有用性評価が必要と考えられています。
7.女性ホルモン(エストロゲン)がアルツハイマー病の発症を遅延させ、予防する効果をもつとの報告がなされています。しかしアルツハイマー病を既に発症した女性に対する女性ホルモンの有効性に関しては、報告によりまだ一定の見解が得られておらず、今後さらなる検討が必要と思われます。

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施設・在宅サービス
 平成12年4月1日に介護保険がスタートし、痴呆性老人は介護保険の中で、ある程度処遇が可能となっています。痴呆性老人の診断についてはまだ医療保険で行なわれておりますが、治療・ケアについてはほとんど介護保険で網羅されるようになってきました。

相談と診断
痴呆疾患センター
在宅介護センター
家族会、他
受診(精神科・老人科・内科、他)


医療保険でのサービス

老人性痴呆疾患専門病棟
 診断では痴呆疾患センター、重度痴呆疾患専門治療病棟等があります。実際、精神科、老年科等の診療科目の中で診断をしているケースが多いようです。早期に診断、治療、リハビリテーションをすることで、ある程度痴呆にブレーキをかけ、あるいは治せる痴呆もあるということから、ぜひ、早期に専門科受診をお勧めします。

老人性痴呆疾患療養病棟

介護保険での施設サービスとして次の三つがあります
1. 介護老人福祉施設、これは今まで特別養護老人ホームと呼ばれていたものです。
2. 介護老人保健施設、これは老人保健施設と呼ばれていたものです。
 老人保健施設はリハビリテーション・看護・介護を必要とする老人に対して,QOLの向上,生活の自立の支援,在宅ケアの促進をはかる中間施設であり,リハビリテーション,介護サービス,日常生活サービス等が提供されている。

3. 介護療養型医療施設、これはよりケアが中心の介護職員が手厚く配置された病院等です。

介護保険での在宅サービスとして次の12種類のサービスがあります
1. 訪問介護、これはホームヘルパーの訪問です。
2. 訪問看護、これは看護婦が訪問するものです。
3. 訪問リハビリテーション、リハビリの専門職が訪問します。
4. 訪問入浴、入浴チームが訪問します。
5. 居宅療養管理指導は、医師・歯科医師・薬剤師等が指導するものです。
6. 通所介護は、日帰り介護施設等への通所、機能訓練、食事、入浴等があります。
7. 通所リハビリテーションは、老人保健施設・病院・医院への通所機能訓練、食事、入浴等です。
8. 短期入所生活介護は、介護老人福祉施設への短期入所です。
9. 短期入所療養介護は、介護老人保健施設等への短期入所です。
10. 福祉用具貸与は、車椅子・特殊寝台等の貸与です。
11. 痴呆対応型共同生活介護、これは痴呆性老人のグループホームであり、入居者が5人以上9人以下の小規模で、より家庭的な中で残存能力を活性化させ、痴呆性老人の尊厳を考えたケアが提示されています。
12.特定施設入所者生活介護があり、これは有料老人ホーム等での介護です。

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