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パニック障害とは
 パニック発作とそのくりかえしを特徴とする神経症で,発作に対する恐怖は外出恐怖や閉所恐怖などの恐怖症(広場恐怖と言います)を引き起こし,また,発作時に現れるめまい感や,動悸,息苦しさ,震えなどの自律神経症状が生み出す亜急性不安緊張状態や慢性持続性の不定愁訴症状とあいまって,次第に慢性化する。
 アメリカの調査によると、100人中3〜4人の割合で発生しているそうです。日本でも同様だろうと推測されています。
パニック発作は、ある日突然、激しいめまい、動悸、息苦しさや手足のふるえが出現して、発作は約10分で頂点に達し、死の恐怖と不安に襲われる。救急車で病院に運ばれ、心電図や脳のCT(コンピューター断層撮影)検査をするが、異常は見当たらない。症状が続く時間は人によってさまざまですが、多くの場合、30分ぐらい続き、長くとも1時間ぐらいすると症状は自然におさまります。多くの場合、このような発作は繰り返し起こり、そして、また発作が起こるのではないかとの心配が強くなって日常生活に支障を来すことになります。「過換気症候群」、「心臓神経症」、「自律神経失調症」などといわれているものも多くはこれに該当します。
パニック発作のいろいろ
@予期しないパニック発作 : 全く突然に起こるもの
A状況依存性パニック発作 : たとえば犬を見ると必ずパニック発作が起こるといったように何かのきっかけで起こるもの
B状況準備性パニック発作 : きっかけがあって起こる場合が多いが、いつも必ず起こるというわけではないものに分類されます。
「パニック障害」と診断するには、「予期しないパニック発作」が少なくとも何回か起こっていることが必要です。
パニックになりやすい人は、男性より女性に多く、性格的には「真面目で仕事ができ、まわりに気遣いのある人」といわれています。
パニック障害の分類
T型・パニック発作の単発
第U型・パニック発作の繰り返し(神経症化しない)
第V型・予期不安その他の諸症状を伴い、神経症的病像を呈する。
  V‐1・予期不安のみを伴う。
  V‐2・予期不安および広場恐怖を伴う。
  V‐3・心気症状等、その他の神経症的病状を伴う。
第W型・抑うつの合併。
  W‐1・パニック障害に重畳合併。
  W‐2・うつ病へ連続的に移行。
  W‐3・独立したうつ病像をもつ。
  W‐他

パニック障害の定義(DSM-IV)
パニック障害 Panic Disorder
(1)予期せぬパニック発作が繰り返し起こる
(2)少なくとも1回の発作後、1ヶ月間以上、以下の3個のうちの1つ以上が続いた
・もっと発作が起こるのではないかという心配の継続
・発作またはその結果が持つ意味(健康、自制心、正気)についての心配
・行動の大きな変化(例えば発作を避けるためにまたは発作と闘うために何かする)

パニック発作
強い恐怖または不快を感じるはっきりと他と区別できる期間でその時、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。
(1) 動機、心悸亢進、または心拍数の増加
(2) 発汗
(3) 身震いまたは震え
(4) 息切れ感または息苦しさ
(5) 窒息感
(6) 胸痛または胸部不快感
(7) 嘔気または腹部の不快感
(8) めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
(9) 現実感消失(現実でない感じ)、または離人症状(自分自身から離れている)
(10) コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖
(11) 死ぬことに対する恐怖
(12) 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(13) 冷感または熱感

パニック障害の後遺症
予期不安
パニック発作が繰り返し起こると、また発作が起こるのではないかという心配や、何か重大な病気になってしまうのではないか、気が狂ってしまうのではないかといった心配が強くなってきます。この発作を予測することによって起こってくる不安を「予期不安」といいます。この予期不安は、パニック発作の回数が減ってもなかなか軽くならず、慢性の不安状態といっていいような状態になることもあります。

 発作症状そのものの恐怖
 発作により、病気になるのではないかと思う
 発作により、死んでしまうのではないかと恐れる
 発作により、気を失ってしまうのではないかと思う
 発作により、気が狂ってしまうのではないかと思う
 発作により、事故を起こすかもしれないと思う
 発作を起こしても助けてくれる人がいないことの心配
 発作を起こした場所からすぐ逃げ出せないことを恐れる
 発作により、人前で自分が取り乱してしまうことを恐れる
 発作により、人前で倒れたり、吐いたり、失禁したりすることを恐れる
 発作を起こし、他人に迷惑をかけるのではないかと心配する
亜急性不安緊張状態や慢性持続性の不定愁訴症状
頭痛、血圧が上がり頭が腫る感じ、頭に何か乗っている感じ、身体がフワフワする感じ、頭に血が上り、首や顔、特に目が浮いてくる 、視野がチカチカと揺れる、不整脈のように脈が飛ぶ、軽い動悸が続く 、身体全体が脈打つ 、軽い息苦しさが続く、胸が痛くなる 、胸が痛くなる 、胸がチクチクする 、喉が詰まった感じ、激しい肩こり、首の痛み 、手が冷たい、身体がゾクゾクして鳥肌が立つ 、背中がピクンピクンする、気が遠くなりそうな感じがする、感情が湧かない 、周囲の感じがピーンとこない 、雲の中にいるようだ、フーっと現実感がなくなる 、自分だけ取り残された感じ 、胸騒ぎがする 、そわそわする、神経がぴりっとする
広場恐怖
パニック発作は、本来、状況とは無関係に起こるものですが、予期不安が強くなってくると、以前に発作を起こしたことのある場所や状況そのものが不安や恐怖の対象となってきます。また、発作が起こったときにすぐ逃げ出すことが難しかったり、助けが得られにくかったりするような状況に対しても恐怖を感じるようになり、結果として特定の場所や状況を避けるようになります。具体的には、新幹線、飛行機や地下鉄などの公共交通機関、トンネル、エレベーターなどの狭い場所、劇場や映画館といった状況を恐れるようになります。これが「広場恐怖」といわれるものです。重症例では家から一歩も外に出られなかったり、常に誰かにそばにいてもらわないと耐えられなかったり、といった状況になることもあります。
うつ病・うつ状態
パニック障害患者の約半数にうつ病・うつ状態の合併がみられます。その多くはパニック発作や広場恐怖に意気消沈して、続発性のうつ状態を起こしてくるものですが、パニック発作が消失する前後に、またはパニック発作に先立ち強い抑うつ気分を主症状とするうつ病が現れることもあります。

原因
 現在までに解明されていることは、脳の青斑核(せいはんかく)が不安や恐怖と関係があると考えられています。青斑核を刺激するとパニック状態を起こすことが判明しています。青斑核の役割は、生体にとって危険を察知すると直ちに警報を発することです。パニック障害では、これが何らかの原因で誤作動を起こしやすくなって、さまざまな自律神経症を起こすと考えられています。そしてパニック発作を何回も繰り返し、予期不安を経験していると、大脳皮質などの部分が恐怖から逃げようと信号を発し、それが広場恐怖に拡大するのではないか、と考えられています。

治療
薬物療法
 脳内の神経細胞のつながりが形づくっているニューロナル・システムの働きの異常が原因であることがわかってきており,その異常を是正する効果をもつ薬剤が治療に使用されている。薬物療法は実行することが簡単で、効果が確実で測定しやすい。薬物は主に生物学的基盤へ働きかけて発作を止め、緩和させる働きと二次的な症状である抑うつ症状を緩和させる働きをします。ある種の抗不安薬や抗うつ薬がそれであるが,最近,セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が導入されている。
・SSRI(デプロメールあるいはルボックス、パキシル)は脳内セロトニンの働きを高めて主に気分の落ち込みを取り去り明るい前向きの気持ちを作ってくれます。SSRIの効果はゆっくりと出ますから、服薬している本人が元気になったと自分で自覚することは少なく、他人から表情がよくなったと指摘されたり、怖くて行けなかった場所に気がついたら行っていたということがしばしば見られます。
・SNRI(トレドミン)はセロトニンの働きを高めるだけでなく、やる気を出させる脳内物質ノルアドレナリンの作用も活発にします。SNRIは効果発現が早く、服用後1週間以内に病状の改善をもたらすことが多いようです。ですから、患者さん自らが劇的によくなったことを語ってくれるケースがしばしばあります。
発作から発展している恐怖症や予期不安、慢性持続性の不定愁訴症状
 薬物療法だけでは十分に治すことはできない。心理的な治療が必要であり,環境調整,支持的心理療法,認知・行動療法などの治療が試みられている。リラクセーション法、支持的精神療法も併用されます。
森田療法
 パニック障害に相当する病態を発作性神経症と名付け,それに対する治療法を説得療法といい,パニック発作に対する恐怖を克服するコツを体得させる療法で,有力な心理療法の一つといえる。
曝露療法
 不安、恐怖の場面に曝露して恐怖を感じなくなるまで段階を経て訓練する。患者が不安、恐怖に感じることを、程度の軽い順に挑戦し、その不安、恐怖を克服したら次の段階に移ってさらに強い不安や恐怖に挑戦します。これを表にまとめて、行動の時、何を考えていたかを医師が理解するようにします。
 たとえば最初の自分の行きやすい場所である公園かスポーツクラブなどに行き、その場所にいることの恐怖を消失させます。1回で済むこともありますし、数回かかることもあります。そして次の段階、たとえば駅に行くとか、電車に一駅だけ乗ってみることをやってみます。それに成功したら次の段階、新幹線に乗る、飛行機に乗って遠くに行くとかして恐怖をなくします。この行動をする時は、体調が思わしくない時は中止すること、また気の許せる友人なり、家族に必ず付き添ってもらうことです。
自律訓練療法
 緊張感が起きた時、頭で落ち着かせようとしても逆に緊張が高まるだけ。体の緊張を解くことで心の緊張をやわらげることができる。パニック発作が落ち着いてきたら開始、抗不安薬の減量にも役立つ、腹式呼吸、手足の重感訓練、温感訓練など心療内科、精神科で指導を受けられる。

認知療法
 カウンセリングを繰りかえしながら、自己の認知の歪みに気付き、修正してゆく。パニック発作が落ち着いてきたら開始、治療意欲、主治医との良い関係が大切。

認知行動療法(CBT)
 行動と心理作用の両者を巧みに使うことで認知療法と行動療法をひとまとめにしたものです。治療内容としては、5つの要素があります。
@心理教育=患者にパニック障害の症状、その発症の仕組み、治療法を説明し、教育すること。
A継続的症状モニタリング=患者に日記をつけさせ、症状の内容や頻度を記録する。これは患者に対する内外の刺激と症状の関係を確認するためのデーターを収集するためと患者自身にも症状の実態を理解させるためのもの。
B呼吸訓練=不安を支配、消失させるための技法として、腹式呼吸を覚えさせる。
C認知の再構成=身体的感覚の評価の誤りや破局を考える考え方をその証拠の提示を迫ったり、破局思考を他の可能性の存在を気づかせたりして、認知のゆがみを気付かせる。
D曝露療法
一般的な精神療法
@医師は患者の訴えをよく聞き、受け入れることで、患者は理解されたとして、医師に信頼感を持ち安心する。
A医師は病気の原因、症状、治療法、今後の見通しなどを具体的に説明する。たとえば発作の恐怖、気が狂うのか、死んでしまうのかといったことは起こり得ないし、治癒する病気であること、従って、患者が自分の性格や気の持ちようといった心の問題ではないことを理解させる。
B不安が起きた場合の対処法を具体的な例で説明する。たとえば、不安をやり過ごす方法などを説明し、患者自身の努力を促し、また賞賛して自助努力を促進するようにする。
C患者のストレスを解消させる。その方法は、一般の健常者と同じで、適度な運動と入浴、十分な睡眠、規則正しい食事などリズミカルな生活を送る努力をする。度を越さないアルコールの摂取や女性ならショッピングなど、実行できる範囲で行う。これらのごく当たり前の行動から、自分で今できることを決め、それを必ず実行する。自分で決め、自分が実行することで自信を持ち、ストレスも解消されて治療も進む。
う。

外出時の不安をやわらげる対処法
・お守りを作る、気晴らしになるものを持つ
・頓用薬を衣類や鞄に分散させる、本、ウオークマン、ガム、飴玉、
・乗り物
  出入り口やトイレのそばに席をとる
  友人や家族と外出、おしゃべりで紛らわせる
  その他、外出ルートに病院や知人宅をチエック

ストレス管理法
・自分の体調や性格を客観評価
  完全主義者;疲労感でたら切り上げる勇気
  責任感強い;役職はセーブする(職場〜地域)勇気
relaxできる方法や状況に関心を持つ
  入浴、おしゃべり、音楽、活字読み、釣り、ゲームetc・・・時間を確保し、楽しむ演出。
・頭だけで考えない
  脳は、様々な感覚や運動神経のfeed backがなければ、現実検討能力が落ちる
  考えれば考える程現実離れした内容になる。考え込みだせば、体を動かす、手を使う、耳や目を使う、声をだす。
・サポートしてくれる人(家族や友人)との関係をメンテナンス
  電話や手紙、言葉かけをしながら、発作や広場恐怖について話せる状況を作る
  (10年来の広場恐怖が引っ越しで近所の奥さん達とお茶会する関係ができ改善した例がある)

 


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