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講演者梅崎義人(うめざきよしと)氏インタビュー
 10月13日、われわれ「クジラ祭」実行委員は今回ご講演をいただく梅崎義人氏にお会いした。矍鑠たる佇まいにいかにも九州男児らしい骨太な印象を宿しつつ、その語り口は明晰にして快活。クジラにかける熱い思いがこもったその談話に、われわれは引き込まれずにはいられなかった。以下はその記録である。

:本日は朝早くであるにもかかわらずインタビューに応じていただきありがとうございます。さっそくですが、梅崎さんが捕鯨について関心を持ったきっかけは何だったのですか?
:1972年4月に、アメリカ上下両院において10年間のモラトリアム決議が採択されました。そして同年6月にストックホルムにおいて国連人間環境会議が開催されたのですが、そこでモラトリアム導入のアジ演説が行われたのです。これは非常に理不尽なものでしたが、この過程の裏に政治的な臭いを感じて、それ以来捕鯨問題を追い続けています。

:どのような点が理不尽だったのでしょう。
:動物は、その生息範囲内に満杯だと増えることができません。70%に調節すると増えるのです。ですから日本は科学調査に基づく捕獲枠を定め適正な捕獲を行っていました。にもかかわらず、環境団体の「クジラを殺すことは悪いことだ」という圧力の中で、捕鯨禁止に追い込まれてしまったのです。

:政治的な臭いとは一体なんでしょうか。
:捕鯨禁止運動の背景には、日本叩きの感情が隠れているということです。その証拠に、運動家たちは日本を叩ける環境ネタにはすぐ飛びつくのです。例えば、彼らはすでに「マグロ捕獲禁止」も視野においているといいます。「大きくて」「格好よくて」「愛玩性がある」マグロを殺す日本、というイメージをつくり出そうとしているのでしょう。政治的なキャンペーンに利用される動物をPolitical Animalといいますが、マグロはPolitical Fishにされようとしているのです。捕鯨は日本の文化ですから、捕鯨禁止運動は日本の文化を否定することです。それぞれの国には固有の文化があって、それを他の民族が否定してはいけないと思うのですが。

:先日、クジラを食べなくても牛肉を食べればいいと言われて困りました(笑)。
:世界の人口がどんどん増えているのはご存知だと思いますが、そこで重要になってくるのが、タンパク源としての畜肉の供給です。牛肉を例にとって考えてみましょう。牛肉1キロに必要な資源牛肉を育てるのに必要なのは、えさ、水、土地の3つです。牛肉1キロのためにえさとしての穀物がどれだけ必要かご存知ですか?7キロも必要なのですよ。そして、穀物1キロのために必要な水は、なんと1トンです。つまり、牛肉1キロを得るのに7トンもの水が必要になってくるのです。えさを育てる土地も、水も、極度に不足しているのが実情です。人類の食料事情を考えると、タンパク源としてのクジラの存在意義は非常に大きいのです。
もうひとつ大事な問題は、日本の沿岸で魚がとれなくなってきていることです。これは、捕鯨禁止で逆に増えてしまったクジラが魚をエサにしてしまうからです。人間は1年間に1億トンの魚介類を食べると言われています。それに比べて鯨類は4億トンもの魚介類を食べます。人間の実に4倍です。適正な捕獲を行わなければ、クジラはエサを失って、これからどんどん減っていくことでしょう。いや、減っていくに違いありません。

:早稲田の学生にメッセージをお願いします。
:詳しくは講演会で話しますが、日本は世界に誇る技術を持っています。それは海洋においても同じことです。これからの若者はその技術でもって国際貢献していくべきです。それはやがて、皆さんの誇りにつながっていくことでしょう。

梅崎義人氏プロフィール

1938年、鹿児島県生まれ。
早稲田大学法学部卒。
時事通信社入社。ナイジェリア特派員。
農林水産省などを担当。
現在、水産ジャーナリスト(フリー)。
水産ジャーナリストの会、漁業経済学会の各会員。
主な著書に、
『クジラと陰謀』(ABC出版)
『動物保護運動の虚像』(成山堂書店)
『日本人のクジラ学』(講談社)
『日本の漁村は蘇る』
などがある。