ここでは僕が見つけた創造論本を簡単に紹介していきます。ぜひご自分の目で読まれることをオススメいたします。
宇佐神正海『崩壊する進化論』マルコーシュ・パブリケーション/1993
ISBN4-87207-120-4
実はこの本、最初は読むことが出来ませんでした。理由は、「自分が正しいと思ってきた進化論が覆されるのではないか」という危機感からです。今から考えるとトンデモない話ですが、当時は大真面目にそう思っていました。
その思いを断ち切ったのが『トンデモ本の世界』というのはこれまた「と」な話ですが(笑)、どうやら僕には物事を深く考えすぎる傾向があるようです。
しかし信仰を持ったばかりのクリスチャンにとっては進化論というのは避けて通れない問題です。当然不安も大きい。そんな中でこのような本を読むと目から鱗が落ちたと錯覚してしまう可能性があります。ある意味危険な本とも言えます。
著者の宇佐神氏は東北大理学部卒の医師です。日本創造科学研究会を設立し所代会長にも就任(現在は退任されたそうだ)、数々の進化論批判本を著しています。その中でもこの本は代表作ともいうべき存在でしょう。参考文献や推薦図書とされることも多いです。
堀越暢治『疑問だらけの進化論』いのちのことば社/1985
ISBN4-264-00713-5
中高生向けテキストという副題のとおりわかりやすく進化論の間違い(と堀越氏が主張していること)を解説しています。
内容は典型的な進化論批判。これと言って取り上げることはないでしょう。
徳間書店/1999
ISBN4-19-861012-6
ハードカバーの分厚い本。著者の久保氏には『聖書の暗号は本当か』(徳間書店)や『古代日本にイスラエル人がやってきた』(レムナント出版)があります。
日本の創造論の集大成とも言うべき内容で、創造論者が繰り返し述べている説がほとんどすべて紹介されています。また新ネタも少なく、極端な話これ一冊あれば他の創造論本は要らないでしょう。
この本がなぜ徳間から出ているかについて興味深い記事があります。1997年8月25日に広島プリンスホテルで開かれた日本SF大会のイベント、「輝け!第六回日本トンデモ本大賞」での一コマです。
永瀬 最近、徳間が意外にトンデモとマジメの境目あたりの、一見科学的に見えるというか、組立自体はマトモに作ってる本を出してるんですけど、でもどうなんでしょう。売れてるんですかね。
山本 というか、おもしろくないんですね。
永瀬 徳間の担当者がその辺を真面目にやってるんですね。そこら辺をつくったやつが売れるかというと、そうでもない。トンデモの戯言をそのまま出してるやつは売れてるんだけど(笑)。で、とにかく今、出版業界は不況で、売上が見込める本しか出しちゃいけないみたいになっていて、ますますイッてる系のトンデモ本がたくさん増えるはずですから、今年の後半から来年は注目じゃないかと思うんです。
唐沢 だから今、インターネット関係でトンデモサイトをみんなとにかく探して、これはいけると思うと、その人物に日本を語らせようという(笑)。と学会編『トンデモ世紀末の大暴露』(イーハトーヴ出版 1998)
少し遅れてしまったようですが、徳間の担当者がレムナント出版のサイトを見つけ、久保氏に本を出さないかと持ちかけたのではないかという推測ができます。さすがと学会、餅は餅屋ですな(笑)。
南山 宏著『地球史を覆す「真・創世記」』学研/1998
ISBN4-05-400896-8
『ムー』の特集を単行本化。『トンデモ本1999』で皆神龍太郎氏が正しくツッコんでいますので詳しくはそちらを参照していただきたいのですが、一言だけ加えておきます。
そもそもムーの編集者は他のトンデモ本の作者と違い記事を信じているわけではなく、純粋に商売としてやっているわけです。ですからムーで特集された=創造科学は擬似科学である、という図式が嫌でも成り立ってしまうのですね、というのは僕の偏見でしょうか。
確かムーで特集されたときは『光速が今より早ければ』という記述があったと思うのですが、とっくの昔に否定された光速度減衰説を前提にしている理論なんて擬似科学以外の何物でもありません。
ただ、人類が恐竜と同時代に生きていたことを示す‘証拠’がカラー写真付きで掲載されていますので、ある意味資料としての価値は高いでしょう。値段も780円とお手頃ですし(笑)。
この本は他のトンデモ本と違い、センセーショナルな記述がほとんどなく一見中立的な立場で書かれているような錯覚を覚えます。それゆえ本気にしてしまう人も多いかもしれませんが、実際には創造論べったりな内容で進化論に対する正しい記述がほとんどありません。皆神氏曰く「この本はけっこう、危険なトンデモ本と言えよう」。
心交社/1995
ISBN4-
著者は基本的に進化論支持ですが、年代測定法が信頼できず、地球が若いと言う証拠がたくさんあると言う主張が貫かれています。もちろんそれはすでに否定された主張なのですが(ドーキンスが批判するのも無理もない)、それゆえ他の科学書に取り上げられることも少なく、かえって読者に衝撃の新事実とか、知られざる進化論の実態という印象を与えてしまいます。
一番驚いたのはイマーニュエル・ヴェリコフスキー『衝突する宇宙』の続編『激変の地球』が紹介さていたこと。もちろん「すべてを支持するわけではない」とことわりも入っていますが、やや好意的に取り上げられていました。
祥伝社/1983
ISBN4-396-65002-7
この本は『キリンの首』同様、創造論者のなかでもよく引き合いに出されるほど有名な本です。
スティーブン・ジェイ・グールドが『嵐の中のハリネズミ』(早川書房)で痛快な批判をしている本ですが(※)、僕が一番疑問なのは訳者の竹内均氏。地球物理学者で東大名誉教授、Newton編集長でもありますが、進化論に関する記述の間違いに気付かなかったのでしょうか。別の訳書ピーター・ワーロー『地球がひっくり返る』では批判的な序文を寄せていたのにね。
竹内均氏といえば1999年秋のNHK土曜特集「今宵月をめぐるミステリー(うろ覚え)」に出演し、月の重力が人間の行動に影響を与えているというバイオタイド理論を紹介していました。この理論はテレンス・ハインズが『ハインズ博士「超科学」をきる』で反論していたとおり極めてあやしい説なのですが、竹内氏は面白い説として紹介していました。東大名誉教授といえども専門外のことには詳しくないのでしょう。
※ まるでイザヤ・ペンダサン『日本人とユダヤ人』(角川文庫)の後に浅見定雄『にせユダヤ人と日本人』(朝日文庫)を、グラハム・ハンコック『神々の指紋』(翔泳社)の後にH・ユウム他『「神々の指紋」の超真相』(データハウス)を読むようでした。未確認情報ですが後のほうの版では進化論に関する章が省かれているようで、もし本当であれば科学的に間違った内容を垂れ流すのはまずいと判断したからでしょう。
平凡社/1983
前書きでヒッチングは中立的な立場をとると書いていますが、実際の内容は創造論そのものです。こちらをご覧になればおわかりいただけると思いますが、ムーなどで執筆しているオカルトライターと何ら変わるところはありません。英国版南山宏とでも言うべき人物でしょう。巻末の読書案内にはピーター・ワーロー『地球がひっくり返る』(三笠書房)や稲垣久和『進化論を斬る』(いのちのことば社)が挙げられていたり、引用文献にガードナーがそれこそ教科書に載せたいくらいだと評したヴェリコフスキー『衝突する宇宙』(法政大学出版会)があったりして、これだけでもトンデモ本と断定できます(笑)。
とは言うものの科学的創造論を全面的に支持しているわけでもなく、「(ノアの箱舟の)糞尿処理はどうしたのだろうか。創造論者の本や論文では何も論じられていない」などと書いていたりして、創造論者にとっても不都合な本でしょう。
いのちのことば社/2007
ISBN978-4-264-02522-1
著者の安藤氏は理学博士であり京都インターナショナル・ユニバーシティ(※)生物学部長です。大阪大学理学部で生物化学を専攻し、東京大学大学院博士課程を修了した理学博士でもあります。
この本は安藤博士による信仰の体験談が中心のエッセイであり、進化論批判は他の創造科学本の焼き増しに過ぎません。さすがに生物化学を専攻しただけあって「メンデルの法則は進化論と矛盾する」という主張こそないものの(もっともメンデルの法則は高校レベルですが)、生命の起源と進化を混同したり、ピルトダウン人などの進化論者が撤回した証拠を蒸し返したりする一方で、歴史に由来する不完全性や入れ子状の分類といった証拠には(知ってか知らずか)一切触れていません。もちろん「進化論は生きる目的を教えてくれない」という本題とは無関係な(そしてお約束の)主張もしっかりとあります。
断言します。安藤博士はスティーブン・J・グールドやリチャード・ドーキンスなど進化論の専門家の書いた本は読んでいません。論文はもちろんの事、一般向けの解説書すら読んでいないと見て間違いありません。
ノンクリスチャンや信仰を持ったばかりのクリスチャンに対しお勧めできない本の1つです。
※直訳すれば京都国際大学になるが、学校教育法第1条で規定された大学ではなく第83条の各種学校である。
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