
【創業明治10年】 「千住で2番大はし」というのがこの店のキャッチフレーズ。なんで、なななんで2番なの? 千住で1番、 いや東京でも5本の指に入るほどの大衆酒場なのに「2番」だと言ってしまう、その謙虚ささりげなさが この店の魅力といえる。 創業は明治10年、それを物語るものが店のあちこちに残っている。まず天井の扇風機の残骸。通い始めた 10年前は羽根がまだ残っており、クーラーなんぞがないころの風情がぷんぷんにおっていた。 それから名物にこみを煮込んでいる大鍋も使いこまれている。先日あるご婦人が「この鍋は創業以来使っている んですか」と尋ねていたが、親父さんが「いやぁ〜、50年くらいかねぇ」と答えていた。直径50〜60cmの大鍋 のにこみ汁は多分注ぎ足し注ぎ足しで、大はし以外では絶対に出せない味わいだろう。 会計時の計算方法もいい。親父さんはそろばん、息子さんは電卓で素早い計算をされるが、親父さんのそろばん は五玉のそろばんだ。私も小学校のころそろばんの授業があったが、五玉のそろばんは使い方もわからない ミラクルワールドだ。 【名物にうまいものあり北千住 牛のにこみでわたる大橋】 ウチらの定番のつまみ。まずはもちのろんロン、にこみ。320円のにこみ、肉豆腐は前述の大鍋で煮込まれて おり、ちょいと甘いがくどくなくそれはそれは美味。豆腐だけとか、隠れメニュー卵入りもある。大体のお客さ んはおかわりをする名物だ。 揚げ物好きのダンナはかにコロ、とんかつをオーダー。かにコロはないときも多いので、思い適わぬとき、 ダンナはたいそうがっかりしている。冬場であればあんこう・石狩などの鍋物も充実している。 ひとりのお客さんが多いのでどのメニューも小さく廉価(200〜500円程度)だ。青柳・さより・つみれ(これが貝 柱製でフワフワ)など、酒のつまみの王道はすべて揃っている。何よりどれもこれも美味しいのだ。 【謎の割梅エキス】 焼酎は梅氷サービスでボトル1250円。期限1ヶ月なので、ウチはよく期限切れにしてしまうが、この値段なら文句な し。にこみ鍋の写真の下の方に映っているが、三重県宮崎本店醸「宮」というブルーのおしゃれなラベル。 焼酎を割る梅が本当にウマイ。友人の居酒屋のお嬢さんがあんずっぽい味と言っていたが、焼酎嫌いの人でもこ の梅で割れば、ボトル半本はいけるだろう。この梅エキスを何とか入手したいと思い、大はしの親父さんに聞い てみたが、企業秘密とのことで教えてもらえない。そこで、焼酎の醸造元・三重県まで電話したがここも「大は しさんのオリジナルらしくて、うちも教えてもらえないんですよ」とのことだった。どなたか、スパイしていた だけないでしょうか。賞金を出しますので、わかったらメールしてください。 【正しい大衆酒場、飲み屋の鏡】 この大はしは私ら夫婦の仲人さんに結婚1周年の際に招待された。この方も安くてうまい飲み屋、食堂の達人だ (お元気でしょうか?)。 大はしの親父さんも息子さんも決して客に媚びたり、グタグタ話込んだりすることはない。 一見の客も何十年も来ているお馴染みさんも皆一緒。そのかわり泥酔するような客もいない。一度だけ居眠りこい ているオヤジが怒られているのを見たことがあるが、客側もさっと飲んでパッパと帰る方が大半を占めている。 大はしから数十秒の所に銭湯があるが、下駄履き・桶抱えてちょいと一杯がたいそう似合っている。いいなぁぁぁぁ、 地元の人は。 千葉県からはるばる通う我が家はそんな粋な飲み方はできず、ボトル1本以上空けてしまうのが、定番だ。 (2人で一晩でボトル1本開けても次の日にはそんなに残らない。やはり、あの梅エキスに秘密があると見た) 今回このページに掲載するにあたって許可をいただいたが、この店はマスコミの取材を断るようなことはない。 変に構えた偏屈なオヤジがうまいモノを食わせると思っちゃいけません。一見さんもお馴染みさんも皆同じ土俵 で接してくれる、店主の姿勢、うまいにこみと梅エキス。大はしは大衆酒場が「こうあって欲しい」と思うすべ てを自然体で兼ね備えている名店だ。 (U-co記)
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