【ま行】
★マイライフ・アズ・ア・ドッグ
マジェスティック
祭りの準備
★真夜中のカーボーイ
★マンハッタン
★マンハッタン殺人ミステリー
ミート・ザ・ペアレンツ2
ミザリー
ミシシッピー・バーニング
ミスター・ミセス・ミス・ロンリー
三つ数えろ
ミツバチのささやき
緑色の部屋
緑の光線
ミンボーの女
無能の人
メルシィ! 人生
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
【85スウェーデン】102min
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:アントン・グランセリウス、アンキ・リデン、
メリンダ・キンナマン、トーマス・フォン・ブレムセン、
ストーリー:12歳の少年イングマルは、病気のママとイジワル兄貴エリクとの3人暮らし。パパは、仕事で南洋に行ったきりずっと帰ってこない。夏休み、ママの病状が悪化した。そこで、エリクはおばあさんの家へ、イングマルはママの弟のグンネル叔父さんの家に行くことに……。1950年末のスウェーデンの海辺の小さな町と山あいの小村を舞台に、様々な人々との出会いを通して、少しずつ大人になっていく少年イングマルの姿を、ナイーブにユーモラスに描いている。
コメント:この映画は80年代後半から90年代初頭にかけて、ボクにとってナンバーワンでした。で、内容がうるおぼえになっているので最近観直しました。ママの病気がひどくなり、叔父さんの家に預けられるイングマル。「僕が好きだったのはママとシッカン(愛犬の名)だけだった」というイングマルにとって母と愛犬の両方を一時的にでも失うことはかなりつらいこと。しかし、預けられた先が良かった。なんとも大らかな叔父さん夫婦。会って早々「暖かくなってきたわ、あなたが太陽を持ってきたのよ」。そしてこの田舎全体が明るく伸びやかなのです。都会では「変な子」と言われ、学校でも家でも叱られてばかりいたイングマルが、ここではヒーローなのです。そして男の子のような少女サガとの出会い……。ここでの生活があったからこそ、彼は悲しみを乗り越える事ができたのでしょう。そしてラスト、サガに包みこんでもらっているのでなく、サガを包み込んで眠っている彼の姿……。やはりいい映画でした。
マジェスティック
【01米】153min
監督:フランク・ダラポン
出演:ジム・キャリー、マーティン・ランドー、
ローリー・ホールデン、アレン・ガーフィールド、
ストーリー:1951年、赤狩りの嵐が吹き荒れるハリウッド。新進脚本家のピーター(ジム・キャリー)は共産主義者と疑われ、ショックのあまり泥酔し、車ごと川に転落してしまいます。記憶を失った彼が流れ着いたのは、第二次世界大戦の戦死者を多数出し、今なお悲しみの傷が癒えぬ町でした。彼はそこで、「戦死したと思われていたつぶれた映画館の息子」と間違われ、「生きて帰ってきたのだ!!」と、町の人たちはみな驚喜します。やがて彼は、その映画館を再建することになり……。
コメント:悲しみに沈んでいる町の人たちに、再び生きる喜びを与えるというプロットは、やはり何よりも魅力的です。そして作品全体に漂うクラシックな雰囲気がそれを見事に演出しています。まさしく「フランク・キャプラの伝統ここにあり」って感じでして、「フランク・キャプラが現代によみがえった」かのような肌触りです。そしてそれは、画面の細部まで妥協せずにこだわった、その姿勢によるものが大きく、画面の隅々にウソが感じられないため、「恥知らずなくらいピュアでハートフルでエモーショナルな世界」に思いっきりひたれます。
「小さな町に映画館が1軒あるということ」が、「いかにぜいたくなことか」ということを、本作品を観てあらためて実感しました。「映画館には魔法がある」のセリフ通り、あらためてその「魔法」を垣間見させてくれます。「映画館への愛」という意味では、同じように「映画への愛」を描いた『ニューシネマ・パラダイス』と双璧といえるでしょう。「ジム・キャリー」の「シリアスオンリーの演技」もすごく良かったです。
祭りの準備
【75日】117min
監督:黒木 和雄
出演:江藤 潤、竹下 景子、原田 芳雄、
ストーリー:高知県中村市の信用金庫に勤める楯男20歳。いつの日か東京に出てシナリオ・ライターになるのが夢である。楯男には片想いの幼なじみの涼子がいるが、涼子にサークル仲間の恋人がいると知り、商売女と寝てしまう。時がたち恋人に捨てられた涼子は、楯男を安宿へ誘惑……。やがて楯男は東京へ行くことを決心する。
コメント:もう、竹下景子で決まりですね。きまじめな、ちょっとしたおふざけも許さないような女、こうあるべきを男に押しつけるタイプの女の役がはまってます。その「偶像マドンナ」像が崩れていくさまが痛快です。原田芳雄がいい人で、泣けます。しょんべんの臭いがしそうな画面ながら、文句なしの青春映画です。
真夜中のカーボーイ
【69米】113min
監督:ジョン・シュレシンジャー
出演:ジョン・ヴォイド、ダスティン・ホフマン、
シルヴィア・マイルズ、
ストーリー:金持ち女の相手をして金を稼ごうと、テキサスの片田舎からニューヨークへやってきたジョー(ジョン・ボイド)。しかし現実の壁は厳しく、カウボーイを気取る彼の夢は遠のいていくばかり。そんなジョーが知り合ったのが、ラッツォ(ダスティン・ホフマン)と呼ばれる、終始咳き込み足を引きずって歩く詐欺師の小男。ジョーとラッツォ、大都会のはみ出し者同士、次第に友情を深めていく2人でしたが、ラッツォの病状は日増しに悪くなっていきます。マイアミに行きたいというラッツォの夢を、ジョーは叶えようとするのですが……。
コメント:20年くらい前に観た時は(2008年現在)、その暗さおよび描写の違和感などによって、当時観た他の「アメリカンニューシネマ作品」と同様に、今ひとつの印象だったのですが、今観ると、実にリアルに心にしみわたってきます。本作品で描かれているニューヨークは、まさしく今そしてこれからの東京および日本そのものであり、描写そのものには時代を感じさせる古さがそこかしこにあるものの、描かれているテーマは全く古くなっていなく、逆にリアルタイムの新しさです。そして描写そのもののわかりにくさもまた、それを読み解く面白さもあって、『ゴッドファーザー』シリーズ同様に、謎めいた魅力があります。
とりわけボクが本作品に引きつけられたのは、カウボーイ・ジョーの、ところどころはさまれるフラッシュバックによる回想シーンです。その回想シーンが何を意味するのか、最後まで具体的に説明されることはないのですが、どうやらこの回想シーンが本作品の大きなテーマを示しているのではないかとボクは思えてきました。自分なりに推測してみますと、どうやらジョーは母親に捨てられておばあさんのところに預けられ、おもちゃのように育てられたあげく、美人の彼女とのデート中に仲間たちに彼女をレイプされ、同時に彼も仲間たちにレイプされた過去があり、あげくにまわりの住民たちの好奇心の目によって彼女は精神病院に送られ、そんな過去をふりきるために彼はベトナム戦争から帰還してすぐ都会に出てきて、同時にレイプされた屈辱をはらすべく、男性性を回復する意味で切実にジゴロを目指し、人生をやりなおそうとしていたのではないかと。しかしそのジゴロを目指すという発想自体もまた、無意識におばあさんにおもちゃにされていた過去のトラウマをなぞる、金持ち女たちにおもちゃにされるということだったということに彼自身気づいてしまうという……。てっきりボクは、あっけらかんとしている脳天気な田舎のプレスリーと都会の底辺でドブネズミのように生きている男との対比を通して、都会=ニューヨークの闇を描いている作品だとばかり思っていたのですが、どうやら同時に「アメリカの田舎の闇」も描いていることがわかってきました。そしてカウボーイ・ジョーは脳天気な田舎のプレスリーどころか、心に深い闇を抱えたカウンセリングが必要な青年なのだとわかるに至り、本作品の奥深さにすっかり引きつけられてしまいました。
本作品では、道端に人が倒れていても誰も気にとめないという、他人に無関心なニューヨークの人々が描かれています。そして当時最先端であったサイケなドラッグパーティーの様子も描かれているのですが、それはあたかも他人に対して無関心なゆえ、しらふではまともな人間関係を築けないため、パーティーの集団の中でマリファナやアルコール、ドラッグに溺れて全ての鎧をとっぱらい、そんな祝祭ムードの中で自らの孤独をとりはらおうとしている人々を描いているように思えました。一方田舎においては、その閉鎖性と連動した熱心さでもって、他人に過剰なまでに関心を持ちつつ干渉し、あげくのはてに集団による暴行、強姦沙汰をおこすという、全く許せない奴らが描写されているのですが、 奴らにしても、ドラッグパーティーの連中と同様に、集団による狂気の渦中に身を置くことによって、自分自身の孤独と不安から目をそむけようとあがいているのかもしれません。都会と田舎、一見正反対のように見えながら、いずれも自分自身の孤独感を、集団的熱狂にまぎれつつ、他者に依存することによって解消しようとしていることにおいて、実は同じなのだということを、その対比によって描いているように思えました
そして絶対的な孤独の中に生きているため、自らの孤独感を他者に依存することすら出来ないジョーとラッツォ。そんな2人が出会い、友情を育んだというのは必然的なことなのかもしれません。自分の孤独感を互いに依存しあうことなく、お互いの孤独を尊重しつつ調和しあう2人、そんな2人の姿を通して、都会における友情の一つの理想型を描いているのかもしれません。
まだまだ掘り下げていくと色々発見がありそうな奥の深い映画です。そして設定を「ホストになるために東京に出てきた田舎の青年」と、「ネットカフェにいる若年ホームレス」に置きかえてもそのまま通じる、実に普遍的かつ現代的な傑作だなぁとあらためて実感しています。
なおTVドラマ『傷だらけの天使』は、本作品に直接的な影響を受けていることが観ていてあらためてわかりました。
マンハッタン
【79米】97min
監督:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、
マリエル・ヘミングウェイ、
ストーリー:アイザックは仕事、年齢、セックスその他もろもろに悩みを持つ中年のTVライター。仕事にうんざりし、小説家になろうと番組を降りてはみたものの、突然の収入減はやはり痛い。妻は女の愛人と暮らしていて別居中。友人の浮気相手である雑誌ジャーナリストに惹かれたりもするが、その軽薄なインテリぶりに我慢ならない。唯一の救いは何度かベッドをともにした女子高生だけ……。白黒で捉えたマンハッタンの情景が秀逸。
コメント:あがけばあがくほどドツボにはまっていく男の物語。で、出演者がみなどこかおかしく神経症気味。一見、一番子供そうな17才の少女こそ一番まともで大人だった、という話。42才と17才のカップル。最初は軽く扱って、「一人に溺れちゃダメ、ボクなど人生の回り道だと思わなければ」なんて言ってたのに、彼女がロンドンの演劇学校へ行くとなると「ボクが間違ってたんだ、行かないでくれ」と泣きつく男。なんとも情けなくていい。「半年で帰るわ、愛し合ってれば平気でしょ?半年はすぐよ、変わらない人もいるわ、少しは人を信じなきゃ」。うーん、大人だ……。
マンハッタン殺人ミステリー
【93米】107min
監督:ウディ・アレン
出演:ダイアン・キートン、ウディ・アレン、
アラン・アルダ、 アンジェリカ・ヒューストン、
ストーリー:マンションの隣室に住む老婦人の死に、疑問を抱く主婦キャロル。というのも、隣人のハウス氏は妻が心臓発作で亡くなったにもかかわらず、妙に明るい。完全犯罪という疑惑に駆られたキャロルは気弱な夫や友人を巻き込んで、探偵ゴッコに乗り出すが……。
コメント:ミア・ファーローと別れ、久々のダイアン・キートンとの共演作なのですが、これ以降のウディ・アレン作品はみな肩の力が抜けたような傑作が続き、何か悟りを開いたかのような感がありますね。で、何といってもキートンとアレンの会話です。もう最高!!エレベーターに2人が閉じこめられ、脱出しようと天井を開けると女の死体が……「緑の草原を想像するんだ」。死体を運び込んだ車を車で追いかける二人「運転は苦手なんだよ、スクールバスに衝突したら……」「夜中にスクールバス?」「夜学ってものが……」。「これは私の事件よ!!」「誰の事件なんだ……?」。などなど……。活字にすると面白さがわからないかもしれませんが、本編で観ると腹抱えます。ストーリー自体がシンプルで、一本道なため、よけいに会話で遊ぶことが出来るのでもう本領発揮なのです。またキートンと組んで映画撮ってくれないかなぁ……。
ミート・ザ・ペアレンツ2
【04米】115min
監督:ジェイ・ローチ
出演:ベン・スティラー、ロバート・デ・ニーロ、
ダスティン・ホフマン、バーブラ・ストライサンド、
ストーリー:前作『ミート・ザ・ペアレンツ』では、主人公ゲイロード(ベン・スティラー)が、彼の彼女・パム(テリー・ポロ)との結婚を、パムの両親、特に元CIAの堅物な父親(ロバート・デ・ニーロ)に認めてもらうべくパム一家を訪れる様子が描かれていましたが、『2』は、それから2年たち、2人が結婚の準備を順調に進めている中、今度は婚約者・パムの両親を、主人公・ゲイロードの両親とひきあわせるべくゲイロード一家を訪れる様子が描かれています。
コメント:「ロバート・デ・ニーロ」「ダスティン・ホフマン」「バーブラ・ストライサンド」と、これだけ豪華な役者を揃えているコメディーってのもすごいのですが(ギャラだけでものすごいことになっているはず)、その豪華出演者が見事に効果的に絡み合っているのがまたすごい!!
中でも主人公・ゲイロードの両親役の「ダスティン・ホフマン」と「バーブラ・ストライサンド」のコメディー・センスがホント素晴らしい!! 特に「バーブラ・ストライザント」は、こういうキャラも見事にこなすのだなぁと脱帽!! まさしく2人の息はピッタリ合っていまして、どうみても「本物の夫婦」のようであり、また「本物の親子」のようです。そしてその「笑わせ具合の見事さ」だけでなく、「どうしてゲイロードがああいうキャラクターになったのか?」ということまでがリアルに伝わってくるのが素晴らしい。「留守電メッセージ」「ゲイロードの殿堂」などなど、爆笑シーン満載です。
そして主人公のゲイロード演じる「ベン・スティラー」。彼は「アメリカで最も人気のあるコメディー俳優の1人」とのことなのですが、決して「自分から笑わそうとするタイプ」ではなく、 状況設定の中で光るタイプでして、彼が困った状況になった時に、その状況を打破しようとしてますますドツボにはまった時のその仕草および表情が絶妙におかしく、ある意味「バスター・キートンの現代版」といった印象の、表情をあまり変えない中での面白さをにじみだしています。今回もあれだけの「怪物的大物たち」の中で一歩もひかず、逆にそんな中で、自分の個性を光らせているのですから見事なものです。
「ロバート・デ・ニーロ」の「元CIAの堅物オヤジぶり」は今回も健在でして、今回は「彼にとっては天敵ともいえる超リベラルな夫婦」との対比でより際立っているといえましょう。「子供に好かれ、子供の世話がうまくて『ゲイリー・ポピンズ』と呼ばれています」と、得意げに言ったゲイロードに、絶妙のタイミングで「それそんなに嬉しいか?」ってのが特にハマりました。
そんな「デ・ニーロ」の妻役の「ブライス・ダナー」の、上品な物腰にも目をひかれていたのですが、彼女が「グウィネス・パルトロウの母」だということを知り、なるほどよく似ているものだなぁと思いました。
とにかく全編「くだらなさが炸裂」していて最高です!! 「下ネタは絶対ダメ」という人以外、誰にでもお薦め出来る傑作コメディーです。
ミザリー
【90米】108min
監督:ロブ・ライナー
出演:ジェームス・カーン、キャシー・ベイツ、
リチャード・ファーンズワース、
ストーリー:『ミザリー』というシリーズ小説で人気作家となったポール・シェルダン(ジェームス・カーン)は、コロラド山中の山荘に引きこもり、自叙伝小説を執筆しました。もう『ミザリー』シリーズには嫌気がさしていたのです。山荘からエージェントに原稿を届けに、酔っぱらったまま雪道を運転していたポールは、あやまって崖から落ちてしまいますが、奇跡的に命をとりとめ、付近に住む元看護婦のアニー(キャシー・ベイツ)に助けられます。アニーは『ミザリー』の熱狂的愛読者でしたが、次第に隠された異常な本性があらわになっていき……。
コメント:いやぁホント怖いです、この話……。そして「キャシー・ベイツ演じるアニー」を観ていると、以前一緒にバンドを演っていた女の姿がだぶって見えてきて、なんだか人ごとでなく感情移入させられながら観てしまいました……。特にヒステリックになる「変わり目の瞬間」の「イッちゃっている目」と、普段から垣間見える精神異常的独善性、キレた時の支離滅裂な言動などなど、外見も含めて「瓜二つ」といっていいほどそっくり……(精神安定剤を常用し、いわゆる人前では自分を抑えつけているだけによけいたちが悪い)、ホント観ていて気持ち悪くなってきました、イヤなものを思い出させられてしまったなぁと……。あらためて、その女のバンドから離れて良かったなぁと実感させられました。
「ホームページ」を始めた当初は、「ホームページを観た」という人妻の女からストーカーまがいのことをされたり、本人は自覚していないであろう「偏執的な書き込みおよびメール」を、そのような数人からされたりなどの、ゆるやかな被害にあったこともありますので 、こんな重箱の隅っこにいるような自分に対してさえも、「そういう輩」が出てくるのですから、マスコミに頻繁に出ている有名人であったなら、潜在的にどれほどの危険人物に囲まれて生活しているのだろうかと、あらためて想像させられます。
上記の「感情移入」を抜きにしても、作品としてホントよく出来ていると思います。「ヒッチコックの基本」に忠実な、真綿でジワジワと首をしめられるかのような息苦しさ、怖さにマジでドキドキさせられ、かつそれが「少ない登場人物」によって「限られた舞台」でつくられているというのがお見事!!
「映画製作費」をあまりかけられない「日本映画界」は、こういう路線をもっともっと見習わなくてはいかんのではないかと、あらためて思いました(『運命じゃない人』など、インディース系ではそのような傑作が目白押しの感ありですが、メジャー公開系の作品でも、そっちを意識した方がいいのではと)。
ミシシッピー・バーニング
【88米】126min
監督:アラン・パーカー
出演:ジーン・ハックマン、ウィレム・デフォー、
ストーリー:1964年6月、黒人に対する差別感情の激しいミシシッピー州で3人の公民権運動家が突然消息を絶った。事件を重要視した連邦政府は、叩き上げのルパートとハーバード大出身のエリート、アランの二人のFBI捜査官を派遣する。しかし、彼らが事件の核心に迫れば迫るほど、焼き討ち、リンチ、殺人が続発する。一色触発のピンチをくぐり抜け、ルバートとアランがついに暴いた恐るべき事実とは……。
コメント:小さい時から差別を教育され、叩き込まれる怖ろしさ。そういう中ではむしろ、差別的でないほうが異常なわけだ……。
ミスター・ミセス・ミス・ロンリー
【80日】138min
監督:神代 辰巳
出演:原田 美枝子、原田 芳雄、宇崎 竜童、
ストーリー:ある男が、電柱に手錠でくくられた女をひろい、二人の奇妙な生活が始まる。その二人と謎の男・三崎が15億円を手に入れる計画を練るが……。
コメント:小悪党たちによる人間模様。しかし名古屋章のホモのヤクザ、なんかはまりすぎですな……。神代監督による演出、すごく軽快で最後まで楽しく観させてもらいました。
三つ数えろ
【46米】101min
監督:ハワード・ホークス
出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、
ジョン・リッジリー、
ストーリー:私立探偵マーロウは、ある金持ちの老人から末娘が脅迫されているので助けて欲しいと依頼される。その末娘の素行を調べていくうち、姉のヴィヴィアンの不可解な行動に疑問を持つ。やがて末娘を脅迫していた書店主のガイガーが、何者かに射殺された……。
コメント:何がなんだかさっぱりわからなくて、何度も何度も巻き戻しては確認し、内容をようやく把握したのですが、この映画自体、内容を考えずただ観て楽しむだけでもじゅうぶんなようです。夜のムードが秀逸の傑作ハードボイルドです。
ミツバチのささやき
【73スペイン】99min
監督:ヴィクトル・エリセ
出演:アナ・トレント、イザベル・テリェリア、
フェルナンド・フェルナン・ゴメス、
ストーリー:1940年頃のスペイン中部の小さな村。「巡回映画」で「フランケンシュタイン」を観た6才の少女アナは、姉のイザベルに「フランケンシュタインは精霊で、村はずれの一軒家に隠れている」と言われ、信じこみます。ある日、その一軒家に行くと、負傷した脱走兵がいました。アナは脱走兵に果物を渡し、家から父親のコートを持ってきますが……。
コメント:まさしく「空想と現実の区別のつかない幼い少女の世界」が繊細かつ神秘的に描かれています。セリフを少なくし、説明描写を必要最小限にとどめていることが実に効果的でして、子供の頃に日常的に感じていた「幻想と神秘の世界」をそのまま追体験しているような心地でした。まさしく「日本人の感性」にピッタリあった、陰翳にとんだ魅力的な作品といえましょう。
主人公の少女・アナは、想像していた以上の「かわいらしさ」でして、今まで観たことないほどの「かわいらしさ」であり「無垢さ」です。たいてい「子役」とはかわいいものですが、まさしく「群を抜いて」います。このコが画面に出てきた時点で、この「映画」の成功は保証されたようなものといえましょう。このコの一番かわいらしく、魅力的な瞬間をよくぞ見事にとらえたものだなぁと、ホント感心してしまいます。
イザベルとアナの姉妹における「姉の優位性」を観て、自分の少年時代の「兄の優位性」を思い出しました。思えば少年時代はいつも、「兄」という存在が大きな壁のようにそびえ立っていて、4つ年上ということもあってか、そんな兄につねに翻弄されていたような感じでした。兄としては「面白いおもちゃを見つけた」という感じで、たわいのない「からかいの実験」をしていたような感じだったのでしょうが(実際たわいのないことばかりです、この「映画」での「死んだふり」とか「つくり話」のような)、しかしそのたびに「大きな精神的ショック」を味あわされていたものでした。今となってはそれが、いい意味でも悪い意味でも「今の自分のキャラクターおよび幅の広さのようなもの」を形成させているのでしょうから、悪くない経験なのでしょうが、この「映画」でのアナのように、一歩間違えるとどうなってしまうかわからないような、そんな危うさを秘めていたのだなぁと、あらためて思いました。
「説明されていないこと」によって、逆説的に「いろんなものが見えてくる」という、豊穣な魅力にあふれた作品です。オープニングの子供の絵のタイトルバックからラストシーンまで、懐かしさと優しさにあふれています。
緑色の部屋
【78仏】94min
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:フランソワ・トリュフォー、ナタリー・バイ、
ストーリー:若くして妻を失った男ジュリアンは40歳になっても独身を守ってひっそりと暮らしている。彼の家には秘密の部屋があり、そこで彼は死んだ妻の霊を祭っていた。ロウソクを使った「緑色の部屋」の映像が印象的。
コメント:話自体はすごく後ろ向きな話なのでむしろ嫌いな方なのですが、ボクの大好きな「ナタリー・バイ」がたっぷり出ているので、繰り返し観たくなる、それだけです。
緑の光線
【86仏】98min
監督:エリック・ロメール
出演:マリー・リヴィエール、リサ・エレディア、
ヴァンサン・ゴーティエ、
ストーリー:夏のバカンスをひとりで過ごすことになってしまった若い娘のさすらう姿を、親密な日記体スタイルでスケッチ。娘の寂寥感が切々と迫ってくる。
コメント:どこに行っても誰にも溶け込めず、場の空気を読もうともせず、その頑固さ、融通の気かなさ、理想の高さなどで誰とも仲良くできない、恋人ももちろん出来ない女の子のスケッチ。この映画を観てなぜ気が滅入るのか?これは自分の中にもしっかりとこういう部分が根付いているからなのでしょうか。で、それを一生懸命削ろうとして削ったつもりで今に至ってるのに、過去の古傷を見せられてしまっているような居心地の悪さ……。最後に「彼女が読んでる本に興味を持って声をかけてきた」男、彼女は「外面目的じゃなくて私の内面に興味を持って声かけてきてくれた」と思ってそれに応えたようですが、「彼女が持ってたり、着てたり、つけているものを話のきっかけにする」のは、女の子に声をかける際の「基本」ですので、彼が「内面重視の王子さま」というわけではないことは、恐らく言うまでもないでしょう。しかし何にせよ、「言い訳」をやめて「飛び込んでいった」彼女、結果がどうあれいいことが起こるのは近いような気がします。
ミンボーの女
【92日】123min
監督:伊丹 十三
出演:宮本 信子、大地 康雄、村田 雄浩、
ストーリー:ヤクザによるゆすり、たかりなどの民事介入暴力(ミンボー)専門の女性弁護士が超高級ホテルに雇われた。彼女がホテルのヤクザ担当に伝授していく数々の対ヤクザ戦術とは……。
コメント:この映画を公開後、伊丹監督が暴漢(○○組組員)に襲われたり上映中の映画館の白幕が切り裂かれたりした問題作。映画の内容はわかりやすい痛快な勧善懲悪もの。伊丹監督にはもっと映画を撮ってほしかったです……。恐らくその「自殺」も「疑惑の議員秘書たちの飛び降り自殺」同様に、「自殺」ではないと確信していますので。
無能の人
【91日】107min
監督:竹中 直人
出演:竹中 直人、風吹 ジュン、三東 康太郎、
山口 美也子、マルセ太郎、神戸 浩 、
ストーリー:かつては売れっ子漫画家だった助川助三(竹中直人)ですが、今はほとんど全く仕事の依頼が来ません。彼のシンパの編集者が持ってくる仕事も、「娯楽はやるつもりはありませんので」と断ってしまい、妻(風吹ジュン)のチラシ配りのパートなどで食わせてもらっている現状。それでも食っていかねばと、様々な商売に手をつけては全て失敗していた彼ですが、ある日、知り合いの古本屋で「石の雑誌」を目にしたことから、多摩川の河原で「石を売る」ことを思いつきます。やがて「石のオークション」が開催されることを知った彼は、妻と息子を伴って、会場へと向かいますが……。
コメント:「つげ義春漫画の映画化作品」というと、『ゲンセンカン主人』『ねじ式』がパッと思いつきます(パロディーではありますが、『恋の門』『バネ式』も面白いです)。「つげ義春らしさ」からいえば、圧倒的に『ゲンセンカン主人』と『ねじ式』であり、まさしく「つげ義春の世界」をそのまま忠実に映像化している2作品なのですが、本作品『無能の人』は、その2作品ほど「つげ義春の世界」を忠実に映像化しているわけではないにかかわらず、より「それっぽさ」が伝わってくるから不思議です。
まず「竹中直人」の主人公が明らかに「つげ義春の世界の住人ではない普通の人」であり、本来ミスマッチになるところなのですが、逆にそれが効果的だったように思います。「都心の中のつげ義春的空間」に住んでいるボクゆえに(2007年3月16日現在)、「主人公が体験しているつげ義春空間」をあたかも自分が体験しているように思え、「主人公が出会うつげ義春世界の住人たち」と、あたかも自分が出会っているように思えるゆえ、より「リアル」に「自分自身のこと」として、より「それっぱさ」が伝わってくるということなのかなと思っています。奥さん役の「風吹ジュン」もまた、「つげ義春の世界の住人ではない普通の人」であるとともに、実に魅力的な女の人なのでして、「風吹ジュン」見たさに何度でも本作品を観たくなるほどです。そして「5才の息子役の子」の顔とたたずまいが、実に「昔の子供の雰囲気」で味わい深く 、またその名前が「三助」というのもシャレが効いていて、「風吹ジュン」さんが「三助っ」って呼びかけるたびに爆笑させられました。そしてそんな「普通の家族」が、「どん底な状況だからこそ出会う」という形で、「奇妙な出来事と強烈なキャラクターの人たち」が紹介されていきますので、より効果的に「つげ義春的世界」が伝わってくるのです。「マルセ太郎」「山口美也子」「神戸浩」「神代辰巳」などは、まさしく「つげ義春の世界の住人」そのものでお見事!! 中でも「神戸浩」さん出演シーンでは、共演者はさぞかし「笑いをこらえる」のが大変だったことでしょう。
あと「ゴンチチ」による音楽が実に効果的でして、本来「浅川マキ」が似合う感じの「つげ義春の世界」を、違った形で「ファンタジック」かつ「ポエジック」に彩っています。
どん底な状況だったり最低の気分であっても、「まぁそうシリアスにならずに」と、「今ある幸せに」目を向けさせてくれ、「明日への栄養」を与えてくれるような、そんな作品です。竹中直人の「ファンタジー」な世界と「つげ義春ワールド」が見事に融合した、飄々としながらもうら寂しいようなユーモアの、独特な小宇宙が実に味わい深いです。
メルシィ! 人生
【00仏】84min
監督:フランシス・ヴェベール
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、
ティエリー・レルミット、ミシェール・ラロック、
ストーリー:コンドーム会社に勤める真面目一筋20年のサラリーマン・ピニョン。2年前に別れた妻と息子には心底軽蔑され、バカにされていて、電話にも出てくれず、会ってもくれません。そんなピニョンは社内でも影が薄く、リストラされることが決定的との噂を聞き、人生に絶望します。バルコニーから飛び降り自殺をしようとしているところを、隣人に助けられ、さらにその隣人は、ピニョンに「リストラを逃れる秘策」を伝授します。その秘策とは、「自分はゲイ」だと「ウソのカミングアウト」をすることだと……。
コメント:真面目一筋で冴えない、まわりからバカにされているダメ男の「再生物語」でして、まさに「人生の応援歌」であり、観ると「前向きな気持ち」になれる映画です。それでいてあざといところは一切なく、「人間観察」に裏打ちされた、さりげないウィットとユーモアに満ちています。出ている役者が全て良く、ムダが一切ないといっていいでしょう。「被差別者が逆に、差別を逆手にとって有利な立場に立ちやすくなっている」現代社会の風潮をさりげなく皮肉っている部分も主題ではありますが、それよりも、主人公が「ホモである」と公言したとたんに、何の「芝居」もしていないのに「まわりの反応」が変わること、そしてそれによって今まで経験したことのない災難&幸運の体験を経て、 それまでの「透明人間」から「真の男」になっていくところが真骨頂でして、まさに「ホモの芝居によって男になれた」主人公に心から喝采を叫んでしまいます。また、会社の命令でピニョンは、「ゲイのパレード」の舞台に立たされるのですが、その姿をTVで観た彼の息子は、そんな元父の姿を「かっこいい」と思い、それまで「母の影響」で「バカにしていた」のを覆し、ピニョンのことを「英雄視」し始めます。まさに「形」ではなく、「一本筋が通っていること」の大事さを謳い、そして「人がどう思うか」でなく、「自分がどうしたいか」が大事であることを伝えています。そして「イヤイヤながら」もやってきた行動によって、自分自身が影響を受け、自信を持ち、それは揺るぎないものになっていきます。まさに「希望」と「勇気」を与えてくれる映画だなぁと実感しました。