★AIKI
哀 愁
★アイズ・ワイド・シャット
愛の昼下がり
★愛の風景
赤ちゃん教育
赤ちゃんはトップレディーがお好き
秋のソナタ
悪霊島
★アニー・ホール
アフター・アワーズ
雨あがる
★アメリ
★アメリカの夜
★ある結婚の風景
或る夜の出来事
UNLOVED
妹の恋人
イル・ポスティーノ
★イン・ザ・プール
AIKI
【02日】119min
監督:天願 大介
出演:加藤 晴彦、ともさか りえ、石橋 凌 、
ストーリー:車イスで黒帯を持つ実在のデンマーク人男性をモデルにしたドラマ。ボクシングに打ち込んでいた21歳の芦原太一は、不慮の事故で車イスの生活を余儀なくされる。すべてを失ってしまい、夢も希望も持てずに荒れた生活を送る太一。だが、車イスでも可能な合気道術に出会ったことから、再び生きる希望を取り戻していく。
コメント:まさに「自分のことのように」入り込んで観ました。ボクは「車イス生活者」ではありませんが、「自己憐憫」のシーンなどはまさに自分のことのように身につまされ、観ていて精神的に「痛かった」です。障害者として生きていく青年を、「悲劇の主人公」あるいは「偉い人」として描くのでなく、あくまでも「普通の青年」としてありのままを描いたその視点が素晴らしい。中でも、「障害者と性」の問題に切り込んでくれたこと、ぼくもこの点では「障害者」だったので、「太一とさま子のラヴ&セックス・シーン」には感動し、観ていて涙が溢れてきてしまいました。石橋凌の合気道の師範が素晴らしく、「本当の達人」とはこういう「ごく普通の人」の中にまぎれているんだろうなあ(まさに「老子」の教えのように)と、素直に納得させられてしまいました。車イスの先輩である「バイバイアグラ」の火野正平、人情味のあるテキヤの桑名正博、もちろんさま子のともさかりえなど脇を固める役者全て良く、観た後生きる希望が湧いてくる、そんな映画でした。
哀 愁
【40米】108min
監督:マーヴィン・ルロイ
出演:ヴィヴィアン・リー、ロバート・テイラー、
マリア・オースペンスカヤ、
ストーリー:一人の将校がロンドンのウォータールー橋に佇んで過去を回想している。第一次大戦当時、青年将校の彼はバレエ・ダンサーとここで知り合い恋におちたのだ。やがて戦争が二人の仲を引き裂くことに……。ロマンの香り高く悲恋を描く。
コメント:切ないです……。ボクにとって「観た後3日間落ち込む映画」御三家の中の1本です(ちなみにあと2本は『シェルブールの雨傘』と『波の数だけ抱きしめて』です)。冒頭の、そしてラストのロバート・テイラーを観るだけで、映画全体が思い出されてつらくなってきます。ビビアンが持ってたお守りは「通天閣のビリケンさん」みたいですね。ビリケンさんってヨーロッパから来たのでしょうか?最後にビリケンさんを手に持ち眺め、回想するロバート・テイラー、っていかん、思い出すとまたつらくなってきた……。
アイズ・ワイド・シャット
【99米】159min
監督:スタンリー・キューブリック
出演:トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、
ストーリー:若き医師ビルと妻のアリスは心から愛し合い、裕福で満ち足りた日々を過ごしているはずだった。ところがある日、アリスから思わぬ性的欲望、浮気願望を告白されたビルは衝撃を受け、彼女が男に抱かれる妄想に囚われながら夜の街をさすらっていく……。1926年に書かれた小説をもとにした、ミステリアスな心理劇。
コメント:こういう「見知らぬ世界をさまよう巻き込まれ型の物語」って大好きなのです。その上スタンリー・キューブリック独特の間と映像、解答を与えてくれないストーリーなど、すっかり酔わされました。「キューブリックの遺作がこれ?」と、かなり期待外れの寸評も多かったようなのですが、まぁ1926年に書かれた小説を基にしているわけですし、「今でいうショッキングで衝撃的な映像とストーリー」でなくてもいいのではとボクは思います。ただ楽器を演奏する者としては、「医者を辞めてジャズ・ピアニストになった」男に対しての冷酷な処遇はちと心につらいものがありました……。トム・クルーズの情けない男ぶりも良く、大好きなニコール・キッドマンが出ているってのも嬉しいです。
愛の昼下がり
【72仏】98min
監督:エリック・ロメール
出演:ベルナール・ヴァルレー、ズズ 、
フランソワーズ・ヴァルレー、
ストーリー:妻と幼い娘と共にパリ郊外に住むフレデリックは、パリ市内に友人と共同で会計士事務所を持っています。彼は妻には欲望を感じなくなっています。そんな中、彼は旧友の恋人だったクロエと偶然再会し、恋愛と仕事のことで悩んでいる彼女につきまとわれます。やがてフレデリックに二人目の子供が生まれます。だが、この安定した生活に何か物足りなさを感じているフレデリックは、次第にクロエとの関係に深入りしていき……。
コメント:60〜70年代のフランスのカラー映画の色彩が大好きなボクにとって、もう画面を眺めているだけで嬉しくなってくるようであります。そして題材や登場人物のキャラも含めて、何かトリュフォーの『夜霧の恋人たち』『家庭』を連想し、それもまた「心地よさ」の一因かなと思いました。登場人物のファッションもメチャ良いです。「エリック・ロメール」作品はたいてい「独身男女」の「恋愛模様」「人間模様」を描いているのですが、この作品は唯一といっていい、「既婚男の不倫に逡巡する様子」を描いています。主人公の男が、「男の目から見ても色気を感じさせる」俳優であること、その奥さんがいかにも頭が良くて貞淑さをかもしだしていること、いかにも本物の夫婦であるように感じられること(実際に、その娘も含めて本当の夫婦親子が演じているようです)、秘書の2人を含めて、登場人物に魅力があることなどなど、観ていて物語にのめりこませます。ただ、主人公を翻弄し誘惑する女クロエを演じている女優が、「トップモデル」にありがちな、「一歩間違うとニューハーフ」っぽさをかもしだしているため、主人公が魅かれていく気持ちが理解できず、この点が残念ではありましたが、でもしかし、逆に「ラスト」に説得力を与え、さわやかな後味と感動を与えてくれたかなと実感しました。まぁ実際のところ、結婚していないボクにとって、主人公の感じる「倦怠と虚しさ」は本当の意味では理解できていないとは思うのですが(2005年9月1日現在)、しかしネタばれ承知で書きますが、よく言われる「男と女は3〜5年住むと飽きて」きて、あとは「男女関係」でない関係(「兄妹」とか「母子」とか)に転移するか、浮気をしてしのいでいくしかないみたいな格言は、必ずしも誰にでもあてはまるものではなく、逆に「あたりまえ」と思って「目を向けてもいなかったこと」にはたと気づき、思い切って実行することによって、「倦怠と虚しさ」は乗り越えられ、さらに「絆を強くする」ことは可能であり、これこそが「格言」なのでは?と思えてきました。まぁこれは、この作品において、主人公の奥さんが魅力的で、誘惑してくる女がやめておけってタイプの女であるがゆえにリアルな教訓を実感できたのかもしれませんが、でもしかし、「夫婦関係」「恋人関係」に悩んでいる人は、この「映画」を観ることによって、「燃えあがる思い」ともに、大きな「得るもの」を実感すること間違いなしかもと思いました。「エリック・ロメール」の諸作品の中では、いろんな意味で異色作だなぁと思いました。
愛の風景
【92スウェーデンほか】180min
監督:ビレ・アウグスト
出演:サムエル・フレイレル、ペルニラ・アウグスト、
マックス・フォン・シドー、
ストーリー:神学校に通う貧しい青年ヘンリクは、良家の令嬢アンナと恋におちる。アンナの親の反対や、ヘンリクの昔の恋人とのしがらみもあって、彼らの恋はなかなか成就しない。皮肉な運命に翻弄されながらも、ようやく結婚したヘンリクとアンナ。育った環境の違いから、ふたりはしばしば言い争うが、少しずつ理解を深めていく。イングマール・ベルイマンが自身の両親をモデルに脚本を執筆。
コメント:ていねいに美しく描かれる愛僧ドラマ。文学的な作品です。見終わったあと爽やかな後味があります。3時間があっという間です。
赤ちゃん教育
【38米】102min
監督:ハワード・ホークス
出演:ケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、
チャーリー・ラグルズ、
ストーリー:博物館で恐竜の骨格の組み立てに没頭しているデビッド(ケーリー・グラント)は、生真面目な動物学者です。恐竜の骨格の完成まであと鎖骨1本、しかも明日は美人秘書との結婚を控えています。その彼が、博物館に100万ドル寄付したいという未亡人の弁護士に会いにゴルフ場に出かけますが、そこでたまたま出会ったスーザン(キャサリン・ヘプバーン)というわがまま娘のせいで予定がすべて狂ってしまいます。翌日も、デビッドは「ベイビー」という名の豹のペットを連れたスーザンに田舎まで連れ出され、大騒動に巻き込まれ……。
コメント:いやぁ、「軽妙なテンポによる会話の応酬」という、まさに「ボクが大好きなツボ」をとらえまくっている作品であります。このようにしゃれていながらテンポ良く、オフビートなユーモアで軽妙に展開していくコメディーが、1938年につくられていたとは、あっぱれです!! キャサリン・ヘプバーンはコメディーセンス抜群ですし、ケーリー・グラントは「ヒッチコック映画」の面影を全く感じさせない「カタブツ生真面目男」をまさに好演していますし、登場人物すべてがすっとぼけていて効果的に爆笑をさそいます。たいてい「昔の喜劇」って、時代を経ると「どこが面白いの?」ってなりがちなのですが、いやぁ、全く古くなってないどころか、逆に「新しい」です。ネタバレは控えておきますが、一言。もしもスーザンがキャサリン・ヘプバーンでなくて、「好みじゃない女」だったとしたら、ただの「迷惑ストーカーによる被害もの」になっていたのだなぁと、ふと思いました。まぁそれだけ、キャサリン・ヘプバーンが魅力的だということなのであります。
赤ちゃんはトップレディーがお好き
【87米】111min
監督:チャールズ・シャイアー
出演:ダイアン・キートン、ハロルド・ライミス、
サム・シェパード、
ストーリー:有能なキャリアウーマン・ワイアットは重役のイスも目前。ある日彼女に遺産が舞い込んだ。それは13か月になる赤ちゃんエリザベスだった。慣れない育児と仕事の両立に悪戦苦闘の日々が始まる。やがて同棲相手には愛想をつかされ、仕事の方も失敗続きで職を失ってしまう。彼女は田舎に家を買い、エリザベスと二人だけの生活を始めようとするが、なんとその家はとんでもない欠陥だらけ……。そんな時、彼女が暇つぶしに作っていたベビーフードが全米で大ヒット商品になった……。
コメント:こういうテンポのいい、ライトタッチのコメディーって大好きです。80年代にはけっこうありましたね、こういうあっけらかんと楽しめる映画。ほんと、ウディ・アレンがコメントしているように、ダイアン・キートンは超一流のコメディエンヌだなあと再確認してしまいます。
秋のソナタ
【78スウェーデン】89min
監督:イングマール・ベルイマン
出演:イングリット・バーグマン、リヴ・ウルマン、
レーナ・ニイマン、ハールヴァル・ビョルク、
ストーリー:国際的に著名なピアニスト(イングリッド・バーグマン)、その娘(リヴ・ウルマン)は母に対し、音楽的な才能の上でも、生き方の上でもコンプレックスを持っています。母親には、奔放な恋に生き、幼い彼女をあまり顧みない過去があります、そして障害者の妹が生まれてすぐ、愛人のもとに去って行ってしまいました。愛人の死をきっかけに、7年ぶりに戻ってきた母親の世話を焼くうち、娘は心の爆発を抑えられなくなり……。
コメント:身勝手かつ奔放な母と、母から受けた心の傷に苦しみ続ける娘との葛藤と確執という、いわば「シャレにならない言葉のぶつけあい」が軸でして、この映画でみられるイングリッド・バーグマンの演技が、まさに「彼女そのもの」といっていいほどリアルに感じられることもあって、のめりこんで観させていただきました。そしてイングリッド・バーグマンの存在および演技が、従来の「イングマール・ベルイマン」作品とはある意味「異質」な肌触りを感じさせるため、ある種「わかりやすさ」というか、「俗っぽさ」の方向に流されていきそうなヤバさを感じさせつつも、「ベルイマン流儀」を自分のものとしている「リヴ・ウルマン」がそれに歯止めをかけ、まさに「がっぷりよつ」で勝負しているといった感じでして、結果「しめっぽさ」「俗っぽさ」「叙情」などには流されず、見事「ベルイマン」流の後味を実感させてくれます。
悪霊島
【81日】131min
監督:篠田 正浩
出演:鹿賀 丈史、古尾谷 雅人、岩下 志麻、
ストーリー:1960年代の高度経済成長期を背景に、「島には悪霊がいる。鵺(ぬえ)の鳴く夜は気をつけろ」という因習から、瀬戸内海の刑部島で起こる連続殺人事件。金田一耕助シリーズ。「レット・イット・ビー/ビートルズ」が主題歌。
コメント:この映画のCMで流れる「レット・イット・ビー」に惹きつけられ、ビートルズをロクに聴いたこともなかったボクにその良さを教えてくれた映画でもあります。この映画は横溝作品には珍しい、70年代を舞台にした映画で、細かい内容は忘れてしまいましたが、その「妖しい」ムードにボクは釘づけでした。
アニー・ホール
【77米】93min
監督:ウディ・アレン
出演:ダイアン・キートン、ウディ・アレン、
トニー・ロバーツ、
ストーリー:漫談家としてニューヨークのTVやナイトクラブで活躍するアルビーは、テニスクラブでアニーと知り合い、意気投合。二人はすぐに同棲を始めるが、お互いに嫌な部分が目につくようになる。二人はそれぞれ精神科医に通うようになり、どうにか治まるかに見えた。そんな時、アニーはプロ歌手のトニーに歌をほめられ、カリフォルニアに行くことを勧められる。そしてアニーは、アルビーを残してカリフォルニア行きを決心する……。
コメント:ウディ・アレンの最高傑作です。これを観てボクはウディ・アレンにはまりました。最初に観たのは学生の時で、その時は何が何だかワケがわからずただ画面を眺めているだけでした。そりゃムリないわな、高校生で『アニー・ホール』が好きだなんて奴、ウソつけって思うもんね。ただストーリーを把握しづらい映画であることは確かでして、何度も巻き戻し、内容を確認しながら観ました。大まかにいうと『ハイ・フィデリティ』同様の、オタク男の恋の苦悩物語です。最初のうちは、オタク男のその世界における博識さと地位をかっこよく思い惹きつけられる女の子なのですが、やがてそれが融通のなさに思えてきて、やがてつまらない男に見えてくるってワケです。で、ウディ・アレンのたたみかけてくるつぶやき、ぐちが心地よいんですね。これにはまったらもうウディ・アレン作品全部観ずにはいられません。オタク男の永遠の課題を映画にして残してくれたウディ・アレンに感謝です。
アフター・アワーズ
【85米】97min
監督:マーティン・スコセッシ
出演:グリフィン・ダン、ロザンナ・アークエット、
ストーリー:コンピューター・プログラマーのポールは、ある晩キュートな娘に出会って電話番号を教わった。電話をかけてソーホーに向かったのがそもそもの始まり……。持ち金全部を窓から飛ばされるほど猛スピードのタクシーに乗ってしまうわ、謎だらけの娘に翻弄されたあげく、その娘は死体となって冷たく現れるわ、まるでメチャクチャ。大体、登場する初対面の人物が皆どこか調子が狂っている。パニック状態のポールは、この悪夢のような都会の夜を抜け出せるのだろうか……。
コメント:観ている間、まるで自分がこの迷宮に迷い込んでしまったかのようでした。巻き込まれ型ブラックコメディーの傑作です。
雨あがる
【99日】91min
監督:小泉 堯史
出演:寺尾 聰、宮崎 美子、三船 史郎、
ストーリー:強い剣豪ながら仕官できない浪人・三沢伊兵衛とその妻たよの泊まる安宿には、雨があがるのを鬱々と待つ人々が大勢いた。心根の優しい伊兵衛は賭試合で金を都合し、酒や食べ物を振舞い、人々の心を和ませる。あくる日、侍同士の果たし合いに遭遇し懸命に彼らを止めた伊兵衛に、藩から剣術指南番の話がくる……。
コメント:殿様がいいです。こんな殿様ばかりだったら、日本ももっと良かったのではないでしょうか(って当時のこと何も知らないくせに……)。宮崎美子の奥さん、こんなひとと結婚出来たらなぁ……(ためいき)。
アメリ【01仏】121min
監督:ジャン・ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、
ストーリー:カフェで働いているアメリは、幼い頃から空想好きで、人とかかわるのが苦手な女の子。そんな彼女が、周囲の人を幸せにすることに喜びを見いだし始める。ある日、不思議な魅力の青年ニノにひと目惚れしてしまい、ちょっとしたイタズラを仕掛けて彼を振り回していく。優しさあふれるキュートな雰囲気で現代の寓話が軽やかに紡ぎ出されている。
コメント:ボクにとって人ごとではないのです。ボクは4才くらいの時、突然喋れなくなり、5才くらいに口はきけるようにはなったのですが、しばらく自閉症気味の子だったのです。ですからこのアメリの境遇というのは決してフィクションでなく、すごく良くわかるのです。人と話して直接伝えるよりも、たとえどんなに労力がかかってもこっそり動いて伝える方を選ぶようなとこ。つまりコミュニケーションを介さなくてすむのであれば、全てラクなことなのですね。だからこそ同じようなタイプの異性とめぐり逢えたこと、これを逃したら一生「一人のほうがまし」な人間になってしまう、だからこそ必死です、だからこそアメリの焦り、落胆は手に取るようにわかるのです。だからこそハッピーエンドで良かったと心から思えるわけです。って、こんな感想持ってる「男」って、オレだけかな……。
アメリカの夜
【73仏伊】115min
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャクリーン・ビセット、フランソワ・トリュフォー、
ジャン・ピエール・レオー、
ストーリー:ニースのスタジオ「ラ・ビクトワール」。ハリウッド女優ジュリー・ベイカーを招いた、フェラン監督の新作「パメラを紹介します」の撮影が始まった。しかし、撮影の方はなかなかはかどらない……。撮影中、どんなに大変な思いをしても、撮影が完了すれば、また次の仕事をしたくてたまらない映画人の心境を愛情をこめてうたい上げる。
コメント:エピソードの一つ一つが全て面白く、引きつけられます。観て損のない映画です。しかし、ジャン・ピエール・レオーの役は、アントワーヌ・ドワネルと見事に重なりますね。
ある結婚の風景
【73スウェーデン】168min
監督:イングマール・ベルイマン
出演:リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、
ビビ・アンデルソン、
ストーリー:幸せな結婚生活を続けて10年。ヨハンとマリアンヌ夫妻は満ち足りた日々を送っていた。ある日、地元新聞社から、模範的結婚生活についてインタビューを受ける。そしてその時から、夫婦の間に、少しずつ見えない溝が広がり始めていく……。全編ほぼ二人だけの出演者による、すさまじいダイアローグのぶつかり合いで、人間にとって結婚とは何か、夫婦生活と個人の人間性の調和とは何か、厳しく問いかけてくる。
コメント:5時間の連続TVドラマを約3時間に編集して映画にした作品。そのTVドラマを早く家に帰って観るために、スウェーデンの各地で交通渋滞が起きるほどの旋風を巻き起こしたようです。そのせいか、その年は離婚が急増したという……。それまでマニア向けと思われ、一般的人気はなく、女性の敵とまで言われていたベルイマン監督が、国民的人気監督になり、女性の味方と言われるようになる契機となった作品だという評論もあります。TVの力って大きいですね。内容はすさまじい言葉のバトルです。悟りが開けたような心境になります……。
或る夜の出来事
【34米】105min
監督:フランク・キャプラ
出演:クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール、
ウォルター・コノリー、
ストーリー:大富豪のわがまま娘エリーは、プレイボーイの飛行士との結婚を父親に反対され、家を飛び出した。マイアミからニューヨークへ向かう乗り合いバスに乗車したエリーは、失業中の新聞記者ピーターと出会う。ピーターはスクープを狙って同行することにするが、世間知らずのエリーは行く先々で騒動を巻き起こす。わがままなエリーと強引で粗野なピーターは互いに意地を張り合うが、旅を重ねるうちに二人は次第に惹かれていく……。
コメント:何をおいても、このはねっかえり娘の父親がいいですな。懐が深く、人間が大きくて。
UNLOVED
【02日】117min
監督:万田 邦敏
出演:森口 瑤子、仲村 トオル、松岡 俊介、
諏訪 太朗、三條 美紀、
ストーリー:昇進試験も受けずに質素に暮らす、30過ぎの市役所勤めの光子(森口瑤子)は、若きエリートサラリーマン・勝野(仲村トオル)と知り合い、惚れられ、付き合い始めます。しかし豪華な暮らしを自分にも押しつけるかのような勝野の生き方に相容れないものを感じ、光子は勝野に別れを言い渡します。そして彼女は、自分の住む安アパートに引っ越してきた運送会社の青年・弘(松岡俊介)と、ふとしたきっかけから愛し合うようになるのですが……。
コメント:まるで「ベルイマン作品」を観ているかのような、妥協なき「言いたいことをぶつけあうセリフの応酬」にはドキドキさせられ、その言葉の一つ一つがガンガンつき刺さってきます。おそらく、あえて登場人物に「棒読みのセリフ回し」をさせ、余分なものをそぎ落として提示するやり方は、あたかも「舞台劇」を観ているかのようであり、それが実に効果的でした。
仲村トオル演じる勝野の、「エリート臭プンプン」の「人を見下した人物像」は、今まで数限りなく描かれてきたであろう「典型的なイヤな奴」であり、そんな男からの「アプローチ」を頑なに拒み、ある意味「一泡吹かせ」つつ別れを言い渡す光子には、本来「気持ちよさ」をすら感じさせるものがあり、あくまでも「自分のペース」を守り通そうとするその姿勢には、「ハードボイルド的かっこよさ」すら感じさせるはずなのですが、でもしかし、どこか「不自然な気持ち悪さ」を漂わせています。
そして光子にとって、生まれて初めてめぐり逢った、「自分をさらけだせる相手」である弘が、自らの「野心と向上心」を口にし、「現状から抜け出すために頑張りたい」と言いだしたとたん、「そのままのあなたでいいんだから、あなたらしくない似合わないことは最初からすべきでない」というようなことをムキになって言い出します。一見「もっともなこと」を言っているかのように思える光子が、どうしてこうも「気持ち悪さ」を感じさせるのだろうか?と考え、この感じは何かに似ているなぁと思いました。そしてそれは、「最近の不自然なまでの昭和懐古的ムード」の気持ち悪さ、「自分の子供が子供のまま成長しないでほしいと願う母親」のような気持ち悪さ、「あくまでも男と同等対等でありたいと本気で思っているフェミニズム的な女」の気持ち悪さに相通じるものがあるのだと思いました(それらがいけないということでなく、偏執狂的に執着する場合において)。つまり光子もまた、勝野と同様に「相手を自分の意のままに支配したいだけの俗物」なのだということが露呈し、かつ「他人が見えていない」という意味において、勝野と全く同じだということが露呈されるのです。そしてその、「ありのままの自分で自分らしく」っていう言葉の、ただの「理論武装」にすぎない「薄っぺらさ」もまた露呈されます。
「自分に自信がありすぎて他人が見えない男」「自分の世界にこだわって他人が見えない女」「自分に自信がなくて他人しか見えない男」の、三者三様の人間模様は、実に荒涼としたものを感じさせ、まるで「精神の砂漠」といった感じです。でもしかし、彼ら3人の姿は、自分も含めて「誰にでも状況次第であてはまりうる姿」であり、かつ「誰もが内に抱えている人物像」でもありうるわけで、だからこそ観ていて「胸に突き刺さる痛さ」を痛感させられるのです。そんなワケで、ボクは逆に「悟りを得た」かのようなすがすがしさをさえ、観終わって感じたのでした、「支配関係の逆転による新たな地獄行き」をも示唆している、ある意味「驚愕のラストシーン」も含めて。
妹の恋人
【93米】99min
監督:ジェレマイア・S・チェチック
出演:ジョニー・デップ、
メアリー・スチュアート・マスターソン、
アイダン・クイン、ジュリアン・ムーア、
ストーリー:神経を病み、周囲とうまくコミュニケーションが出来ない妹とそんな彼女から目が離せない兄。彼らの前にバスター・キートンに憧れる無口な青年が現れ、兄妹の間に波乱をもたらす。オフビート感覚のユーモアを盛り込んだ、ハートウォーミングな人間ドラマ。
コメント:このお兄ちゃんがいいですね、もう本当に妹思いで。ただその思いが高じて、妹を縛りつけすぎていた、自分をも犠牲にして。ジョニー・デップが現れてよかったじゃないの、自分も彼女をつくることが出来て。良かった良かった。くれぐれも「第二のバスター・キートン」で売り出そうだなんて思っちゃいけないですね。
イル・ポスティーノ
【95伊】107min
監督:マイケル・ラドフォード
出演:マッシモ・トロイージ、フィリップ・ノワレ、
マリア・グラッツィア・クチノッタ、
リンダ・モレッティ、
ストーリー:ナポリの沖合の小さな島に暮らすマリオは、仕事にもつかず、鬱屈とした日々を送っていた。ある日、チリの偉大な詩人であるパブロ・ネルーダが国外追放になり、この島にやって来る。島の郵便局には世界中からファンレターが送られてくるようになり、その配達人としてマリオが雇われた。マリオは毎日、詩人の所へ配達をするようになり、次第に親しくなる。詩人はマリオに詩を詠んできかせる。次第にマリオは詩の魅力に惹かれ、自分も詩人になりたいと考えるようになるが……。
コメント:「詩のことばを他のことばに置き換えられない。詩のことばを受けとめ、感じることだ」「詩は詩人のものではない、必要とする人のものだ」と、パブロ・ネルーダの言葉。どうもボクは詩にはなじめないようで、やはり小説を読んでしまうのですが、この映画を観て冒頭の言葉をメモする際に、「そうか、頭で解釈しようとすることはないんだな、音楽と同じじゃないか(異論がある人、大目に見て下さい……)」と、悟ったような気がしました。で、古臭いように感じるけど「詩」ってすごくロマンチックなんですね。好きな女の人に詩を贈るのってすごく照れ臭く、恥ずかしい気がするけど、「うまくはまりさえすれば」やはり嬉しいんじゃないかな、ボクは女の人から詩を贈られたら嬉しいですね、きっと。ともあれ、マリオは「詩」のおかげで、「詩」に魅せられたおかげで、町一番の美女の心をつかみ、結婚することが出来たのだから、幸せだったのではないでしょうか。
イン・ザ・プール
【05日】100min
監督:三木 聡
出演:松尾 スズキ、オダギリ ジョー、市川 実和子、
田辺 誠一、MAIKO、岩松 了、ふせ えり、
ストーリー:伊良部綜合病院の精神科医・伊良部一郎(松尾スズキ)、彼はいつも白衣の下にヒョウ柄のシャツとブーツを合わせ、テキトーな診察でお気楽に過ごしています。そんな彼のもとに、24時間勃ちっぱなしという「継続性勃起症」の営業マン・田口哲也(オダギリジョー)、確認行為を極度に習慣化してしまう「強迫神経症」のルポライター・岩村涼美(市川実和子)、徹夜仕事の合間でもプールに通う「プール依存症」のエリート管理職・大森和雄(田辺誠一)など、ストレスが原因による奇妙な病気に悩まされる患者たちが次々と訪れます……。
コメント:『亀は意外と速く泳ぐ』ではある意味「シュールさ」を前面に出した「わかりづらい笑い」を、「上野樹里」ちゃんのキャラクターにまぶして「わかりやすく」料理したといった感じだったのですが、本作品は、ひねりを加えつつも、実に「ストレートかつわかりやすい笑い」の連続でして、ある意味そういった「王道の笑い」というのは、実は最も「難しい」だろうなぁと思うのですが、それを何気なく、実現させている稀有な作品だといっていいでしょう。
市川実和子の「強迫神経症」は、まさしく自分にもピッタリ「思い当たる」ことなのでして、ボクも出かける時、部屋を出る時は毎回「緊張する」のです。「ストーブ、エアコン、電気」などをちゃんと消し、「鍵をかけた」と、わかっていても「気になる」と毎回「引き返して」しまうのでして、なので彼女に感情移入しながら観てしまいました。
「怒りをおさえているがために勃起がとまらない」オダギリジョーにも感情移入してしまいまして、最後に「怒りを爆発させるシーン」には、何とも言えない「爽快感」を感じながら観させていただきました。
ボクは外国の、特に「アメリカのコメディー映画」の「面白さ」がイマイチわからなく、楽しめないのが大半なのでして、ジム・キャリー、マイク・マイヤーズ、アダム・サンドラーなどなど、枚挙にいとまがないほどそれらの面白さがわからないのですが、でもしかし、本作品での松尾スズキ、岩松了、ふせえりなどの「理屈抜きの面白さ」を実感しながら、「ああっ、アメリカ人にとってのジム・キャリーやマイク・マイヤーズって、日本人(自分)にとってのこの映画での松尾スズキや岩松了なんだな」と、 想像したのでありました。加えてこの映画での市川実和子の立ち居振る舞いと存在感は、サイレント映画風の雰囲気をまとっている感じでして、あたかも「ジャック・タチ」作品の雰囲気を感じました。そしてオダギリジョーの、数々の災難を受けつつも飄々としている感じは、アメリカ人にとってのベン・スティラー的面白さなんだなぁと。
とにかく理屈抜きで面白いです!! くだらなさ加減が思いっきりツボにはまります、そして「実は入念なリハーサルと脚本をもとに演じられている」ことが信じられないほど、即興感たっぷりの面白さです、小ネタ満載の。
ぜひとも「続編」をつくってほしいなぁと思っています。