電脳NEWS


3月に「海賊版撲滅」を発表していたタイ政府は5月1日に「海賊版撲滅戦争」を宣言しました。


ゴールデンウィークに例年より少ないとはいえ、SARS騒動で厳戒態勢の中、タイを訪れた方も多かったようです。
そして、パンティーププラザやマーボーンコーンなどの「コピー版スポット」が閉まっている事が多く、がっかりの目にあった人もあることと思います。
SARSで面倒なゴールデンウィークに期待してはるばる訪れた人たちは残念でした。
5月1日に、海賊版撲滅戦争宣言がありました。
闇経済追放のための情報提供者の募集も行われています。成功報酬は15%だそうで、売人に密告される、ということが麻薬ばかりでなく(麻薬は25%だったと思う)、この方面にも適用される事もありうるということです。
毎日のニュースではCD工場が摘発されたニュースも時々出ます。続いているのはやはり麻薬関係で、軍隊が犬を使って田舎の工場や畑や森の中に埋めて隠されたものなどを捜索しています。

めまぐるしい、ここ数ヶ月の変異をまとめてみました。



タイでは例年、1月には麻薬撲滅キャンペーンが厳しくなる。アメリカなどから麻薬撲滅のために莫大な援助を受けているタイではこの月間は「成績を上げる月」である。マリファナならともかくも、他の薬物では見逃してもらうのが難しい。
しかし今年は2月になるなり、タクシン首相が「3ヶ月でタイを麻薬の無い国にする」と宣言。報奨金、密告奨励、逃げる容疑者は射殺、盗聴まであり、と全面戦争である。そして3ヶ月を過ぎて、死者は2千人以上、逮捕者は5万人以上という。また、麻薬撲滅に積極的でない警察官僚や地区の知事など数百人を更迭した。
 
 3月に発表されたところでは、4月1日からは海賊版CD、DVDを徹底摘発するという事であった。映画配給会社を始め、ソフト産業からの圧力もある。
以前に地元のニュースで聞いたところ、バンコクの場合、海賊版CDは数社の工場で生産、配給されていて、1日数億バーツの市場だともいう。
そして4月にもいくつかの変化はあったものの、以前コピー製品は売られていた。いくつかの変化というのは、コピーCDを売るのを止めて、メディアや、周辺機器などを売るようになった店がある。そして値下げして投げ売り状態の店があった。そして値段も下げず、新しいコピーが入っている店があった。この変わらない状態の店が生き残りを得たのではないか、と推測できた。
映画のVCD、DVDのコピー製品の魅力は値段もさることながら、映画の封切り日前に店頭に並ぶ事も多いからだ。日本より封切りが早いことの多いタイであるが、マニアは一刻でも早く見たいものである。

そして5月1日の宣言である。以降、店が閉まっているのに行き当たる事も多くなった。品物を見ていると周囲がいっせいに店じまいを始めた事もある。供給が細くなったようで新しいモノは以前ほどに多くは無いようだ。アプリの種類も減っている。それでも映画DVDや音楽のコピーは依然とパッポン周辺やあちこちで売られているのを見る。当分は取り締まる側と売るものとの馴れ合いは続きそうだ。

 タクシン首相は2年でタイからマフィアを殲滅する、とも言っており(とはいえ、大臣や閣僚にも何人かのマフィアのドンやメンバーがいるという事実もある)、当然のようにマフィアからも「排除指令」が出ているということである。身辺警備は以前に比べて厳重になり、車を愛用のベンツから防弾車に乗り換えた。
首相は今までのタイのマイナスの部分を退治して、先進国入りへの勝負にでているように見える。

政令が出ても、数ヶ月たてばもとどおり、というのがかつて、タイの常識であった。

しかし、政権は「タイ愛国党」の一党独裁体制も固め、あくまでも強気である。

 とはいえ、かねてより知られているように、政府首脳にまで、複雑に食い込んでいる闇経済の利害は簡単に整理できるはずもない。
そして、観光の収入が大きい経済を占めているタイで、海賊版などの裏グッズを求めてタイを訪れる観光客も少なくない。
タクシン首相の賭ける先進国入りの勝負の行方、そして今後、少なくない人々のタイの魅かれる部分でもあった、「闇」の部分はどう変化していくのだろうか。

 パンティーププラザでは旅行者や学生たちに混じって、警官がソフトを買っていくのも見かける。
ニュースで、逮捕されたコピー業者の背後で警官の打ち込んでいたPCのOSは正規品であったのか?少し気になった。

(閉店。左端の店は正規品以外をすばやく引っ込めた)



タイ政府のPC普及プロジェクトとLinux VS Microsoft

 タクシン政権は国民へのPC普及の運動「国民のためのPCプロジェクト」で、5月始めの公募に約2万人の予約が集まったのに自信を得、今後100万台以上にまで拡大していく予定だそうだ。これは非富裕層のために政府がメーカー、金融機関と協力してのプロジェクトである。現在のところ、ローンなども活用されて、16万台以上が売れている。PCの一般普及が拡がり、インフラなども整理・向上してくれれば、利用者としては喜ばしい事である。
ここで、インターネットのさらなる普及で懸念されるのが、青少年への閲覧の規制である。いわゆる「青少年に有害なページ」を閲覧規制するために、タイ通信局、警察機関などに審査が要請されているという。
 現状で言えば、プロバイダーの判断によっていると思われる。1、規制が無いのか、全く構わない、2、「接続不可」の画面が出る、3、即座に接続を切られる、などを経験した。3の場合は見張られてないうちは大丈夫のようであったが、落ち着いて見れなくなる。「裏情報」や、「芸能情報」などには多くのバナーが張られており、ちょっとした気持ちのスキにはまり、ついクリックしてしまう。

 さて、上記の普及型PCにはLINUXがプリインストールされていたらしい。タイ語バージョンLINUXで、Open officeも含まれていた。勿論ライセンスなどの関係からの、費用を抑えるためである。
 また同じ頃に、HPはタイ向けのLINUXを搭載した格安マシンを発売すると発表があった。業界ニュース的に見るとLINUXの攻勢のようにも見える。PC関係の書店にはLINUXの書籍もいくつも見えるし、タイバージョンのLINUXも並んでいる。見ていると手に取る人はいるようであるが、関心を持つ学生や、ある程度の管理を学ぼうとしている者たちに限られているのではないか。サーバーやステーションとしてはかなり使われているようであるものの、一般に普及はまだ先になりそうだ。それは意外に早く来るかもしれないが。
 上のニュースを伝えるCNETニュースも、「Linux PC購入者の大半は、家に帰るなり違法コピーされたWindowsをインストールし 直すものと思われる」という市場調査関係者の言葉でしめている。

 LINUXは膨大なアプリが無料で得られるとはいえ、多言語に対応していないものも多く、アプリ自体も巨大化している。ブロードバンドが普及してないタイでは、数十メガバイトのダウンロードは容易ではない。

 6月には、マイクロ・ソフトが政府のPC普及のプロジェクトに協力・参加を発表し、タイ国内のPC購入者にはWinXPとOffice同梱パッケージで1490バーツ(4000円程)で販売するという(!)。これはタイ限定であるが、他の国に対しても考慮しているとか。

 これらはLINUXの攻勢に対抗する意味と、海賊版への対応があると思われる。以前にタイの公正取引から、海賊版を無くするためにも、海賊版と同じ値段で売れないものか、と要請したことがあった。



その後の海賊版との「戦争」

 5月に海賊版撲滅戦争(D-Day)宣言があった、その後の進展はあったのか?TVのニュースを見ていると、しばしば車でマレーシアから持ち込もうとした大量の映画DVDなどが摘発されている。TVで映されているのはライトバンにいっぱいくらいであろうか。マレーシアで製造されているということになるかもしれないが、ビルマ、カンボジアでも作られているという話も聞く。プロテクトを外せば(外すのも簡単だが)、今の機器では簡単に大量コピーできるし、当然にタイでも作られていると思う。

 さて久しぶりに1日、コピー販売エリアのポイントを周ってみた。パンティープなどは店舗は減ったものの、映画DVD、アプリ、ゲーム。かなりの活気である。新しいものも多い。一時期減っていたウィンドウズ以外のアプリも以前と同じほどになっている。エロ物DVD、VCDはなお増えているように見える。パンティープには数店正規品のゲームを揃えている店があるが、以前は見たことがなかった日本人が入っているのを最近しばしば見るようになったのは、私のページを見てくれたからなのか。

 夜の盛り場であるパッポンの近くを通りかかれば、(昼前だよ!)DVDをいっぱいに並べた露店がある。「マトリックス・リローデッド」「ターミネーター3」「HULK」など、品物も変わらなく新しいし、値段もパンティープと同じくらい。最近は劇場でデジタルムービーを使って撮影したものが多いようだ。それを時間の関係上、以前は2枚のCDに焼いていたものをDVD1枚に焼いていたりもする。英語・中国語・タイ語・マレー語などのサブタイトルをそれにつけるのだが、明らかに手仕事でやったね、というのが分かるものもある。
 「DVD9」とシールを貼ってあるのDVDからはコピーしたもので値段も少し高くなる。といっても、「DVD9」でなくともDVDからのコピーもあるので、よく分からぬ。一様に「画質がよい」とは言っているが。

 つまり以前とほとんど変わっていない。対麻薬戦争には勝利しつつあるが、海賊版との戦争のほうはまだまだ攻勢は見えていないように思える。なくなるのは正直言って寂しいし、といってこのままいけるのか?とも考える。
 役所関係でも、コピー品より正規品のほうが多く使われているとは思えないが、、、。   (7月18日)



マレーシアのIT事情は進んでいるのか?

 「IT国家」というときにそれがどういうことか内容を見ないといけない。単に労賃が安いので、半導体工場が多く進出している。たくさんの種類のハード製品を生産している「IT製品製造国家」。家庭には何らかの端末はなく、銀行へ行こうが役所へ行こうが、担当者はコンピューターのモニターで確認してから書類を手書きする。それでもかつて夥しい書類で確認して書き写していたころよりは数分早くなった。
 あるいは教育が全く追いつかないままにブロードバンドを普及させたがために、大人はエロサイトを見ることが日課で、それ以外に活用法は知ろうともせず、子供はネット対戦ゲームばかりという事もある。これも「IT国家」と自賛する。
 かつてのニュースで、北朝鮮で「国軍のIT化」というタイトルが出たことがあった。その内容は「指揮官にポケベルを持たせて迅速に対応」というのが日本人の皆がポケベルを忘れかけた時に流れた。あの真偽がどうであったのかは知らない。ドッグイヤーの中で、ポケベルとはなかなかタイムマシン的なアイデアであるのだが。

 インフラ、教育、そして社会常識が進化しなければPCをそろえたとて意味はない。

 タイにいる限りは、年に何度かマレーシアに行く。ビザの関係です。マレーシアに限らず(白人国家といえども)、入国手続きが時間がかかる。覗き込むと、たいていはキー打ちが「蟷螂拳」しかも「首振り打ち」である。つまり、人差し指一本打ちしかも、3字ほどごとにモニターを確かめる。「無駄禄の最たるものは公務員」というのは何割かの事実を占めている。ホームレスの多い日本だって大企業リストラのホームレスには何人も会ったが、リストラされた公務員には会ったことがないぞ。江戸の時代の旗本か?役所の責任とサービスの意識はまだまだ進まない。

 マレーシア人のパスポートは自動読み込みのゲートがあった。パスポートを閉じたままで所定のところにセットすると読み込まれ、ゲートが開く。
 それを横に見ながら、長蛇の列のゆっくり進むのを待つ。その手前になにやら意味不明のカウンターがあって、以前は入国カードをそこで受け取っていたが、今回はそこには誰もいず、列をかき分けて審査官のカウンターに行って受け取って戻り、項目のやたら重複する、カードを書き込み、長蛇の列に加わる。 入国カードは自動読み取りかのようにアルファベット1字ずつを四角い枠に書き込む。見ていると入国審査官は記入されたカードとパスポートに違いがないことを確かめて間違いがないことを確かめ、それからコンピューターに打ち込む。今までの入国履歴と犯罪名簿などとのチェックが行われる。入国スタンプを押す。入国カードが煩雑になった意味は分からない。まあ、管理する側としては進化しているのだろう。パスポート名義者のデータはたちどころに分かるようになった。

 しかし、よく言われるパスポートの偽造に対しては、「果たしてこのパスポートの名義と、所持者は同一か?」確認がなされているかを納得できない。私としては、指紋か虹彩パターンの登録はするべきだと思う。「自分である事の証明」は自分が犯罪に携わっていなければ無実の証明になる事でもある。そしてチェック項目に明確なものがあれば、出入国もスムーズになるはずだ。
 
ユビキタスの進む国から来た者にとっては、進化を認めながらもやはり少々かったるい。




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