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漫歩計の 

「東京漫歩」 第13回 等々力渓谷から多摩川へ

2003年8月2日

 東京23区内にある唯一の渓谷、等々力渓谷に行ってきました。延長約1kmの短い渓谷ですが、谷が思いのほか深いのには驚きました。

 渋谷から東急東横線で自由が丘まで行き、大井町線に乗り換えて等々力駅に着きます。ごく普通の下町の駅です。もちろん山など見えません。しかし、駅にはちゃんと等々力渓谷への案内板があり、入口までの地図もあります。訪れる人の多さが分かります。

 駅を南へ行くとすぐに渓谷入口で、立派な案内板があります。入口まで来ると目の前には鬱蒼とした森が広がっており、周囲の商店や住宅とは隔絶された渓谷がすっぱりと切れ落ちています(という表現がぴったりと感じるくらい大きな段差があります)。
 等々力渓谷は、武蔵野台地の崖線(台地の縁の帯状の崖)に沿って谷沢川が形成した渓谷で、台地の高さとは10m前後の標高差があります。斜面にはケヤキ、コナラ、ヤマザクラ、シラカシ、イロハカエデなどの巨木が生い茂り、谷底に降りると台地上の街並みは全く見えません。多くの湧水が随所に見られ、梅雨明けの暑い今日でも渓谷に入れば涼しく、さわやかな風が吹いています。実に素晴らしい散歩道になっています。

等々力渓谷不動滝
等々力渓谷
不動滝

 川に沿って整備された道を下って行きます。ベンチでくつろぐ人、運動靴を履いて散歩する老夫婦、仲良く手をつないでデートしている若いカップル、カメラで一生懸命写真を撮っている人、みんな思い思いに渓谷を楽しんでいます。こんな素敵な渓谷に出会ったら、誰しも嬉しくなってしまいますね。

 渓谷を半分ほど下ったところに不動滝があります。小さな滝ですが、湧水で水が枯れることはなく、かつては役の行者ゆかりの霊場であり、昔も今も修行者が多いそうで、現在も修行者専用の行の場。世田谷の街の中にこんな修行の滝があるとは!
 なお滝の横には雪月花というゆかしい名の甘味処があり、葛餅や抹茶などをいただく事が出来ます。
 滝の横の階段を登ると、役の行者が修行されたという洞窟があり、さらに登ると等々力不動というお寺の境内に出ます。立派なお寺で、参拝客が絶えないようです。私も参拝して、ここで一休み。

 ふたたび渓谷に戻り、さらに下って行きます。道端には湿性植物が多く、野草の中には小さな花もちらほら。本当にいい道です。
 やがて谷は次第に浅くなり、住宅が現れ、渓谷は終わりです。谷沢川はまもなく多摩川に合流することになります。

等々力不動多摩川
等々力不動
多摩川

 道はほどなく多摩川の堤防に出ます。堤防を乗り越え、広々とした河原に降り立ち、遊歩道を上流に向かって歩きます。これを逆に下流に向かうと、プロ野球の巨人や日本ハムのグラウンドもあるそうです。
 河原はどこまでも続くかのような広さを持っています。ジョギングやウォーキングを楽しむ方、サイクリングをする方、河原でバーベキューをするグループ、ここもまた都民の憩いの場になっているようです。青い空とさわやかな風、そして何よりもこの広々とした空間は、そこにいるだけで心を洗ってくれるようです。

 第三京浜道路の下を通り、しばらく歩いて右へ堤防に上がり、上野毛自然公園に向かいます。ここも武蔵野台地が崖を形成しており、ここは優に20mを超える大きな落差があります。この崖を見るだけでも一見の価値がありますね。
 公園を出て、豪邸の建ち並ぶ住宅地(東急電鉄の創始者・五島家の邸宅や、五島氏の収集品を展示する五島美術館もあります)を通り抜け、やがて二子玉川駅へ。

 暑い日ではありましたが、いい散歩でした。今日は、東京が自然豊かな武蔵野の台地上にあることを再認識した日でもありました。 


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