漫歩計の 

「東京漫歩」 第26回 小石川後楽園

2004年3月28日

 東京ドームはかつては「後楽園」球場でした。その名の由来である小石川後楽園は、ドーム球場のすぐ西にあります。もともとは徳川光圀(水戸黄門)の大名屋敷の庭園であったこの公園は、以前からずっと行って見たかったところ。桜も咲き出した日曜日、花見がてらに出かけました。

 都営バスに乗って飯田橋方面へ向かいます。この都営バス、経路が分かるとなかなか便利なものです。
 大曲バス停で下車し、5分も歩けば小石川後楽園の入口に着きます。周囲は高速道路が縦横に走り、隣のドーム球場からは(今日はアメリカの大リーグと巨人・阪神の試合があるため)賑やかな歓声が聞こえます。遊園地のジェットコースターの音も聞こえます。しかし、300円を払って中に入ると、周囲の喧噪とはかけ離れた、全く別の空間が広がっています。

見事なしだれ桜大泉水と桜
見事なしだれ桜
大泉水と桜

 まず目に飛び込むのは池の前にある大きなしだれ桜。ほぼ満開です。入口を入ると真正面に見えるので実に印象的で、誰しも見とれてしまいます。京都・円山公園にある有名なしだれ桜を思い起こさせる、いい桜です。
 左を見れば、ピンクと白の2本のしだれ桜がこちらもほぼ満開で、その美しいコントラストに思わず「綺麗だなあ・・・」とつぶやきます。やはり桜の花の美しさは格別です。

 左からぐるっと園内を一周します。江戸時代には武士は京の都への憧れが強かったのでしょうか、あちこちに京都を思い起こさせるものがあります。清水の舞台の超小型版があったり、渡月橋(京都嵐山の有名な橋)という名の橋があるかと思えば、紅葉で有名な東福寺・通天橋そっくりの橋が名前もそのまま造られていたり、愛宕山を真似た愛宕坂があったり(たった階段47段ですが)、なかなか面白い。栄華にあこがれる武士の姿が目に浮かびます。徳川光圀も庭を散歩しながら、都へ想いを馳せていたのでしょう。
 また、園内には中国(明)の風物も取り入れられていて、満月が川面に映るという「円月橋」など、いっぷう変わったものもあります。また、そもそも後楽園と言う名前自体が、中国の書「岳陽楼記」から採られたもので、「天下の憂いに先立って憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」という意味なのだそうです。民衆を馬鹿にし続けるどこかの国の政治屋たちに聞かせたい言葉ですね。

内庭も美しい
内庭も美しい

 愛宕坂の上から梅林の中に下ります。不老水という井戸があり、その横には花菖蒲園となぜか小さな田んぼがあります。大名お手植えの米が作られていたのでしょうか。今も地元の小学生がイネを植え、秋にはもちろん取り入れもするとか。
 やがて大きな池、大泉水のほとりに出ます。水鳥が静かに泳ぐ、美しい池です。湖畔の桜が実に素晴らしい。竹生島と言う、滋賀県・琵琶湖にある島を真似た島もあります。

 大泉水の奥には、こじんまりとした内庭があります。小さな池を囲む美しい庭園で、これだけで1つの独立した庭の形をなしています。水戸藩の書院跡で、この部分を「内の庭」と言い、大泉水のある部分を「後園」と呼んだのだそうです。

 大泉水に戻り、竜田川(奈良県の斑鳩地方にある紅葉で有名な川)を渡り、入口に戻ります。隣の東京ドームの音がちょっと気になるけれど、しばし江戸時代の大名になったような気分の、ちょっぴり優雅な散歩でした。


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