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漫歩計の 

「東京漫歩」 第32回:都電荒川線に乗って(その1)

2004年8月22日

 都電荒川線は、早稲田(新宿区)と三ノ輪橋(荒川区)を結ぶ全長12.2kmの都電唯一の路線です。合計30もの停留所があり、片道50分もかかる長大路線で、主に下町を縫って走ります。ほとんどが電車専用軌道で、路面電車の部分が少ないため交通渋滞でダイヤが乱れることもなく、利用者はすこぶる多いようです。
 この都電の沿線には、名所旧跡や公園などが多いうえ、それ自体がノスタルジックな都電。一日乗車券を買って、早稲田から三ノ輪橋まで、気の向くままに途中下車をしながら全線に乗って見ることにしました。
 行程が長く写真も多くてファイルが重くなりすぎるので、3回に分けてご紹介します。

 荒川線の起点は早稲田。早稲田大学のすぐ北で、地下鉄東西線の早稲田駅からは少し離れています。新目白通りにある目立たない小さな停留所です。

早稲田停留所甘泉園庭園
早稲田停留所
甘泉園公園

 電車は早稲田からまず西へ向かい、最初の停留所は面影橋。いい名前ですね。この停留所は神田川に隣接しており、春は素晴らしい桜並木を楽しむことが出来ます。神田川はこの東京漫歩でもすでにご紹介しました(こちらです)が、高田馬場から江戸川橋まで続く桜の素晴らしさは超一級品です。
 また、すぐ南には甘泉園公園があります。江戸時代の武家屋敷の庭で、湧き水を利用した池を囲む落ち着いた日本庭園。さほど広くはありませんが、周囲のビル街とは打って変わった優しい空気が漂います。入場料は無料です。

 電車は直角に右(北)へ曲がり、学習院下を経て、鬼子母神。電車を降りて東へ行けば、幹の周囲数mはあろうかというケヤキの巨木が連なる並木道(都の天然記念物)があります。歴史を感じさせるに充分なこの並木道は、これだけでも見る価値があります。この並木道を抜けて左に曲がると鬼子母神堂があります。

鬼子母神鬼子母神前のケヤキ並木
鬼子母神堂(映画の撮影中?)
鬼子母神前のケヤキ並木

 鬼子母神とは人間の子供を食べる鬼女なのですが、鬼女は後に改心して子供の守り神となったのだとか。だから(パソコンではそんな字は出ませんが)鬼子母神の「鬼」は正しくは鬼の字の上の部分の「ノ」が無い(牙が無い?)のだそうです。お参りの人が絶えないのも分かります。
 私がお堂を訪れたときは、たまたま何かの撮影をやっていました。映画でしょうか? 男女の(夏なのに冬服を着た)高校生数人が演技をしていました。お祭の模様を再現していたのかも知れません。境内はいかにも下町の雰囲気で、撮影にはもってこいなのでしょう。

 停留所の方向に戻り、線路を横切って北へ歩き、雑司ヶ谷霊園に入ります。ここには夏目漱石や永井荷風など文豪も眠るそうで、木が成長してまるで森のようになっています。
 霊園を南東へ抜け、レンガの小道を行けば、洒落た洋館があります。これが雑司ヶ谷宣教師館で、明治40年から米国人の宣教師マッケーレブが住んだ家。布教だけでなく、地域の幼児教育の拠点となっていたことを地域の人も覚えているのだそうです。内部は無料で見学することが出来ます。
 この付近、なかなか雰囲気のいい街並みになっていますね。

雑司ヶ谷宣教師館
雑司ヶ谷宣教師館

 再び雑司ヶ谷霊園を抜けて、鬼子母神のひとつ先、雑司ヶ谷停留所から電車に乗ります。電車は混んでおり、始発直後の停留所以外では滅多に座れることがありません。地域の人々の重要な足になっているのです。

 次の停留所は東池袋四丁目。すぐ横はサンシャインシティの高層ビルが建つ繁華街で、地下鉄有楽町線東池袋駅との乗換駅でもありますが、都電に乗っているとどことなくのんびりした雰囲気で、大都会東京のどまん中にいるとは思えないのです。乗っている人間の性格までもが変わるようで、いわゆる優先席が前後に4席ありますが、空いていても老人や子供でない限りほとんど誰も座りません。地下鉄なら遠慮なく座る方も、なぜか都電の中では他人に優しくなる・・・そんな力が都電にはありそうです。

 次の向原を過ぎ、大きくカーブして高架下の大塚駅前停留所に到着。ここではJR山手線大塚駅と連絡。大勢の方が乗り降りします。


 大塚を過ぎると再び都電は静かな軌道を走り、巣鴨新田を過ぎるとほどなく庚申塚。ここで降りてどこかで適当に昼食を済ますつもりでしたが・・・。
 この続きは「その2」をどうぞ。

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