漫歩計の 

「東京漫歩」 第44回  目黒〜碑文谷

2005年6月4日

 6月に入り、新緑の木々の緑がその濃さを増して来ました。雷雨の予報なので山はやめて、都内の森は・・・と考え、目黒にある林試の森公園を思いつきました。コースはJR目黒駅から東急東横線の都立大学駅まで、約8kmの道のりです。

 JR山手線の目黒駅から南西方面へ、行人坂を下ります。きつい勾配の坂です。途中、左側に大円寺があります。この寺は、江戸の三大大火の一つである「行人坂大火」の火元の場所だそうで、境内には火事の犠牲になった人たち供養する五百羅漢があります。また、八百屋お七の恋人だった僧の墓もあるとか。

大円寺目黒不動尊
大円寺
目黒不動尊

 坂を下りきって、巨大な目黒雅叙園を左に見送り、太鼓橋を渡って山手通へ出ます。ここを右に行き、大鳥神社のある交差点まで行って左へ曲がれば左手に寄生虫博物館があります。
 日本では唯一、世界でも恐らく珍しいと思われるこの寄生虫博物館、一見の価値があります。実際に人の体内に住んでいた長さ8m以上ものサナダムシとか、陰嚢を地面にくっつくくらいにまで巨大にふくれあがらせる寄生虫とか・・・。虫を描いた葉書などをミュージアムショップで売っていたりしますが、買う人がいるんでしょうか?

 博物館のある角を左に行き、左手に現れる公園を抜ければ、目黒不動尊の境内です。大きな森のような境内を擁する広い不動尊です。ここには甘藷博士として有名な青木昆陽の墓があるそうですが、それよりも私の目に止まったのは、本居長世の祈念碑と墓です。江戸時代の国文学者・本居宣長ではありません。大正時代に、日本で初めて童謡というジャンルを確立した作曲家・本居長世(もとおりながよ)です。本居宣長の子孫に当たるそうです。

 私は童謡が大好きです。幼い頃に歌った童謡を口ずさむと、今も懐かしさで胸が熱くなります。童謡は、子供相手の歌だからといって決して手抜きなどせず、音楽的にも芸術性の高いものを作ろうという理念に基づき、大正時代から盛んに発表されるようになりましたが、本居は「七つの子」、「赤い靴」、「汽車ぽっぽ」、「青い眼の人形」、「十五夜お月さん」などの不朽の名作を次々に世に送り出したのです。東京音楽学校を山田耕筰を抑えて首席で卒業し、生涯で約780曲の童謡、歌曲、合唱曲、オペラを作曲したのだそうです。
 碑の前では、しばし懐かしい童謡に心を馳せるとともに、子供たちが健やかに育っていけるよう、壊れゆく地球の環境が何とか維持されることを祈ったのでした。

本居長世の碑林試の森公園
本居長世の碑
林試の森公園

 不動尊を出て、右手に行けば大きな森のような公園が見えてきます。これが林試の森公園で、林業試験場の跡なのだそうです。巨大なクスノキやケヤキ、プラタナスなどのほか、カイノキ、ベニカエデ、ヒマラヤゴヨウ、アベマキ、ハナガガシ、ニオイドロなど国内外の珍しい樹木がたくさんあります。さながら樹木の植物園と言った感じです。
 広い園内には芝生広場、冒険広場、ラクウショウの森、森の広場などの憩いのスペースが多数あり、多くの人たちで賑わっています。このような広大な緑の中にいるとそれだけで心が落ち着くし、人間がみんな優しく感じられます。いい森です。
 6月の今は、ヤマボウシの花が綺麗に咲いていました。花の時期、新緑の時期、紅葉の時期、どの季節に来てもきっと心が癒されることでしょう。

 林試の森公園を西に抜けて、小山台公園を通り、目黒本町の住宅地を横切り、桜並木を南西方向へまっすぐ行きます。釣り堀のある清水池公園を過ぎてしばらくすると、教会の高い塔が見えてきます。これがサレジオ教会で、ヨーロッパを思わせる優雅な造りの建物です。規模も非常に大きなもので、私が立ち寄った時はちょうど結婚式が終わったところで、前で参列者が記念撮影をしていました。

ヤマボウシの花サレジオ教会
ヤマボウシの花
サレジオ教会

 サレジオ教会の角を右(北西)に曲がり、目黒通りに出て、東急東横線の都立大学駅に向かいます。交通量の多い柿の木坂の交差点を越え、坂を下ればすぐ左手に駅があります。
 緑豊かな公園や寺社、面白い博物館、教会もあり、見所の多い散歩道でした。

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