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「描き続ける技術」

「漫画家にとって絶対必要不可欠な資質」とはなんだろうか?
それはパースを取る力でも、萌キャラを描く技術でも、デッサン力でも
発想力でも、ネームを上手く描く構成力でも、仕事を取ってくる営業力でも無い。
俺は断言する。そんなものは瑣末な技術に過ぎず、工夫次第でいくらでも
カヴァ−できる。これがないと絶対に漫画家になれないという資質、

それは「描き続ける資質」である。

今、日本にはもうホント嫌になる位漫画の技術論を書いた本が
出版されているが、もっとも大事なこの資質について書かれた本が一冊も
ないように思う。しかも、以下に示すがこの資質は努力次第でかなり
鍛えることができる。これを読んでおけば漫画家をやりたい人は為になる事
間違い無いので是非とも読んで欲しい。

漫画力を上達させる上でいちばんの障害になるのは「描かなくなること」である。
何故描かなくなるかというと、自分の漫画がキライになるからである。
その理由は様々だが、殆どの場合2パターンに分類される。
以下に表を示しておくので、参考にして欲しい。

A 自分より上手いやつに遭遇したパターン
  実例 自分より年下なのに絵の上手いやつに遭遇
     友達がいつのまにか自分より上手くなっている
     知り合いがプロデビューする    

B 誰かに自分の漫画の才能を否定されたパターン
  実例 賞に出して落ちる
     教室でノートに落書きしていたらヤンキーがやってきて「ヘッタクソだなあ」
     イベント会場で大好きな作家にバッタリ、自分の同人誌の前を素通りされる
     腐女子の先輩に「こんな本出すなんて度胸あるね」と言われる

これ全部お前の体験談じゃねーか!という話はさておき
残念なことにこの2つの「災難」には、漫画を描き続けている限り
絶対にいつか遭遇する。故に漫画家であり続ける為には、この災難をいかに克服し
自分の漫画に対する愛情を保ちつつ描き続けられるかというところが
最大のキーポイントになる。

それでは、どうすれば自分の漫画を嫌いにならず、描き続けることができるだろうか
この方法に関しては自分なりに何年か探っていたのだが、一番有効な方法は
「漫画の能力に関する広い視野を持つ」ことであると思う。
”すぐに自分の漫画を嫌いになってしまう人”の大半が
「絵の上手さ、センスの良さ」だけで漫画の力を評価している傾向がある。
確かに絵が上手ければ上手いこしたことはないのだが、もう少し色々な視野で
漫画を捉えた方が、描く事が嫌になりにくくなるのは間違い無い。
日頃から様々な種類の漫画を読みこなし色々な「面白さ」を知っておくことが
重要になってくる。この意味で福本伸行作品と新井秀樹作品は非常に参考になるので
寺田克也とか村田蓮爾とか西村キヌとかワダアルコとかキムヒョンヒの
絵ばかり見て自己嫌悪に陥ってないで読んでおいて損は無い。

さてさて「そんな一般論では納得しないよ!」って
困ったちゃんのためにもうひとつ有効な方法を紹介しておこう。

「絵というものは、スポーツではない」ということを認識する

これも非常に有効な方法である。
絵という分野は、加齢とともに能力が低下したりする分野では無いので
若い頃は下手でも年を取るにつれて上手くなっていくパターンも十分にありうる
ということだ。
はっきり言って、同年代で絵の上手さを比べあうならば

親がデザイン関係の仕事+そのまま美大行き

というダブルパンチのサラブレッド共には絶対に勝てない。
初期教育の強みというのは、少なくとも10〜20年程度のアドバンテージを
作り出すと見ていいと俺は考えている。
野球やサッカーのようなスポーツでは、若年における10年のアドバンテージは
決定的な差を産み出してしまう。それは30歳あたりが現役としての限界だからだ
故にスポーツにおいては、イチローや宮里藍のように初期教育でアドバンテージを
もったは、どうあがいても絶対に勝てない。庶民は指を加えてテレビにかじりつくしか
ないってわけである。(あーゴルフは例外あるかな)
しかし、漫画は違う。工夫して描き続ける限りは能力が上昇し続ける分野である。
年を取ると感覚が鈍くなるとかなんとか言われているが、あれは風説の流布であり
犯罪行為であるので信用してはいけない。
それが証拠に、漫画においては先人達が何度も壁を撃ち破っている。
以下に示す方法を実践すればそれが嫌と言う程理解できるので
是非とも試して欲しい。

1 橋口たかしの「知恵ばーちゃんの知恵袋」又は「ヒナに胸キュン」を読んだあと
 「焼き立てじゃぱん」を読む。
2 安野モヨコの「TRUMPS!」を読んだあと「さくらん」を読む。
3 「ベルセルク」を一気に読む
4 宮崎駿の「ホルス」をビデオ屋で借りてきて観た後に「ラピュタ」を観る
5 桂正和の「ウイングマン」を読んだ後に最近のやつを読む
6 新貝田鉄也朗大百科を読む
7 AKIMANの初期の絵と全盛期の絵を見比べる
8 大友克洋のデビュー作が載った短編集を読んだ後に「アキラ」を読む

ここまでやれば、希望が沸いてくるに違い無い。
(ちなみに敬称略で失礼させていただきました。「さん」とかつけるとノリが悪くなるので・・・)