第504回 学生スポーツとお偉いさん(2008/01/14)

 

 高校ラグビー大会は、自分の母校の長崎北陽台がノーシードながら、Bシード3校を破ってベスト4まで残った。もともとシード選考が甘かった、といってしまえばそれまでだが、留学生はもちろん特待生もいない公立校の快進撃は溜飲が下がる。

 ところで、名門大工大高の監督が、事実上判定に対する抗議の辞任をおこなった。

http://www.nikkansports.com/sports/rugby/highschool/2007/f-sp-tp0-20080103-302744.html

 この試合はちゃんと見ていないのだが、しばしば見るダイジェストを見ていても、ちょっと判定に?と首をかしげたくなるシーンがいくつかある。

 昨日の、北陽台と天理の試合もそうだった。14−10で北陽台リードの最後5分間、天理はハンドリングミスを避けるためにバックスに回さず徹底してFWのモール勝負に賭けた。モールを止めるには、相手をひっくり返してつぶすしかない。天理の攻めも、オフサイドギリギリで飛び出して相手の攻めをつぶす北陽台の守りも見応えがあった。

 選手たちはまったく問題ないが、問題はジャッジだ。最後の5分間の攻防の間、おそらく4回ほどモールコラプシングの反則を北陽台にとった。コラプシングは、相手がモールで押してくるのを力で止められないために、止めるためのすべとして相手を引きずってモールをつぶしてラックにしてしまう、という反則だ。 この反則が起きるときはつまり、守っている側が下がりながらモールがつぶれていく状況である。

 しかし、4回のうち少なくとも3回は、北陽台のディフェンスが押し込んで、守りの数が足りない天理が押されながらつぶれていた。それでも反則は北陽台にとられていた。 モールは基本的には確実なボールキープの手段なので、押し込んでつぶれたときも反則をとられていてはボールを持っていない側は未来永劫、いや相手がトライをとるまで守り続けるという運命にさらされることになる。しかもゴール前で認定トライすらあり得るシーンだった。最後はタックルされた天理の選手のボールリリースが遅れて反則をとられたので試合が終わったのだが、どうも腑に落ちない判定だった。

 

 去年の夏の甲子園、決勝で敗れた広陵の監督が「もうストライクを投げるコースがない」とアンパイアをあからさまに非難したことも記憶に新しい。 高校野球が最も象徴的なのだが、絶対無謬の大人たちが純粋な少年たちを指導する、という意味での学生スポーツはとっくの昔に限界に来ている。

 高校ラグビーなども、昔は足は遅いがでかい選手がボールを持って突進するだけのチームが目立ったが、現代ではFWの組織力、BKのスピードが重要な時代だ。 それを裁けるのは、実はセミプロ並みの力量を持った審判になる。日曜審判ではいささかしんどい状況になっているのだが、その改善をする気は体制側にはないようだ。

 それでもいいのだが、しかし、選手たちがかわいそうである。大工大の野上監督も、選手が謝ってきたことを受けて、「言うことは言っておかなければいけない」と判断したそうだ。

  ひるがえって箱根駅伝では、史上初だが3チームが棄権した。関東学連のお偉いさんは「情けない」と一喝したそうだが、しかしそれだけでいい問題だろうか。指導者や選手の努力は求めるべきことながら、仕組みを代えなくていいんだろうか。そろそろ気づいてもよさそうなものだが。

 


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