Column


<関東I. C.>(2005年6月26日)

 「関東I. C.」は「東日本縦断駅伝(青東駅伝)」と共に私の好きなレースの1つだった。理由としては高速レースを「楽しむ」ことができるから。3,000mSCなら日本選手権や国体でベストを更新したが、5,000mは結局3年時のレースで出した14分03秒68が自己ベストとなっている。

 冷静に考えてみれば5,000mは関東I. C.くらいしか記録を出す機会が無かった。関東I. C.は2部校といえども外国人留学生がいたり、箱根駅伝の上位常連校が目白押しだったりしていつも13分台を狙えるような高速レースになっていた。秋の記録会で狙うのも手としてはあったと思うが、その時季は箱根駅伝予選会や青東駅伝に向けて10〜20kmを走る体になっていたため5,000mでは14分10秒くらいがいいところだっただろう。

 3年時のレースで2位(日本人トップ!)になって雑誌に取り上げられたこともあり、私の名前は売れたようだ。レース直後に当時日本テレビアナウンサーの関谷さんからインタビューを受け、深夜にTV放送したのを見て、当時やっていたアルバイトの塾講師仲間から「優勝したんですか?」と聞かれた。インタビューされたのは嬉しかったが、日本人トップとはいえ、2位がインタビューを受けるのはやっぱり変。箱根駅伝を中継している日テレだから日本人にインタビューしたのだろうが、やっぱり本来ならば優勝したカーニー選手に聞くべきだと思う。当時23時台のNHKニュースの中でスポーツコーナーを担当していた久保さん(クボジュン)が大学に来て小林教授(陸上運動部部長)の「スプリントトレーニングマシーン」を取材していった時のように、この時もインタビュー後はしっかり握手をしてもらった。

 私は記録を狙う数少ない大会だったこともあり関東I. C.を全力で迎えていたが、他の大学の選手はどうなのだろう?箱根駅伝がメインの大学はそれほど重要視していないのかもしれない。だから順位以上にベスト更新が嬉しかった。本気で目指している関係者に怒られるのを承知で書くが、箱根駅伝も「所詮、関東レベルの大会」と思っているので好記録ならばまだしも、平凡なタイムが必要以上に大きく取り上げられるのを見て「何だかなぁ〜」と思ってしまう。あれだけマスコミに取り上げられる陸上の大会も少ないので長距離の普及という意味ではいい大会になっている。ただ、あのレベルの試合で学生がみんな満足してしまったらレベルの向上は望めない。現に箱根選手の卒業後の成績ってあまり良くないのでは?

 関東I. C.に話を戻す。3年で5,000mと3,000mSCの2種目で2位になり、4年では主将を任されて1部昇格を目指し、大量得点を取るために3種目にエントリー。3,000mSC・ハーフマラソンで4位、5,000mで6位の結果を残した。結局3年よりも1点少ない13点でチームも2部3位(81点)で昇格はならなかったが全力を尽くした満足感でいっぱいだった。大学院に進学して1年目に念願の3,000mSC初優勝。大学院に進学した理由は「勉強のため」と共に少しは「関東I. C.で勝つため」もあったような気がする。1年から大学院2年まで6年連続出場して3,000mSCで4回、5,000mで2回入賞した。記録を残す好レースを演出してくたあの舞台と、共に競い合った仲間たちに感謝している。


<食生活>

 陸上部に所属している中高生から実業団のトップアスリートまで、人はどれだけ食事に気を配っているのだろう?意外に普段の食生活はいい加減だったりしないだろうか?そんなことを言う私も朝は寮(当然、陸上部の寮ではない)で、昼は研究所の社員食堂で、夜は同じく寮または社員食堂で食事を済ましており、残念ながらそれほど気を配っているとは言えない。

 ただ、一人暮らしをしていた学生時代は朝食を自分で作り、ご飯(+卵&納豆)に味噌汁(ジャガイモ&たまねぎ&わかめ)、サラダ(キャベツ&ニンジン&ピーマン)に冷奴とボリューム満点の、栄養面でもまずまずの食生活を送っていたように思う。また、今でも寮の食事に卵と納豆と豆腐をトッピングして少しでも栄養に気を遣うようにしている。

 後輩などを見ていてひとつ懸念していることは「サプリメントさえ摂れば十分」みたいな思想を感じることだ。サプリメントは所詮、補うためのものであるからキチンと炭水化物やたんぱく質、ビタミン、ミネラルを摂った上で摂取すべきだと思う。一生懸命練習した後にアミノ酸を摂取してそれだけで満足していたら、練習の負荷で断絶した筋肉細胞が再結合(超回復)することなく、疲労が蓄積してしまうだけになりはしないか?

 また、「乳幼児の頃からの食生活が実は非常に重要なのではないか?」と最近感じている。高価な食事を摂る必要は無く、一日三食きちんと栄養を摂ることが大切なのではないか。同じ練習メニューをこなしても怪我をしやすい人とそうでない人がいる。これは遺伝の影響なども考えられ、一概に言うことはできないものの、子供の頃からの栄養の蓄積に負うところが非常に大きいのではないか?また、子供の頃に植え付けられた食生活が「三つ子の魂百まで」と言うように中高生や大人になって影響を及ぼし、強くなれない要因になったりしていないだろうか?高校生や大学生になってから慌てて栄養に気を遣っても。。

 また、更衣室にいるとレース前になってアミノ酸を摂ったり、スタミナドリンクを飲んだりする人がたくさんいる。いいパフォーマンスを出したいという気持ちからそのようになるのだろう。そういう私もレース前後はアミノ酸を摂取している。

 ふと思うのはアミノ酸の摂取と筋肉増強剤などのドーピングの違いは「体に安全かどうか」なのだろうか?もちろん、アミノ酸は普段の食生活からたんぱく質の消化により摂取できるものであり、現在のスポーツ界では一般市民も含めて広く受け入れられている。ただし、アミノ酸を単体で摂り入れることは普段の食生活では(たぶん)ありえないことであり、「いいパフォーマンスを出したい」という思いがそうするのだろう。昔話題になった馬軍団の冬虫夏草も同じかもしれない。

 日本がオリンピックで活躍するためには不断の努力が必要なのはもちろんのことだが、サプリメントの開発なども重要なのかもしれない。規則をたくさん設けてはオリンピックや世界選手権も興ざめだが、行く着くところは「練習内容」と「サプリメントを含めた栄養」などだろうか。


<月間走行距離300km>

 「月間走行距離300km」はかなり短いらしい。関東I.C.の2部5,000mで2位に入り(14分03秒68・・自己ベスト)、『月刊陸上競技』に取り上げられて以来、今でも会う人から「本当に300kmなんですか?」とよく聞かれる。

 もちろん、嘘ではない。今は朝7時半過ぎに家を出て、23時前後に帰宅する生活を送っているため、せいぜい200〜250kmしか走っていないだろう。
 5,000mで14分10秒以内を連発していた1999〜2000年も300kmがいいところだった。300kmしか走っていなかった理由は以下の3つある。

1. 朝練をしない
 朝練をすればいいのは分かっていたが、朝10時から夜23時過ぎまでの研究生活を送り、一人暮らしのために食事や洗濯など身の回りのことをしていたら朝練の時間を生み出すことがままならなかった。

2. スピード練習が好き
 400mや1,000mのインターバルがメインの練習で(セット間は45〜50秒)、アップとダウンを含めてもせいぜい10km。ジョグは疲労抜き目的なら30分(7〜8km)、その他なら15km程度。ペースは4分/kmから最終的には2分台までペースアップ。20km以上の走り込みはあまりしなかった。

3. 走行距離にこだわらない
 他の選手が月間1,000kmでも私は月間300kmで結果を残し、勝負してきたのでたくさん走ろうと思わなかった。月間300kmでも箱根駅伝予選会の20kmでは60分49秒(99年・個人14位)、61分30秒(00年・個人10位)であり、予選会直後の青東駅伝(98〜02年に出場)では地元・岩手の代表として一週間に3レース(1レース10〜20km)をこなし、まずまずの成果を残してきた。

 要は「自信の裏付けがどこにあるか?」だと思っている。私の場合は1,500mを3分49秒46(99年日本選手権・予選)で走るような絶対的なスピード持久力であり、他の選手は月間走行距離なのだろう。

 大学時代同様、現在も練習時間の確保はなかなか難しい。その環境下でそこそこの結果を残すためには練習量がそれほど多くない、このスタンスが私にあっていると思う。

 私の考えでは「20代前半まで走りの器を大きくするためにもスピード練習を重視すべき」だと思う。走行距離を重視したメニューはその後でもいいのではないか?私の場合は前者で記録が伸び続けていたためそのスタンスを変えなかった。

 大学の長距離ランナーももう少しスピード練習を重視してはいかがでしょうか?


To My Home Page