N,Ys Presents

2ndSonic

第一章 OUTSIDE

 神暦138年末

 かつての人権、人種、自由が取り戻され、未だにしこりが残る世界、かつては闇が溢れた世界で人工的な光は悲しみの象徴であったが、今は希望へと変わりつつある。
 様々な人種が犇めき合い、砂漠の中央の機械都市で光がある生活を送っている。

 都市は混沌の光が溢れている。

 夜の繁華街はかつての香港を髣髴させる佇まいであり、様々な店が客の奪い合いを繰り返し、価格競争は壮絶さを増し、元より労働組合がないため加速度的に値が落ち続けるレストランは一般市民にとっては最高の状況が続き、敷居の高い生活を送れるようになっていく。
 中には高級志向に入り、上級階級専門のレストランが点在しているが、激安戦争の中、それぞれ想像以上に客が多く入る。
 高級中華レストランから喧騒が聞こえてくる。
「て、てめぇ、飯の中にゴキ○リはいってんじゃねぇか」
「そんな事いわれましても…」
「こちとら今日の稼ぎ全部、この飯に叩いて食ってんだ! こんな高級料理食うのは久しぶりだってのに、せめてこの飯、交換してくれ!」
 育ちに品性を感じない喋り方をするのは以外にも女性、年の頃は17から19で髪は金髪、眼は碧、長い髪の毛をポニーテールにして露出が過ぎる上半身は左に肩袖のみ、それを支えるのは女性用水着のような服、下半身は左足が膝上まで欠損している短めのGパンを履き、極めつけは腰に銃、背中に長剣をむき出しで担いでいる姿である。
 一見すると不思議に感じる違和感全開の格好であり、異常者に思われるが武器は平均的な女性持つ護身用の武器としては大型でそれらを巧みに扱う特別な仕事のモノとして見られるが通常そのような人間はこのような店に出入りはしない。問題は整った美しい顔が半泣き状態で怒りに満ちて歪んでいる点だ。
「せめて、この私の大好物の羊肉餡かけ炒飯くらい…」
「申し訳ありませんが近頃、食べ物に異物が混入していると騙された店が多くて…」
「差別だぁぁぁ。あれだけ先に大枚叩いたのに〜。後生だぁ〜交換してくれ〜。」
「申し訳ありません。」
「こんな高いメニューでそんなみみっちぃことするか?普通?苦情も受け付けないの?」
「規則なので…」
 ここは高級中華レストラン。ここは普通上流階級の人間が来る。彼女は平民の、しかも世間一般では粗悪な部類に入る。見た目で人を決めるのはいつの世の中でもお決まりであり、しかも周りの人間と違い豪快に5人前のフルコースを平らげ続ければ否応なしに卑しい人間に見えてしまう。徐々に涙目になり同情を誘うがチャイナ風の何千年昔の格好か分からない男が女の意見を受け付けないでいる。
「黙れ…」
 場を沈黙させるかのように、低く威厳に溢れた声が響く。店員がその声のほうを向く。
「も、もっ申し訳ありません。Father!」
「ふぁざぁ?」
 その声の方角には布で包まれた空間がある。影絵の様に男のシュルエットが映る。女は?マークを頭に浮かべながらその方向を見ると、シュルエットは独特な楕円形でその頂点と思しき場所には三角上の物質が二つ並んでいる。更に紐のようなものが左右から垂れ下がり、器用にその先には箸がくっ付いていて反対の紐にナプキンを持っている。見ればますます疑問が増えた。男が低い調子で言葉を放った。
「お嬢さんの言うとおり、一日働いて手に入れた金を久しぶりに中華を食べるために来たのにゴキ○リが入っていてはアンニュイな気分でしょう。弁償してくれとは一言もいってません?」
と、男は布の隙間からオレンジ色の紐(と、いうより触手に近い)と共に羊肉餡かけ炒飯を差し出した。
「まだ口をつけていない。だからこれを食べなさい。」
「あ、ありがとうございます。」
「君、名はなんと言う?」
 女はきょろきょろと周りを見渡し、先程の店員が消え、自分が呼ばれたことに気づき、
「あ、私ですか? 私はイオ、イオ・ハイアット・リープです。」
と、イオは答える。男はカーテン越しで会話を続ける。
「君はいい眼をしている。」
「は?」
 いきなりそんなことを言われて疑問がさらに増えた。
「ところで君は今、何をしているのかね?」
「え〜と、………」
 場に沈黙が数秒現われた。会話はイオで止まっている。再びため息が聞こえた後、
「…日雇いで普段はフリーターかね?」
 びくっとイオは震える。
「えっええ、まぁ今日は稼ぎが良かったんで…」
「今度、私の所で働かないかね?私は君のことが気に入った。」
 男は名刺を布の下からシュッと滑らして出した。イオは名刺を手にした。
「今度、暇があればいつでもいいからその住所にきなさい。」
 イオは名刺を手にしてじっと名刺を見る。
「いい加減席について食べたらどうです?冷めますよ?」
「あっあぁぁぁ!」
 徐々に温度が失われていく羊あんかけ炒飯を持ちながら慌てて席に戻っていった。
「あ、そうそう私のことは養父(ぱぱ)と呼んでくれ…」
 食事にがっつくイオの耳にはそんな言葉は聞こえなかった。

 ちなみに名刺にはこう書いてあった。

人類平等保護委員会 会長兼 特殊人材派遣会社(SHHSC)総合責任者

アルマルディ クルシュエ(ちち)

連絡先 Tel a086-N3784-Father.Tel
    Mail Chichi.FatherS.Mail.g.
住所  a087-N


 残った稼ぎ金でホテルのその金で取れる最高の部屋のベットで寝そべりながらイオはじろじろと名刺を眺めていた。
「うさんくさ〜」
 ため息とともに出たのは正直な感想だった。イオ本人は今日、賞金首を捕まえてその金で今の生活を送っているが、この名刺で信じがたいのは、顔を誰も見たことのない実力人気最高の政治家として有名なアルマルディ クルシュエであり、確かにこの名刺どおりの職種を持っているし父とかFatherとかおとうさんとか呼ばれているのも知っているが、あまりにも胡散臭い。本物の確率が限りなく低く感じる。特に顔写真が先ほどのシュルエットにオレンジ色を塗りたくったようなデザインだ。いまいち信じがたい。
 いい人ではあるだろうが、言動が怪しすぎる。
 睡魔に身を任せ、イオの意識は夜の都市へと消えていった。

 朝日が目に入り瞼をこすりながら枕元に手を伸ばし遮光カーテンを閉める。これにより再び惰眠の世界へ入っていこうとするとノック音が響く。血管がピクリと動いたのを自分で感じた。
 こうなったら狸寝入りを続けようとイオは思い、布団に顔を埋め、微睡みを心ゆくまで楽しもうとした。だが、ノック音は激しさを増し、次第に覚醒していくイオにとっては破壊対象以外の何者でもない。惰眠を金の次に好むこの女は布団を蹴り飛ばし片手に銃を構え扉に向かって歩いていく。
 扉を叩き続ける青年は扉が急に開き、やっと自分の仕事ができると思ったら目の前のガウン姿の美女に銃を自分の眉間に突き付けられ、すさまじい形相で睨み付けられ、硬直した。
「この私の睡眠を妨害するとは何様のつもり〜」
 だが、青年は人生ではなかなか経験のできない恐怖で固まり、だんだん顔が青くなっていく。
「さぁ早く答えないと天国への階段が誰よりも早く開くわよ〜」
 人を殺そうとしているのに、この女は遊び感覚で銃を突き付けている。"実に不愉快で眠そうな顔をしながら!"
「あ、いや、そのそろそろ日が暮れるのでチェックアウトの確認に来たんですけど…」
 なんと、先ほど朝日と思っていたのは夕日であり、しかも時計を見ると、
 五時〇七分
『…やばい』
「ご、ごめんなさい。てっきり朝かと思って…。すぐ出ていきます。」
 すぐに扉を閉めて慌ただしく騒音が聞こえるがベットメイキングに来たボーイはその場で崩れた。

「はぁ〜、これから何しよう?」
 いつもは朝起きて適当に手伝いをしたり賞金首を捕まえたりして生計を立て、その日暮らしをし続けていたイオは働き口をいつも朝に探すのだが、近頃、働きすぎたり酒を浴びるように飲み続けていたため疲労により寝過ごしすぎてしまった。
「当たり屋をするか、曲芸でもするか、集金に行くか、それとも食い逃げするか…」
 昨日のレストランでの食事が最後の食事であったため、腹の音がなり、その分、犯罪行為がポンポンと思い浮かんでは消えていく。
 しかし、メインストリートでそんなことを喋りながら歩けば、皆ギョッとした顔をする。街往く人々は犯罪予備軍ではないかと思って彼女の独り言を恐怖した。
 路地裏へ向かおうと曲がり角を曲がった時、黒い影が直撃した。
「きゃっ」
 思わず女々しい声を出してしまったと思ったが、自分の声ではない。目の前には修道服を着た女性が自分の上にのしかかっている。
 一瞬、理解ができなかった。
 イオの頭の中で一つの方程式が出来上がっていく。
 この修道女は走ってきてぶつかった。

 ケース1 何者かに追われていてぶつかった。そいつを倒せばこの女に感謝され今日は屋根の下で安眠できる。青天井生活はもうしたくない。

 ケース2 ただドジなだけ、つまり脅してこいつの家に泊まる。すばらしき安眠が待っている。神に感謝します。修道女だけに!

 ケース3 わたしが…考え事をしていたから…ぶつかった?

 まぁ、いい。ケース3だとしても向こうからぶつかってきたことにすればいいし。
「ねぇ、どいてくれないかなぁ〜」
 と、今日の財産に声をかけたが無反応だ。揺さぶってみる。反応なし。
「もしも〜し、生きてますか〜」
 またも反応なし。しかもこの女の体温が非常に冷たく感じる。
 新たなる可能性が現れた。

 ケース4 ぶつかったショックで向こうがショック死…

 ここは、メインストリートを少し離れた裏通りにつながる道。目撃者はいない。追跡者もいない。出来たばかりの戸籍を罪で汚したくない。
 体中から脂汗が吹き出る。…不味すぎるだろ。と自分に突っ込みを入れる。
 いま、イオの頭の中で人生最高の対処法が現れた。
『この街から出て砂漠に埋めよう!』
 それは人として果てしなく外道な道へ続いていくことに気が付いていなかった。

 街はずれ 砂漠目前

 この都市は砂漠の中央にあるため保護バリアで閉ざされていて砂は殆ど入ってこない。目の前に広がる砂漠へ巨大な袋を抱えながら歩み出そうとする。
『とうとう来ちゃった。』
 目の前の砂漠は闇に包まれ青い月明かりが目を刺すかのように煌めく。
 一応、確認のため、死体袋をゆっくり開く。まだ生きているかのように透き通るような白い肌、整った顔立ちと内向きの少し長めの黒髪のショートヘアを羨ましく思うが、
「ほんとに死んでんのか?」
 まさに生きているかのようだったが胸に手を当ててみると全く鼓動はない。しかも自分より胸があるので何ともいえない不快感がわき上がった。
「なんか、悔しい…」
 だが、誰もいない砂漠でその声は誰も聞いていない。黙って持ってきたスコップでサラサラとした砂漠特有の砂を掘り始める。
「まったく、勝手に死んで…。なにが悲しゅうて、この私が何で死体の始末なんかを…」
 自分が殺しておいてこの言いぐさはないだろう、と思うが肉体労働ははっきり言って疲れる。愚痴の一つくらい言わなければやっていけない。
 砂漠の乾いた砂の下の湿った土が見えてきた。都市の近くだからすぐに湿った土が出てくる。
 1メートル四方掘り、泥まみれになりながら死体袋に愚痴を言いながら埋めようとする。
「畜生!」
 呪詛とともに死体袋を穴に向かって叩きつける。砂塵が舞った。
 ここまで、見ず知らずの人間の死体を粗末に扱う人間がいるだろうか?
「いたいぃぃぃぃぃぃ〜」
 どこからか声が聞こえた。妙に語尾が長く脱力するような声だった。イオは辺りを見回すが誰もいない。
「ここ、どこ? 狭いぃぃ」
 まさか!と、イオは思った。目の前の死体サンドバックが実は生肉、いや生きていたことに、
「誰かいませんかぁぁ 出してくださいぃぃ」
 その声は、先ほどと同じく、語尾が長く、消え入りそうでどこか抜けた感じがして緊張感が感じられない。自分が事故で殺した女が生きていたことを正直に喜べない気分だった。
 と、ここでまたしてもすばらしき考えを閃いた。

 ケース5 私が拉致されて埋められそうになったのを助け出した。そして今晩は…(以下略)
「おい、大丈夫か! 今出してやるぞ!」
 今までの人生の中で最高の演技をしながら袋に駆け寄り、ポケットナイフで布を引き裂く。
「うにゅぅぅ」
 実にいい感じの顔で修道女が死体袋から半分顔を出し、指を袋の縁に握っていた。
 顔がでて、目が開いていてやっと分かったが、ほんのり垂れ目がちで、どことなくネジが抜けたような顔をしていた。
「あ、あなたが私を、暗闇から私を助けてくれたの?」
 疑問系の顔をしながら問いかけてきた。
『天然だ!こいつぁ天然だよ! おっかさん!』
 と、心で訳の分からない突っ込みをしながら、必死に助けたように演じる。
「さっき、あんたを拉致して弄ぼうとした連中がいて助け出したんだ」
 もはや、イオの中では最高級の演技であったが、他人から見ればわざと臭く、その上、宝塚の男役の様な喋り方だった。
「はぁ、とうとう私にも他の人のような劇的な事があったのねぇ」
 人生にロマンを求めているような口振りでどこか抜けた感じがした。
『格好の馬鹿だぁ。神様、ほんとにありがとう』
 キリスト教でもないのに十字を切るイオ。
「ところで、ここはどこ何ですかぁ」
『ほんとぉぉに馬鹿で助かったぁぁぁ』
 心底、神に感謝した。
「あなたは何処の寺院の修道女なの? 送ろうか?」
 つまり、『そこに行ってたらふく食って寝る。』と
「あ、ありがとうございます。ヨハン・セバスチャン・バッハ寺院です。」
 聞いたことがない。はずれを引いたか。と思った。だが、寝れることにはかわりがない。
「じゃ、そこのホバリング・ジンジャーに乗って。」
 ホバリング・ジンジャーは大昔のアメリカとかいう国の発明家が作ったジンジャーとかいうシフトウェートで方向転換が出来る乗り物の発展系で空気圧で低空を走る乗り物の一つであり、基本的に初代ジンジャーからの引継という形で未だに一人乗りである。駆動原理は水を内部で酸素と水素に分断し、爆発させてエネルギーを生み、爆発によって出来た水を再度使用する。が、水が足りなくなれば補充しなければいけない。ちなみに水は世界の6割が砂漠だけに高価。
 一人乗りの乗り物であるジンジャーで「ジンジャーに乗って」と言うのは「後ろにしがみつけ!」と、いうことである。
 一方、修道女は袋から這い出し、ジンジャーに足を乗せた。
「て、おっ、おい。な、な、何、一人で乗ってるんだ?」
 目の前には、空気圧で砂塵が立ち、ホバリングし始めたジンジャーに先ほどの修道女が乗っている。間抜けた顔はこっちに気づかず、エンジンの回転を上げていく。
「助けてくださってありがとうございましたぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 声が徐々に遠ざかり全速力で街へと満面の笑みで消えて行く修道女を見ながら、猛烈な勢いで砂を頭からかぶったイオはその場で崩れ去った。
「盗られた…」
 一方、修道女は、
「主よ、今日のような奇跡を感謝します。」
 自分が盗んだと言うことに気づかずに街を颯爽と駆け抜けていった。

後書
NY>はい、皆さん、実は現在一万文字を遠慮なく超え、そろそろ二万文字に突入です。
この調子だと簡潔まで単行本一冊くらいになってしまう計算です。
しかもこれからシリアス あぁぁんど 残酷シーンもあります。
ギャグと本編のバランスが取れるか不安です。
で、これは長いので短い小説が好き!
という人のために短編も同時進行で書いています。
ストーリーは今の話の一年後でキャラがすごく多いです。
しかも本編は多分更新が遅いので短編中心で行きます。
ちなみに本編に人気が出たら本編中心で行きます。
イオ>しょっぱなから公開も遅れまくってしかも同時進行か・・・次の更新はいつなんだか・・・
NY>ぐっ、
イオ>しかも修道女って名前出して無いじゃん!メインキャラなのに・・・
NY>うおっ
イオ>しかも今、話の繋ぎ考えるのめんどくさいから短編書いてさらにそれのネタも・・・
NY>だまれ、俺の創造物の癖に・・・
父>ほう、作られた覚えは無いが・・・
NY>お、お、御義父様?
父>明確には書いてないとはいえ私はあずまき・・・
NY>はい、申し訳ありません。苦情や削除して欲しい文章があったらBBSやメールでしらせてください。
イオ>ほんとに次回更新いつだか・・・
NY>うるさい、黙れ
イオ>討つよ?
NY>ぐっ
イオ>3.2.1.
とどろく銃声
NY>なばな・・・<死>(うそ)

苦情はメールかBBSで!
あと、当たり前だけど作品の著作権はN,YEnderのもの!
だから無断配布と勝手に乗せるのは禁止


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