マウスの飼養

 

マウスについて

 いわゆるネズミ。蛇の餌として使われるネズミとしては、マウスとラットがあります。ラットというのはダイコクネズミとかドブネズミとかいわれている大型のネズミを実験動物として固定したものですが、これは専ら大蛇に用いられるものなので、ここでは取り上げません。

 マウスというのはハツカネズミを実験動物として固定させたもので、主に全身が白く眼の赤いアルビノが使われていますが、近年、小動物のペットの普及に相俟って、パンダマウスやカラーマウスなどの品種も出回ってきています。これらも同じマウスであり、亜種というわけでもないので使えなくもないのですが、やはりやや高価であるため、現実的とは言えないかも知れません。

 もちろん野生下のハツカネズミなども、餌たりうるかもしれませんが、これらには病原菌の付着、といった問題もあるため、これを捕獲後、室内で繁殖、というのは、人間生活に多大なる悪影響を及ぼす可能性がありますので、少なくとも蛇の餌としての飼育・繁殖、といった観点からはあまりすすめられたものではないでしょう。最近は実験動物商のみならず、爬虫類系のペットショップや大きい目の総合系ペットショップでも多産系のCBが売られているようになりました。昔ほど入手が困難と言うこともなくなってきていますし、最初はやや出費を伴いますが、こういったところで健康なペアを見つけてくる方がいいでしょう。

飼育ケージ

 まず、はっきりしておかねばならないこと。それは、マウスをペットとしてではなく、餌として飼育する、ということです。餌として飼育していく、ということは、そこそこの数が必要となるし、臭いだけでなく手間も相当なものとなります。これをできるだけ小さなものにし、なおかつ、繁殖もさせていかねばならない、ということです。そのために、詳細は以下に述べますが、繁殖用ケージと、キープ用ケージとをわけて考えていくと便利です。

まず繁殖用ケージ

 これは、もし入手できるようなら、給水筒のついた実験動物用の飼育ケージが最適です。種々あるようですが、研究室その他で実績のあるものなら、だいたいいいのではないかと思います。あとは価格と大きさとの相談でしょうね。
ハムスターケージなどが使われることもありますが、これはペットとしてならともかく、ある程度の数を効率良く扱っていこうとするなら、少し空間が大きすぎるように思います。

キープ用ケージ

 個人で餌として飼養していく際に、けっこうなめてはいけないのが、この「キープしていく」ということ。
特にある程度軌道に乗ってくると、繁殖棟でのキープは煩瑣になることが多く、また、比較的高価なものであることが多い繁殖用ケージをそうそう数多く用意することもできないので、安価で、かつ、かじられても大丈夫なものを用意しておくと便利です。

 もちろん、個人ででも、大規模飼育(…と言うと少し大袈裟ですが、5000、10000といった数を扱っていく場合等です)は可能ですし、そういった場合には、また別の手法があるのですが、そういう人々は既に自分なりの方法論を確立されている場合が多いと思われますので、ここでは2000以下の比較的少数を扱う場合をみていきます。

 

飼育方法

(1)繁殖用ケージ

 飼育方法ですが、とりあえず、繁殖目的の方から書いていきますと、床材としてウッドチップ、あるいは猫砂、と言った消臭効果のあるものを敷きます。繁殖用ケージの場合、給水ボトルによる給水は常時行われている、という前提ですので、給水量による臭いのコントロール、というのはなかなかできません。人間の居住空間で同居して飼う場合、やはりこの臭い対策は同居する家族の有無に関わらず、念頭に置いておくべきでしょう。ウッドチップはハムスター用のものならたいていいいと思います。
 次に
巣材として、新聞紙を細かく裂いたもの、あるいはシュレッダーに通した紙類。それほど多くは必要ありませんが、給水ボトルの口に近かったり、接したりしていると、そこから水が漏れてしまうことがあります。
 セッティングはこの程度で十分で、後は餌と水を絶やさないように注意すること。給水ボトルつきのもので飼っていると、意外と忘れやすいです。また、ボトルはときどき水洗いしてやることも忘れないように。

 さて、ペアの投入ですが、ケージの広さにもよりますが、♂1に対して♀2〜3程度が適当だと思います。♂を複数投入する場合は、できるだけ生まれた時から一緒にいるものを使うこと。まぁ、繁殖用ケージには、♂はなるべく複数入れない方がいいですけどね。あと、実験室用のものなら問題ないと思いますが、近交系の確立しているものを使うこと。

 については、繁殖用ペレット等を用いますが、なければハムスターフードでも可です。最近のハムスターフードは、そこそこ優秀になってきてますので、これだけで、十分繁殖まで使えます。メーカー等につきましては、日々刻々変わっていますので、掲示板ででも聞いてみて下さい。

 掃除のタイミングですが、マウスはそこそこの場所があればトイレの場所を決めますので、そこを見て、湿ってきた、あるいは臭いが強くなってきた、と感じたら掃除をしてやります。消臭用床材がきいていれば、だいたい週に1〜2回といったところでしょうか。
 掃除の際の
扱い方ですが、いかに実験室用の近交系といえども、粗雑に扱えば噛み付くこともあります。尾の先端を持つか、背中の腰の方を優しくつまみあげるかしてやります。このとき、小型のプラケがあると、掃除のときに一時入れておけるので便利です。

最後に温度について。
 成体になると、かなりの強さを発揮するマウスではありますが、やはり生まれてから性成熟するまでは低温や高温で死ぬことがあります。温度管理はしっかりしておきましょう。だいたい18〜29度くらいが許容範囲だと思いますが、できれば22〜25度くらいを保っておきたいものです。

 

(2)交尾・妊娠・産仔

 性的に成熟してくれば、交尾を始めます。初めての方ですと、ちょっとケンカをしているように見えるかもしれません。勝手に交尾をして妊娠するのですが、稀に♂が♀を傷つけてしまうくらいに激しいときがあります。だいたい出血させてしまうようですと、このペアリングはさけた方がいいでしょう。キープ用のケージへ行っていただきましょう。(笑)
 そこまででなくても、膣栓(交尾が終わると♀の生殖口にできる♂の精液の栓)が出来上がっていても、しつこく追い回すことがあります。この場合も隔離した方がいいでしょう。

 妊娠すると、腹がふくれてきます。神経質になってることが多いので、いつもにもまして、いじったり刺激したりしないこと。だいたい21日で出産しますので、出産する少し前に、ケージを掃除しておいてやると、出産後の掃除を省いておくことができます。

 出産後も、活餌として使う、あるいは冷凍する場合等を除いて、なるべく触ったり覗き込んだりしないことです。
この時期は掃除も極力控え、安静にしてやります。他の♀や♂を隔離してやる必要はありません。たいてい一緒に巣作りを手伝ったり、からだを暖めたりする手助けをしてくれます。

 

(3)キープ用ケージ

 安価に、かつ多くの数を生餌用にキープするのが目的です。
もちろん、上にあげたような「繁殖用ケージ」を用いてもいいのですが、マウスの数が100を越えてくると、繁殖用ケージを買いそろえていくことは、経済的になかなか大変です。そこで、このキープ用ケージを数多く用意するわけなのですが、単なる30cmプラケで十分です。このプラケでキープするときの注意点などをメモしておきたいと思います。

 1.まず、ワイルドには使わないこと。
これは最初の定義のところであらかじめ省いてありますが、野生ハツカネズミの歯や顎の力の前には、プラスティックケースなど、ひとたまりもないでしよう。小さくてもネズミはネズミです。病原菌を持っている可能性もありますし、餌としての飼育、キープは見合わせるべきです。

 2.次に、は固形ペレットを主体にすること。
これは、栄養面ということもありますが(キープ用はどうしても手をぬきがちになる)なによりも、歯を磨耗させる、ということが、繁殖用ケージで飼育するよりも重要になってくるからです。いかにCBとはいっても、やはりネズミはかじるものです。ケージをかじられないようにする、ということと、とも食いをさせない、ということが、キープ用ケージの最大の目的となります。

 3.給水は最低でも1日2回。
とも食いをさせないための最大のポイントは餌よりも給水にあります。繁殖用ケージのように給水ボトルなどがとりつけられるものはいいですが、なるべく安価に仕入れてきたはずのキープ用ケージであれば、給水ボトルを取り付けるのは困難だと思います。かといって、水入れを入れっぱなしにしておくと、床材や餌、糞などを持ち込んで、半日もしないうちに汚水だめになってしまいます。
そこで、少々面倒でも、朝夕の2回、水入れを入れて飲み終えた頃を見計らって出す、という作業をします。だいたい1ケージあたり5分もあればすみます。この水入れ(100円ショップで売ってる小型タッパーで十分です)を数多く用意しておくと、作業が楽です。

 4.床材
とも食いをさける最大のポイントは給水ですが、ついで重要なのが床材。
これは新聞紙をシュレッドしたものを厚めに敷いておきます。(手で細く裂いてもかまいません)
消臭効果という面もあるのですが、これを厚めに敷いておくと、隠れ家や逃げ場所にもなります。小さなケージで密集飼育に近いキープを行うわけですから、この逃げ場所としての床材の存在はけっこう大きいと思います。また、潜りまわってくれますと、フタ部分への関心もほんの少し薄まりますし、かじられ対策の一つにもります。

 5.入れる数。
これは、自分がメンテをできる数によって変わってきます。
ケージ代を安価に仕上げるのが目的ですから、その分手間はかかります。ただし、なるべく別腹の子は混ぜない方がいいでしょう。とりわけ♂同士ですと、産まれたときから一緒にいるものでないと、かなり激しい殺しあいをしますので、成獣になってからの同居はやめた方がいいと思います。

 6.妊娠と産仔。
キープ用ケージであっても、うまく管理ができていれば仔が産まれることがあります。ただ、キープを目的に最小限の投資ですむように考えていますので、育児がうまくいく可能性は低くなると思われます。育てたければ、腹がふくれてきたころに繁殖用ケージへ移すか、母子だけを別環境にしてやります。そうでないときには、ピンクを生産した、と割り切って、凍らせてしまう方がいいかもしれません。

 

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