グラ刃牙オリジナルストーリー

「もう一つの決勝戦」(作・にこらす掲示)


アナウンサー「最大トーナメント決勝戦んんんんんっっっっ!!!
観客    「わーわー」
アナウンサー「総勢37名の格闘家と2匹の獣たちの中を勝ち上がってきた二人!
       地上最強の称号を手に入れるのは果たしてどちらか?
       選手入場っっっ!!」

 観客の声援に包まれて、朱雀の方角から姿を現したのは、「武神」愚地独歩!

アナウンサー「かつての地下闘技場の王者!
       愚地独歩が、再び格闘家達の頂点に返り咲こうとしています!
       フィルス、天内、渋川と立て続けに強敵を打ち破り
       ジャックハンマーをも屠ったその実力、やはり武神の実力は健在です!!」

 独歩が闘技場の中央にたどり着くと、玄武の方角からはその養子
 愚地克巳が入場してきた。

アナウンサー「そして対するは、神心館の若き天才、愚地克巳!
       イスタス、花山、烈、と3人の天才をものともせず撃破!!
       準決勝ではチャンピオン範馬刃牙に勝利したズールを瞬殺!!
       遂に地上最強に王手をかけました!!」
観客    「わーわー」

 独歩と克巳が闘技場中央で対峙した。

加藤    「刃牙よ、この試合よ〜〜〜く見とけよ!
       神心館の真髄を思い知ることになるぜ!!」
刃牙    「うん、そうだね・・・・
       (ったく、人の自慢する前に自分で勝ち上がれよな・・・
       俺も負けちゃったから、偉そうなこと言えないけどさ・・・)」
アナウンサー「さあ・・・いよいよ・・・いよいよ決勝戦が開始されます!
       どちらが勝っても神心館の最強という結果に変わりはありませんが
       しかし我々にとってのこの試合への興味は少したりとも薄れません!!
       武神と天才!どちらが強いのか?
       今、その疑問に終止符がうたれようとしているのです!!!」
観客    「わーわー」

 克巳が静かに口を開いた。

克巳    「義父さん・・・よくその年齢でここまで勝ち上がってきましたね。
        安心してください・・・・・・・
      思い切りたたき潰してあげますから

独歩    「オイラもそうさせてもらうぜぇ」
アナウンサー「おおおおおおおおっと!二人とも。
       試合前から自信に満ち溢れているううぅぅぅぅっっっっ!!!」

 二人は、ニヤリと笑いながらしばらく見つめあう。

小坊主   「それでは、両者元の位置へ!」

 克巳が独歩に背を向け、闘技場の柵へと歩き出したその時だった。

アナウンサー「ああああああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」
加藤    「大将!う、後ろォォォ!!」
克巳    「?!!」

 克巳が背後に異常な気配を感じ振り向いたが、遅かった。
 忍び寄った独歩の放った正拳が、克巳の無防備のどてっ腹にめり込んだ。

アナウンサー「な、なんとぉぉぉぉぉ!!
       奇襲だぁぁぁぁ!!愚地独歩!!
       息子に対して奇襲を仕掛けたあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

 独歩の正拳をまともにくらい、さすがの克巳が苦痛に顔を歪めた。

克巳    「この・・・・・
       ペテン師がぁぁぁぁぁぁっっっ!!!

 克巳が反撃とばかりに、正中線四連突きを繰り出す。

加藤    「出た!!正中線四連突き!!」
刃牙    「いや・・・決まってない!!」

 三戦!空手道に古くから伝わる守りの型。さすがに独歩は克巳の反撃を予想して
 正拳を繰り出した次の瞬間、防御の姿勢をとっていた。
 そして、技を出して隙の出来た克巳に対して再び正拳!

アナウンサー「か、克巳選手!独歩選手の正拳で闘技場の端まで
       吹っ飛ばされてしまったあああぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 ダウンした克巳。観客は皆、独歩が追い討ちをかけるかと思ったが
 意外なことに、独歩も片膝をついてしまった。

アナウンサー「ど、どうした?独歩選手?何があったああぁぁぁ?」
刃牙    「さすが愚地克巳。館長の攻撃を受けつつ、空中蹴りを放っていた」
加藤    「刃牙・・・この試合・・・」
刃牙    「うん・・・もう、父子喧嘩じゃない・・・
観客    「わーわー」
アナウンサー「凄すぎる!試合開始わずか数秒でこれほどの攻防が
       繰り広げられるとは、さすが神心会!!
       まさに地上最強にふさわしい!!」

 克巳は起き上がると大きくスタンスを広げた構えをとった。

加藤    「あの構え!!マッハ突きか!!」
刃牙    「いや・・・・構えが微妙に違う・・・
       あっ!!!」
加藤    「どうした!?刃牙ィ!」
刃牙    「天才め!!

 刃牙の顔面に一筋の汗が伝う。

克巳    「気づいたな、範馬刃牙!!今から使う技は剛体術だ!!
       マッハ突きと逆の発想により生まれたこの技!
       今こそパクらせてもらうっっ!!」
アナウンサー「な・・・なんとぉぉぉぉ、克巳選手!!
       チャンピオン刃牙が使用した剛体術も使えるというのかぁぁぁぁ!!」

 体重60kgの刃牙の剛体術でも、紅葉の胃袋を砕いたのだ。
 100kgを超える克巳が同じ技を使えば、その威力は計り知れないものとなるだろう。

克巳    「この左拳の一撃で、オヤジィィ!!
       あんたは確実に倒れる!!」
独歩    「じゃあ近づかねぇ・・・」
アナウンサー「剛体術敗れたりィィィィィィ!!!

 独歩の言葉を聞くと、克巳は「しまった」という顔をした。ついでに紅葉の顔も真っ赤になった。

紅葉    「オレの立場ねぇじゃん・・・・

 独歩が近づいてこないことを悟ると、克巳は構えを変化させた。

刃牙    「今度こそマッハ突きだ!!」
アナウンサー「か、克巳選手!今度は本当にマッハ突きの構えです!
       早くも終わらせるつもりかっっ?」
加藤    「館長にとっちゃ最悪の展開だろうぜ・・・」
刃牙    「うん、そうだね・・・・
       (ったく、決勝なのに人の受け売りかよ・・・
        あんたやっぱりダメダメだよ)」
アナウンサー「おおっと、それに備えてか
       独歩選手は前羽の構えだああぁぁぁ!!」
刃牙    「マッハ突きと前羽の構え・・・
       勝負ありだ・・・」
加藤    「な、何?
       刃牙、そりゃどういう・・・」
アナウンサー「お互いに距離をつめはじめたぞおおぉぉぉっっっ!!」

 観客が固唾を飲んで見守る中、二人ともすり足でじりじりと近づいていく。
 そしてお互いの制空権が触れ合う。

アナウンサー「これは・・・・先に仕掛けた方が不利!
       どちらが、我慢できず先に手を出すかで勝負が決まります!!」
刃牙    「いや・・・・そうじゃない・・・」
加藤    「何だよ何だよ!さっきから思わせぶりなせりふばっか言いやがって!
       どうなるってんだよ!!」

 二人の距離が限界まで達した。そして・・・・克巳が先に動いた。

 パパパパッッッパンッッ!!

アナウンサー「な、なんとおおぉぉぉぉ!!
       マッハ突きが決まってしまったぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
刃牙    「いくら前羽の構えでも
       マッハ突きのスピードには敵うわけがなかったんだ・・・」
加藤    「そんな・・・・」

 独歩ダウン。克巳は己の握り拳を見つめた。

観客    「わーわー」
克巳    「肉親の身体というものは、こうも感触が他人と違うものか!!!

 独歩はマッハ突きにより大きなダメージを受けたが、それでも気力を振り絞って
 ゆっくりと立ち上がった。

克巳    「義父さん、もう勝負はついた・・・ギブアップするんだ」
独歩    「ふざけんねぇ・・・これぐらいで参っまう程ヤワに出来てねぇ!」
克巳    「っっっ!!
       何があなたをそこまで支える?
       意地か面子か、それともそれが空手道か・・・

 克巳の言葉を無視するかのように、独歩は構えを解いて克巳に背を向けた。

アナウンサー「なんとぉぉぉぉ?
       独歩選手、対戦者に背を向けてしまいましたぁぁぁ!」
独歩    「俺を気遣ってくれてありがてえが、ギブアップなんてしたら
       若ぇ連中に示しがつかねぇだろがぁ」
克巳    「・・・・そうですね・・・・
       あなたが降参なんかする人じゃないってわかってたのに・・・」

 克巳はあきらめたようにつぶやくと独歩に向かって突進した。

克巳    「せめて僕のこの拳で引導を渡しましょう・・・
       脊髄いただきいぃぃぃぃぃぃっっっ!!!
刃牙    「バ・・・バカ!!!」

 克巳が一撃を加えようとしたその刹那、独歩の意を消した拳が克巳の顔面に叩き込まれた。

アナウンサー「な・・・なんとぉぉぉぉぉ!!決まったあぁぁぁぁ!!
       独歩選手のカウンターが見事に決まったあぁぁぁぁぁっっっ!!
       克巳選手ダウゥゥゥゥン!!」
克巳    「ゴボォッ・・・あそこまで完璧に意を消すなんて・・・・
       甘く見ていた・・・・」

 あお向けになった克巳を見下ろしていた独歩が、やがておもむろに地べたに座り込んだ。

アナウンサー「な、な、ななな?どういうことだ?
       独歩選手、座ってしまいましたぁぁぁぁ!?」
独歩    「さすがにマッハ突きはこたえたよ。しばらく休ませてもらうぜぇ」

 そう言うと、独歩がどこに隠していたのか缶ビールを取り出すと、いきなり飲み出した。

 グビッグビッグビッ・・・・・

アナウンサー「何と前代未聞!!独歩選手・・・
       試合中にビールを飲み始めてしまったぁぁぁぁ!!」
独歩    「プハァ・・・んめぇ!!
       どうでぃ克巳、おめぇも飲るけぇ?」

 独歩はもう一本缶ビールを取り出すと、克巳に投げ渡した。

克巳    「いただきます」

 そう言うと、克巳もビールを飲み始めた。グビッグビッグビッ・・・・

アナウンサー「なんということだぁぁぁぁぁ!!!
       試合中に酒盛りがはじまってしまったぁぁぁぁぁ!!!」
独歩    「そう言えばおめぇがガキの頃、隠れてビール飲んでるのを見つけて
       思いっ切りぶん殴ったことがあったっけなぁ・・・」
克巳    「ハハハ・・・・ありましたねぇ、懐かしいなぁ・・・」

 何と思い出話まではじまってしまった。

刃牙    「もう、父子喧嘩じゃない・・・・

 しばらくの間、話に花を咲かせた後、多少ダメージが回復したか
 二人は立ち上がり、お互いに構えをとった。
 独歩は前羽の構え、そして克巳はマッハ突きだ。

アナウンサー「一時はどうなることかと思いましたが、試合再開されるようです。
       しかしこれは先ほどと同じ状況・・・・克巳選手が有利です!!」

 二人は再び限界まで近づき、そして次の瞬間!

 ズドォォォッッ!!

 独歩の連撃が克巳の肉体を何発も打ち抜き、克巳は口から血をふき出して
 後ろにぶっ倒れた。

小坊主   「勝負ありぃぃぃ!!」
アナウンサー「けっちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜くっっっ!!!
       遂に決着!父子対決!!
       遂に終了!最大トーナメント!!
       優勝は愚地独歩ぉぉぉぉぉ!!!」
観客    「わーわー」
アナウンサー「しかしなぜ独歩選手が、マッハ突きに打ち勝つことができたんでしょう?
       不思議でなりません!」
本部    「酒が・・・克巳の反応をコンマ1秒遅らせた・・・
刃牙    「そりゃ克巳さん・・・あんたが悪い・・・」
アナウンサー「何と、酒盛りはそのための布石!!
       独歩選手の作戦勝ちだぁぁぁぁぁぁ!!!」
独歩    「酒に関してはまだまだ俺のが上よぉ・・・・」

 闘技場中の観客たちは独歩に駆け寄ると、一斉に胴上げをやりはじめた。

アナウンサー「齢50を超えた武神、愚地独歩!!
       その強靭な肉体が宙に舞います!
       アリガトォォ、アリガトオォォォォォォッッッ!!!」

 湧き上がる闘技場。
 胴上げされる独歩から離れた観客席に
 その光景を目に涙を浮かべながら見つめる一人の女性の姿があった。

夏恵    「おめでとう・・・・私のスーパーマン・・・・」


 おまけ

 東京ドーム駐車場

勇次郎   「きさまら敗れたなっっっ!!!

 勇次郎は呼び出しをかけた刃牙とジャックに、ものすごい形相で怒鳴りつけた。

勇次郎   「範馬の血を引くものが2人も出場して
       どちらも優勝を逃すとは・・・・消えうせい!!!
ジャック  「今日ハ、調子ガ悪カッタ・・・・」
刃牙    「うんうん・・・体調がね・・・
       それに親父だって、凄腕ハンターに撃たれて眠ってたじゃん・・・」
ジャック  「人ノコトハ言エナイヨナア・・・」
刃牙    「自分のことを棚に上げるなっつーの」
ジャック  「ソモソモ招待モサレテナイノニ、来ルトコロガ
       図々シインダヨナ・・・」

 刃牙とジャックは愚痴り続けていたが、ふと勇次郎の顔に目をやると
 かつて見たことがないような凄まじい怒りの表情が浮かんでるのが見えた。

刃牙    「や・・・・やべっっっ・・・・!!」
ジャック  「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!」

 この数秒後、小坊主の一人が便所で用を足しながら、数分間に渡って
 この世のものとは思えない悲鳴を耳にしたそうだ。


おわり

 

 

 


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