
◆8月26日(火)/川東学園◆8名参加
◆講演 「子どもの食事と健康」
◆講師 後藤田 倫子氏(後藤田・三上・長野プロジェクト)
11月開催予定の「地域創造フォーラム」に向けて、当研究会会員の3氏が「食事と健康」プロジェクトを組み、研究成果を発表する予定だったが、時間が合わず打合せの時間がとれないまま本番となったため、後藤田氏が各栄養士会等の調査資料をもとにつくったレジュメに基づいて説明し、全体で感じたことを討論した。
幼児の生活状況は、遅い就寝時間、朝ギリギリに起きて、十分朝食をとれない状況も多く、欠食も1割弱ある。また、排便の習慣も約1割が不規則で、朝30分程度の余裕が必要なことがあげられた。朝食は北見で75%が全員でとっており、全国の約30%を大幅に上回る内容で、通勤圏の優位性が要因かと意見が出た。食事の問題点として「時間がかかる」「落ち着かない」「偏食(特に野菜嫌い)」「小食」があげられ、内容も市販物の手を加えない不安あるものが増えていることも話題となった。注目すべきは「母親の食事づくり」が「楽しくない」が約4割、その理由に「メニューが思いつかない」「調理が苦手」「忙しい」「面倒」というもの。「おやつ」は「市販の菓子」「果物」等で好きな時間に与えているものが半数。
親の都合が、子どもの食事に悪い影響を広げている。(大門記)
◆7月30日(水)/川東学園◆9名参加
◆講演 「子育て支援を通して」
◆講師 細川せつ子氏(小泉保育園長・前子育て相談センター)
細川さんは今年の3月まで子育て支援に関わってきた。4年間で4万余人の親子と接し、@おしゃべりする、A遊びを伝える、B友達をつくる、を目標にした。親はイジメが始まった世代で他人とのコミュニケーションが不得意。1日中密室で向き合い、悩み、限界状態。3つの目標だけでなく「子育て一口メモ」を貼り出し(3年分を文集「まなざし」に掲載)、子育てサークル作り(母たちが通信も発行、12できる。)、Q&A「子育て手帳」を発行(嫁、娘のためにと祖父母も来た)、転勤者のための「北見子育てガイドブック」を発行(母たちの手づくり)。母たちは凄く頑張っている。イヤイヤの時期が分からず、周りからは「子どもに甘く見られている」と言われ、「世界で一番不幸な親」だと思い込んでいる。チョットしたアドバイスで肩の荷を降ろす。「甘え上手は育て上手」、1日5分間パートナーと話すことを勧める。「3歳児神話から解放すること」「子育て中も一人の女性と認めること」が必要だと言う。10年、20年前には考えられない実態に参加者驚く。専門家のいるセンターで何らかの対応ができるが、研究者も含め研究必要な時期との意見も。子育ては個人任せでなく、益々地域との関わりが必要だ。(大門記)
◆講演 「北見美山小おやじの会」◆講師 副会長 天羽 仁(あもう・ひとし)氏
父親の子育てが重要との観点で、PTAとは別組織で活動する「美山小おやじの会」の天羽さんの話。発足は3年前。初代会長がPTA大会でおやじの会の話を聞き感動、4月に父親6名で発起人会、5月に12名で即スタート。今年度は30名。当初はPTA、先生方から理解されず、やりながら理解を得る。2年目はさらに熟成、昨年は学校5日制が始まり毎月「おやじの日」を行ったが、組織運営にも問題が生じ行事に会員が集らず「解散」も考えた年。今年は原点の楽しくダイナミックな取組み考え会員を再募集し新たにスタートした。恒例の「夜の学校探検隊」(1泊2日)は大好評で、今年も7月に予定。その他、常呂川源流探検隊やソーラーカー乗車、ギネス挑戦、痴漢対策パトロール、スケートリンクつくり・教室等々、ユニークな取組み。会員の職業、趣味を生かし意地とこだわりで即実行に移す。やる中で、子ども達に自然にリーダーが育ち、父親も一緒になって遊ぶ楽しみを知り、子ども達と顔馴染みになる等、大きな成果をあげている。この活動を知り、市内や端野に同様な会が誕生しており、今後横の連携が広がる可能性があるという。父親の子育て参加の一例として様々な問題提起をしてくれた。(大門記)
新年度役員 座長 大門、事務局 後藤田、会計 大門(美)。
所属会員には、事前に年間計画と、メール、ファックス、ハガキでの連絡方法を確認し、研究会の前段で必ず連絡して参加者を増やす。
11月にフォーラムを計画し、「子どもが育つ地域社会」をテーマに基調講演は佐藤一子東大教授を講師に予定、会員中心にパネルデスカッションも行う予定。各月の研究会を課題となるテーマで計画し、1月には「学習障害、発達障害」をテーマに外部講師を呼び、会員外にも呼びかけて津別で1泊学習会をやる計画もあります。
6月「美山小おやじの会」、7月「子育て支援」、8月「子どもの食事と健康」、9月「たまねぎぼうや10年の実績」、10月「フォーラム最終打合せ」、11月「地域創造フォーラム」、12月「フォーラム反省会(忘年会)」、1月「LD、ADHDの子どもたち」、2月「NPO夢の木オホーツク視察」、3月「年間話合い」の予定。(大門記)
「川東の里見学」「地域創造フォーラムと年間計画、研究会の新体制の話合い」
昨年の11月に旧施設を見学していますが、今回は総合施設「川東の里」として1月に新築移転した施設を後藤田さんに案内してもらいました。端野町川向農場では、養豚・養鶏場、しいたけやドライフラワー栽培場、農場等を見て回り、近くにあるグループホームも住人の好意で見せてもらいました。
新施設は、児童のきたみ学園、成人のきたみ学園成人部、成人の川東学園、通所の友楽里(ゆうらり)、デイセンター風楽里(ふうらり)、共同作業所フレンズ等があります。新施設は全て個室で、児童も個室なのは画期的です。このため、逆に管理棟が狭くなり職員は大変とのこと、使ってみて気づいたことも多く、死角もあり、気を抜けないとの話でした。施設内は、単位毎に集ってテレビを見たりできるデイルームがあり、思いおもいに子どもたちがくつろいでいました。当日は、月1回の音更から知的専門の歯科医が診療に来ていました。市内の歯科医では診療が難しいのだそうです。
その他にも市内の住居に4〜5名で生活するグループホームがあるとのことでした。
施設はとても忙しく大変なのに管理的でなく、入所者もゆったり生活しているようにみえ、長年の職員のノウハウの蓄積が現在に生かされているように感じました。
第38回研究会
◆1月31日(金)19:00〜 津別町共和 北海道でてこいランド(一泊)
◆テーマ:町づくり、街おこしへの思い
◆講 師: 津別町議 篠原 真知子 氏
第37回研究会
◆ 12月6日(金)19;00〜21:00
◆ 場所: 訓子府町公民館小会議室
(訓子府町東町400番地・47−2121)
◆ テーマ:「介護保険制度を考える」
報告者 菊池 一春 氏
第36回研究会
◆ 11月9日(土) 11:30〜14:00
◆ 場所: 知的障害施設きたみ学園
◆ テーマ:施設見学及び支援費制度についての講話
第35回研究会
◆ 10月26日(日)18:30〜20:00
◆ 場所: 北見市中央地区住民センター
◆ テーマ: みんな子供が教えてくれた
◆ 講 師: 堀口クリニック院長 堀口 貞子 氏
<第31回例会>
日時:6月16日(土)14:30〜
場所:北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
内容:北見市子育て相談センターの細川せつ子さんをお招きして、北見市における子育ての様子や親のネットワーク形勢の様子などについてお話を聞くことにしたいと思います。多くの人のご参加を期待しております。
<第30回例会>
日時:5月19日(土)14:30〜
場所:北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
内容:第29回例会に引き続く児童虐待問題について
<第29回例会>
日時:4月21日(土)14:30〜
場所:北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
内容:児童虐待問題について
オホーツク自治研究所
教育文化・福祉研究会分科会(福祉部門)
第29回例会活動報告
日 時:2001年4月21日(土) 14:30〜17:00
場 所:北見市総合福祉センター
参加者:大門孝治(津別町) 大門美恵子(津別町) 菅井琢哉(北見市)
テーマ:「今、なぜ児童虐待」
問題提起者:菅井琢哉
今回は新シリーズの1回目として、児童問題、特にいまホットな話題になっていながらあまりその内容の知られていないT児童虐待_をテーマにしました。話の大筋は次のとおりです。
1.増えつづける児童虐待
・平成2年度から平成11年度までの10年間で全国の児童相談所で受理した虐待の相談は激増。平成2年度には1,101件だったものが、平成11年度で11,631件、なんと10倍以上になっている。たしかにここ数年虐待の概念が広がっているが、それにしても急増しすぎている。
・全道的に見ても、平成6年度に31件だったものが平成11年度には222件になっている。
・虐待を通報する人で多いのは家族、近隣知人、福祉事務所、学校等。特に「近隣知人」が増加率が高いのが特徴。
・主たる虐待者は「実母」が過半数を占める。継父、継母は世間で言われているほど多くない。
・年齢別で見れば虐待を受けているのは幼児期後半と小学生期が最も多く、合わせて全体の6割以上を占める。
2.虐待の定義と4分類
虐待とは、強者から弱者に対する規則性を持たない継続した攻撃、といえるのではないか。その意味では「イジメ」も同類か。
<虐待の4つの分類>
@身体的虐待 A性的虐待 Bネグレクト(監護の怠慢) C心理的虐待
3.被虐待時への心理的影響
@自己イメージへの影響
・暴力を振るわれ、傷つけられる自分
・自分は悪い存在
・愛される価値のない自分
A他者イメージへの影響
・人間関係を虐待的なものとしてみるようになる
B感情プロセスのゆがみ
C感情調節障害
・凍てついた観察(frozen watchfulness)
・感情爆発(パニック)
D感情の不安定化
E虐待関係の再現傾向
F解離
・自分を消し去る能力
・虐待される自分を遠くから他人ごとのように見ている自分−−「幽体離脱」状態
* * *
ここまで説明して時間となりました。次回はこの続き(児童虐待に対する児童福祉現場の対応について・虐待防止法の特徴についてetc)を説明し、今回のものとあわせて討論をしたいと思っています。なお、参加者がある程度多い場合は、最初から説明しなおす予定ですので、興味のある方はどうぞおいでください。次回は5月19日(土)14:30〜17:00、北見市総合福祉センター相談室にて行います。
(座長:菅井琢哉)
<第28回例会>
日時:3月24日(土)14:30〜17:00
場所:北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
内容:2001年度の計画を討論し、児童問題(学級崩壊、児童虐待)と介護保険を中心とすることとした。
<第27回例会>
日時:1月27日(土)14:30〜17:00
場所:北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
<第25回例会>
とき/10月21日(土)14:30〜17:00
ところ/北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
第24回例会の報告結果をもとに、高齢者福祉のあり方を検討したいと思います。
<第24回例会>
とき/9月9日(土)14:30〜17:00
ところ/北見市総合福祉センター相談室(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
テーマ/特別企画です。オホーツク自治研の常務理事である菊池一春さんが、このたびデン
マークのロスキレ市に高齢者視察研修旅行に行ってきました。菊池氏はこの視察旅行
の成果を論文にまとめる予定とのことですが、それに先立って当分科会で講演をして
いただくことを約束してくださいました。高齢者福祉先進地についてのめったに聞け
ないお話です。楽しみにしていてください。
<第23回例会>
とき/8月19日(日)14:30〜17:00
ところ/北見市総合福祉会館(北見市寿町3丁目4番1号)TEL0157−61−8181
テーマ/管内の高齢者福祉を考える(2)
<第22回例会>
とき/7月30日(日)14:30〜17:00
ところ/北見市総合福祉会館(北見市寿町3丁目4番1号)TEL0157−61−8181
テーマ/管内の高齢者福祉を考える(1)
<第21回例会>
日時:6月17日(土)14:30〜17:00
場所:北見市総合福祉会館(北見市寿町3丁目4番1号)
TEL0157−61−8181
内容:介護保険制度が始まって…
講師:北見市保健福祉部介護福祉課長 斉藤 正 氏
│ │
│オホーツク自治研究所 │
│教育文化・福祉研究会分科会(福祉部門) │
│第24回例会活動報告 │
│ │
日 時:2000年9月9日(土) 14:30〜17:00
場 所:北見市総合福祉センター相談室
参加者:大門孝治(津別町) 大門美恵子(津別町) 菅井琢哉(北見市)
伊藤みどり(北見市:特別参加)
テーマ:デンマークに学ぶ「高齢者福祉の旅」に参加して
〜日本の高齢社会を豊に築くためのヒント〜
講 師:オホーツク自治研専務理事 菊池一春氏
当研究所専務理事の菊池一春氏が8/21〜8/30の10日間、デンマークのロスキレ市に研修旅行に行く機会を得、デンマークの高齢者福祉のあり方を身にしみて体験して帰国いたしました。菊池氏によれば、デンマークと日本の社会福祉の違いは、ひとえに制度的なものだけではなく、その国の民主主義が確立しているかどうかという根底的なものではないかということで、いたく考えさせられた旅だったとのことです。菊池氏はこの体験を今後もいろいろな機会に発表していきたい、もちろんオホーツク自治研全体としての報告文も書くということでしたが、「福祉」を標榜する当分科会では帰国直後の講演を氏に依頼したところ、非常に快く承諾していただき、他のだれよりも早く菊池氏の講演を聴くチャンスに恵まれました。
そういうことで、第24回例会は菊地氏の報告講演を聴く会となったわけですが、つたないながらここにその要約を載せて報告書とさせていただきます。なお、実際は報告の後半にはスライドを使って説明があったわけですが、それは省略させていただきます。
* * *
デンマークに学ぶ「高齢者福祉の旅」に参加して
〜日本の高齢社会を豊に築くためのヒント〜
≪出発に向けて≫
昨年、社会教育推進協議会の設立35周年記念パーティーに言った際、たまたま日野市の社会教育センター館長の中能孝則氏と知り合った。このセンターは日野市と社会教育協会とが出資する3セク。社会教育の学びは本来住民自身によって行われるべきだという原則を貫いているところである。
これをきっかけに同センターから今回の「デンマークに学ぶ高齢者福祉視察の旅」の案内が届いた。中能館長によれば、同センターが心血を注いでいる研修とのことで、強い勧めがあった。
デンマークは福祉の進んだ国のイメージ。それから戦後の北海道の酪農にものすごい影響を与えたところ。酪農でいえば、しかしながら自分の知っている限りでは、戦後デンマークで学んだ人はしかしながら全員が離農をしている。なぜか。これは推測であるが、今回行ってみて日本の民主主義や日本の福祉政策の愚かさ、おぞましさに原因があるのではないかとがっくりきた。ギャップが大きすぎる。(しっかりした民主主義、福祉政策に裏打ちされている)デンマークの酪農を日本にそのまま持ってきたら挫折すると思った。
内村鑑三は著書「デンマルク国の話」(1800年代の晩年)で、ドイツの侵略から立ち上がっていったデンマークの歴史、つまり民衆の意欲、人間の意気込みで廃墟となった町並みを立て直したことを絶賛していた。デンマークは復興のために植林政策、農業政策を精力的に行う。100年以上も前からこういったことをなしとげ、今では世界有数の富の国になっている。
今回参加者は16名。16名中14名は女性。年代的にも10代から60代まで。地域的にも北海道から佐賀県まで広範囲。非常に多種多彩の人たちが集まった。こういったメンバーで8/21〜8/30のデンマーク・ロスキレ市に旅立った。
≪デンマークの概要(基礎知識)≫
人口は520万人で北海道より少ない。東京都の約半分。面積は九州より少し大きいくらい。小さな立憲君主国。女王がいるが、自由憲法制定から150年、つまり日本でいえば江戸時代のころから「国民主権」をうたった憲法がある。王の存在も国民の支配者というよりも、例えばナチスに対抗するレジスタンス運動の先頭という立場。日本の天皇制とは違う。
行政区分は、国を15の県に分けており、275のコムーン(市町村)がある。14の支庁、212の市町村のある北海道とよく似ている。国と県と市町村の役割ははっきり決まっている。国は行政のフレーム、すなわち最低限のガイドラインだけ決め、あとは県と市町村に全面的に仕事を任せている。学校教育でも福祉でもその考えは貫徹。金を渡してあとは口を出さない、いわゆる“サポート・ノー・コントロール”が非常に徹底している。
ロスキレ県は人口約20万人で網走支庁管内と少し小さいくらい。また1市町村の平均人口は約1万7000人なので、遠軽、斜里レベルの町か。それくらいの規模の町で政策が隅々まで入り込んでいる。
国は国家政策的なものを作っていく。具体的な行政の多く派遣のレベルと市町村レベルで行う。特に病院は県レベル。県立病院しかなく、私立病院は存在しない。福祉関係いえば、高齢者や障害者の福祉は県と市町村で半分ずつ担当。教育は、大学については国立だが、高校教育や障害者教育は県レベル。市町村では小中学校を運営。
≪デンマークの社会≫
福祉:1849年自由憲法制定し、国民主権が明記された。自由憲法の基本は「自分で支えられずまた周囲に支援する者がいないときには、公共の援助を受ける権利を有する」ことに尽きる。権利的には教育、医療、社会保障、社会福祉に関しては公共がすべて行う。したがって施しではない。だから教育は無料、福祉関係もほとんど無料である。
権利と義務:権利も大きいが、義務(税金)も大きい。収入の52%が税金(高福祉高負担)。52%の内訳としては累進課税(国税)が13〜32%で、あとは県税、支庁村民税。そのほか煙草、酒、車は間接税(贅沢税)の対象。車にかかる物品税は200%。消費税率は10%強。税金はべらぼうに高いが、しかし重税ではない。地元の人に言わせれば「高税と重税は違う。これだけの施策をやっていれば重いとは思わない。」とのこと。
生活:国民全体が日本の憲法25条でいう「最低限度の生活の保障」をされている。施しを受けるという感覚ではない。原子力エネルギーの問題もごみ問題も環境権の流れの中で考える。公害が出たらどうするかというよりも、公害が出る物を作らないという発想。だからこの国にペットボトルはない。住宅事情も道路事情も一貫性があり、その点で日本でバリアフリーとかノーマライゼーションとかが話題になることがせせらおかしいと言われた。日本は言葉遊びをしている、そんなものあたりまえだと言われた。ちなみにデンマークでは「施設」という言葉がもうなくなってしまっている。「住宅」である。日本で施設の収容人数の多さを誇っている人がいるが、それはとんでもない話だ、監獄であるまいし、という発想。ロスキレ市の福祉課長が昨年日本に視察にきた際に、特別養護老人ホームの入居者が哀れでがっくりした、と言っていた。複数の同居など最たるものである。
家族:2世代、3世代の同居はない。もう40〜50年前から核家族化はあたりまえになっている。デンマークでは18歳になれば選挙権があり、子どもは自立して家を出て行く。大学生の生活費は国から出る。日本円で6万円くらいの額が制度的に保障されており、若干のアルバイトをすれば学んでいける。子どもは自立が保障されており、したがって親が子どもを扶養するという考え方は無い。こういう風土である。
女性の労働:女性の90%が就職。結婚は退職の理由にならない。日本では一度退職してしまうと復職が難しく、厚生省の調査では復職したくてもできない女性が90万人いるとのこと。保育所は無料で、朝7時から開いている。必要によっては保育所で朝食も用意する。女性が生涯にわたって働きつづけるのはあたりまえの国で、消して観念論や根性論ではない。
年金:公的年金は65歳から。デンマークの高齢者は自らのことを「誇り高き年金生活者」と称する。そういう誇りの下に、富のある者が富のない者のために税金を払うことが当然視されている国家。
労働条件:失業率は約5%。労働時間は週37時間が厳守されている。完全集2日制。土日に営業している店もあるが、それは交代制で労働時間を守っている。年間約5週間の休暇あり。その結果ゆとりのある生活となる。
親孝行:親子は離れて過ごすが、キリスト教の隣人愛が背景にあるためか、しばしば子どもたちが、高齢者住宅や個人の住宅に尋ねてくる。日本のように同居しないと親不孝という感覚はない。
民主主義と自立:「自立」の帰結として平等意識が徹底している。学校の教師や保育所の保母を「先生」と呼ばない。上下関係を形成することばがない。非常に自立心が強く、自己決定がものすごく重要視される。お年寄りも「自立」しているため寂しさを感じないし、顔つきが違う。例えばお年寄りが介護度が高まりいよいよ施設活用や介護支援の必要性が高まったとしても、本人が自己決定しなければ絶対に強制することはできない。自分がどういう終末期を迎えるかということについては、自分で決定する権利がある。病院との関係で言えば、病院が高齢者を地域のナースセンター(日本でいうところの特別養護老人ホーム)に戻すといえば、自治体は拒否できない。拒否すればペナルティーの対象になるので、早いうちに地域での対策を検討することになる。
持続性:長い期間ひたすら打ち込んできた仕事が尊重される。日本の行政マンで最も困るのは、せっかく視察に来たのに帰国してから全然別の分野に異動してしまうことがよくあること。デンマークではこんなことはありえない。ロスキレ市では市の高齢福祉課長は看護婦出身。日本ではこんなことはありえない。日本では行政では能力の平均化を求めるが、デンマークでは持続性が重視される。
自己決定:進路については多数の選択肢がある。就職、専門学校、丁稚奉公、高校進学等々多くの選択肢の中で自己決定を迫られる。進学か就職かという二者択一ではない。
自己能力の活用:デンマークでは「今あるものを使えなくしてはならない」という原則がある。すなわち、残っている能力を死ぬまで引き出そうという考え方である。例えば保育所では保母が過剰に子どもにいろいろしてやることはなく、子どもに全部自己決定させている。一方高齢者は、できるだけ自分ひとりで地域の中での生活を希望しているが、そのあたりまえのことを国家が制度として補償しようとしている。
≪デンマークの教育≫
保育所はもちろん0歳から対応。就学前に1年間の幼稚園クラス(学校準備期間)あり、これには入っても入らなくても良いが、現況としてはかなりの人たちが入っている。学校は国民学校といい、1年生から9年生まである。すごいのは、担任が1年生から9年生まで同じということで、継続性を重視している。担任は2人制。1クラス28人を超したら学級を2つにする。この9年間に学力試験は1回もない。もっとも9年間に1〜2回文部省による試験があるが、これはあくまでも国の学力水準を見るために行うものであり、個人の情報としては絶対非公開となる。9年制であるが、卒業時に本人が学力不足で、担任が必要と認めれば、10年生が選択で用意されている。もちろん本人が拒否することもできる。ただし高校はものすごく厳しい。
国民学校卒業後にはたくさんの進路メニューが用意されている。職業教育は徹底しており、例えば煙突掃除屋になるだけでも3年間の教育課程がある。リカレント教育も充実しており、社会人が再び高校に入ってくる。このようにいろいろな選択肢がある。職業教育では3年間の3分の2が実習で、3分の1が理論。実習期間(3分の2)は有給で職人のところに入り、そこで3年間修行するとシルクハットが当たる。そのシルクハットは技術職としての勲章で、ものすごい高給の対象となる。
大学進学も含め、このように非常に教育の選択肢が広い。しかもゆったりとした中で自己決定をする。高校も視察したが、例えば卒業したら1年間海外視察に行ってくるというような話がどんどん出てくる。そこで自分を修練することを認めるといったゆとりがこの国の教育にはある。
≪ロスキレ市について≫
ロスキレ市は人口5万989人(1999年)で、そのうち生産年齢人口(デンマークでは17歳から66歳)が約70%を占める。高齢人口(67歳以上)は12.6%。
保育制度では、学童保育、保育ママ制度、乳児保育、保育園、統合保育、季節保育があり、ほとんどの子どもたちが保育政策の中に組み込まれている。保育所数は人口5万人強のこの都市で70(!)もある。国民学校すべてに対し学童保育がある。こうした保育所や学童保育の充実により、女性は安心して働くことができる。国民学校は市内に11校あり、児童数は4500人くらい。1クラス平均児童数は26人。
高齢者人口は1998年で14.2%で、だいたい北見市くらいの比率か。
市議会議員は25人いて任期は4年だが、無報酬。市長は市会議員の中から互選するが、市長だけが常勤となる。議員はそれぞれが仕事を持っているため、議会は夜になったりする。
デンマークの質の高い施策は税金により支えられている。ロスキレ市では1999年度の歳出予算が350億円だったが、そのうち56%が福祉関係予算、27%が教育・文化関係予算。道路・環境予算は1%に過ぎない。福祉関係予算のうち61%が高齢者関係、成人(主として生活保護世帯)28%、青少年9%という割合。このうち高齢者関係福祉予算の使途の割合は、高齢者センター(8地区)運営費が61%、早期退職者のための年金14%、精神疾患を持つ高齢者の施設費用10%、補助器具8%、家賃補助6%、個人支援1%だが、これらの割り振りはすべて高齢福祉課長の権限となる。
高齢者のサービスの内容について。@給食サービス:高齢者特別養護老人ホームの食堂設備および高齢者住宅に対する配膳サービス。Aデイホーム・デイケアセンター:8地区全部にある。3ヶ所でトレーニングセンターを併設しているが、日本のリハビリセンターのレベルではない。専任の大工、作業療法士、理学療法士が配備されている。B補助器具センター:高齢・障害者用のリフトから高齢・障害者用のナイフ、フォークまで。C雪かき。D家の改造。E家事援助。F訪問看護。G予防訪問:75歳以上弟子のサービスを受けていない人に医師と看護婦が訪問による健康チェック(ホームドクターが法律で義務付けられている)。H訪問リハビリ:デイトレーニングセンターに来れない人に対して理学・作業療法士が訪問。I老年チームの訪問:医師・看護婦・作業療法士などのチームが高齢者を訪問。医療費はかからない。J高齢者住宅。Kナーシングホーム(プライエム):日本の特別養護老人ホーム。
これらの政策により、個人の生活が、住宅にいるときも、自分の持ち家にいるときも、高齢者住宅にいるときも、特別養護老人ホームにいるときも、同じく継続していくことができる。自分の家にあったものはコレクションや表札も含め、全部高齢者住宅や特別養護老人ホームに持っていくことができる。高齢者住宅には集会所があり、多くのスタッフが日常的な援助をしてくれる(旅行の計画作りなど趣味のレベルのことも)。高齢者委員会や利用者委員会があり、自治会を作っている。自治会はあくまでも利用者のためにあり、市など行政の請負ではない。高齢者住宅の中には半ナチスのレジスタンス運動の活動家の住宅もあり、優遇されている。がんばっていた人たちには国家がきちんと対応するということだ。
* * *
次回はこの報告結果をもとに、高齢者福祉のあり方を検討したいと思います。日時は10月21日(土)14:30〜17:00、場所は北見市総合福祉センター相談室です。
(座長 菅井琢哉)
オホーツク自治研究所
教育文化・福祉研究会分科会(福祉部門)
第23回例会活動報告
日 時:2000年8月19日(土) 14:30〜17:00
場 所:北見市総合福祉センター相談室
参加者:大門孝治(津別町) 大門美恵子(津別町) 長野三恵子(津別町)
菅井琢哉(北見市)
テーマ:「管内の高齢者福祉を考える(1)」
思うように例会が開けず、結果的に長らく報告書を出すことができない日が続きました。今回こうして久しぶり報告書を出すことができたのは、感激ひとしおです。
事実上今回が新しいシリーズのスタートになります。以前のように決まったテキストを使わず、いろいろな方法で管内の高齢者福祉にアプローチしてみます。どういった展開になるか、やっているほうも見当がつきません。自由な展開で、ある一定の水準を保つのはけっこう「しんどい」作業となるでしょうが、それだけにやりがいがあるものと思われます。何はともあれ、まずはスタートしてみることにします。
≪管内の人口構成の概要≫
高齢者の問題を考えるにあたって、まずは網走管内全体の現状を押さえておく必要があると思います。そのためまずは、各種国勢調査結果にあたってみることにしました。
表1(表1)は国勢調査ごとの管内各市町村の人口の動向を表したものです。これによりますと、総人口としては昭和50年から平成7年までの20年に約1万9千人、人口比では約5%減っております。網走管内総体としては実感しているよりも人口の変動が少ないという印象ですが、各市町村別にみるとかなりの差があることがわかると思います。これを見ると、北見市でだんとつに人口が増え、網走市では20年前の水準を維持してますが、他の市町村では軒並み人口を減らせていることがわかります。特に人口の減少の激しい町村を挙げれば、置戸町(昭和50年を100としたとき平成7年で59)、丸瀬布町(同60)、滝上町(同61)、白滝村(同63)、西興部村(同63)、津別町(同68)で、これらの町村は昭和50年の7割以下まで人口が減っています。原因はいくつか考えられるでしょうが、いずれの町も基幹産業である林業が打撃を受けてきた歴史があります。これらの町村をはじめとして林業がオホーツク地域全体の基幹産業であることを考えれば、地域の産業構造が大変動を起こしていることが予想され、そのことが地域社会構造の大変動を起こしている可能性があります。
世帯数の変化はどうでしょうか。表2(表2)は昭和50年から平成7年までの世帯数の国勢調査値です。ここでは平成7年値が昭和50年値を超えたのは10市町村あります。この間人口が増加したところが北見市、網走市の2市であることを考えれば、全体として1世帯あたりの人口が減ってきていることが明らかになります。そのことは表3(表3)にも現れております。
表4(表4)は市町村ごとの年齢構成を15歳未満、15〜54歳、65~74歳、75歳以上で区切ったもの(平成7年国勢調査)です。この中で65歳以上層(高齢者層)を見ていくと、65歳~74歳の比率と75歳以上の比率の合計が20%を超えるものが置戸町(23.5%)、留辺蘂町(21.9%)、津別町(22.8%)、清里町(20.4%)、小清水町(20.1%)、佐呂間町(21.5%)、生田原町(22.9%)、丸瀬布町(28.3%)白滝村(20.8%)、上湧別町(22.9%)、湧別町(21.8%)、滝上町(26.4%)、西興部村(27.3%)、雄武町(20.4%)の14町村に上ります。この中には表1で明らかにした人口減少の激しい5町村(津別町、丸瀬布町、白滝村、滝上町、西興部村)がすべて含まれるのが特徴です。特に丸瀬布町、滝上町、西興部村についていえば高齢者率が25%を超えており、人口の大幅な減少と併せて考えると、高齢者のいる世帯(高齢者のみの世帯を含む)がかなり多くを占めることが想定されます。
昭和35年国勢調査と平成7年国勢調査で管内の人口構成を人口ピラミッド比較しますと(表、図は省略します)、昭和35年当時は10〜14歳層が最も多く、その上の世代は年齢が上がれば上がるほど人口が少ないという三角形になっていますが、平成7年では45〜49歳層をピークとする紡錘状構造になっています。
ちなみに、昭和35年というのは管内人口がピークを迎えた年で、当時42万5126人おりました(平成7年国勢調査では34万6546人)。今年10月実施予定の国勢調査では、さらに減ることが予想されます。
≪管内の高齢者のいる世帯について≫
表5(表5)は管内の高齢者のいる世帯の概要ですが、これは平成11年10月1日現在の市町村報告による数字で、データとしてはかなり新しいものと言えるでしょう。ここで注目すべきは、表の中の<比率C/A>と記してある部分、つまり65歳以上の単身で在宅の世帯が全世帯の何%を占めるかということですが、先ほど平成7年度国勢調査で高齢者率が25%を超えることが明らかになった丸瀬布町、滝上町、白滝村がトップ(?)スリーになっています。高齢者率と単身高齢者の在宅率とは何か関連があるかもしれません。このことは今後の研究課題となるでしょう。
≪老人福祉施設入所状況について≫
平成11年4月1日現在で、管内出身の特別養護老人ホーム入居者は1246名で、そのうち管内の施設に入居している人は1209名。ほとんどが管内で充足できていると言えるでしょう。また、管内26市町村中22市町村に23の特別養護老人ホームがありますが、おおむね地元か近隣町村の施設に入居できています。
同じく管内出身の養護老人ホーム入居者は508名で、そのうち管内の施設に入居している人は489名。養護老人ホームでもほとんど管内で充足できているといえると思います。管内には6つの養護老人ホームがあり、地元の人を中心に利用していますが、特別養護老人ホームに比べ施設数が少ない分、ある程度遠方の市町村からも利用されているのではないかと思われます。
以上のように、今回は管内の高齢者の置かれている状況のアウトラインを統計数値を見ながら探ってみました。
「1999年度の活動経過」
5月29日 (北見芸文ホール) 貧困と社会福祉についての学習会
6月19日 (北見芸文ホール) 家族・地域と社会福祉についての学習会
7月17日 (北見芸文ホール) 医療と福祉の連携についての学習会
9月5日 (北見芸文ホール) 社会福祉と生活環境についての学習会
10月16日 (北見芸文ホール) 社会福祉の組織化についての学習会
11月20日 (北見芸文ホール) 社会福祉の課題と展望についての学習会
12月19日 (北見芸文ホール) 今後の活動の進め方についての話し合い1
1月23日 (北見市立体育センター) 今後の活動の進め方についての話し合い2
2月22日 (北見市立体育センター) 社会福祉基礎構造改革の学習予定が参加者不足
で流会
3月21日 (端野町公民館) 社会福祉基礎構造改革の学習予定が参加者不足
で流会