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猿でもわかる!うっき〜

ぱ〜む脱力ゲームの作り方講座


序章 はじめに

猿が本当にプログラミングをするかは、さておき、 パームウェアの開発は実のところ簡単であるという事実に人々は(猿も含めて) 気が付いてないのとおもわれます。何故かといえば、パームOSは オブジェクト指向がもてはやされJavaだ何だと騒がれるご時世にもかかわらず、 その構造はアカデミックな視点ではみるところが無いといった代物であり、逆に我が道を行くといった、 潔いアーキテクチャをもっています。ゆえに万人に理解できることから何百を超えるパームウェアの 存在へ繋がるという好循環をもたらしました。 (これはLINUXと合い通じる設計思想が感じられます。) 技術的にみれば、カーネルは他から買ってきている、全体の構造はMacOSのまね、 バージョンは3に上がってもバグが散在すると、脱力の香りのただようところはなかなかです。 ゆえにパームはこれほどまでPDA市場を席巻しました。これは歴史の必然なのです。 また、DragonBallという数MIPSにも満たないMPUを使用しハード的にも ソフト的にもなにもがんばっていないところがすばらしい。 そして、そのようなプラットホームにもっとも適合したパームウェアとはなんでしょうか? それが”ぱ〜む脱力ウェア”なのです。本講座では、パームウェアの開発の基礎から、 応用として”ぱ〜む脱力ゲーム”を開発していきます。 この講座を通読すれば、あなたも ”ぱ〜む脱力ゲーム”デベロッパーとして世界にはばたくことができるでしょう。

目次

第1章 開発環境の入手

第2章 開発環境の構築

第3章 パームウェアの企画立案

第4章 プログラムの構成

第5章 Makefileの作成

第6章 アイコンの作成

第7章 リソースの作成

第8章 プログラムファイルの作成

第9章 アプリケーションの起動について

第10章 イベントループのプログラミング

第11章 イベントのハンドリング

第12章 ユーザインタフェースについて

第13章 サウンドのプログラミング

第14章 プロファイル/データベースのプログラミング

第15章 シリアル通信のプログラミング

第16章 ビームのプログラミング

第17章 日本語のプログラミング

第18章 ついに完成!脱力ゲーム

第19章 パームウェアの今後


第1章 開発環境の入手

何はなくとも、開発環境を整えなければパームウェアは作れません。もともとアップルの残党の多かった パームコンピューティングでは自分たちが使い馴れているいることもあってメトロワークスのコードウォリアーが 唯一無二の開発環境でありました。これは一般にIDEとよばれるデバッガを含んだ統合環境であり、 定評のある優れた製品です。J-OSに代表される優れたパームウェアがこれで開発されています。 しかし、これほどまでにパームウェアが世に出てきた理由はGCCベースの開発環境が有志の手によって 作られたからだと考えられます。この開発環境はLinuxやFreeBSD上で動きますが、 ウィンドウズ上にも移植されほぼ同じ環境が動くようになっています。

LINUX/FreeBSDでの必要なファイル

UNIXでの環境の入手に関しては次のファイルが必要です。 (これらにリンクはつけていますが、リンク先が移動する可能性があります。 その場合はサーチエンジンでファイル名をサーチするのがもっともよいでしょう。)

ウィンドウズでの必要なファイル

ウィンドウズではコンパイル済みの環境がありますので、それを取ってくることになります。

マッキントッシュでの必要なファイル

コードウォリアーは有償のソフトウェアの上、GCCベースの環境とは大幅に異なっています。 歴史的な理由からGCCベースのフリーな開発環境がないため、 マッキントッシュで開発されたい方はメトロワークスからCodewarrior for PalmOSを購入されるほかありません。 インストールからリソースなどの、ここではその説明はしませんが、それ以外の概念は同じですのでパームウェアを 作成する上で本講座は参考になると思います。

その他の有用なツール

必須ではありませんが、あると便利なツール類があります。 pilot-linkと呼ばれるシンクソフトや IDEの類いのものまであります。その中で最も有用なのがエミュレータでしょう。 これがあれば、パソコン上でプログラムのデバックができてしまう上に Fatal Errorを気にせずためせるため、精神衛生上とってもお勧めです。元来はxcopilotが主流でしたが 現在は POSEもよく使われているようです。

第2章 開発環境の構築

何をはじめるにしても、最初の一歩は障壁のあるものです。PCにおいてソフトウェアのインストールはそのひとつでしょう。 特に開発環境の整備は、つかえるレベルにもっていくだけで結構ほねのおれるものです。 特にLINUXに代表されるPC-UNIXではコンパイルから始めるのが常ですから、カーネルやライブラリのバージョンで 素直にインストールできないことがあります。最近はRedHatのRPMやDebianのdbkgによるバイナリーでのパッケージ化が できるようになっていますが、パームOSの開発環境のパッケージ化がされたという話は寡聞にしてありません。 ということで、PC-UNIXではソースからの構築となります。ウィンドウズでは前章で紹介したようにバイナリのパッケージがありますので セットアップコマンドの起動のみとなります。

LINUXでのインストール

ここでは、 RedHat5.2ベースのLINUXでのインストールの手順を述べます。バージョンが異なったり、 違うディストリビューションでは不具合があるかもしれませんが、LINUXのユーザはそれなりに知識があると いう前提で進めます。
  1. prc-tools.0.5.0.tar.gzの展開
    まず、tar xvfz prc-tools.0.5.0.tar.gzとコマンドを実行してprc-tools.0.5.0.tar.gzを展開します。 これで、prc-tools-0.5.0というディレクトリができます。ここにあるREADMEファイルに インストールの手順が書いてありますので、良く読みましょう。
  2. gcc-2.7.2.2.tar.gzの展開
    同様に、gcc-2.7.2.2.tar.gzを展開します。
  3. binutils-2.7.tar.gzの展開
    同様に、binutils-2.7.tar.gzを展開します。
  4. gdb-4.16.tar.gzの展開
    同様に、gdb-4.16.tar.gzを展開します。
  5. パッチをあてる。
    gcc等はパームOS用のパッチを当てる必要があります。パッチファイルを手で当てることも 可能ですが、prc-tools-0.5.0のREADMEのとおりに行えば自動的にパッチがあたります。
  6. makeをかける。
    パッチがかかれば、あとはmakeをかけるだけです。マシンによりけりですが数十分で終了します。
  7. インストールする。
    この作業は、root権限でおこなう必要があります。 ルート権限になった後、make installとコマンドをうつだけです。
  8. チェック作業。
    まず、prc-tools-0.5.0の中のexampleディレクトリに入って、makeと打ってください。 ****.prcというファイルが生成でいていれば、開発環境は正常に作成されています。
  9. OS3.0の開発環境の構築。
    prc-tools-0.5.0には、実のところOS2.0までのファイルしか含まれていません。そのためOS3.0のアプリケーションを 開発するには生成した環境の includeファイルを置き換える必要があります。 前章で取ってきた3.0のSDKからINCディレクトリを開発環境のインクルードファイルのあるディレクトリに PalmOS3という名前でコピーしPalmOSという名前のシンボリックリンクをはります。 一つだけ、注意点は、このインクルードファイルに数カ所、大文字と小文字の間違いがありますので修正の必要があります。 これは、3.1では修正済みかもしれませんが、これは各自、アプリケーションのコンパイル時にわかりますので ためしてみてください。

ウィンドウズでのインストール

ウィンドウズへのインストールはPC-UNIXに比べて簡単です。ちょっと試すという軽い気持ちではじめられますので こちらが、お勧めです。また、Handspringの公式開発環境はウィンドウズベースですので、これを試すこともおもしろいかと思われます。
  1. win32gcc050-1.zipからwin32gcc050-9.zipまでのファイルの展開
    ZIPファイルですのでその展開のためのツールは前もって用意する必要があります。 すべてのファイルを展開して下さい。
  2. setup.exeの実行。
    part1の中にあるsetup.exeを実行します。これがおわればインストールは完了です。
  3. チェック作業。
    すべての開発はばbashのコマンドラインベースとなります。ここで cd exampleと打ってから、makeしてください。 成功すれば ****.prcというファイルができます。
  4. OS3.0の開発環境の構築。
    UNIXベースの開発環境同様、このままではOS3.0のアプリケーションを作成することはできません。 そのためやはり、includeファイルを置き換える必要があります。 前章で取ってきた3.0のSDKからINCディレクトリを開発環境のインクルードフォルダとおきかえてください。 なお、ウィンドウズは大文字、小文字の区別が希薄なので Linux環境のようにファイルを修正する必要はないでしょう。

第3章 パームウェアの企画立案

大抵の人は、一念発起して、さあ、つくるぞ〜!と勢い込んでも、何をつくりゃいいの? とハテナマークが50から100個は頭の上を飛び回ってることでしょう。 パームウェアは既に1000のオーダーを超えています。そのため、ちょっとしたアイデアのアプリケーションは 既に存在しているとおもって、まず間違いありません。 ちょっと、試みにMuchy's Palmware Reviewを覗いてみてください。 すごいでしょう?な〜んだ、もういっぱいあるじゃないか。もう、や〜めた!と短絡的に考えないでください。 斬新なアイデアだけではなく、ちょっとした改良だけのアプリケーションであっても、 パームの世界の多様性をふくらますことになりますし、 現在も大多数のデベロッパーはそういう考え方に基づいてパームウェアを発表しているのだと思われます。 とはいえ、つまらないソフトウェアでいいのかと言えば違います。アイデアはやはり重要です。 アイデアは、作り手自体の夢を膨らませられるものでなければ、結果的にユーザだって使ってくれることはないでしょう。 また、それを売り物にするのであれば、なおのことであり、それに対して真剣にならざろうえません。 本講座では、まだ、プログラムを作ったことのない人にも、その辺を疑似体験してもらえるよう、 パームウェアの企画立案から入ろうと思います。

なにを作るのか?

世に”ぱ〜む脱力ゲーム”を広めるための講座というのが依頼の主旨ですので、 そこからはずれることはできません。 というわけでゲームなのですが、 上に偉そうなことを書いた手前、”へなへな企画”にするわけにはまいりませんね。 タイムリーであって、類似のものがない。プログラミングの学習も目的としますから、 比較的単純なものである必要があります。そして考えたのが次のようなものです。
  1. ゲームの名称:PalmBug
  2. コンセプト:Y2Kバグを退治するためのプログラマの判断力を養成するゲーム(なんじゃそりゃ?)
  3. 操作:RUNボタンとPATCHボタンのみ
  4. ゲーム結果:バグがあるプログラムをRUNさせると”致命的エラー”本当に起こる。(おお、恐い!)
です。どんなもんでしょ?

クリエイターIDの登録

すべてのパームウェアは他のパームウェアと識別できるようにそれぞれがIDをもっています。 これがクリエイターIDです。これは4バイトのアスキー文字です。 例えば、標準のメモアプリは”memo”というIDをもっていますし、 アドレス帳なら”addr”だったりします。 この辺は、Macに良く似ていますが、パームの場合は登録制になっていることが異なります。 つまり、パームウェアを世に出すつもりがあるなら、これを決めて登録しなければなりません。 ”え〜っ、そんなの後でいいでしょ!”とか”ほんとに作るかどうかわからないからなあ〜” という声がきこえてきそうですが、そんな根性ではいけません。 これは、最初に登録すべきものなのです。でなければ、途中でなげだしたりするとか、 仮につけていたIDを変更しなければならない目にあうのです。(困りますね。) それに、登録といっても面倒な手続きがあるわけではなく、 パームコンピューティングのWEBサイトでオンラインでできるようになっています。
  1. クリエイターIDの登録画面にいく
    登録はパームコンピューティングのデベロッパーゾーンにあります。http://www.palm.com/devzone/index.htmlがそのアドレスです。 その中にCreator ID Databaseというところがあります。 ここに登録のメニュー(Register a Creater ID)が見えるとおもいます。
  2. クリエイターIDの決定
    4文字のアルファベットならなんでもいいというわけではありません。 少なくとも1文字は大文字がはいっている必要があります。(小文字だけのIDはパームコンピューティングに予約されている。)
  3. 既存かどうかのチェック
    あなたの取りたいIDはすでに取得ずみである可能性があります。 これは、やみくもに登録してだめだった〜と解るようなやり方でもいいのですが、もっとスマートに調べることができます。 ”Search for a Creater ID”というのがそれです。試しに、ここの窓に”kuma”と入力して、 ”Search”ボタンを押してみてください。”KUMA”と”Kuma”というアプリケーションが登録済みなのがわかります。 (もし、それでも、kumaがよければ ”kuMa”とか”kUmA”なら登録可能です。;ーP)
  4. クリエイターIDの登録
    こんどは、ほんとうに登録です。”Online Registration”というリンクをクリックしてください。 すると、登録画面になります。クリエイターIDを筆頭にアプリケーション名、電話番号、電子メールアドレスなど、 必要事項をすべて記入したのち、”Submit”ボタンをおしましょう。成功すればその旨のメッセージが表示されることでしょう。
ともあれ、本講座ではここで作成するパームウェアを”pBUG”として登録しました。

第4章 プログラムの構成

パームウェアを構成するファイルはGCCベースの環境の場合つぎのようなものです。
  1. メイクファイル (Makefile)
    プログラムのコンパイルなどを記述した手順書のようなもの。
  2. ヘッダファイル (****.h)
    定数や決まりごとを記述したもの。
  3. Cソースファイル (****.c)
    プログラムを記述したもの。
  4. リソースファイル (****.rcp)
    画面ユーザインタフェースや、メッセージなどを記述したもの。
  5. ビットマップファイル(****.bmp)
    アイコンなどの絵のデータ。
 註)****には任意のアスキー文字がはいる。

プログラム規模によっては複数のCソースファイルに分割したり、 たくさんのビットマップファイルをつかうことがありますが、 基本的にはこのような構成であることには、かわりがありません。 次章からはいよいよ個別のファイルの作成にはいります。

次章へ


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