
反WTO 反企業グローバリズム・グローバライゼイション
○反WTO運動について
○グローバリズムに異議を唱える諸団体
○反IMF運動の主張
○反グローバリズムを超えて
グローバリズム(globalism グローバライゼイションともいわれる)はものやサービス・資金の流れが国境を越え、自由に往来することをさす。現代の開発経済では貿易の恩恵が途上国によって享受されることにより先進国も利益を受けるとともに途上国も開発が進むとされ、グローバリズムは本来、途上国発展のためにも好ましいはずであった。
ところが、実際には、1980年代以降、グローバライゼイションが世界的に進行しても、東南アジアなどの一部を除いて、多くの途上国では期待した開発が進まなかった。途上国政府は先進国主導の国際社会で先進国に翻弄され、その従属的な立場におかれることに麻痺していたため、本来彼らを豊かにするはずのグローバライゼイションの利益が一向に彼らに向かわないことに大した興味を示さなかったが、この事態を「先進国の横暴で独善的な国際社会での振舞い」に原因があると見抜いたNGOの中に、国際経済秩序への反発が広がる。彼らの正義への要求・不合理な国際経済秩序への怒りが頂点に達したのがシアトルWTO閣僚会議であった。彼らの要求に共通するのは『「グローバリズム」の利益を途上国が享受できるように国際経済秩序の不合理を正せ』ということであるが、そのターゲット・運動方針は組織によって異なる。
ある組織はグローバリズムは世界をまたにかけて利益を追求する多国籍企業が利益を得やすいようにWTOなどの国際経済秩序形成のシステムを利用してきたのであるとして、ターゲットを多国籍企業に求める。彼らの主張はグローバリズム批判というよりは「多国籍企業による世界支配=企業資本主義」批判である。
また違う組織は、先進国が自分たちの好きなように国際経済秩序を形成する場として利用してきたWTOを批判する。また違う組織はグローバリズムと途上国経済運営への支配・環境破壊に着目し、IMFや世界銀行をそのターゲットとする。
また彼らの運動方針は、ターゲットとする組織へ積極的に働きかけることによりその改革をめざすものや、ターゲットに働きかけるよりも、世論に働きかける事を重視し、間接的な圧力を加えようとするものもある。
○
反WTO運動について
WTOとは
貿易に関する多国間の取り決めを行うため、設置された機関。
前提として、批判が強いWTOになぜ各国が参加するのかについてふれておかなくてはならない。WTO協定は貿易に関する協定(ルール)であり、WTO加盟国同士の貿易は基本的にはこのルールに乗っ取って行なえばよいため、当該国は貿易に関して相手国と二国間協定を結ぶ必要がなく、手順を省くことができます。WTOに加盟した方が貿易協定において有利であるという発想が各国政府にはある。つまりWTOに加盟すると、平等互恵・多角的な貿易環境を入手することができる。貿易の利益より不利益の方が大きい、あるいは特定少数の国との貿易だけが自国利益になるという国は、WTO加盟のメリットはないわけであるが、世界のほとんどの国は、多くの他国との貿易が自国の利益になると考えている。
またWTOは紛争解決手段を持っているため、貿易に関する紛争が生じた場合は、この紛争解決手段を通じて問題を解決することができ、このことは途上国を含めた多くの国々にとってメリットであると考えられている。
貿易と開発に関しては、貿易がある場合、貿易当事国のGDPは貿易がない場合より早く成長することは一般に認められており(*)、これが、WTOが貿易を促進する理論的根拠となっている。もっとも短期的にはかえって貿易が国の経済成長を阻害する場合があることや、貿易の結果、経済が成長しても、その利益が貧困削減に役立たないことも経済学者の間では指摘されている。貿易に関する経済理論的な是非の議論は後に見ていくことにする。
中国は2003年にWTOに加盟したが、中国のような大国の場合は、貿易の利益以外にも、国際経済秩序の形成に関与したいとの思惑があった。現在の国際経済秩序はWTOを中心に形成されており、これに積極的に関与していかなければ、国際経済秩序形成における発言権をもてなくなってしまうと考えられた。
反世界銀行・反IMF運動との共通点も多いが、ここでは反WTO運動の主張を見ていきたいと思う。批判は世界的NGOであるGlobal Exchangeの主張を参考とした。
@WTOの非民主的な運営・途上国が参加できない意思決定
WTOの運営はアメリカやEUに牛耳られており、主要部の決定には途上国が参加できないとの批判がある。
重要な決定については事前にグリーンルームテーブル(green room table)という密室協議が先進国の間で行われ、案文の概要がそこで決定した後で、途上国側に案文が提示されるため、途上国側の意見が反映されにくいとするのである。
グリーンルームテーブルは招待制となっており、建前上、途上国が参加を拒否されるということはないが、こうした決定はジュネーブのWTO本部で年間相当数にわたって行われており、担当者を常駐させ、その動向を把握する能力を有しない途上国にとっては能力上の問題も生じてくるとの指摘もある。
参考
これに対し、WTO側ではWTOの議決は一国一票の多数決を原則としており、 従来全会一致以外の決議を行なったことはないと反論する。 WTO 1.7.10文
従来途上国グループの意見が決議に反映されなかったのはひとつには途上国側の意見が集約されなかったためという点もあり、今回(カンクン閣僚会議)のG21グループの活動などをみると必ずしも「非民主的」と切り捨てられない部分があると考えられる。特に国内農業に異常な保護を行なっているアメリカ・EUは「平和条項」peaceclouse にこだわっており、途上国からの農業保護への紛争裁定を避けるためにも途上国を融和せざるをえなくなっている。
カンクン閣僚会議ではアメリカは農業問題においてアメリカの主張に批判的なG22諸国の切り崩しを行うため、パウエル国務長官が直接に途上国政府に対し、経済援助の中止等をちらつかせた恫喝を行ったとされる。
AWTOは労働基本権を侵害する
WTOにおける投資促進ルールの決定は途上国を中心とする受入れ国側の労働基本権を侵害するとの批判がある。労働
基本権の侵害は国内法上の問題といえなくもないが、WTOは実質的にそれを強制する側面があるのも事実である。この点については途上国側でも認識しており、現在、労働基本権を侵害しない形での投資ルールが模索されている。 最近では労働基本権に関する協定をWTOが行うことについては猜疑的な意見が強くなっており、新規加盟国が国内法を調整する必要が生じる場合を除いて、問題が生じる場合は考えにくくなっている。
SWEATSHOP WATCH 多国籍企業が途上国で過酷な労働条件で労働者を酷使することを批判し、改善のために運動貧困削減については国連を中心とするスキームがあり(UNCTADなど)、そこで包括的な交渉が行なわれるのであるから
WTOなどという機関は必要ないという点もまた主張される。
・ 人々を幸せにしない
(失業の輸出)
「幸せにしない」は多元的な意味を含むと考えられるが、経済的意味においてはまず第一に、グローバリズム(多国籍企業主導による貿易自由化)がもたらす産業破壊・失業問題がある。
アフリカでは、80年代以降、多くの国でGDPが減少している。経済学者は輸入による国内産業部門での損失の一方で、輸出による利益が発生し、トータルでは厚生は増加するとの貿易自由化の利益を熱心に説いた。IMFや世界銀行による 教義の押し付けに抗しきれず、農業部門での輸入自由化を促進したアフリカ各国に、政府補助金で国際価格を破壊したアメリカや中国の綿花が流れ込み、アフリカの国々ではその得意とする綿花栽培さえ優位性を奪われてしまった。
本来、比較優位を有する農業分野に、補助金を武器にした安価な農産品を持ち込まれる一方で、輸出産業が振興せず、
農民を中心に失業者が増加しているのが、アフリカの実態である。
(不平等の拡大)
グローバリズム(自由貿易)はまた、先進国及び途上国において、不平等を拡大する。自由貿易の結果、要素価格均等化が働き、先進国においては熟練労働者と非熟練労働者との賃金格差が起きることは既に予想されていた事態である。結果として先進国の非熟練労働者の賃金は、途上国の労働者の水準まで、労働力の輸出入がなくても均等化されるとされる。これは先進国の非熟練労働者にとっては「不幸」以外の何者でもない。結果として先進国の非熟練労働者や非生産的部門の労働者は新分野に配置換えが行われ、国の生産性は向上するとされるが、それはあくまでもマクロ的かつ長期的な均衡を期待したものである。賃金が引き下げられ、あるいは失業し労働者にとって「これは構造改革の過程です」と説得しても納得が得られることは難しい。
実は、自由貿易による輸入が国内の同一産業の一部に被害をもたらすことは経済学では予想されていた。輸入による 被害がある一方で、輸出利益が生じ、トータルではプラスになる。従って輸出による利益から輸入により不利益への賠償が行われなくてはならないとされていた。(特殊要素モデル)ところが多くの国でこの賠償は適切には行われていない。
アメリカをはじめ、多くの先進国は輸出者としての利益を享受する一方、途上国が優位性を有する商品については、その輸出に商社として介在することにより途上国か ら輸出利益を奪い取った。その結果が途上国の不幸をもたらしている。
* 特殊要素モデル
リカードモデル、ヘクシャー・オリーン・サミュエルソンモデルと並ぶ貿易理論。リカードモデルは生産要素は労働のみ、部門としては輸出と輸入の2部門を想定する。技術力格差(投入労働の効率)により比較優位が生じると説明する。ヘクシャー・オリーンモデルは資本・労働の2生産要素と輸出輸入の2部門を想定する。これら要素の賦存状態により比較優位が決定される。特殊要素モデルは労働・土地・資本の生産要素と生産2部門を想定する。労働は輸出・輸入部門を自由に流動することができるが、他の要素は生産部門間を移ることができない。従って、自由貿易は輸出部門の生産要素や労働者には利益を与え、逆に輸入部門の労働者や生産要素には不利益を与える。
一方で、80年代の東南アジアや現在の南アジアのように自由貿易と直接対内投資の恩恵を受けている途上国もある。
WTOは機関(WTO)への参加は各国の自由意志であると主張するが、実際にはアメリカなどのスーパーパワーの圧力で、途上国側も機構への参加は実質的に拒否できなくなる。自由貿易が自国の利益にならないと判断した国が、圧力なく機構を撤退できるようなスキームが必要であるとともに、WTOを利用して、貿易により自国の開発を進めようとする国が、貿易による利益を享受できるようにWTO組織が改革されていく必要がある。
グローバリズムの進展の結果、途上国がより貧困化し、さらに途上国の内部でも所得の不平等を拡大することが経済学者からも報告されている。Barroは実証研究から途上国における貧富格差の拡大が成長にマイナスとなることを示し、またAghionも同趣旨の実証結果を発表している。
(これらの研究は自由貿易がもたらす影響に関するものであるとの明示は行われていないが、ヘクシャーオリーン効果への言及があるなど、自由貿易による影響を前提とした研究である。)
不平等は成長にマイナス
Barro “Inequity and Growth in Panel of Countries”(途上国では不平等は成長にマイナス)
Aghion “Schumpeterian Growth Theory and the
Dynamics of Income Inequality”
Claudio Schuftan “Globalization and its negative consequences”
Persson and Tabellini(HPなし)
Perotti (HPなし)
Rodrik and Alesina “Distributive Politics and
Economic Growth”(94)
Benhabib and Rustichini
Benabou “Inequality and Growth” こちら
中立
Banerjee “Inequity and Growth: What can the Data
say?”
不平等は成長にプラス
Forbes “A Reassessment of the Relationship Between Ineqality And Growth”
データの演繹手法において、所得不平等は経済成長にプラスと報告。不平等と経済成長に関する従来の演繹手法におけるomitted variable bias(変数省略化バイアス問題へ対応。DeningerとSquareによる信頼度の高いデータを用いて、不平等がなぜ成長を促すかをPanel(調査)方式にて分析したと主張。
自由貿易が要素価格均等化を通じて先進国における非熟練労働者の賃金を引き下げ、先進国における貧富の差を拡大することは早く(70年代)から予想されていた。
またクズネッツは有名なクズネッツカーブを主張し、経済成長の過程で、途上国においては一旦は貧富の格差が拡大するが、やがて経済成長が進むにつれ、格差(不平等)は縮小に向かうとした。
最近では公然と不平等が経済成長を促すと主張する経済学者が出現している。(その中には信念としてそれを主張する者と実証研究の結果、そういう結果となったと主張する者がいるが)
経済的な不平等が経済成長に好ましいという主張が「経済成長は望ましい」という一般的な合意と結びつくと「経済的な不平等は望ましい」という結論になる。これはまともな感覚を持った良識人には極めて異様な主張に感じられるが、今日の市場原理主義に支配された経済学では必ずしも異端的な主張でもないようだ。
ケインズ経済学を中心として、国家の所得再配分機能を重視する経済学者は、倫理的な問題ではなく、純粋なマクロ的立場から、高額所得者から低額所得者への所得再配分を正当化してきた。なぜなら低所得者の貯蓄性向は高額所得者よりも低いからである。貯蓄性向が高い層から貯蓄性向が低い層への所得再配分は、国の貯蓄水準を低め、投資水準を高める。このことが国の経済成長に有意義であると考えられたのだ。
グローバリズムの非難される点は結局はここに集約される。社会変動のマイナスはすべて「貧しい人々」に集中して現れる。
国内はもちろん国と国との間でも。グローバリズム推進者たちは、今までの政府の配分機能が大き過ぎたのだ(貧しい人々は過度に保護されていた)、政府を小さくし、市場機能を強化すれば経済が発展し、貧しい人々も救われるよと主張する。
しかし実際には、貧しい人々は一向に救済されない。途上国の経済は成長する場合もあれば、成長しない場合もある。いずれの場合も貧しい人々の生活はより悪くなる。理由は、小さくした政府にとってかわる者は「悪意に満ちた」者たちだからだ。グローバリズムの波に乗って海外からやってくるのは公営サービスを安く買い叩き、これで一儲けをしようとする勢力であり、国内で労働者を酷使し、他の地域で産出した商品を売りつけようとする輩だ。彼らの収益の一部が国内に落ちる場合は、経済が成長することがある。彼らに収奪のみ行われる場合は国内経済は混乱し、経済成長がマイナスに終わる。
この事実を無視して、「後で豊かになるから、今は我慢しろ」と言われても同意を得ることはできない。途上国の人々にとては公共サービスの低下と失業の同時到来は「死」を意味する。しかも今我慢しても 影響に未来は到来しない。悪意に満ちた占領者はその手を緩めることはないからだ。
しかしながら途上国の市民の意思を無視して彼らはWTO・IMFや世界銀行を利用して、途上国に自由化を押し付けることができる。途上国政府が国際的な負債を抱えているからだ。自由化=構造調整を受け入れなければ融資を行わない(=政権担)当者に明日はない)と恫喝することで、彼らは自分たちの自由化を押し付けることができる。関心は利益にしかない。途上国市民が生きようが死のうが関係ない。生きようが死のうが関係ないが、はっきり言うと不都合が生じるので「ミレニアムゴール」のような幻を提唱し、途上国市民と先進国の啓蒙された人々を欺瞞する。「われわれも一生懸命貧困削減に努力してますよ。われわれも味方です。一緒に貧困という敵と戦いましょう」と。
グローバリズムは失業の輸出・不平等の拡大の他、環境を破壊し、途上国の人々から薬を奪い、その労働をより過酷にし、公共サービスの水準を低下させるとして強い反対を受けている。
IMFなどの最近の研究によると、自由貿易は途上国においても、先進国においてもさほど大きな所得不平等の要因とはなっておらず、むしろ、技術進歩への対応力、具体的には教育水準やパソコンへの習熟度などの要因の方が、所得不平等拡大の要因としては大きいとの見解が有力であるとされている。
C民営化によるサービス水準の低下
WTOにおいて促進される民営化の推進は途上国をはじめ、各国の国民サービス水準の低下をもたらすとの批判がある。 IMFらは水資源(water)・健康関連(health)などの民営化を進めるが、これは人々から従来無償で手に入れていた資源(resource)を奪うことになる。
なおWTOはGATS(General Agreement on Trade in Services)協議で、水を含めあらゆる公営サービスの民営化を推進する決定を行ったことはないと反論している。IMFは構造調整プログラムの中で公共サービスの民営化を主張するケースが多い。
公営サービスの民営化はサッチャー・レーガンの時代に着手され、途上国だけでなく、先進国の市民にも大きい影響を与えている。
例
郵政民営化 ドイツ・
鉄道・バス民営化 ロンドン地下鉄・ローマバス
公営住宅民営化 イングランド
航空管制民営化 ヨーロッパ各国
航空会社民営化 ビーマンバングラデシュ
公立学校民営化 アメリカ合衆国
電力 アメリカ合衆国
PFI事業 イングランド水道
電話についてはほとんどの国で民営化
参考 Whirled (ぐるぐる回す)Bank World Bankをパロディで批判
War On Want グローバリズムの下で途上国に強制される民営化に反対するNGO
Privatization.org 民営化反対の国際組織
Citizen’s Network on Essential Services 市民運動によるガバナンスの民主化運動
Social Watch グローバリズムと民営化の及ぼす悪影響に反対するNGO
民営化の背景には政府の効率性への疑問がある。民営化を推進する勢力は、民営化により資源配分の効率化が進むと主張する。
例)世界開発報告2004
一方、民営化に反対する勢力は、民営化特に、保健・水資源などの生活に不可欠な資源の分配を民間にまかせることは、これら資源への接近性を保証する人権規定をないがしろにするものと主張する。また反対勢力は各国で起きた民営化による資源配分の失敗例を例示し、これへの反対を表明する。
D環境破壊→反グローバリスト参照
WTOによって促進される農業自由化や投資自由化は結果的に途上国を中心とする受入れ国の環境を破壊するのだという批判がある。
E殺人機能
WTOにおける知的所有権保護はエイズ薬問題にみられるように、先進国の特許権者の利益を厚く保護し、途上国の人々の生命を危険にさらすとの批判がある。これに対しては先進国側からは投資環境を整え、外資を導入して経済発展を図るためには知的所有権の保護制度がなくてはどこも投資しないとの反論がなされ、それに対し、そもそも外資を導入しても企業利益は外国に持ち出されるので、国内の経済発展にはあまり寄与しないのだとの再反論がなされる。エイズなどの緊急課題については当然に除外措置を考えるべき点で世界各国は共通認識に立っているが、アメリカだけはこの論理が理解できないようである。
F主権侵害
WTOは国家単位でのルール決定機関であるため、国内ローカルルールを認めない。各国には国内にローカルルールをもち、地方が主権を持つ国があるのであるから、WTOはこれら地方の主権を侵害しているといえるとの批判がある。
(以上@〜Fの参考)
Global Exchange WTOに反対する10の理由
グローバルエクスチェンジはサンフランシスコに本部をおく人権擁護団体。自由貿易が途上国に引き起こす搾取工場(sweatshop)問題にも取り組む。現在具体的にはナイキやGAPの搾取労働への反対キャンペーンを実施。
ITrade ObservatoryはadeaInstitute for
Agriculture and Trade policy が主催。農業分野におけるフェアトレードを中心に、WTOの問題点の指摘などを行う。 農業問題・南北問題に取り組むNGO系政策調査機関
BBC WTOカンクン閣僚会議に関する記事
途上国の発展を目的とするNGO 11月のドーハ閣僚会議に代表が参加
貧困削減・平等社会の実現を目指す国際組織。
最近のNGOの主張の中には、WTOの投資協定は途上国の利益にならないので、協議を中止するべきであるが、その他の農業分野などにおいては、WTOを途上国の利益を図る場として積極的に利用しようとする立場が見られる。
Oxfamにおける主張
実際に、カンクン閣僚会議の決裂以降、ジュネーブ本部での協議は、先進国が要求する投資自由化(シンガポール)問題については、途上国側の一致した協議拒否の一方で、農業問題についての途上国側からの、先進国に対する補助金削減要求が先鋭化し、非農業品(NAMA)に関する協議が進まない事態となっている。
反WTOのNGOが共同署名する「我々の世界は売るためのものではない」 (原文)
A SEED JAPAN さんのHPより
○WTOにおける農業問題に関するグループ対立農業問題については複雑なグループ対立がある。
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日本 |
EU |
アメリカ |
途上国 |
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関税引き下げ (市場アクセス) |
平均36%引き下げ・最低15%引き下げのウルグアイR方式を主張 |
同左 |
スイスフォーミュラー方式で5年で、25%までの削減を主張。(ブラジル・カナダ・ニュージーランドなどの農産輸出国も同じ) |
関税引き下げを要求(先進国のみ)・先進国の関税割り当て拡大 特別品目設定(途上国) |
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関税上限 (市場アクセス) |
設定に反対 |
設定に反対 |
設定を強く要求 |
先進国は設定 |
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輸出補助金 |
農業補助金の平均45%削減を主張 |
撤廃 |
5年ですべての輸出補助金を撤廃 |
即時撤廃 |
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国内支持 (国内価格維持) |
削減に努力 |
CAP改革で削減 |
削減 |
青の政策の廃止 国内支持の大幅な削減 |
WTOカンクン閣僚会議ではシンガポールイシューについての合意が得られなかったため、農業問題についての議論に話が進まなかった。
「複数の関税引き下げ方式を併存させ、国内保護が必要とされる特定品目については関税引き下げ方式に柔軟性を持たせる」というのがEUと米のカンクンWTO閣僚会議前の合意事項。関税引き下げに柔軟性をもたせることは日本の要望を容れたものであるが、この合意では関税上限は残っていたため、日本は不満を表明していた。
CAP(共同農業政策) EUではCAP改革として 国内支持としての価格補助から、生産者への直接支払いへ変更
反IMF・世界銀行(いわゆるブレトンウッズ体制)運動はBの構造改革政策批判に集約される。過去の実績からいって、レーガンのアメリカで大失敗した政策を途上国に強制し、ことごとく失敗に終わってきたのだから、その政策を見直せというものである。
@ 主権問題
反G8運動を含め、反IMF・反世銀運動のひとつの主張は民主的に選ばれたわけではないIMFや世界銀行という組織が地球の将来にかかわるような重要な事項について、密室の中で決めること(accountability)への反感がある。これに対し、G8やIMFでは市民団体との対話を取り入れる方向に動いているが、十分ではないと批判されている。
World Development Movement 途上国開発のためのNGOにおけるIMF体制批判
Aフェアトレード問題→WTOによる労働基本権侵害参照
これは従来の労働運動の展開とも密接な関係がある。グローバリズムの展開による発展途上国への生産拠点の進出は通常、スウェットショップなどの過剰労働問題を伴う。工場進出を促進するため関税特区が設けられるケースが多いが、多くの場合、このような関税特区では労働運動が制限される。反グローバリズム団体は途上国労働者の人権擁護の立場から、このような形態での資本の進出を批判し、経済進出の国際ルール作りを求める。
B世銀・IMFの構造調整(structural adjustment)政策・開発政策への批判
*
structural
adjustment政策
IMFは途上国に対し、経済支援を行う場合に、国の財政収支を改善するため、社会福祉を含む大幅な財政支出削減を要求する。これが構造調整(structural
adjustment)政策である。
この批判は50 years is enoughなど多くのNGOが展開。開発途上国市民支援の立場から、IMFの構造改革プログラムが市民生活に過大な負担を強いていると主張。また世銀の進める開発政策やダム建設も同様の理由から批判している。世銀がこれらの批判を考慮して包括的アプローチを導入したのに対し、IMFは構造改革プログラムの正当性を強く主張している。
IMFは2001年のアルゼンチン国家破綻への対応が満足なものではなかったと認めた。2004.3.24
IMFが途上国開発において従来、必ずしも有効に機能しなかったことを自己で認めたレポート 2003.3.17
* 日本の中でもIMF政策についての見方は分かれる。韓国はIMFの管理下厳しい経済統制がおこなれた。財閥解体などの構造改革を経て韓国経済は再び上昇気流にある。
参考 Global Issuesにおけるアヌ シャー氏の論評「構造調整は貧困の主因」
Bretton Woods Project(IMF 世界銀行の政策を監視するNGO)の論評「PRSP」
Essential
Action 「 How Structural Adjustment
Worsens Poverty 」
50 years is enough 世界経済の公正化をめざすアメリカ本拠のNGO
C農業保護批判 →WTO参照
農業保護批判はフェアトレード問題とも密接な関係を有する。農業保護批判の主張は先進国の農業補助金が、貧しい国の農産物の輸出を阻害し、農民の生活向上を妨害していると批判する。一方で、先進国は途上国の農地所有権の解放・自由化や日用品関税の引き下げを要求しており、これらは結果として、農民の失業・国内産業衰退による失業などの問題を引き起こしているとしてグローバリズムを批判する。先進国の農業保護に対する批判はNGOだけではなく、カンクンWTO閣僚会議でも広く、途上国政府から批判された。もっとも農業保護を緩和するべきという点で各国の利害が共通するのであれば、一層WTOなどの場を活用するべきであるという意見が強まってもおかしくはない。
参考 : Global Exchange Campaigns (上記参照)
D債務削減
世界銀行などに対する利払いは貧しい国から貴重な財源を奪うことになる。これがなければ貧しい国々は自己の力で教育や健康関連施設を整えられるはずでまさに負の悪循環となっている。
先進国が有する途上国向けの債務の放棄・減免を主張。キリスト経系のジュビリー2000など。ちなみに途上国向けの最大の債権国は日本。日本の対外援助は欧米に比べ比較的好感度は高い。質を問わず債権を放棄すればよいというのは妥当なのか?なお自由な為替投資に課税するべきとの主張(attac トービン税= 国際為替取引への課税を主張)も反グローバリズムの一種か。
ケルンサミット(2000)ではじめて重債務国の債務免除が議論され、毎回サミットでも債務免除問題が話題となった。サミットをとりまく反グローバリズムNGOの力がアフリカ諸国へ高価な薬を売りつけようとする企業を動かし安価なエイズ薬を提供させ、債務免除を約束させた。その活動の成果であることは疑う事が出来ない。
国内でもサンケイなどの特殊思想を有するメディア(有するだけなら無害であるが 流布しようとするから有害である。もっとも賢明な日本国民がこのたぐいの新聞に騙されるとはおもえないが)は債務免除に反対している。まあヒューマニズムというものとかけはなれたところに生息しているのであろう。
むろん、わが国の不良債権問題の解決に銀行経営陣の責任追及が必要であるように、債務免除についても債務免除後同じ事態が繰り返されることがないようケアがされる必要がある。
債務免除(HIPC)に関する概要は
Jubileeplus日本語では北沢洋子氏の「Jubilee2000総括論文」がわかりやすいと思います。
またトービン税導入を主張する団体として参考:IMFのグローバリズムに関する見解(英語)
○国際的な経済組織であるWTO・IMF・世界銀行すべてに対し批判的な主張。
@企業グローバリズム反対の立場から現代のグローバリズムを批判
企業グローバリズム批判は現在の国際社会は多国籍企業の利益により政策運営がなされているため、彼らの行動に都合がいいように投資ルール・労働基準権の侵害が行われ、ひいては発展途上国の産業破壊が行われていると批判する。
反グローバリズム運動の中でも、このグループは明確にその背後にある企業グローバリズムを批判する。この点において、他の反グローバリズムグループとは一線を画する。WTOやIMF・世界銀行を改革しようとした場合、運動のターゲットをそれらの機構そのものとするのか?各国政府とするのか?または機構を支配するグローバル企業をターゲットとするのか。このグループは最後の方針をとる。
その主張は社会主義的発想に近いものがある。社会主義的発想では70年代に完成された独占資本が各国政府を支配し、また政府による福祉政策による労働者包摂により、その経済的支配本質を隠蔽するいわゆる「国家独占資本主義体制」が、80年代に入りレーガン・サッチャーの下で、よりその本質をむき出しにし、むしろ政府を片隅に追いやり、IMFなどの機構を通じて国際的にもっとも効率が良いと自分たちが考える方法で自由にふるまおうとする「グローバル企業による資本主義」の時代に移行したと規定する。
この規定まではアナーキストもほぼ同じである。社会主義者が「労働者の権利や自由が守られる社会主義」を志向するのに対し、アナーキストは原始共産制に近い体制への回帰を志向する。アナーキストの主張は先進国の一部の人々の賛意は得られても、貧困削減にどの程度の有意性を有するのか、判断しかねるとしかいいようがない。
企業グローバリズム批判はIMFやWTO体制の批判としては極めて強い説得性を有する。IMFが嗜好する構造調整プログラムの批判においても、企業グローバリズムをその背景として批判するのでなければ、単に現象としてのその被害を訴えることしかできず、その場合の責任はこれら機構のスタッフの個人能力やイデオロギーの問題に帰されてしまう。
企業グローバリズム批判は企業グローバリズム資本主義批判であるから、その批判はイラク戦争などの帝国主義的戦略や環境汚染・貿易問題・途上国における労働基本権侵害・投機マネー規制の広範囲に及ぶ。
企業グローバリズム批判NGO
Corp Watch サンフランシスコに本部を置く企業資本主義(corporate led capitalism)批判団体。人権・人間尊厳の回復をめざし、企業資本主義の蔓延を批判する。現在のグローバリズムは多国籍企業を中心に展開されていると批判。
(Corp WatchではグローバリズムはCorporate-led Globalismと呼ばれている)
グローバルトレードウォッチ(GTW)
消費者と環境のための運動で、企業による民衆利益の侵害に反対し、民主的な社会形成を目指すPublic Citizenが主催
GTWは95年に、Public Citizenが、グローバリズム進行の中で企業と政府の説明性を高めることが消費者利益及び環境に役立つと考え結成 (Public CitizenではグローバリズムはCorporate Globalismと呼ばれている)
参考 科学技術自然資源政策調査基金 ベンダナ シバ氏 インタビュー PBS 2000.4
○企業資本主義批判の出口
企業資本主義批判者が「現代のグローバリズムが多国籍企業によるWTO・世銀・IMFなどの機構を利用して行われている」と主張することは正鵠を得ていると言わざるを得ないが、その出口についてはどこになるのだろう。
マルクスは現代の経済・社会制度が資本家たちの階級支配の上に成り立っていると主張した。そして階級支配を打破するため、階級闘争が必要だと論じた。一方で、企業資本主義もまた、その実態を多くのベールのむこうに包み隠してはいるもののその片鱗が見え隠れしている。企業資本主義を打破するためにはひとりでも多く、その実態を認識する人々が出現する必要があるが、企業資本主義の打破によるグローバリズムの「人民の手への回復」の道筋はどのようなものになるのだろうか。
コープウォッチはその活動の中で、ナイキのベトナムにおけるスウェットショップ問題に取り組み、その状況を改善させた実績を有する。
Aグローバリズムに反対する地球ネットワーク
oneworld 1250の団体の集合体。持続的開発と人権推進を目的とする。 報道機関的性格が強い。
環境・支援・ボランティア・教育など幅広い分野を取り扱う
Globalpolicy 国連の政策決定をモニター
Africapolicy アフリカへの国際援助について提言
Globalissue 地球規模の問題についての相互関連を明らかにすることを目的とする論評集
投資の自由化は貧しい国々を豊かにはしない。投資の自由化が多国籍企業の利益を図るもので、途上国の開発に役立つものでないことは明らかになっている。すでに世界銀行はこのようなワシントンアプローチを放棄し、被援助国の自発性に重点をおいた包括的開発アプローチを採択するにいたっている。にもかかわらず、ジェノバサミットでブッシュとか言うテキサスの石油企業の番頭大統領は経済自由化こそが途上国開発に役立つと宣言した。
出来の悪いギャグである。この人や南部アメリカ人の脳の中は200年前から進歩していないのか?
B反グローバリストの主張 環境保護の立場から
環境保護団体は持続可能な開発に重点をおく。グローバリズムに対しては必ずしも反対はしていないが、現在の国際経済組織(WTO・IMF・世界銀行)のあり方は、企業利益を中心とし、環境破壊を厭わないものであると批判的である。
C反グローバリストの主張 労働者の立場から
労働運動の立場からもグローバリズムの展開には批判的意見が大勢を占める。
(1) グローバリズムが労働団結権などの基本的権利をおびやかす
グローバリズムは途上国が先進国の投資を受け入れやすくすることが開発につながると主張し、途上国における労働基本権などの制限を求める。労働運動側ではこれを批判する。
99年廃棄されたMAIでは労働条件の切り下げを途上国に求めることは禁止していた。
(2)グローバリズムは国による社会権保護をないがしろにしかねない。
グローバリズムは国家主権を超越し、国際的な貿易取り決めが優先する社会を具現する。国家が無意味となったとき、労働者の権利保護もまた無意味なものとなりかねない。
(3) 搾取批判
グローバリズムの現状は先進国企業による搾取構造の国際化にほかならない。労働者の連帯を通じて搾取の現状を熟知する労働運動側では心情的にもグローバリズムをうけいれることはできない。
社会変革運動 Znet
AFL-CIO The American Federation of Labor and Congress of Industrial Organizations
D反グローバリストの主張(人権支援団体)
カトリック系の人権支援団体その主張は人権支援団体の主張は反IMF・世銀主義の主張と重なるところが多い。IMF・世銀が進めるグローバリズムが先進国主義にかたよったものであり、途上国を豊かにするものではないことを見抜いている。
一方で、彼らはグローバリズムを排除しない。国際化が途上国を豊かにする唯一の手段であることを認めており、IMFや世銀のあり方を改革することにより目的を達することができると考えるグループがヨーロッパの人権擁護意団体には多い。
Mobilization for global justice
アメリカ・ワシントンDCに本部を置く反IMF・世界銀行・WTO団体。これらの組織が企業に支配された資本主義を推し進め、有色人種のコミュニティを破壊していると批判している。
E反グローバリストの主張 アナーキスト
反グローバリズム運動の第一人者であるカナダ人ジャーナリスト、ナオミクラインや、フランスの農民運動家で反ジャンクフードの立場からマクドナルドの店舗を襲撃し、逮捕されたジョゼホセ・デュフェールらの主張は反グローバリズムの展開の終着点を経済的な成長は不要だとするスローライフにおいており、19世紀のアナーキズムの精神を色濃く反映していると考えられる。
○反グローバリズムを超えて
反グローバリズムの主張にわれわれの共感を呼ぶ部分が多く、快哉であるのは事実である。一方で、われわれが環境との調和をとりながら早急な途上国の開発をめざさなくてはならないのもまた事実である。グローバリズム以外の手法を持って開発を成し遂げるのか?あるいはグローバリズムの欠点を修正しながら必要悪としてそれを採用していくのか?
現在進行するグローバリズムの行く先に「市場の失敗」が待っているのは明らかである。グローバリズムがもたらす農業・国内産業の破壊は途上国だけでなく、日本をはじめとする先進国をも巻き込みながら進行している。途上国の開発にグローバルな資金が不可避であるのであれば、やはりそのルールを作る必要がある。このルールが最貧国にとって不利なものになるのが問題であれば、その欠点をおぎなえるようなルールつくりをおこなうべきである。
反グローバル運動に必要なのは建設的代替案の提示である。時間は残されていない。今日も世界の貧しい国々で命が失われつつあるのだから。
@ 対外直接投資は必要である。
A 途上国からの輸入は途上国の発展のために必要である。
B 途上国からの安価な製品の輸入は国内の同種産業を破壊する可能性がある。
対外直接投資は必要であるが、そのルールをWTOなどで一律に決定することには、途上国側に反発がある。ルールを一律に決定されると、これに国内法を整合させなくてはならないが、各国は対外投資の受け入れに関して類似した法制を持っているわけではない。また対外投資の自由化による外資の乱入が国内の産業を破壊する懸念もある。また投資ルールに含まれるとされる「労働規制の緩和」は実質的に労働条件の改悪をもたらす可能性が高い。
すでに市場原理主義に委任することによる途上国開発は不可能であることは明確になった。なんらかの形での、途上国の開発を保障する管理貿易のみが残された道である。しかしながらこのスキームでは常に先進国側が譲歩を拒むため、有益な交渉結果を得ることができない。残された方法は、MDG達成のため、各先進国に貿易における貢献数値目標を割り振ることではないだろうか。
輸入促進は国内産業破壊の危険がある。先進国ではこれに対応する余地があるかもしれないが、途上国では対外貿易を開放した結果、輸入品により国内産業が破壊され、これを埋め合せる手段をもたない場合があるかもしれない。実は貿易が生み出すこれらの問題に適切に対応するためには、貿易による影響を数的に把握し、管理することが必要となる。途上国において輸入の増大が国内産業に及ぼす影響が、輸出促進による利益を上回れば、輸入障壁を引き上げる。このような措置が認められてしかるべきである。
我々にできること
グローバリズムとは資本やもの・サービス(労働)が国境という障壁なく自由に往来する状態である。80年代にサッチャー・レーガンとともに現れた市場原理主義は90年代に入り、国際貿易の分野にも流入し、支配的な地位を占めるに至った。その主張は極めて軽薄で、「比較優位生産性が認められる以上、貿易の利益は存する」という点に集約される。
彼ら市場原理主義者は人権という発想をもたない。人間もあくまで経済資源のひとつであり、市場で劣位にたった人間が失業しようが、不幸になろうが構わない。むしろ不幸になった方が社会に活気がでると公然と主張する。
その信奉する市場はもちろんフェアではない。彼らのよってたつ「自由主義」はあくまで特定の「経済利益を謳歌」できる者の「自由」であり、すべての人の人権的自由を意味するものではない。
その市場は、ある時は貿易補助金という形をとり、ある時は独占という形をとり、ある時は外部不経済という形をとって、ゆがめられる。彼らが支配するマスコミは選挙においては「自由」「豊かさ」を訴え、人々を本質から隔離する。「真実に目覚め、貧しい人々が豊かになることは あなたの経済的利益を損ないますよ。我々の尻馬に乗った方が得ですよ」というシグナルは常に発信される。
フェアトレードにより貧しい人々の支援を行おうとする発想もある。我々に必要なことは、我々が今踏みつけている人々がいるということをまず認識することだ。「コーポレート資本主義」は世界の目覚めた人々から批判されている。IMFや世界銀行・WTOを使ったコーポレート資本主義が税金も払わず好き放題をし、途上国の人々を酷使し、エイズ薬を奪い不幸にしているとの主張だ。
コーポレート資本主義は途上国の人々を不幸にしているが、先進国の市民は実は彼らのもたらす利益のおこぼれを頂戴しているわけだ。彼等が収奪してくる石油で車を乗り回し、彼等が収奪してくるダイヤモンドを買い、彼等が途上国の人々を苦しめて製造した商品を100円ショップで購入して「まあ安いわ、100円ショップは楽しいわ」と喜ぶのだ。
コーポレート資本主義は非常に狡猾ではあるが、我々は何もできない訳では決してないと思う。少なくとも彼らの国内での活動については一定のコントロールができるはずだ。わが国で売られている商品がどのような経路で販売されているのか。途上国の人々に不当な扱いをして生産されたものでないのか。そのような商品は少なくとも市場から排除するべきである。
天然資源についても我々はもっと認識を深めるべきだ。天然ガスは途上国で生産されるのになぜメジャーとよばれる米英の商社から購入しなければならないのか。そこにどのようなからくりがあるのか、わが国としてできることはないのか。
少しずつでも私たちはこの問題を改善していかなければならない。もっともそれは市場原理主義者の主張とは相反するものである。
「せっかく安くものが手に入るのに なんで反対するの??車乗り回して遊ぼうよ それが人生でしょ」
○グローバリズムに関する経済学的な論争
@開発経済
開発経済は途上国経済がいかに発展するのかを取り扱う。ソローモデルから内生型成長理論が経済成長の一般理論を取り扱うのに対し、開発経済は途上国の経済成長に焦点をあてる。また開発経済のテーマは従来の途上国経済の成長から、成長の恩恵をいかに貧困削減に役立てるかに移りつつある。それはクズネッツKuznetsの提示した「途上国の経済成長は当初はその貧富の格差を広げるが、後にそれは緩和される」という理論に関わらず、現実の途上国経済はこのような事態になっていないからである。途上国経済の成長は貧困削減に役立つという点については、異論はほぼない。もっとも途上国経済の成長に関する理論としては、従来妄信的に信じられてきた新古典派主義に基づくワシントンコンセンサス方式は、途上国経済破綻という事実の前に崩壊し、新たな理論が模索されている。こうした中でワシントンコンセンサスに基づく「自由貿易」が「途上国経済の成長をもたらす」という仮説にも疑問が呈され、これが反グローバリズム運動にもつながっている。もうひとつの論点は経済成長をどう貧困削減に役立てるかであるが、これについては参加型アプローチなど複数のアプローチ法が提示されている。
自由貿易が世界のあらゆる国々に反映をもたらすという理論は19世紀から長く信じられ続けてきた。その理論はRicard(1772-1823)の比較生産費説theory of comparative costsに根源を求めることができる。比較生産費説では絶対優位にある場合ではなく、比較優位にある場合でも貿易の利益が生じることを論じる。
ブレトンウッズ体制のもとで構築されたIMF・世界銀行は新古典派経済学の影響を強く受けたワシントンコンセンサスを教条的に取り入れていた。また新古典派経済学では、途上国において開発がもたらす利益は、最下層の人々にもいきわたり、貧困削減の役割を担うのだというトリックルダウン仮説が強調された。
新古典派経済学における自由貿易礼賛の理論的背景は以下の通りである。(参考 WTO World Trade Report)
A主要概念
比較優位説
Ricardの主張であり、比較生産費説ともいわれる。絶対優位の場合に、貿易の利益があるだけではなく、比較優位の場合においても貿易の利益が存在するとの主張。なぜ比較優位が生じるのかの理論化は行われていない。
1単位の生産に必要な労働
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野菜 |
飛行機 |
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A国 |
4 |
10 |
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B国 |
6 |
30 |
A国とB国で野菜と飛行機が1単位ずつ必要な場合、貿易がなければA国は14の労働が必要で、B国では36の労働が必要となる。飛行機生産に比較優位を有するA国が飛行機生産を受け持ち、B国が野菜生産を受け持つと、A国は20の労働で、飛行機1単位はもちろん、野菜5単位を入手することができる。野菜4単位の入手にはA国は16の労働が必要であるから、野菜及び飛行機のいずれにも絶対優位をもつA国が比較優位をもつ飛行機生産に特化することにより貿易の利益を得られることは、本例からも明らかであると思われる。
Heckscher Ohlin
theorism ヘクシャーオリーン理論
比較優位の発生を、生産要素の賦存(供給)量の違いから説明。例えば、生産要素としての労働の供給が多い国では賃金率が相対的に低くなり、労働集約的な清貧価格が安くなり、比較優位をもつ可能性がある。ヘクシャーオリーンの理論は、理論としては成り立つものの、比較優位の発生理由を明示できなかった比較優位説における比較発生の理由を資源の存在の偏在から説明するものである。
W.Leontief の逆説
1947年当時、アメリカは資本集約的と考えられていたが、レオンチェフが調査を行った結果、当時、アメリカは資本集約的な製品よりも労働集約的な製品の輸出を多く行っていることが明らかとなり、ヘクシャーオリーン定理が成り立たないことが明らかになった。レオンチェフ自身は、これは労働の質の問題で、アメリカは労働の質で修正を行うと、労働集約的(労働の質が高く、労働量は少なくても質で修正すると労働資源が豊富)であるためであると説明した。今日では生産関数の差異(生産要素の単位投入による生産量の変化が国により違う)などに原因を求める説が有力となっている。
要素価格均等化 リンク
国際間で財のみが取引されるにも関わらず、資本や労働などの要素の価格も国際的に平準化されること。ストルパー サミュエルソン定理 (Stolper Samuelson Theorem ある生産物の価格が上昇すると、その生産に集約的に用いられている生産要素の実質報酬が高くなり、他の生産要素の報酬は下落する。)により得られる結論といえる。
参考「ベーシック 国際経済学」
B2001年の世界銀行リポートでは以下の3要因を貿易促進の根拠として挙げている。
@貿易は投資を増やす A規模の経済 Badjust効果
90年代に入り、自由貿易が途上国に繁栄をもたらすという新古典派経済学の理論が、現実にそぐわないことが明らかになり、これを修正する必要が認識されはじめる。ひとつの潮流は、「情報の完全性」という新古典派経済学の前提を疑い、この前提の不成立から自由貿易の欠陥を主張する立場であり、もうひとつの立場は「輸送コスト」がゼロであるという前提に疑問を呈する「空間経済学」ないし「新制度学派」の立場からの批判である。(貿易振興会「アジアのpro-poor growthとアフリカ開発への含意」 JICA「サブサハラアフリカにおける貿易政策改革」同「貧困削減に関する基礎研究」)
「情報の不完全」を説く「情報の経済学」は応用マクロ経済学に属するが、スティグリッツらによって主張された。一方の新経済地政学は「輸送コスト」の点から新古典派の自由貿易を再編したが、その理論的背景にはソローらの新成長理論の貢献があるとされる。
貿易が少なくとも途上国経済の成長には寄与するのではないかというのは多くの経済学者が合意するところではあるが、サブサハラ(サハラ砂漠以南のアフリカ)のように、グローバリズムの進展後、GDPが下落した国もあり、Dani Rodrikらは「貿易が途上国経済を発展させる」ということ自体に懐疑的で、途上国はWTOの新ラウンドでは、先進国の農産品輸出補助金削減などの農業問題よりも労働人口の流動化など自国の所得向上につながる要求を優先するべきと主張する。
参考 Dani
Rodrik
C開発経済学の第一人者たち
Dani Rodrik (International political economy 国際政治経済学)
主論文 Trade
Policy and Economic Growth A
Skeptic’s Guide to the Cross-National Evidence 2000 with Rodriguez
本論文で、関税引き下げ・貿易障壁の撤廃と経済成長に有意な関係は認められないと主張。
最近の論文ではInstitution(機構)の役割を重視。
Getting Institutions Right
( 上記Dani RodriK教授のHP内 リサーチの最新分をご覧ください)
グローバリゼーションの利益は地理的に先進国に近いエリア(日本に近い 中国・韓国・台湾・タイの沿岸部 アメリカに近いメキシコ EUに近いポーランドなど)には及ぶが、先進国から地理的に遠いエリアには及びにくく、これらのエリアでは専門家や医者の流出を通じてグローバリズムの不利益が集中的にもたらされると指摘する。
Stiglitz
スティグリッツの「非対称情報の経済学」は国際経済学では従来の発想を大きく転回させた。従来、完全競争市場を前提にリカードの比較優位理論に基づき「貿易利益」は説明されてきたが、スティグリッツは国際間の貿易を不完全市場における貿易利益を説き、これが国際貿易市場が完全競争にあるとしても適用できると「不完全競争」→「完全競争」へ一般化できるとした。
最近は「グローバリズム」のもたらす弊害に強い警鈴を鳴らし続けている。
Does Globalization hurt the poor?
本論文で、アゲノール氏は途上国での反グローバリズムの主張として、以下の点を挙げる。第一に、グローバリズムの進展は、長期的には途上国の構造改革を促し、成長性の高い分野への労働力のシフトを促すが、短期的には、国際競争力のない分野での労働者の失業問題を引き起こす。第二には、グローバリゼーションではハイテク分野での貿易が活発になるが、先進国がハイテク製品を途上国に輸出することにより、競争力のない途上国ではハイテク産業が育たない結果となってしまう。このことは途上国を貧しい地位に永続的に置き続けることを意味する。
第三には、グローバリゼーションは途上国における非熟練労働への需要を減少させることにより途上国での貧富の格差を拡大させる。
Globalization, Growth and the Poor
David Dollar (World Bank)
世界銀行の途上国開発チーム主任研究員として、途上国の発展には、とにかく国際貿易に積極的に関与することが必要だとの強いイデオロギーを有する。
GLOBALIZATION, GLOWTH and POVERTY: BUILDING AN INCLUSIVE WORLD
同批判 批判 Why trade matters for the poor by Judith M Dean
批判 成長は貧困な人々に良いとして、世界銀行やIMFはどうなのか
Outward-Oriented Developing Economies Really Do Grow More Rapidly 1992
Rogoff (IMF)
IMFを代表する経済理論家としてグローバリズムの利益を強く主張する。グローバリズムの利益は「理論」としてよりも「実証研究の結果」として提示される。
“The Six Major Puzzles in International Macroeconomics: Is There a Common Cause?”
Ben S.bernanke and Kenneth Rogoff
Romer Paul M
ルーカスとともに新成長理論を提唱。ローマーの内生成長理論はネオ・ケイジアンモデルと呼ばれる。グローバリズムに関してはそもそも関心が薄く、平均寿命が延びたからグローバリズムは途上国の経済にプラスであった程度の認識。
Frankel Jeffrey and David Romer “ Does Trade Cause Growth?” 1999 American Economic Review 89
Sebastian Edwards
OPENNESS,PRODUCTIVITY AND GROWTH:WHAT DO WE REALLY KNOW?
Krugman
New Economic Geography 新地理経済学の論者に属する。Krugmanらは上記のRomerの新成長理論を貿易政策に援用した新貿易理論を提唱する。新貿易理論は従来の新古典派経済学が論じることがなかった収益逓増や不完全競争(独占競争)などについての分析を貿易理論に持ち込むものである。新貿易理論に分類されるのはKrugmanらのほかに、不完全競争への対抗策として保護主義を擁護する戦略貿易理論もこれに加えられることがある。
新古典派経済学の最大の難点は、同一産業内での取引である産業内貿易(intra-industry)が盛んになる一方で、新古典派経済学が予想した産業間取引が一向に盛んにならなかった点であった。
新貿易理論は前記のように規模の経済と取引費用の存在を認める。新古典派経済では完全競争を前提とするため、貿易により市場が拡大しても新規供給者の参入により、収益の逓増は起こらないということになる。しかし不完全競争を前提とする新貿易理論では新規の参入は自由ではない為、市場の拡大により規模の経済が生じることを認めることができた。クルーグマンの新貿易理論では生産側に規模の利益・チェンバレン的独占・需要者側に「嗜好の多様性 love of variety」を想定することにより、自由市場では起こるはずのない産業内貿易が経済厚生としてありえることを論証した。
新貿易理論のバックボーンには新成長理論がある。新成長理論では技術革新による生産性の向上を内生的(経済成長をうながす本来的な要因)と考えるが、クルーグマンの「アジアの奇跡」批判なども、アジアの成長は生産性の上昇ではなく、労働投入の増加に過ぎないので長期的な成長をもたらすとは考えられないとの主張も、規を一にするものである。
なお新貿易理論は現在新しい展開を迎えている。
○国際経済学の基礎
一般均衡理論general
equilibrium
均衡理論は市場において、長期的な安定が得られる状態を分析するものである。部分均衡理論が、ある特定の市場での均衡を取り扱うのに対し、一般均衡理論はすべての市場での同時均衡を取り扱う。一般均衡理論は約100年前にワルラスによって提示された。その後、市場での価格形成を取り扱う「ミクロ経済学」の中心を占める理論としての地位を占めている。一般均衡理論は、コンピューターを利用したモデル分析手法である応用一般均衡理論 CGEComputable general
equilibrium へ展開している。CGEは地域経済分析などで多用される手法となっている。例 参考
一般均衡理論をベースとして市場分析を行うミクロ経済学の世界に規範を持ち込み、規範的意味合いでの市場均衡を分析しようとするのがサミュエルソンらにはじまり、アマルティアセンに続く「厚生経済学」である。
(部分)均衡理論は「国際経済学(開発経済学)」でも中心的な役割を果たす。(部分)均衡理論が市場での交換の効用を説明した理論は国家間に拡大され、お互いの効用を拡大すると説明された。なお国際経済学は国際的な経済関係一般を取り扱うのに対し、開発経済学は途上国の開発という側面に重点をおく。
クルーノー競争Courmotとベルトラン Bertrand競争
クールノー競争では不完全競争市場で、相手企業の価格が一定として、企業は自社の利益最大化をめざした価格設定を行う。これに対し、ベルトラン競争では企業は相手企業の製品の生産量を一定として自社製品の生産量を決定する。
クルーノー ナッシュ均衡
相手企業の行動が不明な場合に、相手がどのような行動をとっても、自己の利得の最小値を最大化しようとする。この均衡点がクールノー ナッシュ均衡。クールノー ナッシュ均衡はお互いにとってパレート最適(最善)でないとわかっていても、相手に対する猜疑心から、それ以外の均衡へ移ることができない。これを「囚人のパラドクス」という。
チェンバレン均衡
限界費用=限界収入が成立し、利潤が0である独占的競争の均衡
貿易利益理論 Gains from trade theorem
Love of variety
独占競争貿易の利益を、代表的消費者の多様な選好を満たすためであるとする。具体的な消費者利益としては3態様がある。まず第一に、商品の多様化による消費者の効用の引き上げである。第二には貿易による市場拡大は生産費用を引き下げ、商品の価格を引き下げる効果を有する。第三には、この価格引下げ効果は対象商品だけではなく、他の商品にも及ぶ。 Love of varietyで中間財貿易を説明する論文
Dixit-Stiglitzの提示したLove of varietyを国際貿易に引用したのがKrugmanで、LancasterのIdeal
varietyを引用したのがHelpmanであるが、両者の結論は類似しており、両者ともLove of
varietyでくくられることが多い。
産業間貿易(異なる産業部門で行われる貿易)はヘクシャーオリーンの比較優位に基づくのに対し、産業内貿易(同じ産業部門の間で行われる貿易)は、各国で生産される商品の多様性が消費者に選好されるからで、各商品には規模の利益が働くため、各国が全商品を生産することはせず、貿易利益が発生するとする。 参考
不完全競争市場における産業内取引の隆盛について、love of varietyに基づく説明は強い説得力をもった。先進国間で生産要素の賦存状況に大きな差がないにも関わらず、なぜ各国は貿易を通じてブランドで区別される類似製品を融通しあい、自国内で生産しようとしないのか?ここで不完全市場であるとされるのはいうまでもなく、規模の利益が働き、産業内貿易における収益逓増(生産費の低下)がみられるからである。
もっとも、love of varietyだけでは中間財の生産内貿易(intra industry trade )の成立を説明できないとするサプライサイド経済学からの批判がある。同
近年の貿易では最終消費財でなく、中間財も貿易の大きなウェイトを占めるが、中間財の購入には一般消費者のような選好の多様性は必ずしも見られないことから、これに対する新たな議論展開が試みられている。
*Dixit-Stiglitz のCES(constant elasticity substitution 一定代替弾力性)関数
M=![]()
n種類の財がある場合に、その合計がどのような効用をもたらすのか。積分記号はこの場合、面積を示すもので、Σ記号と同等の意味合いと考えることができる。
パラメーターρは多様性の選好を表す。この数値が1に近い場合は、多様化された財は代替性が強いことを意味する。すなわち、ある財がなければ他の財で直ちに消費者は代替が可能ということである。
α=1/(1-ρ) 0<ρ<1 ρ=1は完全代替
とおくと、ρが1に近い場合はαは無限大になる。αは代替弾力性と呼ばれるが、その意味は1財の需要が変化した場合に、他の財の需要がどの程度変化するかを示すもので、弾力性が大きいほど、上記の通り代替性は強いということになる。
参考
「アジアのPro-Poor Growthとアフリカ開発の含意」 国際協力銀行
開発経済における援助戦略・アプローチの動向とその特徴
貧困削減に関する基礎研究(英語)
○開発経済学と貧困削減
開発経済学は途上国の経済をいかにして成長させるかを扱う経済学である。開発経済学は当初、構造主義という考え方から出発した。1960年代には、新古典派主義による市場万能主義が開発経済学にも導入され、新古典派経済学が開発経済学の主流となる。
90年代に入り、新古典派経済学の主張と、東南アジアを中心に、政府の積極関与が見られる地域における開発が進む一方で、市場調整を重視した国々での開発の失敗は明確となる。東南アジアの開発の成功を説明する理論として新古典派の中では「market friendlyアプローチ」や「機能主義アプローチ」が主張されるようになる。