
アメリカはその市場原理主義の国際社会での実践版であるグローバリズムを
唯一絶対の啓蒙思想として世界に普及させようと試みている。
本書は自由市場がレッセフェールから生じるのではなく、国家による強力な保護
により初めて実現するとのべる。
本書では続いて、市場原理主義を実践し、旧来の社会文化が崩壊した国々
を例示する。
かつて社会民主主義国として平準化された経済諸層を有していたスウェーデン
イギリス ニュージーランドで市場原理主義の嵐がふきあれ、貧富の差は激しく
なり、貧困層が出現した。また家族の崩壊や社会の荒廃による犯罪率の上昇
も問題となった。これらの国々では市場原理主義への批判から政策の見直し
が行われたが、すでに世界を席巻するグローバリズムの嵐の中で旧来の
古きよき世界に返ることもできなくなっている。それはあたかもグレシャムが
いった「悪貨が良貨を駆逐する」に似た状況である。
中国やアジア諸国の独自の資本主義の成功はアメリカ啓蒙主義思想への
反証となっている。ただし中国は環境政策の導入とともに生産性は低下し
大国となることはないであろう。
(書評)
市場原理主義についてはまさに社会の逆行現象であり、社会の多くの人々
は批判的である。
一方でアメリカを中心とする国際機関は市場原理主義を開発政策における
原理として当分あきらめそうもない。結果として国際機関の介入を受けた国々で
貧富の差の激化 家族制度の崩壊 際限のない労働強化
が行われている。
市場原理主義はいいかえればアメリカの多国籍企業の自由を最大限に保護
し、やりたい放題と社会的責任からの開放を保障するものである。
すでに市場原理主義の世界的流布による他国籍企業利益のほごというアメリカ
の戦略は市民運動f団体に見ぬかれ、大きな反対運動のうねりを引き起こして
いる。
我が国でも現在構造改革が話題となっているが、これが遅れてきたレーガン
サッチャーリズムをさすのであれば、まさに東アジアの奇跡として平準化され
安定した国家を放棄し、すでにしその試験の失敗にアメリカ以外の国々が気ついた
失敗をあえて我が国にて行うことになる。