さよなら住宅金融公庫 こんにちは住宅金融公庫(独立行政法人) 作:平成14年1月 →平成18年3月10日改訂
住宅金融公庫は2007年4月をもって独立行政法人化し、
住宅ローン債権の流動化機関に生まれ変わる。住宅金融公庫は日本の住宅政策において本来枢要な
地位をしめるべきであったが、残念ながらその本旨を全うすることなく、消滅していく。
住宅金融公庫は財政投融資の対象としては地方公共団体に次ぐ地位を占め、財政投融資からの残高は
51兆円(H16年度末)である。
住宅金融公庫は現在債務超過に転落しており、消えてなくなる運命にあるが、住宅政策との関係もあり
ここで検証しておきたい。
財政投融資計画検証P4
- 住宅金融公庫の概要
- 民営化(廃止)議論について
- 住宅金融公庫の経済的な功罪
- 提言
- 住宅金融公庫の概要
設立 昭和25年
資本金 1687億円
融資残高 60兆円 (平成15年度末→17年5月だけどこれしかHPにありません)
利息受け取りが23兆円で金利支払いが20兆円、雑収入あるものの、最終的には36百億円
の国庫補助。形式的には170億円の黒字法人。
使命 長期 低利 固定の 住宅資金融資
平成19年には独立行政法人住宅金融支援機構として住宅ローンの証券化の支援事業のみを行う機構へ移行。
2.民営化議論について
住宅金融公庫はいうまでもなく国内最大の住宅ローン機関である。この機関へ毎年5000億円近い補助金が流出していることから、政府は当初この機関を民営化しようと試みた。ところが、これに対し、国内の住宅建設業者が住宅建設に影響がでるとして反発。(公庫の試算では10%強 住宅建設を増やす機能を有するらしい= 政策コスト試算)
ここが小泉政権のすごいところで住宅建設会社の反対は歯牙にもかけず、19年度からの融資業務撤退を決定。
3.住宅金融公庫の経済的な功罪
住宅金融公庫はいうまでもなく、国民の住宅取得を容易ならしめるための有利な融資制度である。また同時に住宅金融公庫は、一定の要件を満たすものだけを融資対象とすることにより国民の住環境改善を誘導するという重要な役割を担っている。
住宅政策を考えた場合は以下の選択肢が考えられるが住宅金融公庫による融資は以下の(丸を推進するものである。
持家政策 取得補助金 ○
減税
有利融資 ○
賃貸住宅政策
低所得者対策
中堅層対策 ○
住宅金融公庫は有利融資を行うことより民間需要水準を引き上げることに貢献している(あるいはするはず)のであって、この役割は高く評価されるべきでこの機能は残されなくてはならない。→
なんて考えた人は甘いです。
公庫の決算
貧弱な国内の住宅政策では、一部の(5%前後)の低所得者(ないし所得捕捉率が低い富裕者)に対し、低廉な賃貸住宅が供給されるだけで、その上の所得層に対しては何らの住宅政策も施されていない。
一方、住宅金融公庫の罪はその非効率性にある。年間5000億円にも及ぶ補助金が毎年つぎ込まれている。小泉政権は国債発行を30兆円以下におさめようと苦戦していた(結局だめだったが)のだから如何に5000億円というのが大きいかがわかる。5000億円の大きさがわからないのは中にいる職員だけで、彼らの年間人件費は120億円、1200人の従業員一人当たりは1000万円である。(パートの人件費が入っているとかいう反論はこの議論にさして意味がないんで寄せていただかなくて結構です)
平成14年度は110億円になってますが
話を戻すとなぜこのような構造になるかというとそれは人件費が主因ではなく、借入と貸出しのミスマッチが大きすぎるのである。
平均貸出レート 3.24%
調達レート 3.79%
データは14年度決算
すなわち現状では4000億円の補助金は借入のほぼ全額を占める財政資金と貸出金利との利ざやの穴埋めに使われており、
何ら国民の住宅福祉には貢献していない。民間金融機関よりも貸出金利が低いのは単に民間の金融機関の利益上乗せが大き
いだけなのである。現にEローンなどの金融機関は住宅金融公庫を下回る長期・固定の金利商品を提供しており、こう
なると住宅金融公庫の効率性には大きな疑問を感じざるを得ないのである。
住宅金融公庫の膨大な逆さやは高金利の時代に固定で借り入れた債務者の繰上げ返済による。
調達側では財政投融資資金の繰上げ返済が認められないことがあげられる。
昨今の長期国債金利は2%前後で推移しており、
多少の信用力の差異を勘案してもなぜにこの機関が4%もの金利での借り入れを行なわなくてはならないのか理解できない。
変動金利で調達を行いスワップをかけるという民間企業でも30年固定の商品はその水準で提供できるはずで、ローン債権証券
化手法で優位性を有する公庫は現在より1%近く低いレートを補助金なしで提供できるはずである。
→国土交通省の依頼により財務省は財政投融資資金の繰上げ返済を特例で認めることになった。住宅金融公庫は財投機関債の
発行により現在大幅に調達コストを下げている。
なお住宅金融公庫発行の財投機関債は政府無保証で過去発行債の概要は以下の通り。
既発債情報
貸付債権担保債券となっている。18年度の発行予定は3兆4100億円
事業計画
政府は住宅金融公庫の直接融資撤退を決定した。財投機関債で調達コストを下げれば補助金なしで民間より安い金利での融資
業務は続けられた可能性が高い。さらにいえば逆さや問題を回避するため、変動ローンを検討しても一向に構わない。民間より
有利な条件で住宅ローンを提供する機関がなくなるのは残念だと思うのだが。
5.住宅政策と提言
住宅金融公庫は債務超過となり調節融資から撤退する。70兆円近い融資残高は住宅融資の7割に近い数値である。今後も住宅
ローン債権流動化という形で住宅融資市場に寄与はし続けるが、公的融資の撤退は住宅ローン利用者にとってはデメリットとなる
可能性が高い。
賃貸住宅政策の一環として、賃貸住宅建設への融資業務が国民生活金融公庫などにより引き継がれることも必要である。
(諸外国の例)
アメリカ
アメリカでは住宅金融に関しては信用保証及び貸出債権の流動化を政府関係機関が行うものの政府出資はなく、政府補助金もない。
フレディーマック及びGNMA FNMA
タイ
タイでは住宅公社が有利貸付を行うが、国から補助金は出ていない。貸出しの7割りは公庫自体が貯金という形で国民から資金を調達しており、残りは債券の発行である。
タイ
要するに現状の国民金融公庫は調達金利が高すぎ、有効に機能していない。即座に調達金利の引き下げ努力を行うべきである。既に同公庫では住宅金融公庫債の発行を行っているがその金利は
政府保証第一回債(10年)1.889%
13年3月 第一回MBS クーポン1.75% 最長35年