公共事業◇何が問題か 2008.2.15更新
2.公共事業の効果
3.公共事業の浪費性・公共事業評価
4.公共事業が構造改革を遅らせるという議論
5.これからの景気対策
1.公共事業の政治的意味と予算硬直性
公共投資は社会資本の整備が目的であるが、同時に景気対策の手段としての効果もあるとされる。 いうまでもなく、公共事業は自民党支配政権が国土交通省をはじめとする中央諸官庁及び都道府県以下のレベルへの金権支配を貫徹するために作り上げた日本独自の装置であり、同時にその受益者である建設業者は選挙時に集票マシーンとして機能する。
国家予算約81兆円の約1割はこの装置の維持に直接用いられるが、実は別途財政投融資という形で、国民の税金は浪費されているのである。
平成20年度財政投融資計画 財務省(H18年度の予算規模は23兆円 うち公共事業的性格は約20兆円)
公共事業 50兆円<行政実績+財政投融資(公共事業)>のうち、小泉改革では公共事業関係費すなわち、国家予算である9兆円の部分につき、対前年比1割削減を約束していたが、平成15年度予算ではこの約束はなぜか3%ということにされている。
平成17年度予算 83千億円
平成20年度予算政府案(同上)
上記の数字には地方財源分がカウントされていない。地方を含む公共事業実績は行政投資資料から得ることができる。 参考1 平成14年度行政投資 データ
平成17年実績の概要(2007.12.25 総務省発表) 資金使徒 (H13) 行政投資実績
(十億円)
主体
H11
投資額(H14)
国
17,125
9,176
地方自治体 都道府県
12,155
11,536(直轄)
地方自治体 市町村
15,143
15,191(単独)
計 45,309
以下では公共事業の中でも一番大きなウェイトをしめる道路事業について見てみる。
道路事業費負担主体別
2008年度予算では、道路特定財源(暫定税率上乗せ分)2兆6千億円の一般財源化を民主党は主張して
いるが、政府自民党は反対している。
上乗せ分のうち、1兆7千億円は国、9千億円が地方の税収であるが、民主党では、9千億円分の
地方収入については他の税収の配分および、国の直轄事業への地方負担分の軽減で対応できるとしている。
2003年度予算では、道路特定財源(暫定税率上乗せ分)2兆7900億円の一般財源化は見送りとなり、その中の余剰財源3225億円が高速道路整備や本四公団債務処理に用いられることになった。
道路公団の民営化に向け、2003年度予算では道路公団向け予算がなくなる一方で、新直轄方式(国と地方が1:3で費用負担)での高速道路整備事業予算1000億円(事業規模は全体で3兆円規模の予定)が計上された。
また本四公団の債務のうち、1.34兆円を国が負担。今後5年間でこの元利を償還する予定である。
96(H7) 道路予算財源内訳| 国費 | 3,458 |
| 地方 | 8,205 |
|
財政投融資 |
2,783 |
2.公共投資の効果
公共投資には波及効果があるとされてきたが、日本経済のストック化に伴い、波及効果自体が小さくなっており、経済企画庁(新 総務省)では1.3前後と試算している。
ところで、公共事業の乗数が1であれば、公共事業の効果は、GDPを同額増加させ、貯蓄を財政支出分増加させる効果をもったことになる。この際、投資や消費への影響はまったくなしということになる。
(*)古典的なケインズ経済学では公共事業は乗数効果により消費を刺激することになっている。一方で、クラウディングアウトにより金利引き上げ効果を生じるため、財政支出の効果はゼロという風に開放経済化では考えられている。
今日の日本では景気が極端に悪いため、財政支出の全額が貯蓄に回される一方で、民間の投資意欲が低いため、クラウディングアウトは生じない。結果として財政支出は何らの悪影響なく、貯蓄増を通じて失業を改善する(ないしは多少の乗数効果により消費を刺激)のみであるとの主張もある。大阪大学の小野善康先生の主張はこのような趣旨(「景気と経済政策」)と考えられる。3.公共事業の浪費性・公共事業評価
公共事業評価公共事業は 無駄 と 環境破壊が指摘されている。 毎年見直されることのない省庁間シェアは無駄使いの端的な証拠とされる。
5.提言 フランスでは住宅建設を公共事業とし、景気刺激に活用するという発想がある。日本では公共事業は道路のシェアが突出し、なんとその次は農業がくる。すでにデータが示すように日本では都市部サラリーマンを、農家所得が上回る傾向がある。所得捕捉率を考慮するとこの較差はさらに広がるのではないだろうか。にもかかわらず、道路予算にあきたらず、農業予算という形で無駄な投資が行なわれている。 提言の第一は国と地方の公共事業予算の総枠を決めた上で、各地方が必要とするインフラをリストアップし、それに必要な予算を積算していくことである。その際、新幹線も欲しい、高速道路も欲しい、何でも欲しいというのでは話にならない。必要とされた項目がどの程度地域住民の便益を向上させるのかを指数化し、各地域の便益の指数が平準化されるようにバランスをとればよいのである。 もっとも住民の便益を向上させるのは「予算」だけではない。道路をつくってもそれを利用する企業が誘致できなければ地方は豊かにならない。これからの公共事業は何を作るかではなく、作ったものをどう使うのか?それによって地域に何をもたらそうとするのかを明確にしていかなくてはならない。
近年、これに対し、事業評価の導入の気運が高まっている。平成12年度予算にあたっては5年間未着工の事業について「費用対効果
分析」が行われたが、今後さらに費用効果分析の手法精度化を行い、事業予算削減を図っていく必要がある。特に近年、公共事業が単に無駄使いにとどまらず、環境破壊という負の財産を将来に残すという側面がクローズアップされている。
4.公共事業が構造改革を遅らせるという議論
市場原理主義者からは公共事業は構造改革を遅らせるので無意味であるとの主張がなされている。地方では農閑期の公共事業への従事で
生計を立てる家庭がある。農業だけでは生活が成り立たず、廃業するはずなのに公共事業で生計が立つため廃業の決心がつかない。
これは日本経済にとってはマイナスになるということらしい。資源は生産性の高い分野へ移動しなければならないのに公共事業は人的資源
の移動を妨げ、生産性を低めているというのだ。
国民がみんなこのようなドラスティックな発想を持っているわけではない。生産性さえ上がればいいのか。人々が生まれた場所で慣れ親しんだ
仕事に従事したいという気持ちを一蹴していいのか。このあたりがロボット的発想の市場原理主義が疎まれ、人々の支持を得られない原因であるかも
しれない。
景気対策としての公共事業は、不況期に遊休化している資源を有効活用することが目的である。したがって好況期には公共事業で民間から資源を吸い上げる
べきではない。ところで、問題は地方では公共事業の必要性が恒久化しているということだ。
資源の遊休化が恒久化しているのに対しては抜本的対策をとるべきで、公共事業による失業対策を
行うべき問題ではない。それでは地方に資金を吸収されっぱなしの都市部はたまったものではない。
5.海外の公共事業
@そんなに公共事業がやりたければ