
1986年製のそのバイクは、長い間、車庫で眠っていた。
小さな頃から、動くモノに興味があり、機械が好きだった事もあり
JAZZを見た瞬間に、バイクが欲しいと思った。
よく見かけるスクーターではなく、原付でありながらバイクとしての風格を備えて
いた
「こいつに、乗ってみたい」
小さなきっかけが、大きな衝動を生み、ガレージ内で乗ってみることにした
JAZZを車庫から出した時に、自転車とは違うその重さに驚き
車庫の前に出すだけで、一度倒してしまった
知り合いのおじさんは、怒ることもなく、笑いながら自力でJAZZを起こす俺をみていた。
やっとの思いで、外に出すと、薄暗かった時には良く見えなかった部分が見え
メッキのパーツが美しく輝いていた。
そいつにまたがった時、ふと疑問をもった
この、足を乗せるところについている、レバーはいったい何なのか
おじさんは、キーを取り出し、何やら操作をして、エンジンをかけた
キック一発で始動させると、ギアを入れぐるっと回ってた
「ちょっと乗ってみ」と言われ、またがってみた
右のアクセルを開いても、回転は上がるものの、JAZZはちっとも前に進まなかった。
この時初めて、バイクのクラッチの操作方法を簡単に教えてもらい、
何度かエンストしながら進んだの事が記憶に残っている。
おじさんからバイクを受け取った時、改めて、ミッション車のレクチャーを受け
名義の変更もし、めでたく自分の初めての自分のバイクになった。
その日から、自分の足となり、より遠くへ、自由な場所へと運ぶ便利な道具となっ
た
この時は、まだ初めて見たときの感動と、ミッションの面白さ、行動力の拡大
その程度のものとしか感じていなかったが
バイクへ乗ることの楽しさを、少しずつだがJAZZは俺に教えてくれた。
バイク好きの友達とも出会い、JAZZのカスタムへの興味があったものの
大きなお金をかけずに、少しずつ、悪い部分を改修する程度でしかなかった。
元のスタイルを重視し、お金をかけずにカスタムするという考えをもっており
ノーマルのパーツに手を加え、カスタムする日々が続いた。
大学が遠いこともあり、通学に使用するには、逆に時間がかかるJAZZは、あま
り動かされる事も無く
たまーに乗ったりする程度で
やはり、たまーに整備する程度のものでしかなかった。
しかしながら、このバイクに愛着はあり、JAZZに乗っているという誇りのよう
なものがあった
大学2回生の時、バイトの帰りに、事故にあった。
交差点を走行中に対向車両が無理な右折をし、止まりきれずに、後部につっこんだ
その時の衝撃で、俺は何メートルか空を飛び、着地の時に前回り受身をとるという
人生初のフライトをした、軍手と上着を着けていたおかげか大きな怪我はしなかった。
一方、JAZZはフロントフォークは曲がり、フォークOILが漏れ出し、リムは
ひしゃげ
フレームに歪み、タンクに大きな凹みと、大きなダメージを受けていた。
スクーターに乗っていたならばもしかしたら、車にあたって死んでいたかもしれない。
このバイクに、命を救われた時であったと思う。
JAZZを全損にしてしまうか、修理するかの状態で、修理するならば逆にお金が
かかると言う事だった
やはり、JAZZを気に入っていた俺は、修理という選択をした。
パーツ代、工賃共に同程度の中古車が買える以上の金額がかかったが
一方的に向こうが悪いと言う事もあり、ほとんどお金を払う事はなかった
真新しいタンクとフォーク、さび付いてたフロントが一新され、
その時は喜んだのだが・・・・
JAZZにはフレームの歪みという、後遺症を残す事となった
やはり金が無いので、ノーマルパーツの加工とキャブのセッティング、
スプロケの最適化ににすべてをかけ、ノーマルながら、そこそこは走っていたと思う。
原因はフロントタイヤの劣化とゴミを踏んだことだった。
幸い、ほとんど怪我は無かったが、対向車にぶつかりそうになり
あと1メートル進んでいれば、車の下敷きになっていた。
メンテを怠っていたこともあり、これはJAZZが俺に対する警告だったのかもしれない
改めて、JAZZを考えるきっかけにもなり、社外のハイグリップタイヤを入れた。
本格的にカスタムする用になったのもこの頃からだった
手始めに、お約束だがマフラーを交換してみると、驚くほどのレスポンス向上に繋がった
やりだしたら止まらない性格に火がつき、OFF会にも参加するようになり
JAZZへのカスタム意欲が大きくなった。
通勤に使用していた為、「動かない状態」に出来なかったが
知り合いのバイク屋さんの協力もあり、少しずつ完成に近づいていく。
さらにJAZZのカスタムに熱をあげていた。
何度かの事故と転倒による歪みや曲がり、経年変化による劣化を考慮すると
今のままではフレームが増大するパワーについていけないと思い、フレームを新調する。
新品フレームを注文し同じ番号を刻印されたフレームが届く
パーツと共に、魂を移植し、無事世代交代を終える。
外装が整ったので、これを機に塗装を仕上げてしまう。
時間はかかってしまったが、ようやく完成形に近づいている。
だが、あくまで現時点での完成形。
たかが、工業製品としか見られないかもしれませんが
俺にとっては、楽しさを共有できる友であると思っています。
これからも、ぺけJAZZ、それと共に成長する俺、をよろしくお願いします。
知り合いのバイク屋さんの協力もあり、少しずつ完成に近づいていく。